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引用:IMDb.com

ノマドランドの町山智浩さんの解説レビュー

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2021年03月15日更新
もう物に縛られなくてもいいし、貯金する必要もないんですよ、もう。老後なんてないんだから。だったら、ドンドンでっかく生きた方がいいんじゃないのっていうメッセージにも聞こえてくるという、そういう映画なんですね。(中略)アメリカの景色ってのはスゴイですから。とにかく映像がものすごく綺麗で。もうね吸い込まれていくような映像なんですね、見てると。だからね、これは本当にスクリーンで見るべき映画なんですよ!!(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)
で、『ノマドランド』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。

映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『ノマドランド』解説レビューの概要

①2021年のアカデミー賞、作品賞にノミネートされるだろうと言われてる映画
②ワーキャンパーと言われるアメリカの高齢労働者の話
③○○○○○○がなくなる人がアメリカにはいっぱいいる
④高齢の車上生活者が○○○○○○で働く
⑤年金は大体600ドル。
⑥高齢×過酷な労働×車上生活。でも、意外な事に悲惨な話ではない。
⑦ノマドとは「遊牧民」「非定住民」「流浪の民」という意味
⑧もう物に縛られなくてもいいし、貯金する必要もない。

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

映画『ノマドランド』町山さんの解説とは

(赤江珠緒)
今日はなんでしょう?

(町山智浩)
今日はですね、『ノマドランド』という映画を紹介します!
これね、一応今年のアカデミー賞、作品賞にノミネートされるだろうと言われてる映画です!ただ今年アカデミー賞があるのかどうかよくない・・(笑)
もう全然作品が揃っていない状態なので、もしかしたら中止かもしれない。。

で、この映画はですね、ノンフィクションが原作で、これ日本でももう既に出版されてるんですけども、2017年に出版された『ノマド 漂流する高齢労働者たち』というハードなタイトルの本がありまして。これはね、「ワーキャンパー」と呼ばれる人達の話なんですね。ワーキャンパーていうのは「ワークキャンパー」の略なんですけども。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
キャンピングカーでアメリカ中を移動しながら、仕事をしているお年寄りの人達なんですよ。

(赤江珠緒)
高齢なんですか?

引用:IMDb.com

ワークキャンパーと言われるアメリカの高齢労働者の話

(町山智浩)
高齢なんです。皆さんだから60歳以上なんですけれども。この人達がすごくアメリカでは増えていて、非常に重要な労働力になっているんですよ、アメリカの。で、これをドラマ化したものなんですね。主人公を演じるのはフランシス・マクドーマンドという女優さんで、アカデミー賞をすでに2度取ってる人です。『ファーゴ』という映画で婦人警官を・・あ、ご覧になりました?

(山里亮太)
はい!

フランシス・マクドーマンド

(町山智浩)
あの雪深いミネソタの警察官をやってましたけれども、でその次に『スリー・ビルボード』という映画で娘が殺されて、その犯人を追うお母さんの役でまたアカデミー賞を取ってる人なんですけども。はい。

今回演じるのはですねファーンという女性で、この人が住んでいた街がなくなっちゃうところから始まります。

(山里亮太)
・・街がなくなる?

住んでいた街がなくなる

(町山智浩)
はい。あのね、アメリカってひとつの街の、ある工場があって、その工場の労働者だけで成り立っている街っていうのが結構あるんですよ。日本も田舎行くとありますけどね。で、その工場が閉鎖になったんで、その街自体の住民がいなくなっちゃんですよ。で、暮らしてた・・一緒に暮らしてた旦那さんも亡くなってしまって、で、要するに労働者がいなくなると住民がいなくなって、そうするとインフラとかも全部なくなっちゃう訳ですよ。

(山里亮太)
ふんふんふんふん。

(町山智浩)
電気とか水道とかね。もちろん食料品店とかもなくなるんで、そこに住む事ができなくなるんですね。で、もし家を持っていたとしても、その家の価値はゼロになりますよね。

(山里亮太)
そっかぁ・・。

引用:IMDb.com

住んでいた街がなくなる人がアメリカにはいっぱいいる

(町山智浩)
はい。1円にもならないんで、もうそこから出るしかないんですけれども、まぁそういう人が結構アメリカにはいっぱいいて、この間、僕ペンシルベニアの山奥に行ってきたんですけども、ペンシルベニアはね、石油とか石炭、鉄鋼所の街・・まぁ街というか州なので、あっちこっちにゴーストタウンがあるんですよ。

(赤江珠緒)
あぁそっかー・・。。

ゴーストタウン出身の人がワークキャンパーになっていく

(町山智浩)
街らしいものがあって、色んな、郵便局とか教会とかの跡があるんですけども、誰も住んでないっていう。そこにあった炭鉱がなくなったとかね、鉄工所がなくなったとかで、そういう所がいっぱいあるんですけど、まぁそういう所の1つなんですね。

で、そういう人がワーキャンパーになっていくんですよ。でもワーキャンパーで一番多いのは、歳を取って、ずっと低賃金で労働していて、家賃で払ってきたんだけれども、年金生活になれなくてワーキャンパーになる人が実際多いらしいです。

って言うのはね、この原作の方に出てくる主人公はリンダさんって人なんですけど、年金がもらえて、大体600ドルって言ってるんですよね。500ドルから600ドルで、だから5万円ぐらいなんですよ、月に。そうするとアメリカは今家賃がものすごく上がってるんで、家賃が払えないので暮らせないんですね。

(赤江珠緒)
そうですね。それだけではとてもね。。

(町山智浩)
はい。それでどうするのか?っていう事で、キャンピングカーないしはバンに、自分の寝る寝床を作って、そこで暮らすようになるんですよ。日本だといわゆる車上生活者というものになっていくんですね。

(赤江珠緒)
あぁ・・。

高齢の車上生活者がAmazonで働く

(町山智浩)
それで、うちの近所・・僕の住んでいるバークレーの公園とかにもいっぱいそういう車がずらっと並んでて。そこで暮らしている人達がいっぱいいるんですけど。で、そういう人達は、でも生活費は稼がないとなんないし、その駐車場のお金なんかも必要だし、水とかね。もあるんで、働いてるんですが、まずどこで働くかというと、Amazon(アマゾン)で働くんですよ。

(山里亮太)
Amazon・・?

(赤江珠緒)
ほぅ。えぇぇ。

(町山智浩)
はい。アメリカはAmazonの倉庫が家賃の安い荒野のど真ん中にいっぱいあるんですね。都会に近くなると高くなっちゃうから、もうなんにもない荒野にアマゾンの倉庫があって、そこに色んな物品が集まって、それをまぁ労働者の人達が指令通りに箱に入れて、送るっていうのをずっとやってるんですよ。
そこで働くんですね。

(赤江珠緒)
なるほど。

Amazonはワーキャンパーなしでは運営できない

(町山智浩)
で、Amazonは完全にこのワーキャンパーの老人達なしにはもう運営できない状態になっているんですよ現在。

(赤江珠緒)
そんなに主力になっているんですね、労働力という意味では。

(町山智浩)
はい。日本でもね、ご高齢者が、お年寄りがAmazonでかなり働いてる事がまぁテレビCMとかで放映されてますけども。ただ、この倉庫の労働っていうのはものすごくきつくてですね。毎日10時間ぐらい働くらしいんですけど。
その間、休みなし、立ったままですね、棚にある商品を指令通りに箱に入れるっていうのをずっと繰り返すんですよ。だから歩きっぱなしなんですね。1日にね、20キロぐらい歩くらしいんですよ。多い時は。

(赤江珠緒)
うわぁそれはキツいなぁ・・。

引用:IMDb.com

過酷な労働環境

(町山智浩)
だからもう体中、アチコチおかしくなってくるらしいんですね。座る事は殆どできないので。で、まぁそういう労働をしながら、僅かなお金を稼ぐんですが、Amazonはそういう人達のために駐車場をタダでですね、使わせてるんですよ。だからその人達に一番必要なのはキャンピングカーを置く駐車場なんで、でアマゾンにはもうその人達がバーッと集中すると。

で特にその、アメリカではもうすぐサンクスギビングデーという感謝祭なんですけど。その時に1番物を買うんですよアメリカ人って。ブラックフライデーと言われてるんですが、感謝祭明けの金曜日にものすごく物を買うんですね、その年の最後の買い物っていう事で。それとクリスマスのプレゼントのシーズンは、Amazonはこのワーキャンパーの老人達でフル回転してるんですよ。

(赤江珠緒)
うん。

春と夏はキャンプ場

(町山智浩)
それが終わると今度は、Amazonの仕事はなくなるので、このワーキャンパーの人達は全米に散らばるんですね。で、春と夏はまぁ結構仕事があって。それはキャンプ場なんですよ。アメリカってすごく各地に国立公園があって、素晴らしい景色の、グランドキャニオンとかご存知のようにね。で、そういう所にキャンプ場がいっぱいあるんですけど、そこで働くんですよ、ワーキャンパーの人達は。

(赤江珠緒)
うん、うん。

(町山智浩)
で、そういうキャンプ場ってトイレが水洗じゃないから、トイレ掃除が大変なんですが、まぁトイレ掃除をしたりね、キャンプファイアーの後片付けしたり、それをずっとしていくんですけど。まぁものすごく過酷で、低賃金なんですけどね。

で、今度、秋になるじゃないですか。

(赤江珠緒)
はい。

秋は収穫

(町山智浩)
秋になると今度は収穫なんですよ。色んなその・・作物が取れますよね。果物が多いですけども。ブドウであったりブルーベリーであったりね。・・ブルーベリーは違う季節かな?
まぁ大体春から秋にかけては収穫があるんで、アメリカ中を回って、色んな物を摘みに行ってるんですね。まぁそれも結構腰が痛かったり、手でやるから大変なんですけども。そうやって暮らしている人達がいっぱいいるんですよ。
で、人口的にはちょっと分からないんですけれども、この本が出た時の調査だと、アメリカの老人で、リタイヤ後ですね、つまり60歳から65歳ぐらいを過ぎた後に、こういう労働をしないで暮らせる人のパーセンテージが17パーセント以下。らしいです。

(赤江珠緒)
んんんん・・厳しいな・・。

引用:IMDb.com

殆どの人が老人になっても働き続けないといけない

(町山智浩)
そう。だから殆どの人が日々の生活を支えるために働き続けないとならないんですね、歳取っても。で、それは年金がものすごく安いからなんですよ。

(赤江珠緒)
そうですね。

(町山智浩)
でね、多くは女の人。女性の方が年金が安いんですね。やっぱりその、年金ってそれまでに働いてきた額と関係してますんで、日本の人も安いですよね、女性の方がね。年金をもらう額は。それでいて、女性の方が生き残っちゃうんですよね。

(赤江珠緒)
そういうケースがまぁ多かったりしますね、平均寿命でもね。

女性の方が年金が安いのに生き残る

(町山智浩)
男性の方が先に死んじゃうんで。しかもその、男性なんかはそれまで働いてた経験とかを生かして働く事ができたりしますけども、女性の場合にはそれも難しいと。いう事で、非常にその女性のワーキャンパーの人達がアメリカでは増えていて。

日本だとまぁ車上生活してる人は女性はそんなに多くないでしょうけど、車上生活って増えてますよね、日本でも。ご高齢の。

(赤江珠緒)
そうなんですね。

(町山智浩)
はい。そういう風に聞くと、ものすごく悲惨な話のように聞こえるでしょう?この映画。
・・・そうじゃないんですよ、それが。

(山里亮太)
えっ!?

悲惨な話・・?いいえ、そうではない!

(町山智浩)
この主人公の女性はずっと1つの田舎町で、工場の街で働いてきて、初めてこれでアメリカ中を回る事になったんですよね。アメリカは本っ当に広いですから、殆どそれを知らないで死んでいく人も多いんですよ。

ところが、目の前にものすごい巨大な世界が開けて、新しい生活に入っていくんですね。だからね、このワーキャンパーの人達は、確かに生活はギリギリなんですけれども。例えば車が故障したらそれを修理するお金がないんですよね。それで病気になっても病院に入るお金もないんですよ。だからもう本当にギリギリの綱渡りはしているんですけれども、その一方で何も頼るものがないからこそ、逆に完全な自由になってるんですよ。

(山里亮太)
はーー!

引用:IMDb.com

ボブ・ウェルズというワーキャンパーの1人

(町山智浩)
でね、ボブ・ウェルズというワーキャンパーの1人がですね、一種の教祖様のようになっていて、ワーキャンパーの人達の間で。で、我々はずっと、お金であるとか、将来とか、老後というものに縛られて働いてきたと。お金のために働いて、老後、老後、老後って事で働いてきたんだけども、今何もかも失ってしまったと。なんにもなくなってしまったと。車以外には。それで私達は、それから縛られなくなった。って。

(赤江珠緒)
あぁ考え方を変えるとね!

(町山智浩)
そう。縛られてきたじゃないかと。でも私達にはもう老後はないんだと。もう老後だし。そのために金を稼ぐ必要もないんだ。自由じゃないか、これを楽しもうじゃないか!っていう事を言い出したんですね、ボブ・ウェルズっていう人が。

で、その人が実際にこの映画に出てるんですよ、おじいちゃんですけどね。で、そのワーキャンパーを集めた集会とかもやってるんですよ。そこでみんな歌ったり踊ったりね、しながら、老人達が楽しむんですよ。だから、それまで知らなかった新しい世界と今まで触れ合わなかった大自然の中にですね、入って行って、そこで生きていくという新しい人生を歩み始める話になってるんですよ。

(赤江珠緒)
はーー!まぁ冒険心という意味ではすごく満たされますよね。
日々違う所に暮らせるっていうのもありますしね。

とにかく映像がものすごく綺麗

(町山智浩)
そうなんですよ。しかもまぁアメリカの景色ってのはスゴイですから。この映画ですね、とにかく映像がものすごく綺麗で。もうね吸い込まれていくような映像なんですね、見てると。だからね、これは本当にスクリーンで見るべき映画なんですよ!!

(赤江珠緒)
あぁ〜、なるほど。

監督は中国の女性、クロエ・ジャオ監督

(町山智浩)
本当に大スクリーンで見ないと意味がない映画なんですけど、その景色の中に溶け込まないとならないので。で、これ監督はですね、中国の人です。中国出身の女性で、この人はクロエ・ジャオという女性なんですけどもね。彼女もですね、広大な中国からアメリカに渡ってきた人なんですよね。で、本当に美しくアメリカの景色を撮られてるんですけれども、すごく面白いなと思ったのが、この今アメリカでワーキャンパーをやって、アメリカ中を渡り歩いてる人達って大体60歳から70歳ぐらいですね。
その人達の若い頃は、やっぱり旅がブームだったんですよ。いわゆるヒッピーの世代ですよね、団塊の世代ですからね。60、70代っていうと。

(赤江珠緒)
あぁーそっか!はい。

引用:IMDb.com

ヒッピーの世代

(町山智浩)
で、その頃ってアメリカ中の若者が家を飛び出して、アメリカ中を回っていた時代ですよ。まぁ映画とかで見た事あると思うんですけども、ヒッピーの人達がヒッチハイクしてね、若者達が。それとかフォルクスワーゲンのバンに乗ったり、それこそイージー・ライダーみたいなバイクに乗ってアメリカ中を回ってた人達なんですよ。だから、その人達がまた歳を取ってまた同じような、結局、彼らが夢見たアメリカを旅するという生活に戻って行ってるとも言えるんですね。

(赤江珠緒)
へぇ〜!

ノマドとは「遊牧民」「非定住民」「流浪の民」という意味

(町山智浩)
で、もっと大きい視野から考えると、アメリカに来た人達って全員、このノマドってタイトルになってますけどねね、ノマドっていうのは「遊牧民」とか「非定住民」とか「流浪の民」っていう意味ですよね。
家を持たない、定住をしない人達なんですけど、アメリカって、ムリヤリ奴隷として連れてこられた黒人以外は皆そういう人なんですよ。そういう人達の子孫なんですよ。

(赤江珠緒)
うん、うん。

(町山智浩)
で元々ヨーロッパの方に暮らしていて、殆どが農民で、土地に縛られて生きていた人達が、貧しい農家の人達が、アメリカに夢を見て、約束の地だと信じて渡ってきたんですよね。財産とか全部売っ払って親戚からお金を集めてね、どんな国かも分からないのに英語もしゃべれないのに、ロシアとかチェコとかアイルランドとかから奥さんと2人だけとか子供を連れてね、アメリカに渡ってきたんですよ。何ができるかもわからない、英語もできないのにね。そういう人達の子孫なんですよ、元々アメリカ人ってみんな。でね、先住民もそうですよ。

(赤江珠緒)
先住民・・?

(町山智浩)
アメリカ先住民って中国から渡ってったんですよ、シベリアとか。

(赤江珠緒)
あぁ、遡ればそうなりますか!うん。

(山里亮太)
へぇ・・!

アメリカ人のDNA

(町山智浩)
アジア人ですからね、インディアンの人達って、先住民の。彼らも何も、アメリカなんて・・要するにベーリング海峡を渡った訳ですけど、その先に何があるのかもわからないのに、ねぇ。旅をして行ったんですよ。この先に何かあるかもしれないっていう事でアメリカに渡ってきた人達なので。

元々、アメリカ人のDNAには、アジア人だろうと、ヨーロッパ人であろうと、勇気あるノマドの血が流れてるんですよ。で、結局一時的には定住したけども、そこには何もなかった、アメリカンドリームっていうのは家を持つ事だったんですけども、本当のアメリカンドリームっていうのはこの広大なアメリカを自由に旅する事がアメリカンドリームだったんじゃないかという話になってきているんですよ。

(赤江珠緒)
わぁ〜〜〜・・非常に哲学的!へぇー!

引用:IMDb.com

本当のアメリカンドリーム

(町山智浩)
そう。本当のアメリカンドリームを逆に掴んだ事になるんじゃないかと。この広大なアメリカを全部自分の家にする訳ですからね。家がないっていう事は、全てが家なんで。

(赤江珠緒)
そうですね、全部自分の庭だと。

(町山智浩)
そう。でも僕もそういう人なんでね。(笑)だって僕いきなりアメリカに行って住んでる訳ですけど。それまでもずっとアメリカ各地を流れ者してて。

(赤江珠緒)
まさに「アメリカ流れ者」ですもんね、タイトルもね。

(町山智浩)
そうなんです。で子供が生まれたから家を買って住んでますけど、ここに。でも、子供も出ていっちゃったら、またここにいる理由はなくなるんですよね。

(赤江珠緒)
そうか。町山さん、どこにでも住もうと思えば住めるんだ!ね。

アメリカンドリームを夢見て来た中国の人

(町山智浩)
どこでも行く人なんで。今までも来たんでね。だからアメリカってそういう所なんだなっていうのがね、よくわかる映画なんですけど。ただね、作ってる人が中国人だったりするのも面白いんですね、そのアメリカンドリームを夢見て来た中国の人なんですよね。

(赤江珠緒)
はい。

(町山智浩)
でね、これすごく僕自身も見てて考える所があって。歳を取っていくと、ドンドンドンドン小っちゃくなっていくじゃないですか、生き方が。行動範囲が狭くなっていくでしょう?
ね。でンドンドンドン小っちゃくなって死んでいくじゃないですか。なんで?って思うんですよ。もっとデカく生きればいい・・ドンドンドンドン、デカくなった方が良くない?

(山里亮太)
はーー・・

(赤江珠緒)
はい!

歳を取るにつれて大きくなる

(町山智浩)
この人達ね、歳を取るにつれて、ドンドンドンドン行動範囲がデカくなっていって、でどドンドン、若返っていくんですよ。

(赤江珠緒)
あぁでもそれはたしかに!物を持てば持つほど、動きが取りづらくなるという所ありますね。

(町山智浩)
そう。そうなんです。で、もう子供もみんな大人になっちゃってるから、責任がない訳ですよ。もう物に縛られなくてもいいし、貯金する必要もないんですよ、もう。老後なんてないんだから。だったら、ドンドンでっかく生きた方がいいんじゃないのっていうメッセージにも聞こえてくるという、そういう映画なんですね。はい。それがね、『ノマドランド』という映画で。

まぁだんだんその物質に囲まれて生きてた現代人達が、どんどん物質を剥ぎ取られて、何もかも、車以外なんにもなくなっちゃうんですから、持ってる物が。お金もなくなっちゃうんですから。で、ドンドン大自然に近くなっていく。溶け込んでいくようにして死を迎えていくというね。これは逆に正しいのかなって思えてきましたね。

(赤江珠緒)
へぇ〜〜!!そうなのか・・、うん。

(町山智浩)
ただ!この映画はやっぱり大スクリーンで見ないとそれがわからないっていうね。(笑)ところなので、日本公開・・はたぶん来年ですけれども。

(赤江珠緒)
そうですね。(2021年)1月公開予定ですね。

(町山智浩)
はい。もうぜひ、大スクリーン・・劇場の大スクリーンで、この大自然に溶け込んで見て頂きたいなと思います!

(赤江珠緒)
は〜我々もなかなかそういうね、広い場所に行く機会も今減ってるから映画の中だけでもね。ちょっと見たいですね・・!

(町山智浩)
コロナで籠ってますからね。

(山里亮太)
確かに。

(赤江珠緒)
わかりました!町山さん、今日は『ノマドランド』をご紹介頂きました。ありがとうございました。

(町山智浩)
どうもでした。

(山里亮太)
ありしたっ!

※書き起こし終わり


○○に入る言葉のこたえ

③住んでいた街がなくなる人がアメリカにはいっぱいいる
④高齢の車上生活者がAmazonで働く

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