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引用:IMDb.com

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語の町山智浩さんの解説レビュー

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2020年06月30日更新
アカデミー賞でいっぱい候補に挙がってたんですけど、全然賞を取れなかった、衣装デザイン賞しか取れなかったんですけど、素晴らしい映画なんで是非あの推薦したいんですが!もう何もかも面白い映画になってますね(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)
で、グレタ・ガーウィグ監督のアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のネタバレなし解説レビューを紹介されていましたので書き起こしします。

映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』解説レビューの概要

①アカデミー賞衣装デザイン賞受賞作品
②いわゆる若草物語の何回目かの映画化
③脚本がすごい!
④”○○しない””○○する”その両方をやっちゃう映画

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』町山さんの評価とは

(町山智浩)
今日紹介する映画はね、アカデミー賞でいっぱい候補に挙がってたんですけど、全然賞を取れなかった、衣装デザイン賞しか取れなかったんですけど、素晴らしい映画なんで是非あの推薦したいんですが!はい。

えとね、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』という映画なんですよ。はい。

これ、いわゆる若草物語の何回目かの映画化なんですけども、はい。
『若草物語』って・・知ってますかね?

(山里亮太)
昔アニメでやってましたよね!

(赤江珠緒)
はい。我々はハウス名作劇場で見たねーなんて言って。ジョーっていう次女の女の子が。

(山里亮太)
元気なね。

引用:IMDb.com

ハウス名作劇場の若草物語

(赤江珠緒)
歌ってた歌とか覚えてますよ。「♪いつかきっと 私にも レディになれる日が来るわ♪」っていうのを歌っていたなって今思い出していました!

(町山智浩)
あぁ、すごいですね。あれ、主人公は次女のジョーちゃんなんですけど、ジョーっていう子は”おてんば”なんですよね?

(赤江珠緒)
うん。で、なんか文章を書いていた。

(町山智浩)
そう!作家になるのが夢で。それでなんかあの、泥んこになって遊んだりね、していて、なんていうか活動的でね。男の子みたいな女の子で。まぁはっきり「男に生まれたかった」みたいな事を言ったりするんですよね?

(赤江珠緒)
そうでしたね!

4人共性格の違う4姉妹の話

(町山智浩)
それで4人姉妹の話で、僕あの・・舞台になった・・これ本当の話が元になっていて。原作者がルイーザ・メイ・オルコットっていう女性でですね。南北戦争の時に、お父さんが北軍に入って従軍牧師かなんかをしてたんで、家を空けていたんですね。

で、お母さんと娘4人で暮らさなきゃなんなくて。でまぁ、すごい貧しい家だったんですよ、僕行ったんですけども。お父さんがね、ものすごい宗教的な人で、超越主義というね、教会を越えた信仰っていうのを始めた、なんというか、ちょっと進んでいた人なんですよ。ニューエイジみたいな人で。

(町山智浩)
そういう宗教上の理由でお金儲けとか嫌いだったんで、貧乏だったんですよ。(笑)
思想家としてはすごく有名な人なんですけど。

(赤江珠緒)
じゃあ「清貧を・・」みたいな感じだったんですね?

(町山智浩)
そうそうそう。それでもう、ものすごく貧乏な家で女だけ5人で暮らして。本当はすごいキツかったんだけど、それをまぁ楽しい物として書いたのが『若草物語』ですね。
で、4人が4人全然違うのが面白いんですよ。

(赤江珠緒)
性格もね。そうでしたね。

引用:IMDb.com

4姉妹メグ、ジョー、ベス、エイミーの性格

(町山智浩)
性格がね。一番上のお姉さんはメグっていうんですけども、すごくおしとやかで、女性的で。「いつか社交界に行きたいわ」みたいに思ってる人なんですよね?そう描かれてましたよね?

で、二番目のジョーはもう「そんなの、関係ないわ!」って駆けずり回ってるような人なんですけれど。(笑)

それで三番目はすごく体が弱くて。ベス。エリザベスはただピアノがすごく得意で音楽が得意で。

それで一番末っ子がエイミーっていう子で、この子がものすごいわがままで、こまっしゃくれた子なんですよ。

(赤江珠緒)
そうですよね。おしゃまさんみたいな子でしたね。

(町山智浩)
そう。おしゃまさんで。ただすごく美的センスがあって、オシャレがすごく好きなんですよね。そういう設定になって・・絵がうまいとかね。それでそのおしゃまな末っ子と、二番目のジョーがいつも喧嘩してるっていう話でしたけども。

(赤江珠緒)
んー!そうでしたね。うん。

(町山智浩)
もうものすごい喧嘩をしてるんですよ、取っ組み合いのね。で、そういうまぁ四姉妹のドタバタの話が『若草物語』だったんですけど。これね、映画化の方はね、それじゃないんですよ。今回のその『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』って『若草物語』はその後に『続若草物語』っていうのが書かれて。

(赤江珠緒)
へぇー!

今回の映画化は『続・若草物語』

(町山智浩)
それがもう子供じゃなくて、取っ組み合いの喧嘩とかはもうしないで、もう結婚する年齢になった四姉妹の話が『続・若草物語』なんですよ。で、アニメだと後半、ちょっとそうなるんですよね?

今回はもう完全に大人の視点から、時間軸をひっくり返して、子供の頃の事とかを、高校生の頃の事とかをこう思い出すと。いう構造になってます。この映画ね、今までの『若草物語』って色々映画化されてきたんですけども、最も過激なアレンジをされています!

まぁもっと過激な現代版にしちゃったのもありますけども、今回は舞台はそのままで、なお且つスゴイ事をやってるんですね。それはどういうものなのか話しますけども、後で。で、これ監督がね、攻めている監督なんですよ、すごく。グレタ・ガーウィグという女性監督で、そこに写真があると思うんですが、非常に若い監督なんですが。この人はね、『レディ・バード』という映画を監督して非常に有名になった人なんですけども。

引用:IMDb.com

グレタ・ガーウィグ監督の『レディ・バード』

『レディ・バード』というのは彼女の高校時代の話なんですね。受験の1年間を描いてるんですけど。自分自身の。グレタ・ガーウィグのね。その彼女の役柄をシアーシャ・ローナンさんが演じてるですね?

で、彼女はカトリックの学校に行ってたんですけども、とにかくとんでもない女子高生で、酒やタバコやセックスをしたくてしょうがなくて。まぁこれ映画をご覧になるとめちゃくちゃ面白いんですけどもレディー・バードって。もうバカなことばっかりやるんですよ!バカ女子高生なんですよ。

(赤江珠緒)
あー。(笑)うん。はいはい。

(町山智浩)
で、一番すごいのはとにかく処女を捨てるシーンで。相手があのティモシー・シャラメくんなんですけども!あの美少年のね。『君の名前で僕を呼んで』のあの美少年相手に処女を捨てるところで。

(赤江珠緒)
ほんとに美少年だぁ〜。

(町山智浩)
それでいきなり騎乗位でやっていますからね!

(山里亮太)
っっ!!初陣で?(笑)

(赤江珠緒)
そうですか!(笑)

(町山智浩)
そう。(笑)初陣から。

(山里亮太)
もう「出陣じゃー!」っていう!(笑)

グレタ・ガーウィグ衝撃のデビュー作

(町山智浩)
そう。まぁはっきり言ってコメディなんですけど、こういう。で、このグレタ・ガーウィグっていう人はその前に、2012年にですね、『フランシス・ハ』というですね、ノア・バームバック監督・・あの『マリッジ・ストーリー』の。。ノア・バームバック監督の映画で脚本・主演デビューをしたんですよ。グレタ・ガーウィグは。

(赤江珠緒)
へぇー! えぇ、えぇ、えぇ。

(町山智浩)
その話も前にしたんですが、どのくらいとんでもないかっていうと、一番最初の方のシーンでグレタ・ガーウィグ自身がですね、そのフランシスを演じているんですが、ニューヨークの地下鉄のホームからお尻をペロッと出して線路に向かっておしっこをするんですよ。

(赤江珠緒)
えーっ!

(町山智浩)
それでね、線路には電気が流れてるから「ヤベー!」と思いましたけども。(笑)

(山里亮太)
感電しちゃう。(笑)

(町山智浩)
もうハリウッドが全部ビックリしたんですよ!いきなり出てきたと思ったら、この新人はいきなりお尻出して地下鉄で立ちションベンっていうか、座りションベンしているっていう!

(赤江珠緒)
はー!それは衝撃デビューですね。。

引用:IMDb.com

グレタ・ガーウィグ監督が『若草物語』を映画化するとどうなる?

(町山智浩)
まぁそれぐらい、もう何でもやっちゃう人なんですね?
で、その人が、そのなんでもやっちゃうグレタ・ガーウィグが、『若草物語』という非常に古風なね、19世紀の話を映画化するって。それでヴィクトリア朝の時代だからその頃ってスカートにフープが入ってるんですよ。あの、枠が。それで下にペチコートを履いているような時代ですよ?その時代をこの人が映画化するとどうなるの?ってみんな言ってたんですよ。

(赤江珠緒)
確かになぁ。

(町山智浩)
それがね、ものすごくいい映画になってるんですよ!!
まずね最初はね、作家を目指してニューヨークに来たジョー。ジョーが。これをシアーシャ・ローナンが演じているんですけども。最初にちょっとエッチな小説を書いて、それが認められて、原稿料をもらって、嬉しくてダッシュでニューヨークの街角をものすごく猛然とダッシュして駆けてくっていうシーンから始まるんですね。

(赤江珠緒)
ふんふん。

(町山智浩)
そうすると、もうスカートをまくっちゃってるんですよ。で、その頃はありえないですよね。それで下にズボンみたいなのを履いているんですけども。それで上着も男物を着てるし、帽子も男の山高帽をかぶっててて、ほとんど男装で現れるんですよ、ジョーが。そこからして今までの『若草物語』とは全然違うんですけど。

(赤江珠緒)
へー。

監督自身の子供の頃の思い出を『若草物語』として仕上げていく

(町山智浩)
で、彼女が作家を目指して苦労しているところから、そのタイトルが『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』という風になっているように、その彼女自身の子供の頃の思い出を『若草物語』として仕上げていくという話になってるんですよ。

小説を書き上げていくんですね。だから小説を書き上げていく過程で色々思い出していって過去に遡るっていう形式になっています。
だからこのシアーシャ・ローナンはその前の『レディ・バード』で、グレタ・ガーウィグの子供時代を、高校生時代を演じたんですが、今回はオルコット自身の、若い頃であるジョーを演じるという、その作者の分身を演じる役を両方ともやってますね。

(赤江珠緒)
そういうことだ、うん。

(町山智浩)
これ面白いのは、グレタ・ガーウィグ自身もニューヨークでクリエイターを目指したんで、オルコットとも重なるんですよ。ジョーとも重なる。オルコット自身はボストンに行ったんですけどね。ジョーはニューヨークに行って作家を目指したんで、グレタ・ガーウィグ自身もサクラメントというカリフォルニアの田舎町から、ニューヨークに行って、ダンサーになろうとして。それで結局映画監督になりましたけど。全部重ねられているんですよ。4人分ぐらいが重ねられているんですよ。

(赤江珠緒)
そうですね、時代は違えど。

引用:IMDb.com

メグを演じるエマ・ワトソン

(町山智浩)
時代は違うんですけど。だからすごく、昔の関係ない話というよりは、その作者であるオルコットとグレタ・ガーウィグがジョーの上に2人重ねられるというすごい複雑な構造になってます。すごい面白いんですけど、一番上のお姉さんは『美女と野獣』のエマ・ワトソンが演じているんですね。

(赤江珠緒)
おお!エマ・ワトソンさんがメグ、はい。

オールスターキャスト!

(町山智浩)
これね、オールスターなんですよ、だから。
で、体の弱いそのベスちゃんはオーストラリアのエリザ・スカンレンという女優さんが演じて。
それで末っ子がすごいんですよ!末っ子がエイミー、その生意気な。これがね、フローレンス・ピューっていう子が演じるんですけども。この子ね、『ファイティング・ファミリー』でプロレスやったりですね、あの『ミッドサマー』でスウェーデンの奇祭で女王になったりする人なんですよ。

(赤江珠緒)
ちょっと怖いやつ!はぁ〜!

(町山智浩)
ものすごいこの女優さん、フローレンス・ピューもすごい攻めている女優なんですよ。やっている役がどれもすごいんですけども。で、このフローレンス・ピューとシアーシャ・ローナンが取っ組み合いの喧嘩をずっとしてるんですけどね、この映画の中で。両方とも気が強いからね。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
で、これがね、結婚に向かってく中で、ちょっと今までの、なんていうかですね。『若草物語』と違う展開になっていくんですよ。そのへんはちょっとネタバレにならないように話しますけど。まず『若草物語』って、隣に住んでるお金持ちの美少年がいたんですよ。

(赤江珠緒)
いましたね。うん。

引用:IMDb.com

ローリーという王子様との結末

(町山智浩)
ローリーという王子様が。大金持ちで。一人っ子で。それで嫁を探してるわけですけれども、4人ともその可能性があるっていう話でしたよね?四姉妹が。

でも、彼はやんちゃなんで、一番やんちゃなジョーと仲良くて。いつも男の子みたいに遊んでるんですね泥んこになって。で、これ『若草物語』は子供時代の話だったんで、それがベストセラーになるんですね。オルコットが書いて。そうするといっぱいファンレターが来て、「ジョーとこのハンサムな王子様のローリーを、結婚させてください」っていうファンレターがブワーッと来たんですって。

(赤江珠緒)
へー!うん。

(町山智浩)
山ほど来たらしいんですよ、世界中からそれも。で、オルコットは「そんな事はしないわ!」っと思ったんですって。「それはあまりにも古い」っていう。

(赤江珠緒)
そんな読者の希望通りにはならないと!

(町山智浩)
そう。「金持ちの王子様に見初められるっていうおとぎ話じゃねーのよ」っていう人だったんですね、オルコットという人は。オルコットっていう人自身は結婚をしていないんですよ、実際。

で、その『続若草物語』の方はですね、ジョーにローリーが結婚を申し込むんですけども、ジョーは断っちゃうんですよ。そんな王子様から結婚を申し込まれたのに。逃げちゃうんですよ。
で、そのフラれちゃったティモシー・シャラメ演じるローリーはエイミーと結婚をするんですよね。このへんは有名なんでネタバレにはならないと思うんですけども。

(赤江珠緒)
うんうんうん。

続編で描いた読者を裏切る事

(町山智浩)
で、そういう展開で、続編でオルコットは多くの世界中の読者をわざと裏切るという事をやったんですよ。でね、ところがその時に、編集者が。その続編を担当する出版社の編集者が「これはダメだ」って言ったんですね。
「これ、主人公でヒロインであるジョーが、誰かハンサムな王子様か何かと結婚をしないと売れないよ」って。

(赤江珠緒)
うわぁ・・!そんな事を言ってきたんだ・・!

(町山智浩)
その頃は女性は結婚をするのが人生の最大の夢だったからです。そういう状況でオルコットは曲げまして、信念を。
それで結末でジョーを結婚させているんですよ。

(赤江珠緒)
そうだったっけ・・うん。

引用:IMDb.com

原作に込められているオルコットの本当の叫び

(町山智浩)
ニューヨークで知り合ったベアさんという大学教授のちょっとお年寄りの、ドイツ人か誰かと結婚させるっていう話になってましたよね。でもそれは、妥協をしたんですよ。編集者に。オルコットは。

そういう問題があるんで、このグレタ・ガーウィグは原作に込められているオルコットの本当の叫びを探し出そうとしたんですよ。本当は彼女はどう思っていたかということで、徹底的に探したら出てきたらしいんですよ。

まずこのお母さん。ずっとつらいつらい清貧の中で耐え忍んでいるお母さんが一言、「私は人生を通じていつも怒っていたわ」っていう発言を拾い出しました。

(赤江珠緒)
リアルなそれ、、会話かもしれないですね。本当そうですね。

(町山智浩)
ローラ・ダーンが演じるお母さんが言うんですけども。で、もうひとつですね、こういう言葉を・・別の作品がありましてオルコットの。『八人のいとこ』という話があってね。孤児の女の子の周りに、7人のいとこがいて、みんな求婚をしに来るって。みんなそれぞれにインテリだったり美少年だったりワンパクだったりして、みんなそれぞれいい男が、6人か7人ですね、求婚をしに来るという。孤児の主人公に。これ、はっきり言って『キャンディ・キャンディ』の元ネタですよ。

(赤江珠緒)
はははは!そうですね、『キャンディ・キャンディ』ってそうですね。(笑)

ヒロインの言う結婚

(町山智浩)
そう。その『八人のいとこ』という小説で『花ざかりのローズ』っていうのがあるんですけども。で、そのローズは自分にその言い寄ってくるその7人のいとこの1人にこう尋ねるんですよ。
『「結婚して結婚して」って言うけど。みんなね。結婚して、それ以外に死ぬまでに何もしなくても満足なの?』って言うんですよ。ヒロインが。

そうすると、そのうちの1人の男、彼氏がね、「いや、もちろんそんなの嫌だよ。だって結婚というのは、人生の一部でしかないからね」って言うんですよ。それでヒロインは「そうでしょう?結婚は本当に大切なものだけど、それが人生の全てじゃないわよね?」って。「それは女にとっても同じよ。女は心だけじゃないの。意志もあるし、野望もあるし、美しさとか嗜みだけが大事じゃなくて、才能を生かしたいっていう気持ちもあるの。」

(赤江珠緒)
うん。それは一緒ですよな。

(町山智浩)
ねぇ!「愛し愛されるだけで満足なんてそんなバカな話はない!」って。

(赤江珠緒)
えっ!当時それをもう!書いてるんですか?今だったらわかるけど・・。

引用:IMDb.com

オルコットの本音

(町山智浩)
「女性といえば、結婚をすれば、恋愛すれば幸せなんて、決めつけられるのはもううんざりだわ!」と。
「家事と子育て以外に自分のやりたい事をしちゃいけないの?」ってオルコットは書いてるんですよ。だからそれを拾い出してこっちに使ってるんですね。それでジョーが結婚をしない理由っていうのはそれなんですよ。「私はそんな事じゃないんだ」という。で、それはオルコットの本音なんですね。

(赤江珠緒)
そうですよね。やっぱり自分の足で立ちたいっていうのはね。

(町山智浩)
そうなんですよ。だからこれ、すごい作品になっているんですよ今回の『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』って。で、エイミーがね、結婚するんですけども。その時に、まあ金持ちと結婚するわけですが。それは「金持ちと結婚するっていうことは大事なんだ」っていう話をするんですよ。

(赤江珠緒)
エイミーが!?

エイミーの結婚観

(町山智浩)
「なぜならば、私は女だから。今の時代に、女は自分1人でお金を稼ぐ手段というのはないのよ。結婚しても、財産は夫のものであって妻のものではないし。(当時は。)相続をするのも私じゃなくて息子なのよ。『結婚はお金の問題じゃなくて愛が大事なんだ』なんて、そんな甘っちょろいこと言わないで!」って言うんですよ。エイミーが。

(赤江珠緒)
うわぁ。。これまたその時代のリアルな・・

(町山智浩)
そう。これすごいのはメリル・ストリープが今回、大おばさまの役で出てるんですけども、メリル・ストリープが「そのセリフを入れろ」って言ったんです。

(赤江珠緒)
えーー!

引用:IMDb.com

メリル・ストリープが入れたがったセリフ

(町山智浩)
「当時、女性は相続権がなくて、財産を持つことも許されなくて、作家になるか先生になるかとか、家庭教師になるかとか、女性の仕事ってものすごく限られていたんだって。その事をちゃんとハッキリ、セリフで言って」ってメリル・ストリープが言ったのでそう言わせているそうです。

(赤江珠緒)
そうか・・。

(町山智浩)
でもその一方で、長女のメグは非常に貧しい男と結婚して、非常に貧しいけれども幸せな生活を掴もうとするんですね。それに対してジョーは「そんな結婚なんかに女の幸せはないわ!」って言うと、メグは「あなたにはあなたの幸せ。私には私の幸せがあるの。それぞれに幸せがあるのよ。」って言うんですよ。だからその「働けばいいんだ」「結婚すればいいんだ」とかそうじゃなくて、それぞれの生き方を尊重する映画になっているんですよ。

(赤江珠緒)
うわー、これ、それぞれの意見が・・ね。女性の本音に迫ってますね。へー!

結婚する、しないの両方をどう描くか

(町山智浩)
これ、だからすごい脚本なんですよ。で、尚且つ、さっき言ったみたいに、その”結婚しない”っていうオルコット自身の選ぼうとした結末と”結婚する”っていう結末があるわけですよね、実際に書かれた。で、そっちはファンが多い訳ですよ。で、その両方をどうするか?っていう事で、この映画はですね、両方をやっちゃうんですよ。どうやってやるの?それは見てのお楽しみです!

(赤江珠緒)
ああーっ!(笑)

(町山智浩)
はい。「すげえ!」って思いましたよ。「すっげー!」っていう、全く相反する、対立する2つのことをやって見せたんですよ。これ、すごいなと。
でね、そのグレタ・ガーウィグは「結婚だけが、男性だけが女性の幸せじゃない」って言ってるんですけれども。でもこれ、原作ではその、ジョーが自分の才能を見つけてくれたベア教授と結ばれるという話になっているんですね。
グレタ・ガーウィグ自身もノア・バームバックっていう監督に自分の才能を見つけ出されて、で、映画作家になったんで、その部分はガーウィグは原作のジョーと同じ物があるんですよ。だから全部重なり合っていて、対立してるようで全部絡み合ってるんで、全部やっちゃうっていうね。

どうやってやんの?ってもう想像がつかないと思いますけども。

引用:IMDb.com

若草物語、今の世界にも通じる

(赤江珠緒)
そうか。なんか『若草物語』っていうとやっぱり昔ながらの名作っていうか、古風なっていう感じがしましたけども。今の世界に通じる・・そうか。

(町山智浩)
もう完全に今の物語としても見れる話に、もう蘇らせているんですよ。

(赤江珠緒)
ねぇ。19世紀のアメリカですもんね。

(町山智浩)
そうなんですよ。で、まぁそれもファッションとかにもはっきりと出していて。ジョーは絶対にそのスカートの中にペチコートとかが入っているのは絶対履かないんですよ。
それで男物の服とか着たりして。で、逆におしゃまなエイミーちゃんはその当時の最新のファッションをしてたりするんですよ。そういう所もすごくよく出来ていて。もう何もかも面白い映画になってますね。

 

 

(赤江珠緒)
ああ、そうですか。なるほど。

(町山智浩)
これはもうぜひ、お子さんと・・ああ、まだちっちゃいかな?

(赤江珠緒)
そうですね。私はまだちっちゃいかな?(笑)

(町山智浩)
まぁご家族みんなでぜひ見てほしいなと思います!


<書き起こしおわり>

○○に入る答え

④”結婚しない””結婚する”その両方をやっちゃう映画

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