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引用:IMDb.com

ラ・ラ・ランドの町山智浩さんの解説レビュー

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2021年05月31日更新
本当にね、最高に楽しくて、最高にカラフルで、最高にロマンティックで、最高に切ない映画でしたね。もう本当にどんな人でも見れる、1人で行ってもいいし男も女も。女性同士、男性同士で見ても全然おかしくないし、ご家族連れでも見れて、もう最高ですよ。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)
で、デイミアン・チャゼル監督の、『ラ・ラ・ランド』(英: La La Land)のネタバレなし解説レビューを紹介されていましたので書き起こしします。

映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さんアス『ラ・ラ・ランド』解説レビューの概要

①町山さん大絶賛のアカデミー作品賞にもっとも近い映画です。
 ※結果は○○・・!
②多くの名監督がハリウッド式ミュージカルの再生、復活に挑戦し失敗し、ある人は映画界通報、ある人は会社が潰れるまでになったが、ララランドは見事、ハリウッド式ミュージカルの再生、復活に成功した。
③ラ・ラ・ランド、最後にはすさまじいスケールで大スペクタクルが展開する!

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

(町山智浩)
はい、今日はですね、先ほど、アメリカ時間の、先ほど発表になりましたゴールデングローブ賞。アメリカのハリウッドの外国人映画記者クラブによるですね、今年最高の映画という事でですね、ノミネートがあったんですが、そこで7部門を独占している、7部門に候補になっている『ラ・ラ・ランド』という映画を紹介します。

映画「」のポスター

(赤江珠緒)
おおっ、7部門で!

(山里亮太)
すごいなぁ・・。

ゴールデングローブ賞、7部門候補の『ラ・ラ・ランド』

(町山智浩)
はい。作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚本賞ほかまぁ計7部門なんですね。で、これはアカデミー作品賞にもっとも近い映画です。

(山里亮太)
大本命!

(町山智浩)
大本命です!はい!で、『ラ・ラ・ランド』というこの映画を僕はトロント映画祭で9月に見たんですけれども、トロント映画祭では観客賞をとりましたね。

(赤江珠緒)
そうか、その時も町山さん絶賛されてましたもんね!

(町山智浩)
はい!本当にね、最高に楽しくて、最高にカラフルで、最高にロマンティックで、最高に切ない映画でしたね。

(山里亮太)
へー・・すごいね!

(赤江珠緒)
いいですね!

引用:IMDb.com

最高に楽しくて、最高にカラフルで、最高にロマンティックで、最高に切ない映画

(町山智浩)
もう本当にどんな人でも見れる、1人で行ってもいいし男も女も。女性同士、男性同士で見ても全然おかしくないし、ご家族連れでも見れて、もう最高ですよ。

(赤江珠緒)
なんかロマンティックで楽しい映画っていうのがあんまり最近賞をとっていないようなね、印象ありましたけども。

(町山智浩)
最近はだからもう、ロボットが出てきて暴れたりビルがぶっ壊れたりする映画ばっかりなんでね。(笑)

(赤江珠緒)
ふふふ。

エマ・ストーン

(町山智浩)
もう本当にもう、「あっ、映画だ!」っていう感じでしたよ。「これが映画だ!」っていう感じでしたね。で、これ『ラ・ラ・ランド』という話はですね、主人公が2人ですね、ヒロインはミアという女の子で、まぁオーディションに片っ端から行ってるんですけど全然オーディションに受からない女優志願の女の子です。これを演じるのが『アメージング・スパイダーマン』でヒロインをやっていたエマ・ストーンという、ものすごい目玉の大きい女の子なんですけども。

(赤江珠緒)
エマ・ストーン。はい。

(山里亮太)
キレイな方!

演技派俳優ライアン・ゴズリング

(町山智浩)
それで、彼氏の方、男の方がですね、ライアン・ゴズリングという。ライアン・ゴズリングといえば、『ドライヴ』で最高にかっこいいですね、ドライバーを演じたり、あと『ブルーバレンタイン』で、ほら。最初はイケメンなのに太ってハゲてしまうパパの役をやっていましたけども。それですごい演技派ですよ、なんでもできる人ですね。このライアン・ゴズリングは売れないジャズミュージシャン。ジャズのピアニストなんです。

(赤江珠緒)
はい。

(町山智浩)
この2人がスターを目指してハリウッドで暮らしている2人なんですね?で、この2人が出会って恋に落ちて、という物語が『ラ・ラ・ランド』なんですが。『ラ・ラ・ランド』というのは『La La Land』と書くんですよ「LA」っていうのはロサンゼルスの事ですよね?だからロサンゼルスの事を別名「ラ・ラ・ランド」とも言うんですね。

(山里亮太)
へーそうなんだ!

引用:IMDb.com

ロサンゼルスの事を別名「ラ・ラ・ランド」

(町山智浩)
はい。ただね、これにはちょっと悪い意味みたいなのがあるんですよ。つまりロサンゼルスに住んでいる人たちはみんなこの主人公たちみたいに、スターになる夢を見ているんですよ。で、彼女はラ・ラ・ランドに住んでいるんだっていうのはね、彼女は夢見がちなんだ、現実を見ていないんだっていう意味があるんですよ。

(赤江珠緒)
はー・・へー・・

(町山智浩)
だから”ラララ~♫”みたいな感じだね、彼女の頭の中はっていう言い方なんですよ。

(山里亮太)
あ〜ご陽気だねっみたいな。

ハリウッドのウェイトレスやウェイターの人はイケメン

(町山智浩)
そうそう。で、実際にね、ハリウッドに行ってテレビ番組とか撮影している時に、スタッフなんかと一緒にレストランとかカフェに入るじゃないですか。そうすると、ウェイトレスの人とかウェイターの人とかがみんなすごいイケメンなんですよ。イケメンとか美女なんですよ。普通のレストランとかでもね?
で、僕らはカメラを持っていたりするじゃないですか、カメラマンが。そうすると、「撮影してるの?」って聞くんですよ、ウェイトレスの人とかが。「もし、なにか撮る事があったらちょっと私の事を思い出したりしてください」って名刺をくれるんですよ。

(山里亮太)
うわっ!みんなそっか!それを夢見てバイトしてるから!

(町山智浩)
そうなんです。みんなオーディションとか受けまくっているんですけど、なかなか目が出なくて、そこでウェイトレスとかをやっているんで、僕らはカメラを持っているとすぐに名刺を置くんですよ。で、この主人公のそのエマ・ストーンもそういう子で、ワーナー・ブラザース撮影所のコーヒーショップで働いているんですね。

(山里亮太)
なるほど。

『ラ・ラ・ランド』オープニングがすごい

(町山智浩)
はい。これは実在する店なんですけど。で、その夢を見てる、夢に向かっている2人の恋物語なんですけども。まずこの映画ですね、1番オープニングがすごくてですね、ロサンゼルスのフリーウェイってあるんですけど、まぁ高速道路ですね。そこで車が渋滞になるんですよ。

(山里亮太)
はい。

(町山智浩)
で、ロサンゼルスっていっつも渋滞しているんですよ全ての道路が。で、渋滞してみんな詰まっててて、クラクションを鳴らしたりしていると、そのうちにもう全然動かないんで頭にきてドア開けて車を降り始めるんですね、乗っていた人たちが。

(赤江珠緒)
ふんふん。

(町山智浩)
そこから全員が踊りだすんですよ、一斉に。

(赤江珠緒)
踊りだす??

(町山智浩)
100人ぐらいの人たちが、渋滞している高速道路で踊りだすんです、車の上に飛び乗ったりして。これ、本当にロサンゼルスで道路を封鎖して撮影しているんですよ。

(山里亮太)
へーー!!!

引用:IMDb.com

ロサンゼルスに対するラブストーリー

(町山智浩)
で、この映画、まず1つはは『ラ・ラ・ランド』っていうロサンゼルスに対するラブストーリーなんで、オマージュなんで、ロサンゼルスの48ヶ所で実際にロケーションをしているんですよ。それがもう、本当に美しいんです。夢のように撮られています。「夢の国」なんで。

(山里亮太)
はぁーなるほどぅ!

(赤江珠緒)
へー!まず画像が美しい?はい。

(町山智浩)
はい。写真があると思うんですけどそこに。エマ・ストーンたちが友達の女の子同士で4人でドレスで歩いている写真ありませんか? 

(山里亮太)
ありまっす!

(町山智浩)
ドレスの色が綺麗でしょう?

(赤江珠緒)
たしかに、ドレスがカラフル!はい!青と赤と黄色ってね。

ミュージカル映画の色使い

(町山智浩)
そう。原色で。これは、昔の1950年代60年代の、ミュージカル映画の色使いなんですよ。っていうのはその頃ね、まだね、多くの映画がモノクロだったんです。で、大作だけがカラーで撮られていたんですよ、お金をかけた映画だけが。カラーで撮るとカラーが珍しいからとにかく徹底的に衣装とかインテリアとかをレインボーカラーにするんですよ。

(赤江珠緒)
天然色みたいなね。

(町山智浩)
そうそうそう。その当時の映画は総天然色とか言って、だからせっかくカラーなんだから、色も全部綺麗にしましょうって、ドレスとか全部綺麗なんですよ。スーツも、その頃の映画って、普通だったら絶対に着ないようなスカイブルーのスーツとか、黄色いスーツとか紫のスーツとかを着ているんですよ、その頃の映画の人たちって。それはカラー映画だからもったいないから色をいっぱい使おうっていう事なんですね。(笑)

(赤江珠緒)
そういう事かぁ。

(町山智浩)
そのカラーになっているんです、この映画は。

(赤江珠緒)
じゃあやっぱり結果色がすごい色んな所に散りばめられて、美しいですねそれだけでも。

とにかく楽しい楽しいジャズ

(町山智浩)
ものすごい綺麗なんですよ。もう本当に夢を見るような感じなんですよ。はい。でね、また音楽がいま後ろで流れているのはこの映画のサントラなんですけども、主人公はジャズピアニストなんで、一応ジャズなんですけど、すごくおしゃれでダンサブルでポップなジャズなんですよ。こう、とにかく楽しい楽しいジャズなんですね。

(赤江珠緒)
確かに美しい、この曲も。

(山里亮太)
なんかね、優雅な。

(町山智浩)
はい。これはね、要するにフランスミュージカルの音楽に近いんですよ。1950年代にアメリカではそのミュージカルの黄金時代が来るんですね?で、それに影響されて1960年代にフランスでミュージカルが作られるんですよ。あのハリウッドミュージカルに捧げる形で。で、1番有名なのは『シェルブールの雨傘』という映画なんですね、1964年の。これなんだかわかります?

(赤江珠緒)
はいはいはい、カトリーヌ・ドヌーヴ。

引用:IMDb.com

オマージュがところどころに

(町山智浩)
これ素晴らしいんですよ、最初にいろんな色の雨傘が出てきて、傘がダンスを踊る所から始まるんですけど。で、その色使いとか、そのポップなジャズのイメージをこの映画に持ち込んでいるんですよ。で、『ロシュフォールの恋人たち』っていう続編もあるんですけど、そちらの方もものすごく色が綺麗なんですよ。で、なお且つその50年代ミュージカルのオマージュもありまして、これ写真があるかと思うんですけども、エマ・ストーンとライアン・ゴズリングが2人でダンスしているシーンがあるんですね?これが、1950年代にフレッド・アステアというミュージカルの大スターが出演した『バンド・ワゴン』という映画がありまして、その中でセントラルパークでダンスするシーンへのオマージュなんですよ。

(赤江珠緒)
へぇー。

(町山智浩)
ただ、この映画が面白いのはミュージカルってみんなバカバカしいと思うじゃないですか。

(赤江珠緒)
ちょっととっつきにくいかな?みたいな。

(山里亮太)
そうそうそう。

(町山智浩)
そう。突然踊りだすでしょ?だって普通に話していると。ねえ。それ自体をギャグにしているんですよ。

(山里亮太)
あっ!あそうなんだ!

ライアン・ゴズリングと、エマ・ストーンのタップダンスシーン

(町山智浩)
でこれ、突然タップダンスを踊るんですね、2人が。ライアン・ゴズリングと、エマ・ストーンが。その時にね、鞄になぜかタップシューズを持ってきてて、それまで履いていた靴を脱いで、タップシューズに履き替えてから踊り始めるんですよ。

(赤江珠緒)
ははははは。(笑)

(町山智浩)
だから段取りを見せちゃってて、この辺はギャグなんですよっていう所をちゃんと見せている所がすごく面白いんですね。

(山里亮太)
なるほど!そうか、ミュージカルとか難しいかな?とか、ちょっと音楽とかを色々知っておかないと無理かな?とかって思っていたんですけど。

(町山智浩)
いや、もう全然そういう所はないんですよ。とにかく、どれも楽しい楽しい曲にしてあるんで、はい。ただね、この映画のすごい所は、そこからどんどん深い話に入っていくんですよ。で、彼らは要するに夢を見ている人たちじゃないですか。いつか成功する、俺のやっている事は正しいんだ、俺の音楽は素晴らしいんだ。と思っている訳ですね。でもやっぱり、現実にぶつかっていくんですよ。

(赤江珠緒)
うーん。

ラブストーリーあるある

(町山智浩)
で上手くいかなくなっていくんですよ。で最初は2人で恋に落ちてもう、超楽しいんですけど。あっ楽しい所もすごくてですね、2人が最初はなんかいがみ合ったりして上手く行かないんですよ。すれ違いとかあって。

(赤江珠緒)
ありがち。ラブストーリーの。いいですよね。

(町山智浩)
そうなんですよ。で、オーディションに落っこったりしているし、彼はジャズミュージシャンとして認められないし。でも、そこで2人で「実は好きなんだ」っていう事を言った瞬間にですね、グリフィス天文台っていう天文台があるんですね。ハリウッドの見下ろす丘に上にね。でそこで、天文台で2人が初めて互いの気持ちがわかりあった瞬間に、その天文台にあるプラネタリウムの中を2人が踊りながら上昇していくんですよ。

(山里亮太)
上昇?

(赤江珠緒)
ほー!

(町山智浩)
上にあがっていくんですよ!だって恋すると天にも上る気持ちになるじゃないですか、2人だけだと。で本当に、プラネタリウムの上をあがっていって、そのまま宇宙にあがっていくんですよ。

(赤江珠緒)
へぇー!

(山里亮太)
ちょっとコメディー的な。(笑)

(町山智浩)
いやもうコメディーじゃないでしょうそれは!!(笑)

(山里亮太)
だってそんなだって!

(町山智浩)
愛でしょそれはあなた!!恋した事ないの!?

引用:IMDb.com

愛でしょ

(山里亮太)
ええっ!!そっか、恋がわからないとこういうのを笑っちゃうようになっちゃうんだね。

(町山智浩)
星空を見れば宇宙にあがっていくんですよその時に。だからそこが本当に素晴らしくて、もうゾクゾクするような瞬間だったりするんですけど。ただこの映画がすごいのはね、そのグリフィス天文台っていうのはデートスポットなんですよ。で、ハリウッドに住んでいる人だったら誰でもそこでデートした事があるんですよ。

(赤江珠緒)
へーそんなに?

(町山智浩)
だから、このシーンではハリウッドの人たちみんな号泣なんですよ。

(山里亮太)
えぇっ!

グリフィス天文台はデートスポット

(町山智浩)
僕、実は黒沢年雄さんの娘さんの黒沢レイラさんっていう人と、この間お話したんですけど、別の番組で。で、「グリフィス天文台で2人が初めて互いの気持ちがわかって天に浮かぶんですよ」って言ったら「私も今の旦那と初めてデートをしたのはそこなのよ!」って言ってましたね。

(赤江珠緒)
へぇ〜みんな思い出があるんだぁ。

(町山智浩)
そう、だからこれロサンゼルスに住んでいる人たちはもうみんな涙ボロボロで大変な事になっちゃう映画なんですよ。

(赤江珠緒)
へぇー!

(町山智浩)
それで、アカデミー賞っていうのはロサンゼルスに住んでいる、まぁ主にロサンゼルスに住んでいるハリウッドの映画関係者だけが投票する賞なんですよね?これはもう確実に行くでしょう。

(山里亮太)
そうですね!そうなると。

アカデミー賞はロサンゼルスに住んでいるハリウッドの映画関係者だけが投票する賞

(町山智浩)
そう。老いも若きも思い出がある訳ですよそれぞれのシーンに。で、これはずるいなと僕は思っているんですけど。(笑)

(赤江珠緒)
でもそういう、ロマンティックで幸福感たっぷりの、お話っていう事ですか?

(町山智浩)
はい。それがだんだん現実にぶつかっていってそこから非常にリアリズムの方に入っていくんですね?でそこが非常によくできていて、実は『シェルブールの雨傘』っていう映画もミュージカルなんですけども、その当時フランスであったアルジェリア戦争が背景にあって非常に厳しい話になっているんですよ。で愛し合っている者同士が、でもやっぱり結ばれない事もあるんだという物語になっているんですね、現実を見せていくんですよ社会的な。

(赤江珠緒)
うんうん。

引用:IMDb.com

ミュージカルでありながら現実を見せていく

(町山智浩)
で、そういう話になっていくんですけども、特にこの映画の場合には、マーティン・スコセッシ監督が1977年に撮った『ニューヨーク・ニューヨーク』という映画を元にしています。で、それは、歌手を目指すライザ・ミネリとジャズミュージシャンを目指すロバート・デ・ニーロの恋物語なんですけれども、だんだんその上手くいかなくなっていくんですね2人が。で、この2人の関係もそれをなぞっていくような形なんですよ。この『ラ・ラ・ランド』も。
ただね、これすごいのは、監督がですね、デイミアン・チャゼルという監督で、この人まだ31才なんですよ!

(山里亮太)
わっか!!はーー!

(町山智浩)
31才でこの人生の機微とかを描くっていうのはすごいなと思ったんですね。はい。で、この人はその前に『セッション』という映画、これ山里さんもご覧になっていますよね?

(山里亮太)
あっ!見ました見ました!すごかったー!

セッションの監督、マーティン・スコセッシ監督

映画「」のポスター

(町山智浩)
はい。あのドラマーを目指す男の子があのハゲオヤジの鬼コーチに徹底的にいじめまれて、それで音楽で戦っていくという。

(赤江珠緒)
はい!私も見ました。

(町山智浩)
あれたった2.5億円の制作予算で撮ってですね、その160億円ぐらい儲けているんですよ。大成功だったんですね。彼はまだその頃20代ですよ。

(赤江珠緒)
年齢じゃないんだねぇ。

(町山智浩)
ただ、あの映画って結構批判もあって。あのジャズとか音楽を格闘技のように見せているでしょう?

(山里亮太)
はい。超ストイック。

(町山智浩)
でも、音楽ってそんなんじゃないんだと。本当はもっと楽しいものなんだよっていう風に批判されたんですよ。特に音楽家の人たちに。

(赤江珠緒)
はい。

セッションに寄せられた批判に対する答え

(町山智浩)
で今回はまさにそれに対する答えなんですよ。

(山里亮太)
あっ。なるほど。

(町山智浩)
音楽というのは人の心を救うものなんだっていう映画になっているんですよ。

(赤江珠緒)
ふーん!

引用:IMDb.com

ハリウッド式ミュージカルでチャレンジする挑戦

(町山智浩)
しかもこの映画がすごくチャレンジなのは、実はミュージカルってのはアメリカでは殆ど当たってないんですよ、長い間。で、『レ・ミゼラブル』みたいなものは当たってるんですけど、『シカゴ』とかブロードウェイのミュージカルの映画化っていうのは。ただ、ハリウッド式の50年代ハリウッド的なミュージカルっていうのは全然当たらないんですよ。で、失敗し続けてて、特にそのさっき言った『ニューヨーク・ニューヨーク』っていう映画も大コケしているんですね。

(赤江珠緒)
ふーん。うんうんうん。

(町山智浩)
で、多くの天才と言われた映画監督たちがこのハリウッド式ミュージカルの再生、復活に挑戦して失敗して挫折してるんです。はい。まず、ピーター・ボグダノヴィッチという監督がいましてこの人は『ペーパー・ムーン』とか『ラスト・ショー』っていう映画で天才と評価されていたんですが、ハリウッドミュージカルの再生としてですね、『アット・ロング・ラスト・ラブ』という映画を作って1975年に。それが大失敗してハリウッドを追放される形になります。

(赤江珠緒)
え!そこまで!?

ハリウッドの名だたる天才たちが失敗してきた道

(町山智浩)
超大作だった為なんですよ。大赤字を出して。で、『ニューヨーク・ニューヨーク』も失敗して、あとですね、フランシス・フォード・コッポラ監督がですね、『ゴッドファーザー』とか『地獄の黙示録』の巨匠なんですが、1982年に、やはりジャズミュージカルを復活させようとして、ハリウッド式の。で『ワン・フロム ・ザ・ハート』という超大作を作ったんですね。大失敗して、あの、会社は潰れちゃうんですよ。

(赤江珠緒)
へぇー・・。

(町山智浩)
で、ハリウッドの名だたる天才たちが次々と挑戦して全員失敗して挫折して泥にまみれてきたハリウッドミュージカルの復活をわずか31才のデイミアン・チャゼルは挑戦して大成功したんですよ今回!

(赤江珠緒)
成功してるんだ!えー!!

(町山智浩)
もう、大成功ですよ!すごいなと思って。しかもこの映画、今年のはじめに1回試写をやって試写では大不評で大失敗しているんですよ。

(赤江珠緒)
えっ?うん。

(町山智浩)
はい!で、編集をし直したんですよ。

(赤江珠緒)
えっ!編集をし直した!?

試写で失敗し編集し直した

(町山智浩)
し直したんですよ急遽。で映画っていうのはやっぱり編集なんですねえ!で素晴らしい映画として生まれ変わってるらしいんですよ、それで。

(山里亮太)
へぇーそんな変わるんだ・・!

(町山智浩)
で、とにかくこの映画、最後の方で大変な事が起こっていくんです。まぁ夢と現実が交錯するような映画なんですが、後半の方がですね、デヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』っていう映画的な展開をしていくんですね。これ説明しにくいんですが、『マルホランド・ドライブ』っていうのもやはりハリウッドでスターを目指す女の子の話なんですよ、大女優を目指す。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
はい。ところがその大女優の夢と現実が、恐ろしい形になっていくというまぁ一種のホラー映画なんですね、『マルホランド・ドライブ』という映画は。そういうその夢と現実がすさまじい交錯をし始めるんですよ、クライマックスの7分間ぐらいで。その展開がものすごくて、ハリウッドミュージカルの最高傑作と言われている『巴里のアメリカ人』という映画があるんですよ1951年の。それに対するオマージュになっていくんですよ。と、言ってもわからないと思うんですけれども!

(赤江珠緒)
ねえ。ちょっとその辺はわからないですけども。

(山里亮太)
だってさ!この監督さん『セッション』の時も最後、もう、すごかったもんね!ぶわーーって!

(町山智浩)
その通りです!!!!やっ!!山ちゃん!!その通りなんですよ!!!!!

(山里亮太)
あ、やっぱり!!

引用:IMDb.com

セッションの最後の10分間、それよりもスゴイものが起きる

(町山智浩)
『セッション』の最後の10分間ってものすごかったじゃないですかテンションが!あれが起こるんですよ、あれの100倍くらいの事が起こるんですよ、この映画、最後に!

(山里亮太)
えーーーー!!!ええええーーー!

(町山智浩)
なんてったってこれ、エキストラとかそのダンサーの数が1600人ですからこの映画。すさまじいスケールで大スペクタクルが展開するんですよ!もう山ちゃんがいま言った通り『セッション』のラストの5万倍ぐらいの事が起こりますこの映画!

(赤江珠緒)
うっわ見たいなぁ!

(山里亮太)
えーっ!あれって相当衝撃だったのに!

(町山智浩)
すごい映画でしたよ!それでもう僕トロント行って映画祭で見た時はみんな涙がボロボロでスタンディングオベーションでしたね。

(赤江珠緒)
へー!最後号泣!?

(町山智浩)
はい!号泣ですよもう!という事でまぁ、これは本当にすごい映画で、ハリウッド映画への愛にも満ちているんで、これはやっぱりアカデミー賞をとるしかないだろうと思っているんですけども。

(赤江珠緒)
だって今手元にパンフレットがあるんですけど、その映像、写真を見るだけで本当に綺麗ですもんね。

(町山智浩)
本当に綺麗で、夢のようなんですよ。

本当にキレイ

(赤江珠緒)
ねえ!全部が絵になっててて、綺麗だなぁっていう。それで最後にそんな展開?

(町山智浩)
はい!でまたこのエマ・ストーンの歌も素晴らしいんですよ!で人生の厳しさとか悲しさとか楽しさ全部見せてくれるんで!!

(山里亮太)
見たいなぁ!

(赤江珠緒)
いや映画らしい映画ですね、本当にそう言われると。

(町山智浩)
でもね、残念なのは公開がね2月24日なんですよ。

(赤江珠緒)
日本ではね、2月24日という事でございます。

(町山智浩)
でももう韓国では公開しているんでもう、どうしても見たいっていう人は韓国に飛んで行って見た方がいいぐらいですね。(笑)

(赤江珠緒)
ふふふ。そうですかー。いやー町山さんも大絶賛ですね、これはね。

(山里亮太)
これは大本命。

(町山智浩)
もうすごいですこれ。という事で、『ラ・ラ・ランド』でした。はい。

(赤江珠緒)
アカデミー賞作品賞の大本命という事で、ミュージカル映画、『ラ・ラ・ランド』をご紹介していただきました。日本では来年の2月24日に公開されます。はい。という事で、町山さん、見に行きたいと思います。ありがとうございましたー!

(山里亮太)
あっしたーー!!

(町山智浩)
どもでしたっ!

※書き起こしおわり

○○に入る言葉のこたえ

①町山さん大絶賛のアカデミー作品賞にもっとも近い映画です。

 (実際には2017年の作品賞は「ムーンライト」。ラ・ラ・ランドは、監督賞、エマ・ストーンの主演女優賞、撮影賞、美術賞、作曲賞、歌曲賞という最多6部門で受賞を果たした。)

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