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引用:IMDb.com

風立ちぬの町山智浩さんの解説レビュー

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2020年05月26日更新
一般観客の評判は全然良くないんですよねぇ。やっぱり「あの映画わかんねーよ」って普通の人たちは言うっていうとかね(笑)ということで、宮崎監督の作品としては、画期的な描写だと思いますね。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/) 
で、宮崎駿監督のスタジオジブリ制作の長編アニメーション映画『風立ちぬ』のネタバレなし解説レビューを紹介されていましたので書き起こしします。 

映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。 

町山さん『風立ちぬ』解説レビューの概要

①物語は宮崎監督の妄想だった!?

②主人公は考えていることを語らない

③クリエイターは危険な時でも◯◯を止めない
④スピルバーグと宮崎監督の共通点

⑤ひこうき雲が選ばれている理由
 
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。 

映画『風立ちぬ』町山さんの評価とは

(赤江珠緒)
それでは映画評論家、町山智浩さんにさっそくお話を伺いましょう。
やっぱり生はいいですなぁ、山ちゃん。

(山里亮太)
はぁい。

(赤江珠緒)
スタジオ生出演でございます。
こんにちは!

(山里亮太)
こんにちは!

(町山智浩)
あ、よろしくお願いします。町山です。
どうもです。

(赤江珠緒)
よろしくお願いいたします。

(山里亮太)
入ってきて早々ですね、『風立ちぬ』のパンフレットを今こう見ながらね。

(町山智浩)
パンフレットを買えなかったし、買い損なった(笑)

(赤江珠緒)
あっそうですか!

(山里亮太)
町山さん、そういうことあるんですか(笑)

(赤江珠緒)
じゃあ、町山さん、一時帰国の時に帰ってこられて、そこでこの映画もご覧になって?

(町山智浩)
はいはい。もう、このために帰って来ました。

(山里亮太)
えっ!?

(赤江珠緒)
ははは(笑)
すごい行動力。

(町山智浩)
いや、僕の友達がみんな大絶賛なんですよ。

(山里亮太)
あっそうなんですか?

引用:IMDb.com

『風立ちぬ』、町山さんの友達が大絶賛

(町山智浩)
「見ろ」みたいなね。
もう、泣いた!っていう話でね。

(赤江珠緒)
あ、本当ですか?

(町山智浩)
特にお前のようなヤツは見ろ!みたいなね、いろいろな話があって。

(山里亮太)
そうなんだ。

(赤江珠緒)
あ、町山さんね、実は私見たんです。

(町山智浩)
はいはい。

(赤江珠緒)
それでね、町山さん、あのね、見てね、正直ね、「ん?」っていうところが多くて。

(町山智浩)
はいはい。

(赤江珠緒)
でもね、こういう巨匠の作品を「分からん」って言うと、バカだと思われると思って、「黙っておこう」みたいなぐらい。
ちょっと正直、「ん?え、これどう捉えたらいいんだろう?」みたいな感じだったんです、感想が。

(町山智浩)
そう、評判はあんまり良くないですよ、一般的には。

(山里亮太)
あ、そうなんです。
僕も「行っておこうかな?」と思ってたんですけど、見に行った仲間内から「いや、あんまりだったから見なくてもいいんじゃない?」って言われて。
それで見に行ってない派なんですよ。

(町山智浩)
そう、一般観客の評判は全然良くないんですよねぇ。

一般観客の評判は全然良くない

(赤江珠緒)
いや、すっごい悪いとかでもないけど、ま、「ん?」みたいな。
「ん?ん?」っていう。

(町山智浩)
だろうなと思いましたよ。
まず、クライマックスがないんですよ、はっきりした。

(赤江珠緒)
そうですよね。

(山里亮太)
なるほど。

(赤江珠緒)
そうそうそう。

(町山智浩)
それで、物語の目的がわからないんですよ。

(赤江珠緒)
そうそう。

(山里亮太)
ほう。

物語の目的がわからない

(町山智浩)
主人公が何に向かっていて、何を解決しなきゃいけないのか?って、一般的な物語には必ずそれがあって、それを解決してみんな終わるわけじゃないですか。
それがないから、「どう見たらいいのかわからない」っていう人、多い。

(赤江珠緒)
クエスチョンマーク結構ね、浮かぶ感じだったんです。

(山里亮太)
あっそうなんだ。

(町山智浩)
そう。あとね、もうひとつはね、まぁちょっとどういう話かって言いますと。
これ、宮崎駿監督がですね、ずっーとプラモデル雑誌に連載していたマンガの映画化なんですよ。

(山里亮太)
えっ!?
あ、そうなんですか?

(赤江珠緒)
えぇー!

(町山智浩)
そうなんですよ。
『モデルグラフィックス』っていうプラモデル雑誌があって、そこにずーっと昔からマンガを連載してるんですよ。

(山里亮太)
(赤江珠緒)
はい。

実際の人物についての映画でもある

(町山智浩)
で、その映画化なんですが、実際の人物についての映画でもあるんですね。
それで、堀越二郎さんっていう零式戦闘機を設計した人と、全然関係のない、名前だけ一文字だけ同じの堀辰雄さんっていう小説家がいまして。
その人が自分の奥さんが、奥さんというか婚約者が、結核で若くして死んだっていう実際の体験を書いた小説で『風立ちぬ』っていう小説があるんですね。

(山里亮太)
(赤江珠緒)
はぁ。

(町山智浩)
それをごっちゃにしたもんなんですよ。

(赤江珠緒)
そうですよねぇ。
一緒くたというかね。

(町山智浩)
一緒くたにしてて。
しかも、その婚約者っていうか、中では結婚してるんですけど。
奥さんが死んだっていう話は全然、堀越二郎さんの実話とは無関係なんですよ。

(山里亮太)
へぇ。

(赤江珠緒)
はぁー!

(町山智浩)
勝手にこの人の奥さん死んだって話にしちゃってるんですよ。

(山里亮太)
あぁー・・

(赤江珠緒)
あ、そう・・だからね、これ、それ知らずに見てると、堀越二郎さんの奥さんってこういう感じだったのかな?なんて。

(町山智浩)
そう思っちゃう人もいますよね。

(山里亮太)
じゃあこれ、オリジナルのストーリーなんですか?
その、なにかに基づくっていうよりは。

引用:IMDb.com

実際に現実の人物だった堀越二郎さんの実話と、堀辰雄さんの実話を元にした小説をごっちゃにした

(町山智浩)
実際に現実の人物だった堀越二郎さんの実話と、堀辰雄さんの実話を元にした小説をごっちゃにしたんですよ、全然関係ない2人の人物の体験を。
1人の人にしちゃってるんですよ。で、「これいいのかな?」って思ったら、なんか遺族の人は許可だしたらしいですけど(笑)

(赤江珠緒)
へぇー!

(山里亮太)
そりゃあ宮崎駿さんが言ってきたらねぇ?

(町山智浩)
あはは(笑)
そう、これは妄想なんですよ。

(赤江珠緒)
そう・・。

(山里亮太)
ま、宮崎監督の。

(町山智浩)
宮崎監督の妄想なんです。

(赤江珠緒)
妄想なんですか。

(町山智浩)
妄想なんです。
宮崎さんの原作のマンガには、はっきりと「妄想」って書いてあるんです。

(山里亮太)
へぇー!

(赤江珠緒)
はぁー!

(町山智浩)
「これは私の妄想である」ってちゃんと書かれてるんですよ。

(赤江珠緒)
だからね、映画の中に割と夢が出てくる。
ねぇ。夢のシーン多いですね。

夢のシーンが多い

(町山智浩)
はい。これは主人公の堀越二郎さんが、なにかを見る度に自分の飛行機のいろんな設計のアイデアと結びつけて妄想するんですよ。

(山里亮太)
うんうん。

(町山智浩)
で、次々と想像して「ハッ!」と現実に戻るっていうのを繰り返すんですよね。
だから、これなんて言うか昔の映画でですね『虹をつかむ男』っていうアメリカの映画でありまして。
それは主人公が常に妄想してて、なにか見ると妄想して、っていうのがすでに現実として映画の中で映像化されるから、見てる方はどこまでが夢でどこまでが現実だかわからないっていう映画があるんですけど。それに近い、『虹をつかむ男』系の映画なんですね。

(山里亮太)
はぁー!
『中学生円山』もそんなような映画でしたね。

(赤江珠緒)
あぁー!!

(町山智浩)
そうそうそう!そう。
中学生円山も、クドカン(宮藤官九郎)のやつも、主人公の中学生がすぐに「アイツはスパイなんじゃないか?」とか思うと、スパイアクションが展開したり。
「アイツはクンフーの名人じゃないか?」って思うとクンフーアクションになったりっていう。
中学生の妄想をそのまま映像のなかに入れちゃってるんですね。

(山里亮太)
それをこのアニメでやったと。

(町山智浩)
これはアニメでやってるんですよ。っていう話なんです。

(山里亮太)
そりゃわかんないですよね、いきなり。

(赤江珠緒)
へぇー!

1番わからない点

(町山智浩)
これね、1番分からないのは、この主人公の堀越二郎さんが自分の考えていることを決して口に出して言わないんですよ。

(赤江珠緒)
割と寡黙な方ですもんね。

(町山智浩)
寡黙なんですよ。
で、最近の日本映画って特にそうですけど、主人公たちが全部自分の思っていることを言って、ディスカッションするんですよ。

(赤江珠緒)
あぁーー!

(山里亮太)
うんうん。

(町山智浩)
そういう映画ばっかりなんですよ。酷いことになってるんですよ。
だからこの間、飛行機に乗ってこっちに来る時に、『藁の楯』っていう映画見てたんですよ。

(山里亮太)
あーはいはい。

移動中に鑑賞した『藁の楯』について

(町山智浩)
それで、松嶋菜々子さんが刑事で、連続殺人鬼の藤原竜也くんをずっと連行する話なんですけど。
藤原竜也くんが、いきなりその松嶋菜々子さんをぶっ殺すんですよ、いきなり、突然。
で、その時に「なんで殺したんだ!」って言うと「このババア、クセーんだよ!」って言うんですけど(笑)
「なんて酷いことを言うんだ」って思うんですけど。「そんなこと、言うか」とか思うんですけど。
もう、全員が全員、思っていることをブチまけあうんですよ、日本映画って最近は。

(山里亮太)
全部説明しちゃう。

(町山智浩)
全部説明するんですよ。
「私はこう思ってますよ」って。「俺はそうは思わない」とか。
それに慣れると、『風立ちぬ』っていう映画は分からないんですよ。

(山里亮太)
説明が少ないって思っちゃうんだ。

(赤江珠緒)
そうですよ。
行間みたいなところがすっごい多いですもん、文章で言ったら。

引用:IMDb.com

『風立ちぬ』は説明が少ない

(町山智浩)
なんにも言わないんですよ、この人。
要するにこれ、戦争が起こりはじめてるっていうか、日本は戦争に向かってるんですけれども。
それに対して彼は武器を造るって仕事をしてるわけですね、戦闘機を造るって。
で、「その葛藤があるだろう?」と、みんな思うんですけど。その葛藤に関して主人公はなにも言わないんですよ。

(赤江珠緒)
そうだ。そう言われればそうだ。

(町山智浩)
そうなんですよ。
だからやっぱりそれを「言ったほうがいいんじゃないの?」って。他の日本映画だったら言っちゃうんですよ。会話でね。
ディスカッションしたりするんですよ。「戦争と言うのは」とか言って。言わないんですよこの映画。

(赤江珠緒)
あぁー!!

(山里亮太)
そっか。

(赤江珠緒)
たしかに見事になかったですね。

(町山智浩)
ないんですよ。

(山里亮太)
「俺はこんなために造ってるんじゃない」みたいなことを。

直接的な表現をしないリアル

(町山智浩)
そうそうそう!そういうことを言うんですよ。
「俺は本当は空を飛ぶのが好きで」とかなんか言ってね。
でも、「戦争はよくない」とかね、言わないんですよ。言うの、下品ですよ、やっぱりそれは。

(山里亮太)
(赤江珠緒)
なるほど〜!

(町山智浩)
それはね、当時の人たちはみんな思っていても、言えなかっただろうし。

(赤江珠緒)
うん。

(山里亮太)
そうか。
時代背景的に、そんなこと絶対言っちゃダメですもんね。

(町山智浩)
そう。そんなこと・・・だからね、これね、でも言ってるっていう。
すごく、分かる人にだけ言ってるっていうか。「わかってくれ」っていう映画なんですよね。
たとえば、ユンカースっていうドイツの航空機会社に視察に行くところがあるんですね、この堀越二郎さんが。
で、ユンカースっていう人が造った爆撃機を見るんですけど、それだけなんです。突然なんか警察みたいなのが出てきたり、軍隊みたいなのが出てきてなんか、謎の行動がその周りで行われているらしいんだけども、一体それがなにかわからないんですよ、映画見てると。

(山里亮太)
(赤江珠緒)
うんうん。

(町山智浩)
で、それどういうことかっていうと、まずユンカースっていう人は戦争に反対してたんですね。

(赤江珠緒)
はぁー!

(町山智浩)
ユンカースっていう博士がいて、爆撃機とかを開発した人なんですけども。
爆撃機とか戦闘機を造りながらも、ナチスにすごい逆らっていて。最後はナチスによって監禁されて死んでいくんですよ。

(赤江珠緒)
あ!そういう人生を辿った方なんですか?

ユンカース偉大な航空工学家

(町山智浩)
そういう人生を辿った博士、ユンカースっていう偉大な航空工学家なんですけども。
その人の人生っていうのは、まさに戦争に反対しながらも、兵器を造るっていう人の代表ですよね。
それを出すっていうことで、「わかってくれよ」なんですよ、これは。

(山里亮太)
あ、じゃあ赤江さん見てても、いま聞いてはじめて分かった感じ?

(赤江珠緒)
そうなんです。
そこまでだってなんの説明もないもん、本当に。

(山里亮太)
ユンカースさんといえば、みたいなのは、ないわけですねそこまで。

(町山智浩)
ないわけです、説明はないです。

(赤江珠緒)
だから、当時の人が、そのユンカースさんに出会った時に、たしかにそんなにね、人と人が出会った時に、その人のバックボーンをそれだけ調べて出会うかっていうと、出会わないじゃないですか。

(町山智浩)
はい。

(赤江珠緒)
そんな感じしか映画で描かれてないんです。

(町山智浩)
一瞬なんですね、そう。

(山里亮太)
はぁー!

(赤江珠緒)
だからまぁ、その時の時代の人と自分が一緒になってると思えば。
いま町山さんがおっしゃるように、それぐらいの感覚しか出てこない。

(町山智浩)
そう、わからない。
あと、途中でね、ドイツ人が出てくるんですよ謎の。
軽井沢に行くと、あの軽井沢に主人公が行った理由もほとんどわからないんですよ。

(赤江珠緒)
そうそうそう、それもわからないの。

軽井沢で出会ったドイツ人

(町山智浩)
全くわからないんですが、軽井沢に行くとドイツ人がいて。で、友情ができるんですね。
そこでね、いい曲がかかるんですけど。それ、ちょっと今、かけていただけますか?
『ただ一度だけ』という歌がね。

〜♪〜

(町山智浩)
『ただ一度だけ』っていう主題歌なんですね。ドイツ映画の『会議は踊る』という映画の。
で、それを全員でビアホールみたいなところで合唱するシーンがありますね、みんなでね。

(赤江珠緒)
はいはい。うん。

(町山智浩)
で、あれはね、あのドイツ人っていうのは何か?っていうと。
あ、ここんところサビなんですけど。ちょっと聞きましょう。

〜♪〜

(町山智浩)
これをね、全員で合唱するんですけども。
あのドイツ人は「ドイツは戦争に向かっている」と、「日本は戦争に向かってるよ」と。「我々は破滅する」っていう風に堀越二郎に言うんですよ。
そうすると、堀越二郎はそれを受け入れるんですね。「そうですね」って言うんですね。「そうじゃない」って言うべきじゃないですか、そのころ日本は。「日本は絶対に勝つ」とか言うべきじゃないですか。言わないんですね。
「うん」って受け入れるんですけど、あのドイツ人は誰か?って言ったら、あれはソ連のスパイですよ。

(山里亮太)
えっ?

(赤江珠緒)
えっ!?そうなの?

(町山智浩)
おそらく。

(赤江珠緒)
えぇっ!?

(山里亮太)
見た人だよね?赤江さん。

(赤江珠緒)
見ましたけど。私、見ましたけど・・・

引用:IMDb.com

あのドイツ人はソ連のスパイ

(町山智浩)
わからない?

(赤江珠緒)
わからない、わからない。
逃げてるっていうのは出てましたけど。

(町山智浩)
そう、逃げてるでしょ?逃げてるシーンがある。
あれはゾルゲでしょう。おそらく、ソ連のスパイ。

(赤江珠緒)
あぁー!有名なスパイですけれど。

(町山智浩)
有名なスパイです。

(山里亮太)
まぁ、そのゾルゲがスパイだっていうのはわかるけども。
それ出てきてるんですか?

(町山智浩)
セリフには出てこないし、わからないですけど。
たぶんゾルゲのような人物であって、そのドイツや日本の戦争を止めさせようとか思ってるドイツ人。

(赤江珠緒)
はぁー!

ドイツや日本の戦争を止めさせようとか思ってるドイツ人。

(町山智浩)
で、その軽井沢に、何かの潜入してきたんであろう、というところはあるんですが。
なにもそれを言わないんですよ、この映画は。

(赤江珠緒)
そうだ!本当にそう。

(山里亮太)
それ、知らないの難しいよね。
どっかで、「あの人、ゾルゲよ」ってシーンないわけでしょ?

(赤江珠緒)
ない。

(町山智浩)
そう。

(赤江珠緒)
ないんですよ。

(町山智浩)
ないんですよ、そう。そういうことをね、延々とやってるんですね。
例えば、すごく印象的な絵柄でですね。はじめて主人公が菜穂子さんに会うっていうシーンがあるんですけど。
菜穂子さんっていうのは『風立ちぬ』の主人公の名前をそのまま使ってるんですけど。
丘の上に立ってパラソルを持ってですね、絵を書いてるシーンっていうのがあるんですけど。この絵っていうのは最初のモチーフになってるんですね、風立ちぬっていう原作の。
これって何か?っていうと、クロード・モネの絵なんですよ、元々。これ、見えますか?

(赤江珠緒)
あぁーー!

(山里亮太)
あ、ほんとだ。同じだ。

クロード・モネの絵

(赤江珠緒)
そうだ、有名なね。
パラソルを持つ婦人の。

(町山智浩)
有名な、パラソルを持った婦人なんですよね。
で、こういったいろいろなイメージが中に出てきて、特にクロード・モネの絵のイメージっていうのは全体に散りばめられていて。
たとえば大震災、関東大震災のシーン、すごいですけども。

(赤江珠緒)
はい、はい。

(町山智浩)
あれで雲がこう、ブワーッ!っと盛り上がるところも、モネのタッチで暗雲を描いてるんですね、爆炎とかを。

(赤江珠緒)
はぁーーー!!
なるほど。

(山里亮太)
ふーん!

(町山智浩)
はい。これ、すごいことをやってるんですよ結構。

クロード・モネのタッチで描いている

(赤江珠緒)
うーわ!もう、今日、本当に町山さんに解説していただいて良かった。
いろいろ腑に落ちなかったところが、繋がっていく感じですよ。

(山里亮太)
繋がっている感じでしょ?

(町山智浩)
で、あそこでこう、煙がこうものすごい火災がおきて、大震災で。
その煙が舞い散るところで、主人公の堀越二郎は突然妄想を始めて、飛行機が飛んでいる妄想をするんですね。

(赤江珠緒)
そうそうそう。

(町山智浩)
爆撃の妄想みたいなのを。

(赤江珠緒)
ここで!?みたいな。

(町山智浩)
そう。で、この人は、どんなに危険な時でも妄想を止めないんですよ。

(山里亮太)
(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
これはね、僕の友達の映画監督たちがみんな「俺だよ」って言ってるんですよ、彼らは。
みんな「あれは俺だ」って言ってるんですよ。

(赤江珠緒)
そう、だから震災で火の粉が飛んだりとか、布が燃えてパーッ!って舞い上がってるのを見て、飛行機を思い出してるんですね。

(山里亮太)
この状況でだったら、この飛行機がいいかな、みたいなことですか?

(町山智浩)
そうそう、そういうことを常に思っていて。
もう、どんなに自分が危険な状態にあっても、常に自分の妄想の中に入ってくんですよ。

(山里亮太)
う〜ん!

(赤江珠緒)
はぁー!

引用:IMDb.com

どんなに自分が危険な状態にあっても、常に自分の妄想の中に入っていく

(町山智浩)
で、これは映画監督とかシナリオライターとかやってる人たちと、撮影とかやってる人。アニメーターとか、みんなそういう人たちですよ。

(赤江珠緒)
あっ、そうなんだ!

(山里亮太)
全てがそこにっていう。

(町山智浩)
全てがそこに。
道を歩きながらビルを見て、ビルを見上げるとそのビルの向こうから怪獣が出てくるのを想像するんですよ、彼らは。

(赤江珠緒)
はぁー!

(山里亮太)
うーん!

(町山智浩)
それこそ大震災であるとか、大変な事件があって。
悲劇が起こっても、「どう撮ろうか?」「どうこれを表現しようか?」ってことばっかり彼らは考えるんですよ。
頭の中に絵コンテがバーッ!って出てくるんですよ。

(山里亮太)
はぁー!!

(赤江珠緒)
はー!そういう人種だってこと。

(町山智浩)
そういう人たちなんです。そういう人種なんです。
で、それは非常に不謹慎な人たちですよ、はっきり言うとね。
でも、そういうものなんです。ものをつくる人たちっていうのは、そういうところがあるんですよ。
で、この人はまさに戦争の道具である戦闘機を造るんだけども、その戦争そのものに対して責任はどうなのか?っていうことを問うてるわけですね、この作品の中ですでに。
宮崎駿さん自身がそういう人で、とにかく戦闘機とか戦車とかが大大大好きな人なんですよ。

(赤江珠緒)
うんうん。

(山里亮太)
うん。

宮崎駿さん自身とにかく戦闘機とか戦車とかが大大大好きな人

(町山智浩)
でも、反戦映画を撮ってるでしょ?戦争はいけないんだ!ってことを映画の中で言うじゃないですか。
でも、その割には戦闘シーン、メチャクチャ快感で撮ってるじゃない?と。

(山里亮太)
(赤江珠緒)
はぁー!

(町山智浩)
あんた、戦争の道具大好きでしょ?と。「大好きですよ」でも「戦争は絶対にいけないと思う」と。
その矛盾した気持ちっていうのを持っているのが、こういったものをつくっている人たちなんですよね。

(山里亮太)
はぁーー!!

(町山智浩)
だから、アニメーターである宮崎さんは、そういった形で戦争の快楽ってものを描きながらも、それは悲劇であるってことを同時に訴えると。
で、こういう技術者の人たちは戦争に反対しながらも、兵器を造る。

具体的には、オッペンハイマーという人がいまして。その人は原爆の父ですけども。原爆を造ったんだけども、原爆の使用には反対してたんですよ。
死ぬまでずっと核戦争とかそういったものには反対し続けて、平和主義者だったけれども、でも技術者としては原爆を造りたいわけですよ。
造れるんだもん、俺には。

(山里亮太)
とてつもないものが。

平和主義者だったけれども、でも技術者としては原爆を造りたい

(町山智浩)
そう。「出来ちゃった」「でも、使わないで」っていう、まさにそういうことですね。
だからゼロ戦を造ったってことで、ゼロ戦はそれこそ何百機も、何千機も造られましたけど、乗った人は全員死んだんですよ。
だからこれは大変なことですよ。自分が造ったもので、何百人、何千人の人が死んだっていうのは、ものすごい辛い罪を背負ったわけですけれども。
まさしくオッペンハイマーと同じですよね。

(赤江珠緒)
あぁーそっかぁ!
それで最後のあの言葉が。

(町山智浩)
あんまり最後のところは・・・あれですが(笑)

(山里亮太)
赤江さん。今、ひょっとしたらだけど、映画好きの友達としゃべってると思った?

(赤江珠緒)
あっごめんなさい(笑)

(山里亮太)
これ、ラジオよ!

(町山智浩)
あんまり最後のところはアレですが(笑)

(山里亮太)
言いそうだったもんね。気をつけてね。

(町山智浩) 
映画作ってる人たちは、みんなそうでね、スピルバーグっていう監督がいますね。
あの人はね、ものすごい戦争マニアなんですよ。

(山里亮太)
へぇー!

スピルバーグも戦争マニア

(町山智浩)
『プライベート・ライアン』とか『戦火の馬』とか。
とにかくどんな映画監督よりも戦争を忠実に、現実通りに描く人で。もう、兵器マニアとか軍事マニアの人はスピルバーグの映画だともう大喜びするわけですよ。
「すごいすごい」って。細かい制服の、軍服の細かいバッヂぐらいまで忠実なんですよ。スピルバーグの映画っていうのは。

(山里亮太)
(赤江珠緒)
へぇー!

(町山智浩)
それだけどあの人、戦争は大っ嫌いなんですよ。
で、『ミュンヘン』とかですね『シンドラーのリスト』とかで、戦争絶対反対する男たちの話を描いてるわけですね。
戦争は絶対いけないんだ!と、言いながら、誰よりも戦争が好きでたまらない。スピルバーグは。

(山里亮太)
(赤江珠緒)
ほー!!

(町山智浩)
でもそれは多分ね、ほとんどの男の子は結構そうだと思いますよ、みんな。

(赤江珠緒)
そっかぁ。

(町山智浩)
あの、富野由悠季さんっていう、ガンダムの人も、戦争を子供のころに体験して。だから戦争ものじゃないですか、ガンダムとかってね。

(山里亮太)
そうっすね、宇宙戦争。

(町山智浩)
でも、それでみんなどうなるかって、悲劇しか待っていないんですね、現実にはね。
それもちゃんと描くというね。これはね、男の子の病気です!「男の子の病」です!

引用:IMDb.com

男の子の病気です!「男の子の病」です!

(山里亮太)
だから女子の赤江さんにはピンと来なかったのかな?

(赤江珠緒)
うん、だから男性の方が「もう一回見たい」っていう人、多かったですよね。

(町山智浩)
そう。だってこれに出てくるの、メカ、いっぱい出てくるじゃないですか。
電車から、市電から、「一銭蒸気」っていう小さい蒸気船も出てきますけど。それから空母から戦艦から出てきますけど。
あの描写を見てるだけでも、男の子はたまらないわけですよ。もう。

(赤江珠緒)
そっか。
もう、ネジがどうのこうのとかまで出てきますもんね。

(町山智浩)
そうそうそう!ネジがまた重要。リベットっていうんですけれども。
あれで枕頭鋲っていう鉄板っていうかジェラルミンの板をつなぐのに、鋲を打っていくんですね、戦闘機の表面にね。
あの鋲が出っ張ってると空気抵抗が出るんで、出っ張らないやつを付けるんだ!みたいな話が延々と出てくるんですけど。
あれは、俺たちにとっては最高な話なんですよ!ネタとして。

(赤江珠緒)
そうなんですか!

(山里亮太)
はー!

(町山智浩)
そう。で、宮崎さんっていうのはとにかく、兵器に打たれた鋲の描写っていうのに、ものすごいこだわっていた人なんですよ。

(山里亮太)
へぇー!

宮崎さんは兵器に打たれた鋲の描写にものすごいこだわっていた人

(町山智浩)
あの人のメカっていうのは、必ず鋲が描いてあるんですよ。
で、あの人以前のアニメには鋲は描いてなかったんですよ。

(赤江珠緒)
へぇーー!!

(山里亮太)
それはラピュタの時の飛行機も、ゴリアテとか全部。

(赤江珠緒)
『紅の豚』とかも。はぁー!

(町山智浩)
そう。だから鋲にこだわるっていうのがあって。
で、まあ主人公の堀越さんってのは、この映画の中では『魔女の宅急便』に出てくるトンボくんっていう男の子いたでしょ?メガネかけた。
あれが成長した姿なんですよ。

(山里亮太)
へぇー!

(赤江珠緒)
はぁー!

主人公の堀越さんは『魔女の宅急便』に出てくるトンボくんが成長した姿

(町山智浩)
飛行機が大好きで!っていうね、あの男の子。
で、ラピュタに出てくるパズーもそうですけど、機械が大好きで。あれも全部、宮崎さん自身なんですよね。

(山里亮太)
へぇー!

(町山智浩)
機械が大好きで大好きでたまらないと、もう、自分自身ですよね。
それで、でも戦争は嫌いだというんで描いてるんで。もう本当にこれは普通の人がどうこうっていう問題ではなくて。
映画っていうのは誰に対しても開かれているわけでは、決してないんですよ。個人的な映画っていうのもあるんですね、すごく個人的な映画。

(山里亮太)
そんなに大ヒットしている映画なんだけど、向けられている人たちは意外とこう・・・

(町山智浩)
ものすごい個人的な話なんですよ。これは、私のことであるってことで。

(赤江珠緒)
はぁー!

(町山智浩)
だからあの、声優さんにですね、庵野秀明さんを使ってるんですけども。
庵野秀明さん、エヴァンゲリオンの監督なんですけども。

(赤江珠緒)
えぇ。

声優さんに、エヴァンゲリオンの監督、庵野秀明さんを起用

(町山智浩)
これ、「結構棒読みだ」とか「素人だ」とか言って批判されてるんですけども。
あれは、声優さんとかプロの人が、要するに世慣れして、誰々の心も演じられるような人が演じちゃダメで。
人の心なんかわからないし、世の中のことなんかもわからないけど、好きなものだけやり続けるアホのような男が声をやらなきゃいけないんですよ!

(山里亮太)
あっ。はぁー!
だから監督というその・・・

(町山智浩)
そうそうそう。
庵野さんにやらせたんですよ。庵野さん、ぼーっとしてるわけですね、声出しながら。
で、人の話を聞いてないっていうシーンがすごく多いんですね。

(赤江珠緒)
そうなんですよ。

(町山智浩)
そう。

(赤江珠緒)
聞いてないの。「いま、大事な話してんだろ」みたいなところで、聞いてない。

(町山智浩)
そうそう、妄想してるんですよ、ね。
「なんだっけ?」とか言ったり、返事もしない。
そういう人じゃないと、この声はできないんですよ。

(山里亮太)
はぁー!

(赤江珠緒)
はー!そこまで計算されての・・・

(山里亮太)
なんで庵野さんなんだろう?って思ったら。

(赤江珠緒)
そうなんだぁ。

引用:IMDb.com

庵野さんの奥さんはこの映画を見た後、本当に泣いた

(町山智浩)
だからちょっと裏情報で失礼なんですけど。
庵野さんの奥さんはこの映画を見た後、本当に泣いたらしいですね。
ね、そういう男と結婚してしまった女の悲劇でもあると(笑)

(山里亮太)
なるほど!

(赤江珠緒)
はぁー!

(町山智浩)
でもでも、それで嫌いになれないでしょ?その男を。

(赤江珠緒)
そうそうそう。

(町山智浩)
ね。夢見てる男なんだもん、常に。
そういうことなんです。

(赤江珠緒)
あ、そういうことなんだ!

(町山智浩)
そういうドラマだったんですね。

(山里亮太)
じゃあ、周りでダメだ!って言ってる人は、夢を見れてない人たちなんだ。

(町山智浩)
夢を見れてない男だと思いますよ、はい。
夢を見れてない男、これ飛行機が飛ぶ音を「プルプルプル・・・」って口で言ってるんですね、この映画って。
「ブーーーン!プルプルプルッ!」とかね。「ヒューーン!」って声で出してるんですね。

(赤江珠緒)
あっ、あれ、声!?

飛行機が飛ぶ音を声で出している

(町山智浩)
声なんです。人の声なんですよ。なぜそれやってるか?ごっこ遊びですよ。

(山里亮太)
はぁー!

(町山智浩)
おもちゃの飛行機を持って男の子がみんな「プルプルプル・・・」って「ブーーーン!ヒューーーン!」ってやるじゃないですか。
あれを映画でやってるんですよ!これは。

(山里亮太)
そういう意味だったの?
いや、なんで全部人の声でやったって。なんかニュースになってたのよ、人の声でやって、すごいって。
人の声でやる意味、なんなんだろう?って思ったら、そういうことなんですね。

(町山智浩)
そうですよ。男の子の飛行機ごっこですよ。

(赤江珠緒)
はぁー!そっかぁ!

(町山智浩)
そういう物語だとね、僕は。

(赤江珠緒)
そういうことなのかぁー!

(町山智浩)
昨日ある映画監督と朝までずっと飲んでて、その話をずっとしてたんですけど(笑)

(山里亮太)
へぇー!
見に行く前にこれ知らないと、確かによくわかんないですよ。

(赤江珠緒)
え、解けなかった問題を解いてもらったみたいな。

「俺たち妄想族」

(町山智浩)
みんな言ってたのが、とにかくなんか見ると、飛行機が飛んでいても、その飛行機がこうなって爆発したらどうだろう?とか、想像しながら見るんですよ。
自動車がこう走ってても、ここで横転して、とかね。それで、アニメーションするんですね頭の中で。
ね、妄想族なんですよ。「俺たち妄想族」っていう話ですからね、これね。

(赤江珠緒)
へぇー!そういう、うん。

(山里亮太)
これ、『風立ちぬ』ならぬ・・

(町山智浩)
エッチな妄想もしますけども、そういう妄想も、男の子妄想もするんですけどね。

(赤江珠緒)
で、たしかに町山さんおっしゃる、当時の日本人だったらそんなにベラベラしゃべらなかったかもっていうのはあるかも。

(山里亮太)
リアルなとこと・・

(町山智浩)
ベラベラしゃべって自分の思想とか政治とかぶつけるような人は、ゼロ戦造ったり、アニメ作ったり、映画監督やったりしないですよ!それは。

(赤江珠緒)
ね、そうだ。

(町山智浩)
やっぱ、訳のわかってない人はやるんでね。モノをつくる人は、絵描きでもそうですけどね。

(山里亮太)
黙々と。

(町山智浩)
だから、作品を創るんですよね。
だから俺みたいにしゃべってる人は、なかなか作品つくれないっていう気もしますが。

(山里亮太)
(赤江珠緒)
あはは(笑)

(町山智浩)
まぁ、しゃべりを作品にしてるんでね、はい。

(赤江珠緒)
えぇ。

荒井由実さんの「ひこうき雲」

(町山智浩)
という気もしますが。だからやっぱりね、この映画で最後に『ひこうき雲』が流れますけども、荒井由実さんの。
この歌は、ひこうき雲っていうことでつながっているということも1つあるんですけれども。
この歌詞の中ですごく重要なのが「今はわからない」「ほかの人にはわからない」っていう歌詞が出てくるんですよ。
まさに、ほかの人にはわからないんですよ。

(山里亮太)
うーん。

(赤江珠緒)
はぁ!

(町山智浩)
わからない人には、この堀越二郎の気持ちはわからないだろうと。
たしかに、心の中には何百人も何千人も死んでいった、自分の飛行機で死んでいった人たちの気持ちはあったでしょうね。

(赤江珠緒)
当然ねぇ。そりゃあそうでしょう。

(町山智浩)
当然あったでしょう。
それがどういう気持なのかは、口で言ってみんなにわからせることじゃないんですよ。

(山里亮太)
うーん!

(赤江珠緒)
かっこいい。
今頃・・・なんだろう、すごく時間がたってから、響いてきちゃった。

(山里亮太)
でもだから見た後にこれ聞いて、思い出して繋がっていく快感も今、あるわけでしょ?

(赤江珠緒)
あーなるほどー!

(町山智浩)
そう。
だからね、この歌を選んだってすごいなーと思いましたね。

(山里亮太)
へぇー!

引用:IMDb.com

宮崎監督自身もこの映画を見て涙した

(赤江珠緒)
あ、そういうこと。
だから、あの宮崎監督自身もね、この映画を見て。

(山里亮太)
泣いたって言ってた。

(赤江珠緒)
完成して泣けたって・・

(町山智浩)
自分のことだからですよ!

(山里亮太)
そっか!

(町山智浩)
自分で自分の話つくって、自分で泣いてるっていうね(笑)

(赤江珠緒)
あはは(笑)

(山里亮太)
わぁ!すごい。

(町山智浩)
そういうことでいいのか!?っていう気もしますが、いいんですよ。それが作品なんですよね。

(山里亮太)
そっかぁ。

(町山智浩)
芸術っていうのはそういうもんなんで。
で、芸術とか技術とかは、本当に個人的なもので、実際は。
で、それが実は社会と結びついて行く中で起こってくる、すれ違いみたいなものっていうのが、時に悲劇を起こすし。
やっぱり「あの映画わかんねーよ」って普通の人たちは言うっていうとかね(笑)

(山里亮太)
(赤江珠緒)
うーん。

(町山智浩)
そういうことになっているんですよ。
家族連れで行っても、わかりゃしないわけで。
子供なんか、もうこんなの飽きちゃいますよ。絶対。

(山里亮太)
「子供が走り回ってる」って、ニュースになってたからね。

(赤江珠緒)
そうそうそう。

宮崎監督の作品として一歩突き抜けた、SEX描写

(町山智浩)
そう。でもやっぱり、宮崎監督の作品としてはものすごく、一歩突き抜けたなと思うのが、SEX描写があったってことですね。

(山里亮太)
へぇー!
あ、そんなシーンあるんですか。

(赤江珠緒)
あぁ〜!

(町山智浩)
はじめて、初夜で結ばれてるっていうところを、はっきりと描いてますから。まぁ、直接描写はないですけど、もちろん。
で、そのあと彼を抱きしめるシーンがあるんですね。

(赤江珠緒)
はい。

(町山智浩)
菜穂子さんがね。
その時こう、やっと来てくれたのねってこう抱きしめて、そのあとグーッと腕に力入れて回していくっていうシーンがあって。

(赤江珠緒)
そうなんですよ。
そこがものすごいね、いままでぼーっとしてたのに、「ものすごい男だな」みたいな感じなんですよね。

(町山智浩)
そう。生々しいでしょ?で、頬と頬がこすれあってみたいな感じが。
あの生々しい描写っていうのは、もう日本のアニメの中で最近珍しいですよね。

(赤江珠緒)
はぁー!

(山里亮太)
へぇー!

(町山智浩)
はい。まぁでも、日本のアニメでそれをやったのがあってですね。
それに対する対抗でやったっていう説もあるんですけど。
それはまあ、置いておいて、はい。

(赤江珠緒)
へぇー!

(町山智浩)
ということで、宮崎監督の作品としては、画期的な描写だと思いますね。

(山里亮太)
へぇー!
どうしよう?やっぱり、見に行こうかな?

(赤江珠緒)
そうだねぇ。

(町山智浩)
はい。是非。

(山里亮太)
どうしよう?それで全然感動できなかったら「俺、ちっぽけな男なんだな」って思っちゃう。

(赤江珠緒)
まぁ、そっちの人種じゃないっていう場合もありますけどね。しょうがない。

(町山智浩)
だからそっちの人種じゃない人もいっぱい出てくるんですよ。
軍人とかね、はい。会社の経営者とか。

(山里亮太)
俺、そっちの人間って言おう。

(赤江珠緒)
えぇー。あはは(笑)
ということで、今日は町山さんに宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』。
もう紹介、さらに解説という感じでね、していただきました。ありがとうございます。

(町山智浩)どうもでした!

(赤江珠緒)
はい。また来週は、アメリカから。

(町山智浩)
はい。

(赤江珠緒)
はい。よろしくお願いします。

(山里亮太)
よろしくお願いします。

<書き起こしおわり>

○○に入る言葉のこたえ

③クリエイターは危険な時でも妄想を止めない
赤江さんの疑問をすべて解説(解決!?)していく町山さんのトークが面白いので、是非聞いてみて下さい!

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