ファーザーの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)
で、『ファーザー』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『ファーザー』解説レビューの概要
①『羊たちの沈黙』でレクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスが認知症のお父さん役を演じる
②認知症を、老人の視点で内側から描く珍しい作品
③短期記憶が失われ、○○○○○のような怖さがある
④アンソニー・ホプキンスさんが認知症の研究で参考にしたのは自身のお父さん
⑤認知症の方の不安をわかってあげる為にも見ておいたほうが良い映画
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
『ファーザー』町山さんの解説と評価とは
(町山智浩)
今回ですね。紹介する映画は、このゴールデングローブ賞でも作品賞と主演男優賞、助演女優賞、脚本賞にノミネートされていた映画で、『ファーザー』という映画です。
これ日本では5月14日かな?5月14日に日本公開予定ですけども、『ファーザー』、お父さんですね。
で、主演は、アンソニー・ホプキンス。はい。『羊たちの沈黙』の。
(赤江珠緒)
はい!!
(町山智浩)
そう!レクター博士ですよ。もう取ってますけど、それでアカデミー賞ね。で、今回は彼も83歳なんですけども、お父さんの役で、認知症になっちゃった老人の役なんですよ。
(山里亮太)
へぇ〜・・!
レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスが認知症のお父さん役を演じる
(町山智浩)
で娘と2人暮らしをしてるんですけども、認知症が進んでいって、どんどん記憶がなんというか、こう短くなっちゃうんで、その複数の日が繋がっていくんですよ。だからちょっとした記憶しかないんだけども、記憶が断片的に、しかも連続していくっていうのをその老人の視点から描いてるんですね。
(赤江珠緒)
ほぉ〜〜!うん。
(町山智浩)
だから観客に認知症の老人はどういう風に世の中が見えていくのか?どういう風に時間感覚があるのかというのを体験させられる映画です。
(赤江珠緒)
そっち視点っていうのはあんまり今までなかったですね!ありそうでなかった!
老人の視点を内側から描く
(町山智浩)
はい。完全に老人の側の視点になっています。はい。
で要するにある部屋に入ったんだけど、その部屋に入った理由を忘れちゃうんですよ。例えば。
(赤江珠緒)
はぁ〜〜、うんうんうん。
(町山智浩)
で、何をしたいのかがわからないだけじゃなくて、そこにいた人が誰だかもわからなくなるんですよ。で、「娘だっけ?」みたいな話になるんですけど。娘もわからなくなって来るんですね。「この女の人誰だっけ?」って言うと「娘よ」って。「あれ?えっ?娘さっきと違うけど?」みたいな。
(赤江珠緒)
うん?うーん。そうか、そういう事か。感覚として。
(町山智浩)
そういう事なんですね。飛んじゃうんですよね。
(山里亮太)
それどうやって映像で表現しているんですかね?
数日間の出来事が飛び飛びで繋がってしまう
(町山智浩)
ほんと、繋いじゃうんですよ何日か、数日間の出来事を飛び飛びで。
(山里亮太)
はぁ〜〜・・。
(町山智浩)
で家だと思ってドアを開けると病院の部屋にいたりするんですけど、その間の記憶がないんですよ。短期記憶が失われるんで。
(山里亮太)
はーーー!
(赤江珠緒)
わーっ!それって怖い事ですね!
もはやホラー映画
(町山智浩)
これねホラー映画ですよ、殆ど。全然知らない人がいたり。「あなたは誰ですか?」とか言うと、「いや、娘さんの彼氏ですけど。」とか言って。「本当ですか?」とか言って。「本当ですよ!」って言うんですけど、信じられないんですよ、記憶がないから。そういう怖ぁい感じなんですよ。
(山里亮太)
へーーっ!
(赤江珠緒)
ふうん・・!!
(町山智浩)
これはねぇ・・やっぱり本当に・・外側から見てる映画って一杯あったんですけど、認知症を。でも内側から見るっていうのはね、本当に珍しい映画だと思いますこれ。
(赤江珠緒)
確かにそうですね。。
アンソニー・ホプキンスさんにインタビュー
(町山智浩)
はい。それで僕アンソニー・ホプキンスさんにインタビューしました!はい。自宅でステイホームやってて、ハリウッドの方の家でね。でね、やっぱり不思議ですよ。こんな、もうすごいスーパースターの俳優の自宅を見ながらインタビューをするって。(笑)すごい変な感じですね。
(山里亮太)
すご!!やっぱりちょっと映ってる家ってすごいなぁ・・!って感じなんですか?
(町山智浩)
あのね、海辺のオシャレな家でしたよ。はい。庭が見えて。でもね、アンソニー・ホプキンスさんはね、「ボケると困る。」って自分で言ってて。それでピアノを弾いたりですね、猫と遊んだりするのをガンガンにネットで中継してる人なんですよ。
(山里亮太)
へー!!
アンソニー・ホプキンスさんのボケ対策
(町山智浩)
はい。ピアノがすごい好きなんですけどね。だからまぁ、とにかく人から見られなくなると、やっぱりほら、だんだんなんて言うか、気合が入って来なくなっちゃうじゃないですか、見られないと。
(山里亮太)
あーーなんか言いますよね、それね。
(赤江珠緒)
まぁそうですよね。うんうん。
(町山智浩)
ね。だからワザと見られるようにして、まぁボケけたりしないようにって事で頑張ってるという風に言ってましたけどね。
で、今回演じたのはどういう形で認知症を研究したんですか?みたいな話を聞いたら、まぁお父さんという事でしたね。まぁ自分の。。
(赤江珠緒)
へぇ〜〜!ご自身のお父様が?
アンソニー・ホプキンスさんが認知症の研究で参考にしたのは自身のお父さん
(町山智浩)
「自分のお父さんを演じてる感じになった。」って言ってましたね。はい。で非常にそのへんは泣ける話なんですけど、同時にやっぱり非常に怖い映画でしたね。僕も本当に最近、記憶力が落ちてきて。(笑)
もう、「さっき、その話したよ!」とかね、娘に言われるんですよ。(笑)
(山里亮太)
あれ?(笑)
(町山智浩)
それさっき聞いた、とか言われて。言った事を忘れちゃうんですよ。
(赤江珠緒)
そうか・・そういう事、増えてきますもんね、やっぱり。
(町山智浩)
増えてくるんですよ。これ怖いんですよ。
(山里亮太)
そっか・・そういうのわかるんだ、見ながら、「こうなるんだ!」みたいな。
認知症体験ができる映画
(町山智浩)
そうそう、だからそれをね、体験しておく為にもこの『ファーザー』っていう映画は非常に重要な映画なんだろうなって思います。
(赤江珠緒)
そうですね!なんかそういうこう認知症の人と接する時にも、こういう風に見えてるから、こういう反応になるのかっていうのもね、経験しないとわかんないですもんねぇ。
(町山智浩)
うちはね、向かいのお爺さんがね認知症になって、それで時々うちに来たりしてたんですけど。何ですか?って言うと、「ワシの車が盗まれたんだ!」とか言ったりするんですよ。あのね、誰かに物を盗まれたっていう事をすごく妄想する事が多いらしいんですよ。
(赤江珠緒)
へぇ〜〜。
(町山智浩)
認知症になると。それで「警察を呼んでくれ!」とか言われたりね。結構大変だったんですよ。
(赤江珠緒)
でもそうやって、内面から見ると確かにこう世界が飛んでいったり、訳が分からない事があると、常に不安っていうのはあるから。やっぱりそういう心理になるのかもしれないなぁ。
(町山智浩)
そうなんですよ。そういう人の不安をね、わかってあげるためにも見ておいた方がいい映画かなと思いました。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
③短期記憶が失われ、ホラー映画のような怖さがある
でした!