デッドプールのライムスター宇多丸さんの解説レビュー
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RHYMESTER宇多丸さんがTBSラジオ「アフター6ジャンクション」https://www.tbsradio.jp/a6j/)
で、ティム・ミラー監督アメリカ合衆国のスーパーヒーロー・コメディ映画「デッドプール」のネタバレなし解説レビューを紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
宇多丸さんデッドプール解説レビューの概要
①メールの量は普通
②その全体の〇割が絶賛!
③とにかく一見さんでもすんなり楽しめ、なんなら感動できる!一方マニアたちも納得!
④CG で作ったテスト映像がなぜか流出したこと、そしてそれがファンの大評判を呼んだ事でスタジオがあの本格的なゴーサインが出た。
⑤ライアン・レイノルズのアドリブ力とお喋りモンスター力
⑥アメコミ的な“「決め」と映画的な動き、連続性みたいなものとのバランス
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」でラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
映画デッドプール、宇多丸さんの評価とは
(宇多丸)
映画館ではスペシャルウィークの今も新作映画が公開されている。
一体誰が映画を見張るのか?
いったい誰が映画をウォッチするのか?
映画ウォッチ超人シネマンディアス宇多丸が今立ち上がる。その名も週刊映画時評「ムービーウォッチメン 」
なんか俺ちゃんと言えてなかったな。週刊映画時評「ムービーウォッチメン」
やっぱねサングラスをしてないと、マスクしてないデップみたいなもんですから。
はい、毎週土曜夜10時から TBS ラジオキーステーションに生放送でお送りしているライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル
ここから夜11時までは劇場で公開されている最新映画を映画ウォッチ超人ことシネマンディアス宇多丸が毎週自腹でウキウキウォッチング。その監視結果を報告するという映画評論コーナーでございます。
スペシャルウィークの今夜扱う映画は先週 MOVIE ガチャマシーンを回して当たったこの映画「デッドプール」。
ケアレス・ウィスパー!まぁジョージマイケル名義だったと思いますけどね。
ケアレスウィスパー聞いてちょっと涙ぐむ日が来るとは思いませんでしたけどね。
はい、マーベルコミック原作の異色のヒーロー「デッドプール」の誕生と活躍を描くアクションエンターテイメント。
デッドプール役はウルヴァリン x- men zero 同役を演じた。「でも同役なのか!?」一応ウェイド・ウィルソンだったけどね。ライアン・レイノルズヒロイン役にはモリーナ・バッカリン。監督は今作が初長編作となるティム・ミラーということでございます。
とういうことで「デッドプール」ね非常に注目作でございまして、この映画見たよ、というリスナーの皆さんはウォッチメンからの監視報告をメールでいただいてます。
メールの量は!? 普通!
「え”―デッドプールで普通なの!?」
シビルウォーではあんな多かったのに!
「え”-!え”-!え”-!」賛否で言うと7割の人が絶賛、普通が2割、いまいちが1割というような反応。
「痛快!イカしている」という感想多数。
褒めるポイントで集中していたのは「第4の壁の世界」まぁそういうメタ的なギャグってことかな。
ギャグのセンスとスピード感。
主役の「デッドプール」の日本語吹き替え声優さんへの賛辞も多数。
一方「デッドプールの顔面そんなにひどくなってる?」
「内輪ネタがよくわからない」という意見もちらほら。
などの代表的なところをご紹介いたしましょう。
デッドプール鑑賞した一般の方の感想
*ラジオネームサムテキングさん18才男
「文句なしの今年ベスト!楽しすぎる。終始ニコニコが止まらない幸せな時間を過ごすことができました。メタフィクション的なね、メタネタの面白さももちろんですが、そういったイレギュラー感の土台にはちゃんとしたヒーロー誕生感が描かれている点が素晴らしいと感じました。また。クライマックスの CGI による舞台、あの形容しがたい何とも言えない、モロあの「あーCGだなぁ!」と言う感じがむしろたまらなく好きなのです。」
なんかでもそれってひょっとしたら一回りして出てくる感覚かもしんないね。
その特撮とかのさ昔の特撮のこういう味わいがいいのと同じように、もろCG感が好きっていうちょっと一回り感はあるもしれない。
「あんなに笑えてかっこよさにしびれて、そしてちょっと泣ける。そんな最高の映画でした。」
「後2000回は見られます。」
とういうことでございます。
デッドプール鑑賞した方の批評
一方、いまいちだったという方
*ペッカーさん
「この映画の問題点は敵役であるミュータントが具体的にどういう悪事を働いているのか全く説明されないことにはあります。言葉巧みに人間を拉致してミュータントに仕立て上げた後、彼らを使って一体何がしたかったのかも説明がないので、いくら主人公がスーパーだけどヒーローじゃないと嘯いたところで、敵役がそれ以上の悪党に見えないのでいまいちカタルシスを観客が感じない結果になったかと思います。」
まぁ一応、奴隷として売り飛ばすって描写はねしてたと思いますけどね。
「そもそも主人公があの程度の顔で見にくいというのも説得力に欠けるし、彼を見る周りの人々の反応もあまりにステレオタイプすぎます。」
まぁあれはあぁ見えてるって事じゃない?ああ見えてる。
「まあいずれにせよこの映画エックスメンありきの作品であることには間違いはないので、そういう内輪うけが楽しめる人にはもってこいの映画でしょう」
というペッカーさんでございます。
あとこんな報告。
デッドプール、機械が故障?
*ラジオネームタンバリンマンさん
MX 4 D なんかね、プシューって揺れたりするね、
「MX 4 D 2回目ではデッドプールの凄さを思い知る事件が起こりました。デッドプールが復讐をしている途中で機械が故障し映像が映らなくなったんです。周りからは「え!?演出!?」などの声が上がり真っ暗のまま会場がざわざわ。結局機械が治らず中止となってしまった。」
「へー」
「アクシデントでさえも演出と勘違いされるデッドプールの凄さを知れました。特別鑑賞券ももらえたし僕はあまりショックじゃありませんでした。ていうかデッドプール最高。もうマーベル映画全部 R 15でいいよと思うほどの最高な映画でした。ありがとうデッドプール。」
ということでございます。
はいということで、みなさんメールありがとうございました。
「デッドプール」私もですね、2Dしかやってないんですかね。というか3Dじゃないもんね。 字幕2 D とIMAX字幕2 D と吹き替え2Dとあとはもうすでに輸入ブルーレイDVD を発売されているので、輸入ブルーレイで音声解説2種、計5週しておりますということですね。
はい。でまぁ吹き替え版の話しとかね、ようはセリフの意味とかニュアンスどう訳すかとか、非常に重要な作品なのでちょっと最後の方にそのへんの話、時間があればまとめてするつもりですが、公開集を六本木で見た時は英語圏の方がですね、手を叩いて大爆笑とかしててっていうのはまぁ分かるとしても、あの吹き替え版。学校帰りの高校生達が男の子も女の子も制服のまま結構たぶん評判が広がってるのか、結構高校生達が来てて下ネタには割と本当にゲラゲラ笑ってるような雰囲気で本当「あぁいいなーいい映画だなぁ」という感じだなと思って見ておりました。
デッドプールはアメコミファンには超人気キャラ!
ということでデッドプールあのまぁアメコミファンには言わずと知れた超人気キャラ90年代からね、ずっといるキャラクターでございまして、この番組でも光岡ミツ子さんをお招きしての最初の2014年のアメコミ特集でもイチオシキャラクター的にね、紹介しました。
ちょうどその2014年10月の特集だったんですが、それっていうのは今回の実写版デッドプールのですね、テスト映像っていうがネットに流出した直後だったんですね。
今回は実写と組み合わせですけど CG で作ったテスト映像がなぜか流出したこと、そしてそれがファンの大評判を呼んだ事でスタジオがあの本格的なゴーサインが出た。
なぜ流出したのかは、監督は「違うよ俺じゃないよ、俺じゃないよ」って言ってるけどライアン・レイノルズは俺を疑っていると(笑)
まぁでもそのおかげでゴーサインが出た、その結構直後だったんで「デッドプール」の映画化楽しみですねと話をしたばっかりの2014年でございました。
まあのデッドプールというそのキャラクターどのようなキャラクターであるかとか歴史に関しては、例えば別冊映画秘宝アメコミ映画完全ガイドの NEXT ヒーロー偏っていうのがね、でてます。これがすごく詳しいのでコチラを読んで頂ければいいんじゃないでしょうか。
デッドプールというキャラクター
アメコミファンには言わずと知れた人気キャラなんだけど、ただ日本を含め世界中の一般層には、まあはっきり言ってまだまだ無名と言ってもよかろうこの「デッドプール」というキャラクター。だからこそ近年のアメコミヒーロー映画としてはもうかなり結構低予算しか1/4ぐらいみたいなこと言ってたかなぁ、しか与えられなかったし、
あとまぁキャラクターの本質にも関わる部分として暴力、性描写のまぁ懸命にもオミットしなかった事で、一応その PG 13バージョンも作ってはみたんだけどやっぱりこれじゃだめだということでアメリカではR指定つまり17歳以上しか見れませんよ。
日本だと R 15指定。15歳以上しか見れませんよって公開の仕方になったりして、つまりこれでデッドプールという作品はそもそもディズニー傘下のマーベルスタジオ、いわゆるマーベルシネマティックユニバースの流れでは作られ得なかった作品でもあるわけですけど、ということで予算も少ない公開規模もある意味限られた公開の規模しか出られなかった。
ということで例えば「シビルウォー」であるとか「バットマン VS スーパーマン」であるとかって言う、とかあるいは同じ20世紀フォックスがね、やってる X メンシリーズ特に今度「モアポカリプス」ってありますけど、とかと比べても要はそこまでヒットするとは思われてなかった期待されてなかった作品とは言えるわけですね。
しかしフタを開けてみればアメリカはもちろん、世界中そしてなんと日本でも無事大ヒットというね。ということで、この期待されてなかった日陰の存在が一発大逆転ホームランっていうこの構図はですね、2013年の大傑作ガーディアンズオブ Galaxy を非常に髣髴と思い起こさせますが、実際今回の実写版デッドプールの実現から大ヒットの流れはガーディアンズオブ Galaxy のような作品が大成功したことが影響していると指摘。先日、光岡ミツコさんも指摘されておりました。
共通してることと思いますね、その一見その正統派ヒーローとは程遠いおちゃらけた反則技敵キャラクター、パロディーとかねポップカルチャーパロディとか小ネタもいっぱい入ってるようなおちゃらけ反則技的キャラクターに一見みえるんだけど、実は普遍的に人の胸を打つドラマとかストーリーを結構すごく丁寧に語ってもいると。
つまりひねくれているいるように見えるけど実は結構この上なくストレートな作り、ストレートに感動できる作り、普通にいい映画っていう。つくりになってると思いますね。
だからこそ一般層まで含めた大ヒット、そして高評価ということと思います。
デッドプールは第四の壁を破る
はい。で例えばこのデッドプールの場合ですね、必ず言及される特徴としてその第4の壁を破る。見ているこっち側っていうのは普通に演劇とか映画でもなんでもいいですけど居ないものとして扱うんだけど、それが話しかけてくるとか、そういうメタフィクション的な作り第4壁を破る。
しかも今回の実写版では、そのよく言及される「第四壁を破るのがデッドプールだよね」っていう、よく言及されるその話さえもパロディ化してるわけですよね。
あ第四の壁って言うけど今回はそれすら超えてみたいな話もするという。とにかくそういうメタなギャグ構造っていうのもあったりするわけですけど、ちなみにこのメタなギャグ構造とかねというのは、源流は、まぁ色々あると思うけど僕1番連想したのはあのルーニー・テューンズすね。
ワーナーのアニメーション。実際デッドプール最初にこう知った時に何かバックズ・バニーぽいなー。もしくはダフィー・ダックっぽいな。まぁ要するにルーニー・テューンズっぽい。ルーニー・テューンズっていうのはとにかく1950年代チャック・ジョーンズというような天才的な作りてがいて、もうそういうメタギャグ構造は極めまくってるわけですよ。ルーニー・テューンズは。なので、そういうのがあったりして、ちなみに「デッドプール」のメタギャグみたいのが一番味わえるのは、まぁコミックはもちろんのことですけどゲーム版ががございまして、ゲーム版の「デッドプール」はですね、凄いこのバックズ・バニーっぽいメタギャグが徹底されてる作品で実写版の今回のとはまた違ったですね「デッドプール」の良さでてると思います。
こちら是非プレイして頂きたいんですが、もちろん今回の実写版でもですね、「デッドプール」をやるならば、それは当然のようにチョイチョイその方向のギャグは入れてくるわけです。
もうそれこそエンドクレジット後までね。「フェリスはある朝突然にネタが入ってくる」とかね、とにかくそういう第四の壁破るだのそのメタ的なギャグは入ってくるんだけど、特にここでは細かく語る時間ないですが、その主演のライアン・レイノルズさんがですね、ここに至るまで歩んできた、本当に苦難の道のり、現実の役者としての苦難の道のり、その忸怩たる思い。とかがありあちこちに、それこそメタ的に織り込まれてたりするわけですけど、ただですねそれが決してその劇中のそのウェイド・ウィルソンつまり「デッドプール」になる人ですけど、ウィルソンが抱いているリアルな心情つまりその劇中のリアルなドラマ性とか、ストーリーっていう、その芯の部分までメタフィクション的な遊びって、やりすぎるとそういうそのお話の部分まで解体してしまうわけですけど、それを解体してしまうところまではいかないバランスに踏みとどまってるんですね。
それどころかです。ここがほんと今回の映画は偉いんだけど、「デッドプール」とキャラクターのね、そのメタ的に俯瞰して客観性、客観的に見て終始物事を俯瞰して見て突っ込んだりボケたりせずにはいられないこの性分っていうのは、この映画、今回の映画見てるとですね、要は彼の人生を覆ってきたもう普通、常人とは全然違うレベルの痛みとか苦しみとか悲しみも、ひどい人生送ってるわけですよ。
つまるところ絶望に飲み込まれてしまわないための、実は結構切実な生きるすべなんだ、っていうことが次第にこっちも伝わってくる作りになってるわけです。
デッドプール、全体としたトーンとしては、コメディアン映画
結構そのアメリカの不良のね、僕は映画でしか知らないけど例えば「ブレックファストクラブ」のさあの不良のあれとかってのも、やっぱり非常に自分の辛い環境っていうのがあるから、それをなんとか笑い飛ばそうとして、その不良に限ってそういう茶化すようなこと言うみたいな結構アメリカ映画ではよく出てきますけど、まさにそういうこと、で実際ね、今回の映画の中で主人公が合う目っていうのね、全体としたトーンとしては、コメディアン映画ですよ。ものすごいコメディとして扱われてるけど、冷静に考えてこの映画の中で彼の合う目って、「こんなひどい話あるか!?」ってもう悲惨極まりない話ですよね、これね。
もう要するに大人になるまでもひどい育ち方してるわけだし、生い立ちだって冗談めかして語ってるけど現実として考えたら本当に不幸そのものの人生なわけですよね。
貧乏だし虐待も受けてたっぽいし、で結局そういう傭兵で人殺しについて色々ひどい目も見てきてですね。ようやく幸せが掴みかけたら、病気になっちゃって病気を直そうと思って行ったら騙されて拷問されてバケモンにされてってさ、「ひど過ぎる!」って言う話じゃないですか。
だからこそ彼は絶えずその悲惨極まりない現実を相対化して茶化そうとする。笑いのめそうとするわけです。そうしないと絶望に飲み込まれちゃうからってことですね。つまり彼がふざけるのは、誰よりも苦しんでるからだし、彼が悪ぶってるのは誰よりも優しいからだってのが、分かるからそういう作りになってるって事ですよね。
だからこそ例えば見てて、同じようにその傷ついた魂同士がね、これヒロイン演じてるモリーナ・バッカリンさんですが素敵ですね、ほんと素敵なヒロインがですね、でもあのヒロインももう酷い、現状売春婦だし、そこに至るまでの生い立ちも、本当に酷いんだけど、でも腐るでもなくそれを笑いのめすような生き方をしていて、つまり二人の傷ついた魂が本当に傷ついてるから笑うしかないって二人が、惹かれあって求め合うラブストーリーね、だからふざけてわけじゃないよね。
例えやってることは笑っちゃうほどあけすけなセックスプレイね。性的なプレーであっても国際女性デーとか笑っちゃったけどさ、でもこれは本当に純粋に心を打たれるラブストーリー。本当に二人の幸せを願わずにはいられない。本当にこれこそ a Love Story ある愛の詩ですよ。難病ものだしさ。
だからこそ最後に、そのさ、例えば二人がこう幸せになった時に、これはあくまで CMタイムでこれから通常の悲惨な人生が始まるのさ。「そんなこと言うなよ~」って思うし、彼らがハッピーエンドを迎えた時に「よかった~~!」本当に心から思える。本当に本気で涙が出てくるというラストになってるということだと思いますね。
デッドプールのラストは涙が・・
ていうことで、そのメタなギャグであるとか大量のね、その80年代90年代中心のポップカルチャー小ネタとか個人的にものすごい同世代感を感じるギャグですけども、もの凄い全部ほとんど分かるぐらいの感じだけど、そういう楽しさに満ちた作品ね、ネタ的な楽しさに満ちた作品なのは間違いないけれども、その中心にはまぁ言っちゃえば、まぁはっきり言えば、オペラ座の怪人ですよ。これ古典的な話ですよ。顔を見にくくなった男が、かつての恋人を追いかけてみたいな、なんか影から見てて苦しい思いをして、オペラ座の怪人またダークマンとか言うけど、ダークマンは全部オペラ座の怪人なんだけど、シンプルでストレートむしろ古典的でさえあるドラマの芯が一本ドーンとしっかり通ってると、むしろさっきから言ってるようにそのふざけるその細部っていうのはキャラクターとかドラマに切実さ厚みをもたらしてくれるという非常に見事な造りになっててですね。
これ脚本、レット・リースさんとポール・ワーニックさん。これあのゾンビランドでね、ゾンビ映画であったりその、ゾンビランドのコンビですけど、非常に確かな仕事ぶりじゃないでしょうか。
それでいて語り口調は非常にタイト、あくまでタイト108分大きな見せ場二つしかないというね。まぁヒーロー誕生感ってね兎角くどくどくどくどと分かりきった話を、「早く出せよ~」ってなりがちなところを、その時系列をいじったカットバック的な飾りでスピーディに退屈させずに語り切る。この作りも非常に上手いですしね。この手があったかって感じだし。
まず単純にですね、これタイトなのは、まぁさっき言ったように、予算的な条件が来るものも大きいらしいですね。それこそ、二つしか大きな見せ場がない上にその見せ場のうちの一つ。まぁ高速でのカーチェイスがあってから銃撃戦ありますよね。で12発しか弾が無い中で敵を全部倒さなきゃいけないっていう場面ですけど、あれ本当は元の脚本では18発だったんですよ。18発だったのが予算の都合で12発にしたとかね。
そんぐらい切り詰めてやってる。
でもそれが結果的に、要は見せ場を大きな見せ場みたいなスペクタクル的なところ並べるあまりダラダラ長くなる一方の、最近のアメコミ映画とは一線を画す、ある種飲み込みやすさスピーディーさを生ん出ると思います。
ティム・ミラー監督はデッドプールで長編デビュー!
またその監督のティム・ミラーさんね長編デビューだけど、あのそもそもブラースタジオってその CG 制作スタジオでいろんなのゲームのムービーとか、あの映画のオープニングムービーとか作ってる人でまぁ手練れっちゃ手練れな人で、この人がブルーレイに入ってた音声解説でも言ってるんですけど、とにかく繰り返し言ってるのは、とにかくペースアップを心がけたっていっている。
なので、DVD とかに入ってるその、核とされたシーン。後ほどね多分日本でも見れると思いますけど、良い場面いっぱいあるんですよ。
例えばあのウェイドとヴァネッサががん治療のために世界を回るって場面で、メキシコでそのマンオンザムーンって言うね、あのーなんとかカフマン、あったじゃないですか実在のコメディアンの癌を直しに行くっていうところのくだりのラストの近くと同じある展開があった、これすごく胸が痛くなる凄い良い場面だったりとか、あとまぁ敵の エイジャックスがですね本当あれラフト刑務所から出てきた直後なんですよあれは、「シビルウォー」で出てきた、あの大げさな刑務所。もちろん海からドーン!みたいな、こんなのないですよ今回の映画は、でもそこもカットしてとか。
あとデッドプールコロッサスのコーランももっと長かったんですが、カットして、とにかく良い場面もあったけど、ペースアップっていう非常に、意識的にやってることでもある。このタイトさは。
あとカットされたそのシーンみたいのですね、僕もブルーレイとかで見てわかることはですね、そのウェイド・ウィルソン演じてるデッドプールを演じているライアン・レイノルズとその相棒をウィーゼルっていうの演じてる T J ミラーさん。このTJミラーさん非常に無表情でひどいことを言う感じが逆にこうした親しいんだなっていうのがわかってすごくいいんですが、吹き替えでもそのへんちゃんとそのキャラクターがちゃんと作られててよかったと思いますが。
デッドプールでのアドリブシーン
この二人のセリフはめっちゃめちゃアドリブしまくりの大量のテイクから選ばれたものなんですね。
はい例えばこの ウィーゼルがですね、あのBarのところでジョークを言ってるじゃないですか。「医者がさあ、余命5」っていうギャグがあるじゃないですか。毎テイクジョークが違うから、その後のエイジャックたちが、店に入ってくるタイミングが分かんないから「頼むから同じジョークを言ってくれ!」って言ったぐらいっていうね、
あとまあ例えば「デッドプール」がですね、「ねぇシネイド・オコナーかよ!」とかさ、ああいうこうエイティーズ90年代ポップカルチャーネタみたいの結構入れてくるんだけど、あれ結構な割合でライアン・レイノルズが勝手にアドリブで入れてることっていう。ちろんそのライアン・レイノルズ自虐ネタもそうだし、後エックスメンネタ。例えばあの「プロフェッサーXに合わせる?マカボイ、スチュワート、時系列が分かんないんだけど」とか、あいゆうの。
後、「予算が無いから屋敷に2人しか入れないようにね。」この予算無いからとか、これライアン・レイノルズが入れてる。アドリブなんですね、これね。
ということで、さっきも言ったようにですね、ここに至るまで非常に長い紆余曲折を経て苦節云年でここまで至ったライアン・レイノルズ。きっかけは2004年のその最近日本版のでたケーブル&デッドプールという中で出てくるあるセリフ。
ようするに、ライアン・レイノルズとシャーペイを、シャーペイっていうのうはその犬ね。を掛け合わせたような顔だ!っていうこれを見て運命を感じたというところから始まっての、デッドプールという役の因縁をもってるそのね、ライアン・レイノルズ。
色々あったけど、アドリブ力とか、お喋りモンスター力、含めて本当に理想的なキャスティングだったんだなぁっていう。はっきり今回確信できる感じだと思って。今回の作品でライアン・レイノルズを見直したという人、世界中に僕も込めて沢山いると思います。それこそ辛い思いをいっぱいしてきたのを笑いのめしてっていうのは彼こそが、ライアン・レイノルズこそが、「デッドプール」その人なんだっていうことですよね。
かといってそのアドリブ、おふざけも、ようするにさっきから言っているように、ドラマストーリーのバランスを崩すほどは悪乗りしない、というところは見事なあたりで、それこそルーニー・テューンズ的な、スラップスティックやりすぎるとお話し解体されきっちゃうと、ルーニー・テューンズは5分だからいいけど、映画見きれなくなっちゃうから、ギャグの入れ方も非常に微調整されてると。
ことほど幸いに全てにおいて、これ言い方つまんないかもしんないけど、実はバランスがいいんですよね。凄くバランスが良いというのが本作の真の勝因だと思います。
たとえば実写と CG のバランスがすごく考えられてて、そこはやっぱり CG 会社経営されてるだけあって監督のティム・ミラーさんすごく分かってると思いますが、アクションシーンにしろメイクとかコスチュームなどにしろ CG の入れ込み方がさすがその本職だけあって完全にシームレスになっててすごく上手いというあたりもあるし、チープなとことそうじゃダメなところがちゃんと、多分コスト計算がちゃんとできているということなんですけど、あとそことも通じるけどアメコミ的な「決め」、と映画的な動き、連続性みたいなものとのバランスもすごくよく配置されている。
それこそど頭からもうね思わず笑っちゃうのオープニングタイトルシークエンスなんかは、オープニングシークエンスとその後で出て来る、実際になんでこの場面になったこの一連のシーンは、アメコミ的な決めイズムと映画ならではの動きとか空間の連続性というのも見事なハイブリッドですね。あそことか見事というか、上手いなぁと思いましたけど。
あと暴力性とかグロさんも観客が引きすぎないレベルに実はまあちょうどよく調整済みと。
だからウェイドの顔がそんなに見にくくなってないというのは、あれは当然作り手がもっと醜くしてたんだけど、見るのがきつくなるレベルじゃないレベルに調整してるって事ですよね。
もちろん、例えば格好良さとお笑い、緩急のバランスみたいなので言うまでもなくてことだと思います。
骨格はシンプル、ディティールを何度でも味わいたい
例えば、クライマックスの殴り込みシーンで DMX 見事にバカっぽい DMX あのかっこいいバカかっこいい感じでかけて「いくぞー」ってなったらそこで、いったん膝かっくんして、からのもう1回行くみたいなね。緩急のバランスはもちろんとういうことだと思います。
ということで、骨格は実にシンプルなんだけど、ディティールを何度でも味わい尽くしたくなるという良さに満ちていると思います。
ただこれは作品そのものの出来とは関係ないですけど、やっぱ日本の観客には一定割合言語ギャップ、カルチャーギャップからくるちょっと若干の置いてけぼり感は、どうしてもあると思う。
例えば敵の エイジャックス 「お前偽名だろ」っていろんななんとかなんとかかっていう名前を言うくだり。字幕では「ミスタービーンか?」ってなってるとこ、吹き替えでは「イギリス人か?」ってなってるとこ、あそこ本当は「バジル・フォルティーか?」 と言ってるわけですね。バジル・フォルティーっていうのは、ジョン・クリーズっていう人かねモンティ・パイソンの次にあったドラマシリーズ、「フォルティ・タワーズ」の主人公の名前なわけです。
だからイギリス人でちょっとふざけて言っているわけですけど、モンティー・パイソンネタは、コロッサスを殴れば殴るほど「デッドプール」が酷くなってくって、あのシーンは、モンティー・パイソン。フォーリー・グレイル。映画のお回しでもあったりするんですけど、まぁお好きでねってことなんですけど、
なんにせよ、そんな「バジル・フォルティか?」ってきいても分かるわけないもん。
まぁ日本人関係ないな。分かる人限られているわけで、これはいずれ、日本版ソフトが出る時にですね、日本オリジナル特典の音声解説とかで、それこそ町山さんとか呼んできて、全ネタ解説とかつけてくれれば、もう最高ってことですよね。
「おいっロージー・オドネルみたいなの残す気かよ!」ロージー・オドネルみたいなのは説明必要だと思いますんで、はいその点吹き替え版はですね、すくなくてもデッドプールというキャラクターのニュアンスみたいのは日本人にも直接的に伝わるようになってて本当にすごく良かったと思います。
「今夜はオナニーしようっと」とか、あと「スーパーちんこ」ってもの凄い直接的な表現。とても良かったと思いますが、ただちょっと訳し方的にあれ?と思ってところもありますけどね。あの「デッドプール」名前決めるとこで、ウィーゼルがですね「フランチャイズっぽい名前だな」っていうの吹き替え版の「チェーン店ぽい名前だな」って訳し方してんだけど、フランチャイズ、もちろ通じるけど音声解説でも監督もそう解釈してるので間違いないけど要は「シリーズ物っぽい名前だな」って言ったちょっとメタな台詞なんですね、あれはね。
ウィーゼルがメタな事いうのは、そのリアリティライン的にはちょっとアウトなんだけど監督は「面白いから有りにした。」的なことも解説で言ってたりしました。
わかんないけど、なんか面白いギャグ
もちろん一個一個の小ネタギャグね。はっきり言ってこれ、わかんないけどなんかおもろいで十分です。ていうか世界的に「フォルティ―・タワーズ」ネタとかわかるわけないんだからさ、だからいいんです。そういうもんなんです。わかんないけど何か面白い後から勉強してねってことでいいんだと思います。
とにかく一見さんでもすんなり楽しめ、なんなら感動できる一方マニアたちも納得!細部に至るまでもしゃぶりがいがあるもう「ボブ出てきた」みたいな。ボブっていうのはデッドプールの手下のキャラクター「ボブが出てきた」とか。とかくバランス良く丁寧全うに作られた、これぞ実は王道エンターテイメント!
作った人たちのガッツ!特にライアン・レイノルズの挫けなさに、僕は心からの拍手を送りたい!一言でまとめれば「最高です!」
今これを見なくて何を見る!?
ぜひ劇場でご覧ください!
<書き起こし終わり>
○○に入る言葉のこたえ
②その全体の7割が絶賛!