美しい屋敷、美しい母には恐ろしい秘密があった……
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月22日 10時37分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
ニコール・キッドマンが美しいということはわかりきっていることですが、彼女はここで「貞淑で戦争に言った夫の期間を待つ、耐える妻」を演じています。しかも大切な子どもは日光を浴びると皮膚がただれてしまうという難病です。我が子を守らねばという強い意志と、控えめながらも美しい妻という両面を演じているのが、今回の作品のみどころでもあります。
子どもふたり、母ひとりで残された屋敷には、召使いが3名現れます。その登場を機に、屋敷では不穏な音や奇妙な現象が見られるようになったのです。召使いとして招いた3人の正体は一体何者なのか。怯える子どもたちを庇いながら、母はひとり真相に立ち向かいます。
日光が入らないように締め切られた暗室のような部屋で、ひとり燭台を持ちながら見回りをするのは見ていても怖いです。明らかにゴーストがいる屋敷でしかありません。
これで「召使いは退治された」であれば話は難しくありません。
なんとこの映画の素晴らしいところは、「現代」である召使いたちと、「過去」の親子が屋敷で同居していたという驚きの設定が秘められていたということです。
戦争から帰還した夫は、たった1日で再び姿を消してしまいます。妻はそれを機会にいよいよこの屋敷のことを調べ始めるのです。
そして真実は、「50年以上も前に、この屋敷では母とふたりの子が死んだ」。
アザーズ、「他人」とは見知らぬ者のことです。では、一体アザーズとはこの場合誰なのでしょう?母と子?それとも現代を生きる者?
しかもその真実を知りながらも、妻はこの屋敷に留まることを決めました。この決断も非常に切ないものです。永遠に夫は帰らず、自分たちは屋敷に閉じ込められているのですから。