検索 映画ポップコーンについて
登録/ログイン
引用:IMDb.com

Swallow/スワロウの町山智浩さんの解説レビュー

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

2021年01月22日更新
これは1人の女性の再スタートしようとする話なので。ただね、ラストがね、すごく・・彼女がする決断がアメリカでは大論争を呼んでるんですよ。だからそこまで含めて、まぁすごい考えさせる映画でね。これはすごいなと思いましたね。最初はただのホラーだと思って見ましたよ僕、わからなかったから。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)
で、『Swallow/スワロウ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。

映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『Swallow/スワロウ』解説レビューの概要

①スワロウは、○○という意味
②これは1人の女性の再スタートしようとする話
③ただのホラー映画かと思ったら、違った。
④ラストで彼女がする決断がアメリカでは大論争を呼んでいるほど、考えさせる映画。

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

町山さん『Swallow/スワロウ』評価とは

(町山智浩)
(コロナで)みんな閉じ込められてる状態で色々大変なんですが、今回紹介する映画もですね、閉じ込められた状態の人の話なんですが。1月1日、あのお正月から東京で公開される『Swallow/スワロウ』っていう映画を今日は紹介します。

『Swallow/スワロウ』というのはこう・・スッと「飲み込む」っていう事なんですけども。あれですよヤクルトスワローズじゃないですからね。(笑)

(山里亮太)
そうですよね、ツバメさんの方じゃない。(笑)

引用:IMDb.com

スワロウ=吸い込む

(町山智浩)
飲み込む方なんですけども。吸う事ですね。で、この映画の主人公は、若い奥さんです。結婚したばかりの。で、アメリカの非常にお金持ちの家に嫁ぎまして、豪邸に住んでるんですね。人里離れたというか、すごい高級な丘の上の豪邸に住んでいまして、そこでもう何もしなくてもいい事になりまして。旦那さんは親の会社の経営を継ぐという事で、待ち望まれていたお子さんもできるっていうか、妊娠が分かるんですけれども。

でもう何もかも持ってる状態になった奥さんがですね、ある日突然、自分の子供の頃の思い出のビー玉を持ってきてて。嫁入り道具で持ってきてるのがそれだけなんですね。そのビー玉をこう見ているうちに、それを口の中に入れて・・入れたくなっちゃうんですよ。で入れて、飲み込んじゃうんですよ。

(赤江珠緒)
えっ、ビー玉を?うん。

(町山智浩)
ゴクンと飲み込んじゃうんですよ。そこからですね、この奥さんが、どんどん色んな物を飲み込んでいくという映画なんですよ。この『Swallow/スワロウ』っていう映画は。

(山里亮太)
えっ・・不思議。。

(町山智浩)
で、飲み込むとどうなると思います?

(山里亮太)
だって消化はしないですよね?

(赤江珠緒)
出てきますよね。

ビー玉を飲み込み、産む

(町山智浩)
出てきますよね。で、まぁ結構痛いんですけども、出てくる訳ですよね。で、出て来た物をね、綺麗にして、なんというか自分が産んだ子供のように大事にして飾っていくんですよ。この奥さんは。

(赤江珠緒)
ええーっ?

(山里亮太)
全くわからない・・。

(町山智浩)
でも、まだビー玉だったらまだあれなんですけども、次に飲み込むのは画鋲なんですよ。

(赤江珠緒)
えっ?そんなぁ・・。

(山里亮太)
1月1日から・・。

(町山智浩)
1月1日から。(笑)画鋲なんですよ。

(赤江珠緒)
公開される映画がねぇ。(笑)
画鋲?それは、大丈夫なの?

(町山智浩)
いや・・出血しますよね。

(山里亮太)
ですよねぇ。。

引用:IMDb.com

飲み込むものが徐々に危険になっていく

(町山智浩)
で、だんだんと飲み込むものが大きく、危険な物になってくんですよ。で、一種の達成感みたいなもの?チャレンジみたいな事になっていくんですよ、その奥さんにとって、それが。っていう映画が『Swallow/スワロウ』なんですけど。そうやっていくうちに、そのお腹にいる赤ちゃんの超音波検査を受けるんですよね。すると、お腹の中にあるものが見えちゃうんですよ。

(赤江珠緒)
あっ、なんか異物があるって?

(町山智浩)
そう。で、大変な事態になっていくっていう話なんですね。これはね、すごく昔からたくさんある事なんです。これね、ピカとかパイカという病気なんですよ。

(赤江珠緒)
病気?うん。パイカ?うん。

パイカやピカと言われる病気

(町山智浩)
パイカとかピカって言うんですけど。ちょっとね、ここでね、ロッシーニのオペラの『泥棒カササギ』という曲をかけてほしいんですけども。

〜音楽〜

(山里亮太)
あ、聞いた事ある。

(町山智浩)
この曲ね、結構みんな聞いた事あると思うんですよ。この曲はね『時計じかけのオレンジ』という映画の中でも使われているんですけども、これはカササギという鳥が歩いてる姿を表現するような感じで作られた曲なんですね。で、カササギというのは今言ったパイカ、ないしはピカっていう病気の・・カササギという鳥のラテン語の名前なんですよ。それをパイカって言うんですね、ピカって言うんですよ。で、カササギって言うのは・・『泥棒カササギ』っていうこのオペラはね、ある女の人が銀の食器を泥棒したっていう風に疑われて冤罪をかけられたという実際にあった事件を元にしてるんですけど、それは、カササギが取っていっちゃったからだって言われてるんですね。カササギは光る物、金属とかを見るとそれを盗んでいって巣に使ったりするらしいんですよ。

(赤江珠緒)
あー・・えぇ。カラスなんかもそうですよね。

引用:IMDb.com

妊婦は鉄分の補給の為、金属を舐めたくなる

(町山智浩)
そういう習性があるって言われてるんですよ、安全ピンとかそういったものを集めていく癖があると。で、その女の人がカササギに取っていかれたのに泥棒だと思われちゃったっていう話がこのオペラなんですけど。それをピカって言ってて、パイカって言っていて。それを人間がやるっていう病気なんですよ。で、これはね、妊娠した時にまず、よく起こる事で、鉄分が不足するので、金属をなめたくなるらしいんですよ。

(赤江珠緒)
はーー!まぁ確かに結構健康な女の人でも鉄分は妊娠中はねぇ減っちゃいますもんね。

(町山智浩)
そう。で、なんとなく金属がほしいっていう事で、釘をなめたりするっていう事があるらしいんですよ。それでこの主人公の義理のお母さんもね、旦那さんのお母さんも、「これは鉄分が不足してるんじゃないか?」っていう事で、鉄入りのジュースとかを飲ませたりするんですけども、そうじゃないんですね、本当の原因は。まずね、この奥さんが最初に異物を飲み込むとしたのは、氷なんですよ。

でこれも、すごくあって。氷を飲み込むっていう癖を持っている人達がいっぱいいるんですよ。これは氷食病っていう一種の病気なんですって。でね、その最初に氷を飲み込む事になったのは家族で・・その向こうのお母さんや義理の両親と一緒に話してる時に、彼女が自分の事を話そうとしたら、それを遮られて仕事の話をし出したんですね、自分の旦那と自分のお父さんが。その時に突然、氷を飲み込みたいっていう衝動にかられるんですよ。このヒロインは。で、よくこの映画を見ていくと、彼女が何かをしようとしたりした時に、旦那とかその旦那の家族に、それを潰された時にそういう衝動が起こるんですよ。彼女はもう大金持ちで、大邸宅に住んでて、何もしなくていいんだけれども、閉じ込められてる状態なんですよ。殆ど。

(赤江珠緒)
逆に何もさせてもらってないと言う?

自由に見えて、何もできない状態

(町山智浩)
そう、何もさせてもらえないんですよ。しかも、その子供が・・「妊娠した」っていうと、妊娠して嬉しいって言うんだけども、赤ちゃんの事ばっかりその両親も旦那も言ってて、彼女自身の事はどうでもいいっていう感じになっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)
あ〜、そうか・・!

(町山智浩)
だから子供も道具扱いされるんですね。で、その中で自分自身の体がもう自分のものじゃなくて、所有されている感覚なんですよ。そこで、ビー玉とかを飲み込み始めるんですけど、これはね、異食症という病気で、異なる物を食べるって書くんですね、異物を食べると。ストレスがものすごく、ひどい状況の時になるらしいんですよ。で、アメリカとかイギリスとかでは1950年代とかにすごく多かったんですね。主婦の間で。

(赤江珠緒)
女性が多いんですか?

引用:IMDb.com

この映画が作られた経緯

(町山智浩)
女性が多いんですって。だってその頃って殆どが専業主婦で、家に閉じ込められた状態で、まぁアルコール中毒になる人も多かったですけどね。で、なんとなく口に入れているうちに飲み込むという事がすごく起こるらしいんですよ。

で、この映画が何で作られたかというと、これね、監督のお婆さんがそういう感じの病気だったって言っていますね。監督はね、男の人っていうか、まぁあとで説明します、男の人でもないんですが、カーロ・ミラベラ=デイビスさんという人のおばちゃんが、まぁ強迫神経症というやつで手を洗い続けるという病気になっちゃったんですね。で、1日に石鹸を4個も使って洗うという・・4個全部消費しちゃうらしいんですよ。

(赤江珠緒)
あっそれは本当に相当洗ってますね、うん。

(町山智浩)
そう。だから手がボロボロになっちゃうらしいんですよ。で、精神病院に入れられまして1950年代だったんで、ロボトミーの手術をされてしまったっていう事があって。

(赤江珠緒)
うん。ロボトミー?

ロボトミー手術とは

(町山智浩)
ロボトミーというのがね、前頭葉って額のところにありますよね?それを目のところから金属の棒みたいなものを入れて、それでその前頭葉を破壊しちゃうんですよ。そうすると、意思とかが全部なくなって、ただご飯食べて「あー」とかしか言わない人になっちゃうんですね。

(赤江珠緒)
えーーーっ・・。

(町山智浩)
でもその頃ってそういう治療を例えばゲイの人にしたり、非常に気の強い女の人に対してやったりとかしてたんですよ。ケネディ家でもそういう人が1人いて、そういう目にあったんで、そこからアメリカではそのロボトミーが大変な事になって、これはひどい人権侵害だっていう事になったんですけれども、それまでは、1950年代は普通にやってたんですよ。

(赤江珠緒)
治療として?

(町山智浩)
治療として。この監督のおばあちゃんがそういう人だったらしいんですよ。で、「どうしてこうなったのか?」って聞いてみたら、非常に男尊女卑のおじいちゃんがあんまりいい人じゃなかったんですね、夫として。それで、押さえつけられてたんで、彼女は手を洗うという事に逃げ場を見出してたんですね。
だからストレスがものすごくてバーーッと抑圧が来ると、何らかの異常行動・・だから一番よくあるのは自傷行為ですよね?

(赤江珠緒)
んーそういう事ですね、うん。

引用:IMDb.com

心が痛いから体を痛める

(町山智浩)
心が痛いから、実際に肉体の痛みで心の痛みをごまかすんですよね。あれは普通に、僕なんかでもつらい事がある時とかは、グッっとこう握りこぶしを握って、爪で自分の体を傷つける事で一瞬その、嫌な事から逃れようとするみたいな事は誰にでもある事なので。唇を噛んだりしますよね?

(赤江珠緒)
あぁ・・はい。

(町山智浩)
だからそれの延長でこう・・異物を食べるという事があって。はい。だからこの監督はそこから持ってきたのと、あと、この監督は一時、女性だった事があるんですよ。この監督はね、20歳から24歳ぐらいまでの間、自分は実は男性じゃなくて女性なんだっていう風に考えて、そういう風に感じて、女性として生活してたんですよ。

で、今はどっちでもないって感じで、どっちにもなったりするらしいんですけど、その時は完全に女性として生活して女性の服を着て、エマっていう名前を名乗って。で、その時に相手が彼の事を女性だと思うと、すごくぞんざいに扱われたっていう経験があったりしたらしいんですよ。
だから、どこかに行っても順番が後になるとかね。人が話している時に、男同士で話してる時に、男同士だけで話して女の人をその話の中に入れないとか、そういう経験をすごくして、あぁこれだけ抑圧的なんだって事がわかったっていう。

(赤江珠緒)
はぁ〜・・実際に実体験として感じられたと。

女性に対しての抑圧を実感

(町山智浩)
感じられたと。だからそれを、彼がその今回、女性の抑圧でそういう異食症に走るという話を作ったんですけど、スタッフは殆ど女性なんですよね、これね。だからそのへんもね、彼自身も1回女性として4年生きてみたからわかったって言ってるんですよね。

(赤江珠緒)
そうですよね。だってこの映画のその家族の話もね、家族側からすると、そこまで悪気があってやってる事っていうか、そんな事も理解していないまま、なんか「赤ちゃん大事にして」とかって言ってただけの話かもしれないですもんね。

(町山智浩)
そう。だからね、この旦那が言うんですよ。「君には何でも与えている。」と。「好きな事をすればいいじゃないか。」って言うんですよ。「何が不自由させてるんだ?何が問題なんだ?」とか言うんですよ。

(赤江珠緒)
この彼女のこの問題点というのには全然気付けてないっていう事ですよね、周りがね。

引用:IMDb.com

プロがアドバイザーにつき作られた物語

(町山智浩)
気付けてないんですよ。で、自分自身として生きている感覚がないから、そういう事をして、また、その異物を食べて下から出すっていうのも一種の出産のシミュレーションみたいな事でやっていくんですよね。でね、色んな研究者の人達がアドバイザーについて、プロの精神医学の人達がアドバイザーについて作られた物語なんですけども、ただ、それだけ聞くと「じゃそこからどうするの?」って話になるじゃないですか。

(赤江珠緒)
確かに。

(町山智浩)
これね後半は、この主人公の奥さん、ヘイリー・ベネットさんという女優さんが演じてるんですけど、が、自分の存在を自分自身に取り戻すために戦い始めるんですよ。

(赤江珠緒)
えーーっ・・この状況から?

1人の女性の再スタートしようとする話

(町山智浩)
この状況から。で、彼自身がそうなってしまったっていう、非常に恐ろしい秘密を持っていまして。それと直面しに行くっていう話になってくるんですよ。だから1月1日からこれはキツいっていう人もいるでしょうけど、これは1人の女性の再スタートしようとする話なので。

(山里亮太)
なるほど・・!

(赤江珠緒)
そうなのか。そこまで聞くとちょっとね、希望が見いだせるもんね。

(山里亮太)
ちょっと怖かったもんね、最初入り口はやっぱ・・ええええって言う。

引用:IMDb.com

アメリカでは大論争

(町山智浩)
ただね、ラストがね、すごく・・彼女がする決断がアメリカでは大論争を呼んでるんですよ。だからそこまで含めて、まぁすごい考えさせる映画でね。これはすごいなと思いましたね。最初はただのホラーだと思って見ましたよ僕、わからなかったから。

(赤江珠緒)
あーーほんと。(笑)うん。

(町山智浩)
予告編を見るとただのホラーみたいなんで。それがね、今言ったみたいな問題をたくさんはらんでて、これはすごいなと・・。結構、今年のベストに入る映画ですね。

(赤江珠緒)
あぁそうですか。

(町山智浩)
でもなんか、誰でもストレスがある時って、おせんべいかじったりとかしません?ね!そういうものなんですよ。

(赤江珠緒)
そういうのの延長線上っていうかね、そういう事ですもんね。

(町山智浩)
そうなんですよ。だからそういうのって、本当に段階的なものだから。ね。誰にでもある事なんで。それこそ、男か女かだけでもないですよね。

(赤江珠緒)
うん、確かにね。

結構身近な問題でもある

(町山智浩)
だからね、結構身近な問題でもあって。彼女自身がそれをする事は一種の反乱でもあって。小さな反乱なんですよね。誰にもわからない。でもね、怖いのは途中からね、見張られて絶対に変なものを食べないようにって言われて、家の物を全部片付けられても、食べたくてしょうがなくなって・・っていうところとかすごい怖いんですよ。

(赤江珠緒)
えーっ!

(町山智浩)
探すんですよ、飲み込めるものはないか?って。そういうね、すごい映画がね、この『Swallow/スワロウ』だったんで。1月1日からですけども。まぁぜひご覧ください。(笑)はい。

(赤江珠緒)
そうですね。なんかちょっとすさまじい感じの中に、でも本当に誰にでもあるっていうストーリーなんですね。『Swallow/スワロウ』は来年1月1日から新宿バルト9などでロードショーという事でございます。
そうか。『82年生まれ、キム・ジヨン』とかね、町山さんに紹介していただきましたけども。ちょっと似てる感じ、しますね。

(町山智浩)
あれもね、だから男尊女卑の中で、だんだんおかしくなって人格が乖離してしまったんですけども、まぁ同じ事ですよね。『はちどり』とかもそうですね、あれは実際、腫瘍になるんですけども、男尊女卑の中でね、あの少女が。だからそういうのが非常に、つながってくる事だと思います。

(赤江珠緒)
はい。自分が自分として生きるために、という感じですね。。町山さん、ありがとうございました!

(町山智浩)
はい。どうもでした!

※書き起こし終わり


○○に入る言葉のこたえ

①スワロウは、吸い込むという意味

オススメ情報

↓↓みんなが読んでいる人気記事↓↓

【2024年】動画配信サービスおすすめランキングに注意!人気を無料や利用者数、売上で比較!徹底版

→【すぐわかる】動画配信サービスおすすめランキング【忙しいあなたへ】人気を無料や利用者数、売上で比較!簡易版

映画のレビューを書くと、あなたの好みの映画が見つかります!

解説レビューの評論家について

解説レビューの作品情報

この記事の著作者

映画好き🎬話題の映画や、無料で見られる映画、映画の見る前情報、見た後の映画解説など1サイトでぜーんぶ出来る映画ポップコーン🍿を広め隊🌸
アマプラ、Netflix、Disney+をよく見ます😋

似ている作品

町山智浩さんの他の解説レビュー

町山智浩さんの映画解説をもっと見る