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引用:IMDb.com

インサイド・ヘッドのライムスター宇多丸さんの解説レビュー

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2020年05月07日更新
とにかく万人に文句なしにおすすめできる、本当に全方向360度、隙無しのエンターテインメント。僕的にここまでのレベルで文句なしは、僕はウォーリー以来かなというくらい思っていますね。トイストーリー、ウォーリー、インサイドヘッドかなーって思うくらいですね。(TBSラジオ「アフター6ジャンクション」より)

RHYMESTER宇多丸さんがTBSラジオ「アフター6ジャンクション」(https://www.tbsradio.jp/a6j/)
で、ピート・ドクター監督のピクサー長編アニメーション20周年記念作品「インサイドヘッド」のネタバレなし解説レビューを紹介されていましたので書き起こしします。 
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。 

宇多丸さん 『インサイドヘッド』解説レビューの概要 

①好意的な意見が8割、批判的な意見が2割。
②吹き替えもおすすめ。
③ピクサーこわい!
④涙腺崩壊の波が二重三重に押し寄せる。
⑤なんと、90分映画にも関わらず、90分の仮映像を○本撮ってからブラッシュアップしていった作品。
⑥トイストーリーに並ぶ、ピクサーのトップグループに入る大傑作!


 ※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。 TBSラジオ「アフター6ジャンクション」でラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。 


(宇多丸)
さぁここから11時までは、劇場で公開されている最新映画を映画ウォッチ超人ことシネマンディアス宇多丸がうきうきウォッチング。
その監視結果を報告するという映画評論コーナーでございます。

今夜扱う映画は青春ムービーガチャマシンを回して決まったこの映画、『インサイドヘッド』!
ほらほら、そこでずっこけない。
ね? 古川さん、ずっこけない。ドリカムが悪いんじゃない。ね?

3DCGアニメーション映画の世界を牽引するディズニーピクサー制作の最新作。
11歳の少女の頭の中にいる喜び、悲しみ、怒り、ビビリ、ムカムカといった感情を司るキャラクター達が、少女の成長の裏で繰り広げる冒険や葛藤を描く。
監督はモンスターズインクやカールじいさんの空飛ぶ家などのピート・ドクター、ということでございます。

ということでね、これね、もうピクサー作品ということで、非常に評判も高いですし、私も前から、「インサイドヘッドやりたい」なんて事は漏らしちゃってましたけど。

もうこの映画を見たよ、というリスナーの皆様、ウォッチメンからの監視報告、メールなどで頂いております。
メールの量は、普通!

あ、そうですか。
まぁ結構ね、公開から時間が経ってるというのもあるんでしょうかね。
あとやっぱ、もうピクサーくらいになるともう良くて当たり前感がね、あったりもしますけどね。

絶賛から楽しかったという人まで、好意的な人が8割。否定的な意見がおよそ2割。
2割もあるんですね。
ピクサー最高傑作。久しぶりに、ピクサーこわい!と思った。これね、私のワードでございます。
・ストーリーが斬新で面白く、そのビジュアルもすごい。
・あるキャラクターの別れのシーンで涙腺決壊。
・感情が具現化したキャラクターというアイデアにノれなかった。
・人間は感情の乗り物ではない
などの意見があった。

また、映画本編の前に流れる、dreams come true、"愛しのライリー"。(今流れております。)
のイメージビデオについては
・これを企画した人のヘッドのインサイドを見てみたい。
という意見が多かった、ということでございます。

代表的な声をご紹介しましょう。

インサイド・ヘッド、一般の方の感想

✱ずきんさん。
インサイドヘッド、ウォッチしました。
ここ最近、低調気味だったピクサーですが、この作品、ピクサーの新次元を予感させる大傑作だと思います。
ビジュアル、ストーリー、音楽どれも洗練されていて美しくて素晴らしいんです。
誰もが身近に持つ感情が主人公であるがゆえにどこまでも普遍的で、こんなにも自分に重ね合わされる作品は他にはないのではないのでしょうか。
見ながら、ハッとあんなこともあったかもしれない、こんなこともあるかもしれない、と気付かされる瞬間がいくつもありました。

そして、感情が主人公というアイディアだけに終始せず、それを通して見事に描いてみせる成長には涙が止まりませんでした。
その感動的で力強いエンディングもドヤ顔ではなく、何げなくやってみせるのも最高に粋だと思いました。
とにかく個人的に何かある度に見たくなるような、大好きな映画でした。

ということでございます。

一方で、ちょっといまいちだったという方。

引用:IMDb.com

インサイド・ヘッド、否定的な感想だった方の意見

✱西山こたつさん。
期待していたのですが、残念ながら話にノれませんでした。
個性豊かな脳内キャラクターたちが魅力的に振る舞えば振る舞うほど、まるで人間という生き物が、実勢のない操り人形のように思えて仕方ありませんでした。
その原因は、少女ラリーに訪れた危機を脳内キャラクターたちと観客の僕らが、「危機だ!」と感じていても当の本人であるライリーが全く自覚していないからです。
自覚していないのだから、それを知らずに解決してあげたところで果たしてそれは誰の物語なのでしょうか。
右も左もわからない子供を主役にするのではなく、たとえば酸いも甘いも経験した30代の女子を主役にしていれば、僕にも切迫した状態がもっと近いものに思えたかもしれません。
おせっかいな大人たちに監視されている状況では人生が窮屈でたまりません。
という西山さんのご意見でございました。

あとですね、半パンマンさん。
この方ですね、リスナーリクエストでね、1回読まれた方ですよね。

✱半パンマンさん。
リクエストで採用されて見事に外されたラジオネーム 半パンマンと申します。
愛しのライリー見てきました。

(宇多丸)
そういうタイトルじゃないですよ。

✱半パンマンさん。
いやー最高でしたね、うちの娘と孫は。

(宇多丸)
これ要するに最初に、映画本編とは別に、Dreams come trueさんの主題歌っていうか、まぁイメージソングみたいなのが流れて、それでこうなんていうか日本のしせいの人々のね、スナップ写真みたいのが映るというですね、展開がございまして。
そちらにその娘さんと孫が出ているというね。ちなみにこの半パンマンさん、32歳!
15歳年上の妻に連れ子がいるため、この歳で孫がいます、ということなんですね。
すごいですね。

冒頭のあのおまけ映像。
批判的な意見が目立ちますが、ピーチクパーチクピーチクパーチクピーチクパーチク、うっせー小鳥のさえずり!
ですけどもね、ライムスターも引用したい。

映画館でね、ピクサー映画の前にね、家族が映ったらね、嬉しいもんですよ!
それを見せられ・・ねえ!
短編の前だし、予行の最後ぐらいの気持ちで無関係の人たちも生暖かく見守っていてくださいね、というね。
ご意見でございました。

インサイド・ヘッド、宇多丸さんの感触は・・?

さぁいってみましょう。
インサイドヘッド、私も見て参りました。吹き替えと字幕、両方で見てきましたよ。
先に言っとこうかな。忘れないうちに。あのね、吹き替えも良かったですね。大竹しのぶさんの悲しみ。今ね、あのジェーン・スーさんが置いていった、ご自分にそっくりだという悲しみというね。

大竹しのぶさんの悲しみとかも凄い良かったし。
あと怒りっていう、脳内キャラクターが新聞を広げているんですけど、その新聞の見出しがその時の主人公、女の子のライリーという11歳の女の子の状況をちょっとなんていうか、見て示しているような見出しに毎回違うのになってたりするんで、なかなかそういうあたりもね、気が利いてて、ぱっと分かったりするんで、吹き替えもなかなかオススメでございました。

ということでインサイドヘッド、もうぼんぼんね、もう時間もないんで、もう結論めいたものもグイグイいっちゃいたいと思います。

先ほど出ましたけど、久々に私この感想が出てしまいました。
やっぱり、やっぱり、ピクサーこわい!ですね。ピクサーこわい。

引用:IMDb.com

宇多丸さん「ピクサー、こわい!」

これどういうことかというと、要はですね、
もんのすごーく頭のいい人たち。もう世界的に見てもトップクラスの頭のいい人たちが、もんのすごーい挑戦と努力を、ものすごーく重ねた結果、あらゆる意味で。
ものすごいあらゆる意味です、これ文字通り。
あらゆる意味で、ものすごーくレベルの高いエンターテイメントがちゃんと出来ちゃってやがるっていうね。

こわーっていう。こわーっていうね。
ぐうの音も出ないとはこのことだな、というふうに思ったりしましたけどね。
はい。もちろんですね、今回のその映画の、インサイドヘッドという映画の、頭の中で、ある人の頭の中で擬人化された感情たちがですね、あーでもないこーでもないとやり合ってて、それがその人の言動を左右する、というこの発想自体はまだ、まあ想像がつく範囲っていうか。
それほどまあ珍しくもない、ぐらいかもしれないなっていうのはあるかも知れませんね。

例えば、それこそ今年公開された日本映画、漫画原作の日本映画で脳内ポイズンベリーなんて映画ね。僕ちょっと本当に申し訳ない!
インサイドヘッドやる事分かってれば、ぜひ見とくべきだったなと。比較のためにも。ちょっと見てないので比較できないんですけど現状は。

頭の中にいる人達がワーッてやってその人間の動きを左右するというタイプのコメディ

ただとにかくですね、ただ今回のインサイドヘッド。
そういうその、頭の中にいる人達がワーッてやってその人間の動きを左右するというタイプのコメディ。
に見えるんだけど、実はミソはそこじゃなくてですね、今回のインサイドヘッドは。
本当に凄まじい部分は、単にその場での感情の揺れ動きとか移り変わりを面白がるってそういう部分じゃなくて、自分以外の世界に対するリアクションとしての感情と、その結果としての経験がやがて記憶となり、その集積がその人らしさ、つまり人格というものを形成していくという。

要はですね、まさに、我々のまさにですよね。皆さん、観客みんなが共感できる我々自身の脳内。つまり精神と言い換えてもいいかもしれないんだけど。の、働きそのものを、エンターテインメントな物語として描き出そうとしている。既にもうこの時点でとてつもない試みだなと思うんですけど。

でまずはこのですね、その脳と精神の仕組みという、まぁ要するに完全に抽象的な世界ですよね。医学的に描くとそりゃ単に電気的な信号が流れてるだけですから。
要するに非常に抽象的な世界をですね、実際の脳科学とか神経科学とか心理学等の知見をベースにおそらくはして、というのは私も脳科学とかの、例えば売れてる入門書とか、かじった程度ですけど、「あ!これってあの本のあそこで言ってたことだ!」みたいな。
まぁいっぱい出てきたりするわけですよね。

引用:IMDb.com

意識はイリュージョンに過ぎない説

とか、例えば先ほどちょっと意識というものに対してあまりノれなかったというメールありましたけど。
僕はやっぱりその意識、自分たちが、僕らが、人間が持っている意識っていうのは脳の働きの中の実はごく表層の、いってみればデスクトップに違い、イリュージョンというか便宜上のイリュージョンに過ぎないっていう説。
僕すごく納得できるなって前から思ってて。
そうじゃないと、一度にこんな、要するに脳ってその意識の部分だけ働いてるわけじゃないですから。
実は自分が持っている、意識だと思ってる部分とか、自分がコントロールしてるって思っる部分はものすごい一部なんじゃないかっていう。
というような実際の脳の働きみたいなものをベースにした、デフォルメなんですね。
でもそれを非常に、さっきも言ったように完全に抽象的な世界なんですけど、難解なアート作品とかそういうもんじゃなくて、あくまでポップに。
万人に、文字通り万人に開かれた、それでいてある程度知識があったりとか経験がある大人にはニヤッとするディテールも満載だったりする。
ような感じで、要は一種のテーマパークとして説明・案内していくその手際のスマートさって、まずもう本当に頭のいい人が努力すると参っちゃうなあ。

記憶を色付きのボールで表現

例えばその記憶というものを示すときに色つきのボールで示す。
でまぁパッと見て多分その視覚的にパッと判断がつく範囲でまぁ多分ここっていうとこに絞ったんでしょう。
もうちょっと多分感情は細かく、現実には絞れるでしょう。ここって絞って。
あるいはその各セクションの役回りとかね、例えば創造界みたいなのがありますよ、とか。
それぞれもそのパーソナリティを形成する建物ができてますよ〜みたいな。
そういうものが要するに見事に視覚的に説明、かつこっちがパッと見て「あっ、そういうことね」ってわかるようになっているというあたり。
もう見事なスマートさだというふうに思います非常に。
でですね、この話が非常に何というか挑戦的な設定にも関わらず、「やっぱりよくできてるな、この話よくできてる」という風に思うのは、これ誰もが思ったでしょう。

例えばね
「なんでこんな時にこんなくだらないことを思い出してしまうんだ!しかもそれが頭から離れてくれないよー!」
みたいなことって、まあ要は記憶というものは非常に奇妙な側面であるとか、
「なんでこんなこと今思い出すんだ。」
そういう奇妙な側面であるとか、あるいは
「夢ってなんでこんな変なんだろう?」
みたいなことって、要は誰もが、観客の誰もが自分の経験に照らし合わせて、ああこういうことってあるあるある、っていちいち腑に落ちざるを得ない作りになってたりするんですよね。とかですね。

引用:IMDb.com

あ〜あるある、でニヤリとする

もう例えばずっと11歳の少女のライリーという人の内面で話がメインで進んでくんだけど、中盤初めて、ある他者の内面にカメラがわーって入っていって、その他者の中にもやっぱりその同じような感情たちがいるっていうのがあるんですけど、そこでやっぱりパッと映されて、そこでの描写でも大人たちはみんなこう、苦笑いっていうか。
「あ〜あるある。恥ずかしい。俺、恥ずかしい。こういう時ある。恥ずかしい」
みたいな、そういうのがまぁすごくこう、大人もニヤリとするのがあったりすると。

で、もっと言えばですね、誰もが腑に落ちる作りってんですけど。
もっと言えばですね、特に大人は、まあこの主人公の11歳の少女ライリーがですね、客観的に見れば非常に小さな葛藤を乗り越える話なんだけど、中では、内面的には大冒険を繰り広げている訳ですけど、それを見ている大人たちは、自分もまたこのようにですね、こういう過程を経ていたんじゃないか。
例えばですね、自分もまたこういうふうに幼い頃の、文字通りの甘い記憶っていうのを忘れていって、この世の苦さみたいなものを自らの一部として受け入れていくことで成長し
てここまで来たんだよなぁ、ってしみじみ思わざるを得ない。

つまり主人公のライリーとその内面の変化、成長というのを通じて自分自身の人生を照らし合わせて、二重三重に、物語上も感動するけど、「正に俺はこれを経てきたんだ!」っていうことを照らし合わせて二重三重に感動がこうドライブしてく作りというか。
見てる内にぐるぐるぐるぐる、中の話と自分の感情がこうぐるぐる回りだす作りになってるっていうかね
ここがまた上手い。

大人は思いを馳せるシーン

だからこそ、甘い幼年期、幼年期です。甘い幼年期、文字通り甘いキャラクターなんですよね。見た目の作りとか。
甘い幼年期を象徴するあるキャラクター。
これポスターアートとかでは伏せられているのでここ今回の表の中でもまあ伏せますけど、甘い幼年期を象徴するあるキャラクターがライリーという少女の成長の代償として取るある行動。
そしてその最後に言う一言、みたいのに全ての見ているこの大人はですね、要は今の自分になるために自分は知らず知らずに、こういう何か大切なものとかを捨ててきたんだろうなと。
で、ようやく今の自分になっているんだっていうのは思いを馳せざるを得ない。

つまりその忘れていた胸の、というか文字通り脳の奥を、無意識をドーンって突かれる
ような感動があるっていうか。
だからまあこれ本当に、ドーン!ドバー!って涙腺決壊しちゃうんですね。
もう要するにちょっと心理学的にカウンセリングされている感じというか。
どんどんどんどん鍵解かれて、「ああそうだ確かにこういうことがあったから」、ドーン。みたいな。

で、これは記憶を巡る話だって先ほど言いましたけど、記憶だけではなくて、例えば、同時にですね、実際に古い子供の頃の友達であるとか、友達とあんだけ親しかったのに別れてしまうってことはまあ劇中でも描かれますけど。
とか、或いはもっと言えば親ですよね。
親そのもののメタファーでもある、という事ですよね。
送り出す側と、そして捨てていくというかそれを代償に育っていく側っていうこと。
さらにその子ども連れの親御さんがじゃあこの場面を見るとですね、要は今度はその甘い幼年期を象徴するあるキャラクター側の気持ちにもきっとなると思うんですよね。
要はいずれ待つ、もしくは既に経験した、親離れ子離れのプロセスのメタファーにもなってるわけですよここは。
なのでもうこの場面、多分子ども連れのお父さんお母さんもう四重ぐらい。
さっきから言ってるように、自分の物語上も感動するし、自分の話だとも重ね合わせるし、自分と子供の関係にも重ね合わせるしでもうぐるぐるぐるぐるなってもうどんどん泣けちゃう、ドーンとなるんじゃないでしょうかね。

引用:IMDb.com

親と子供の関係にも重ね合わせ、どんどん泣けちゃう

あとその親離れ子離れみたいなね、その話で言うと、先ほどね、ずっと言っているように、その5つの感情っていう風になってて、これは非常に単純化した感情の分け方な訳ですよね。
実際の感情に比べれば単純化した、「ちょっと単純化しすぎじゃないか」と思われる方、いらっしゃってメールにもありましたけど。違うんですよね。
単純に見えるけどそっからの成長の話なんですよね。

で、ネガティブな経験とか感情っていうのにも意味がある。
「抑圧するとかえって危ないかもしれないよ」っていうのもメインのメッセージになるわけですけど。
親離れ子離れの例えで言うとですね、これってね、子どものみならず、大人にとっても、感情というものと付き合ってくれて非常に素晴らしい教育的効果を持つメッセージだと思うんですよね。
「ネガティブな気持ちでも意味があるよ」
「時には、他者に対する共感というのはそういうものを知ってる人間だけが持つことができるもんだよ」
みたいな。
とても素晴らしいメッセージなんだけど、同時にそれは、さっきの親離れ子離れと要はさ、子どもに対して親っていうのは、「できればこの子、一生嫌な思い、悲しい思いとかしないで育っていってほしい」っていう、親のね、まぁ生まれた時とかの切なる願い、つまりあのヨロコビっていうキャラクターの、「嫌なことだけを私が嫌なことから守ってあげる」っていう。
あれは全ての親の気持ちなんですよね。

インサイド・ヘッド、よくできてますね。

なんだけど、あるところで悲しみも覚える大人になったのねっていう。
その話だからやっぱここも親の気持ちになる。
でも見えるからもう二重三重にグイドシャーってなるようになってるという。
よくできてますね。よくできてますね。

うん。プラスですね、例えば幼いというか、ちっちゃい子供とかも出てきて、例えばこの抽象的な話、脳内の抽象的な話としてはそれほど深くは理解できない年齢の子どもが見てたとしても、ここもよくできてる。
表面上のお話としても、こういう話に取れるじゃないですか。
人それぞれのパーソナリティの違いを尊重しましょうっていうメッセージですね。
暗い子がいたりしても、それはその子なりの良さがあるんだよと。
だからその暗い子を無理に明るくさせようとすればいいっていうもんじゃないとかさ、無理やりなんかこっちの行動規範に当てはめるもんじゃないってことも、表面上のストーリーとして伝わるようになってるっていう。
好きねぇ〜!
しかもメッセージ、好きねーっていうあたりですね。

引用:IMDb.com

インサイド・ヘッド、見終わった後

加えてですね、例えば見終わった後、まぁあの先ほど脳の実際の脳の機能とかそういうもののデフォルメになって考えると、じゃあその例えばこういう状況だったら内面ってどうなってるんだろうね。
僕、色々考えちゃったのは、例えば性って、性の目覚めはどうこれ表現するんだろうね。
とかあと例えば、死ぬ時ってどうなんだろう、とかね。認知症になったらどうなるんだとか。色んなことを考えたりとか。
要はどんどん色んなこと考えてみたくなったりとか。

あるいはまあ先ほど言いましたけど、大人はニヤリの構造。
例えばさ、思考の電車、トレインオブソート。その言い回しありましたよね、英語でね。
まぁ文字通り電車の形で思考の電車が来る。でその乗ってる荷物が、事実と意見というのがあって、途中で事実と意見がぐしゃーってなっちゃって、「事実と意見がごっちゃになっちゃった!」って言うと、「まぁよくあることだよ」って。
これまあ大人としては苦笑いせざるを得ないね、ニヤリとするあたりだったりとか。

あとまぁ、あの抽象空間っていうね、あのくだりのぶっ飛んだシュールさであるとか。
ちゃんとちょっとした毒っ気みたいなのも入ってるとこも好きなシーンだし、最後にね、エンドロールで色んな奴らにも内面があって、みたいなところ。
あの大人な結論ね。あとそのまあ、僕はすごいあの溜飲が下がったのは、猫ね。猫の内面ね。あれは納得のあたり。

人それぞれが生きる主観というのは

すごくもう本当に好きな、非常に大人な結論だと思います。
個人的に本当に僭越ながらですが、先程も書きましたけど、曲 ライムスターのニューアルバム "Bitter, Sweet & Beautiful" の論理の流れというか。
言わんとしてるメッセージも含めて、ちょっと僭越ながら近いとこあるんじゃないかと思いました。
人それぞれが生きる主観っていうのは、孤独に皆、それぞれがそれぞれの主観で生きてて、勝手に生きてて、孤独だってなるかもしれない、ぶつかり合ったりするかもしれ
ない。
けどでも実は主観っていうのは孤独な牢獄なんかじゃなくて、世界と他者と向き合うために開かれた窓なんだっていう結論。
で、最後にその色んな奴が主観で言って、それぞれがそれを持って一生懸命生きてるっていう、そのわぁっとこう世界が広がって、ぶわっと世界が俯瞰になって、それが何か救いになるような、物語の論理の流れがちょっと言わんとしてる流れと近いかも、なんて。
僭越ながら思ったりなんかしました。

ともあれこんなやり方で、要はこの世界を生きるということを丸ごと肯定して見せるような。
こんなエンターテインメント作品がかつてあったでしょうか。というか、すげえな。
これ見るとやっぱり、生きるって悪くないって思えるし、色んなことが悪くねぇって思えるし、あと「俺、がんばれ」って思うよね。
「俺、頑張ってきたよ!俺も頑張れ!」みたいな感じになる。

はい、もちろんですね、そんな途方もない試みがここまでの完成度に達するまでは5年から6年かな?5年ぐらい。
ここがピクサーの一番怖いところなんだけど、ストーリー構築とかそういうのもまず飽くなきブラッシュアップをするわけですね。
あるいはその精神世界ってのは、画にするためにも様々なブラッシュアップ、工夫を重ねる。

引用:IMDb.com

ブラッシュアップを重ねてできた作品

喜びの、見てください。あれもう全部細かくスクリーンで見ると粒子がうわぁーって動いてますよ。そういうのとかね。
で、もううんざりするほど積み重ねがあるわけですよ。コンテと台詞だけを繋げた仮映像。90分の仮映像。
実際の映画も90分ですけど、90分の仮映像を10本作ってブラッシュアップしていったらしいですよ。10回ブラッシュアップしてね。
あえていえば、クライマックスの解決が異常にとんとん拍子に進むってありますけども。
あとはね、あとは成長するだけで、あそこをやたら引き伸ばされてもしょうがないと思うんで、まぁ語り口としていいんじゃないでしょうか。

あのドリカム主題歌問題についても触れときますか。

インサイド・ヘッド、ドリカムの主題歌問題

最初、監督のピート・ドクターの日本の観客への挨拶があって、ドリカムの主題歌、イメージソングみたいなのが流れる。
僕はこれびっくりしたんだけど、ライリーライリー歌ってるから、予告で観た時は絶対本編で流れるんだと思ったら、違うんですね。本編流れない。
びっくりしたんですよね。何も関係ないんですよね。
まあ想像するに、いわゆるレリゴーヒット的なもの?歌でヒット狙いなのかもしれないですけど。これほんとあのディズニーさん、日本のディズニーさんに言いたいんですけど。
いいですか?
満場の満席でした。
素晴らしい映画ですから満席当たり前です。満席の家族連れの客とか、僕も含めて全員が気まずい思いをしました。
あの時間ね。
そこは僕も、この家族全員、子供たちがすごい気まずい思いをしてる。感じるんですよ。
なんだこれ、みたいな。大人の事情に付き合わせてる感がすげえ許せなかった、俺はちょっと。ああいうのやめて本当。

短編の「南の島のラブソング ラバー」ね。
あれはね、えっと泣き出す子供が結構出てたっていう話(笑)
悪夢、悪夢的な狂ったアイディアが。僕は好きですね。
頭おかしいでしょ。あれおかしいでしょ。あれね、あのなんかディズニー本来の、ドラッギーな感覚っていうか。
そういうものをちょっと思い出させる、もう僕はこれは好きな、嫌いな作品ではなく、良かったですね。

まあこんなことをゴチャゴチャ言ってますけど。
例えば主題歌問題とか言ってるけど、本編の価値とは一切関係ないんですよね。

引用:IMDb.com

インサイド・ヘッド、とにかく文句なしにおすすめできる

とにかく万人に文句なしにおすすめできる、本当に全方向360度、隙無しのエンターテインメント。
僕的にここまでのレベルで文句なしは、僕はウォーリー以来かなというくらい思っていますね。
トイストーリー、ウォーリー、インサイドヘッドかなーって思うくらいですね。
もちろんカールじいさんもすごい好きなんですけど。そのレベルです。
もうトップグループで、ピクサートップグループ間違いなしだと思います。

この言い方が一番合ってるっていうか、語弊があるかな。
ものすごーく大人ななこども映画。ものすごく大人なこども映画、ということだと思います。本当に万人に勧められる。
見終わったあと、見た人同士で語り合いたくなるし、先程言いましたように、生きるのちょっとほんと、ほんとに「生きるの悪くねえな」っていう。
「なんか色んな経験していくの悪くねーかも、これから色々あるけど、俺がんばれ、お前もなー俺もなー」みたいな感じで思える、素晴らしい作品じゃないでしょうか。

で、なおかつこんな、よく考えるとすごい実験的っていうか。
そこも含めてなんかもう、ピクサーこわいと言わざるを得ない、大傑作じゃないでしょうか。
文句なしのお勧めでございます。
ぜひ劇場でウォッチしてください。

<書き起こし終わり>

 

○○に入る言葉の答え

⑤なんと、90分映画にも関わらず、90分の仮映像を10本撮ってからブラッシュアップしていった作品。

でした!
 

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