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引用:IMDb.com

ザ・ホワイトタイガーの町山智浩さんの解説レビュー

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2021年05月13日更新
なんか今まで紹介したような普通のインド的なサクセスストーリーのように聞こえるんですよ、この『ザ・ホワイトタイガー』っていう映画は。ただね、この映画はね、決定的に違うんですね。まず歌や踊りがないんですよ。なんというか歌って踊って楽しいインド映画が映さないものを映すんですよ。 (TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『ザ・ホワイトタイガー』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『ザ・ホワイトタイガー』解説レビューの概要

①アカデミー賞脚色賞にノミネート
②これ結構スゴイ映画なので見てない人は是非見て頂きたい
③『ザ・ホワイトタイガー』は白い虎。白い虎は突然生まれる珍しいもの。
④主人公バルラムはものすごく頭が良いので、ホワイトタイガーと呼ばれていた
⑤インドは貧富の差がすごいのでサクセスストーリーの映画が多い
⑥しかし、この映画は○や○○がない上、今までのインド映画が映さなかった部分を映している
⑦バルラムの雇い主の次男アショクとの友情を育んでいく
⑧アショクも、アショクの妻ピンキーも、バルラムを人間として扱ってくれる
⑨しかし、ふとした事でピンキーもやはりバルラムを人間と思っていない事がわかる
⑩さらにはピンキーが犯した犯罪をなすりつけられそうになり・・
⑪虐げられた者が、さらに他の人を虐げていくというテーマを描く

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

アカデミー賞脚色賞にノミネートされた映画作品

(町山智浩)
で、インド映画の話に戻りますと、はい。もう日本で公開されちゃっている映画でね『ザ・ホワイトタイガー』っていう映画がありまして。これNetflixでね、もう見れるんですけど1月から見れるようになったのかな?
これがこの間のアカデミー賞でね、ひっそりと脚色賞候補に入ってたんですよ。

(山里亮太)
脚色賞・・。

(町山智浩)
はい。でもね、誰もなんというか話題にしなかったんで。(笑)その話をしたいですが、これ結構すごい映画なんですよ。で、ご覧になっていない方は是非見て頂きたいんですけども。

引用:IMDb.com

白い虎は突然生まれる

(町山智浩)
これ、『ザ・ホワイトタイガー』っていうのは白い虎っていう意味ですけど、白い虎ってものすごい低い確率で突然生まれるものらしいんですよね。ですごく珍しいんで、これこの話の主人公のバルラムという少年はですね、まぁ最初は少年で出てきて大人になるんですけども、ものすごく頭がいいんで”ホワイトタイガー”って呼ばれるんですよ。子供の頃に。

(赤江珠緒)
神童だ、うん。

バルラムは大企業を経営する億万長者になる

(町山智浩)
神童、そうそうそうそう、呼ばれるんですけども。
で彼は現在は大人になってからはですね、インドのシリコンバレーと呼ばれている大都会のベンガルールという街でですね、大企業を経営する億万長者になってまして。

で、中国の首相にメールを書いているんですね。ビジネスしましょうっていう。で、そのメールの内容が映画になってるんですよ。で、中国の首相、陛下・・閣下か。私はインドの最貧困層の生まれで、実は小学校にも行ってないんですと。その自分がいかにして、これほどの大富豪に・・成功したのか、それをお話しますって言って、メールに打っていくっていう話なんですね。

インドは貧富の差がすごいのでサクセスストーリーの映画が多い

で、インドってやっぱり貧富の差がすごいから、こういうサクセスストーリーの映画が多いんですよね。だからアカデミー賞の話だと、アカデミー作品賞を取った映画がね、ありますけども、『スラムドッグ$ミリオネア』っていう映画で。はい。これも完全にインドで撮られた、イギリスのスタッフによる映画でしたけど、これクイズ番組に行って勝ち抜いてね。ミリオネアになるという話でしたけどもね、貧乏な少年が。ホームレスの孤児の少年がですね。

映画「」のポスター

で、この『ザ・ホワイトタイガー』のバルラムはね、私がこんなにお金持ちになったのは、クイズ番組で勝ち抜いたからではないですよとか言ったりするんですよね。(笑)

(赤江珠緒)
あ〜〜ちょっと皮肉って。

(町山智浩)
『スラムドッグ$ミリオネア』のことを言っていたり。あと、ここで紹介したですけど、『パッドマン』という映画もあって、それはインドでは・・。

映画「」のポスター

(赤江珠緒)
あぁ!はい!生理用品をね、うん。

(町山智浩)
そうそうそう。そうです。インドでは高い輸入品しかなかった生理用ナプキンを、インド国内で生産して大成功した実在の人物の話でしたね。はい。

あと、『きっと、うまくいく』っていう映画もあって。

引用:IMDb.com

きっと、うまくいく

(赤江珠緒)
あ!あぁ!これは私すごい好きな映画!

映画「」のポスター

(町山智浩)
いい映画でね。やっぱり貧乏なね、少年たちが青年たちが工科大学で成功を目指すっていうね、話でしたけど。
やっぱりね、サクセスストーリーが多いんですよ貧富の差がすごく多いから。で、そういう映画で主人公達は逆境にもめげずに一生懸命働いてね、あとは頭を使ってね。

(赤江珠緒)
ね!なんかちょっと痛快だったり明るい所もあったりしてね。

(町山智浩)
そうそうそうそう。つらいことがあると歌ったりね。

(赤江珠緒)
そうそうそうそう。踊ったりしてね、うん。

バルラムはめげない少年

(町山智浩)
踊ったりするんですけども。はい。で、『ザ・ホワイトタイガー』のこのバルラムもめげない少年でですね、その逆境にね。お父さんが人力車を引っ張る人だったので、地元の大金持ちの大地主の運転手になろうとするんですよ。

で、このバルラムは頭の良さと機転が利くんで、口八丁手八丁で、おべっか使ったり色々してですね、その運転手の職を掴んで出世していこうとするというね、だから豊臣秀吉みたいな所ががあるんですね。

(山里亮太)
おー、なるほどぉ!

(町山智浩)
豊臣秀吉も最初ね、織田信長の草履の番からのし上がった訳ですからね。で、実際にこのバルラムは、その雇い主の足にね、ひざまずいてキスしたりするような事をしたりするんですよ、最初に。もうね、すごいの。そのへんがね、ものすごい、もう超!格差の世界でね。で、住み込みで働くんですけども、その寝床はね、地面に直接置いたマットの上に寝るしね。でね月給はね、月給ですよ?4500円とか言ってるんですよ。

(赤江珠緒)
げっっ・・・きゅう!

(町山智浩)
月給が。で、そこから家族にね、仕送りするんですよね。で、それだけじゃなくてね、こう雇い主達は彼に触ろうともしないんですよ。汚れるからみたいな感じで。で、たまに触る時は殴る時なんですよ。

(赤江珠緒)
うわぁー。。

ニューヨーク留学から帰国した次男アショク

(町山智浩)
そう。ところがそこにですね、その地主の次男のアショクっていうお坊ちゃんがですね、経営を継ぐためにね、ニューヨークへの留学から帰ってくるんですね。ニューヨークに留学してたんですよ。で、ニューヨーク生まれのインド系アメリカ人の奥さんを連れてですね帰ってくるんですけど。

この夫婦がですね、アショクとピンキーって言う・・奥さんはピンキーっていう名前なんですけど。(笑)この2人がね、身分差別が一応ないアメリカで育ったので、このバルラムを人間扱いしてくれるんですよ、ちゃんと。

(赤江珠緒)
おぉー!うん。

(町山智浩)
で、こうアメリカチックに握手してくれるし、ナイスガイなんですね、このアショクは。次男の。で、「旦那様!」とか言うと、「いやそんな呼び方はしないでくれ。アショクと呼んでいいよ。」とか言うんですよ。

で、奥さんのピンキーの方も、「あなたはそんなに卑屈にならなくていいのよ、私達は同じ人間なんだから。」っていうこう、アメリカンな感じでね、「アメリカには差別とかないのよ!」って言ってね、そう優しくしてくれて、で、彼らとの間に身分を越えた友情が芽生えていくわけですよ。

で彼らもバルラムは頭がいいねっていう感じで、ビジネスをやろうみたいな話になってくるんですね。

そうすると、なんか秀吉と信長みたいな関係になるのかなと。思うんですけど。

引用:IMDb.com

普通のインド的なサクセスストーリーと思ったら・・

(町山智浩)
ここまで聞いてると、なんか今まで紹介したような普通のインド的なサクセスストーリーのように聞こえるんですよ、この『ザ・ホワイトタイガー』っていう映画は。

(赤江珠緒)
確かね。うん。アショクに引っ張ってもらって・・って言う。

(町山智浩)
そうなんですよ。で、コメディチックな所もあるんですけども。ただね、この映画はね、決定的に違うんですね。まず歌や踊りがないんですよ。

(山里亮太)
インド映画なのに?

インド映画なのに歌や踊りがない

(町山智浩)
全然ないんです。あとね、そういう豪華な金持ちの生活が映ってるんですけど、高級マンションとかね。必ずその下の所の道路で、裸足で暮らしてる路上生活者の人も一緒にカメラに入れるんですよ。

そうやってこの、なんというか歌って踊って楽しいインド映画が映さないものを映すんですよ。

(赤江珠緒)
あぁ〜そっかそっか・・!

(町山智浩)
貧しい人達を。高級なホテルリゾートみたいな所に、実は下の所に物乞いしてる人達がいるみたいな事を一緒に映すんですよ。で、あとね、このバルラムね、歯を磨くという事を知らなかったんですよ。

(赤江珠緒)
えっ?

貧しい人は歯磨きを知らない

(町山智浩)
貧しい人は歯を磨くっていうことを知らないんですって。

(赤江珠緒)
えっ。そうなの?

(町山智浩)
これ、原作の小説があってインドで生まれてオーストラリアで大人になった人が書いてるんで、そのへんは本当みたいなんですけどね。

で、ただね、原作が・・僕は読んでないんですけども、脚色賞にノミネートされたっていうので、どっちの力かわからないんですけども、とにかくね、先の予想が全くつかない映画なんですよ。

(赤江珠緒)
ふーん!

(町山智浩)
あのね、まずね、このバルラムに優しくしてくれるその次男の奥さんのピンキーはですね、すごく優しいんですけど、すごく困る人なんですよ。

(赤江珠緒)
ん?

引用:IMDb.com

ピンキーの服の露出

(町山智浩)
アメリカから来たから、インドの人と違って、服の露出がちょっと、アレなんですよ。

(赤江珠緒)
あー!ちょっと、強めって言うか激しめに?露出が。

(町山智浩)
そう。胸の谷間とかよく見えちゃうんですよ。平気なんですよ、アメリカ平気だから。するとバルラムはものすごいショックで、あああっ!っていう感じで目をこう、覆ったりするんですけども、「どうしたんだお前?」とか言われるんですね、アショクに。そうすると、「いやいや、なんかちょっと、すごく聖なるものを見たんで、あ、そこにある木がですね、ブッダが悟りを開いた木なんですよ。」とか言ってごまかすんですよ。(笑)

ね。すると、「えっ、どこどこ?」ってまたピンキーが身を乗り出してまたおっぱいがよく見えるんで、「あああ!」ってまたやると、「いや、そこの所にあるのが・・。」みたいな感じで。(笑)

そう、「聖なる川です!」とかなんか言って、誤魔化したりして。(笑)そこはコメディなんですね。

で、ある日そのパーティーに次男夫婦が行くんで、その送り迎えでバルラムが車を運転して行くんですけど、酔っ払った2人が帰りの車の中で突然ですね、あの〜夫婦活動を始めちゃうんですよ。

(赤江珠緒)
えっ。

(町山智浩)
そう。で、旦那の方は「バルラムが見てるからやめようよ。」って言うんですけど、その奥さんのピンキーちゃんはですね、「別にいいわよ。」って言うんですね。

(赤江珠緒)
あらららら!

人間として見られていない事がわかるショックな出来事

(町山智浩)
これはショッキングで、実は彼女もバルラムを人間として見てない事がそこでちょっとわかっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)
そういう事ですね、うん。

(山里亮太)
あーーなるほど!

(町山智浩)
そう。それだけじゃなくて、このピンキーは酔った勢いでバルラムの運転を取っちゃって、ハンドルを取っちゃって。で、路上生活者の子供をひき殺しちゃうんですよ。

(赤江珠緒)
ええっ!

(町山智浩)
そう。・・で、この地主一家は、このバルラムをひき逃げ犯にしようとするんですよ。

(赤江珠緒)
うーわ!

どうやってここから這い上がったのか

(町山智浩)
で!ここからどうやってバルラムが大企業の経営者になったのかっていう事なんですよ。

(赤江珠緒)
ほんとですね・・!

(町山智浩)
ここから先はもう、全く予測不能の展開が延々と続くんですよ。これすごいんですよ!全く訳がわからないんですよ、どうなるのこれ!って言う。

でね、これね、監督と脚色はね、ラミン・バーラニという人なんですけども、この人ね、イラン系のアメリカ人なんですね。

(赤江珠緒)
んー。あぁ、インドの人が撮ったんじゃなくて。

引用:IMDb.com

監督の前の作品、『ドリーム ホーム 99%を操る男達』

(町山智浩)
インドじゃないんですね。で、この人ね、アメリカの大学を出て映画を作り始めた人なんですけど、常にアメリカンドリームの闇とかね、格差社会を描いてきた人なんですよ、ずっと。

で、この人すでにハリウッド映画もちゃんと撮ってるんですよ。ハリウッドの俳優達を使って。で、それがね結構すごい映画で、『ドリーム ホーム 99%を操る男達』という映画をこの前に撮ってるんですね。

映画「」のポスター

これがね、ものすごい映画だったんですよ。これね、2008年に、アメリカでサブプライムローンが崩壊して金融危機が起こった時があるんですね。

(赤江珠緒)
はい。

リーマン・ショックが題材に

(町山智浩)
リーマンショックと日本では言われてますけど、ひどいローンを銀行とかローン会社がガンガン貧しい人達に組ませて。お金を貸し付けておいて、それで返せないってとなると、その人の家であるとか財産を奪っちゃうというね、そういうひどい事があったんですけども。

で、これ主人公がですね、アンドリュー・ガーフィールドというですね、スパイダーマンシリーズに出ていた彼なんですけども。彼が若いお父さんで、銀行からの借金を3ヶ月滞納したせいでですね、ずっと子供の頃から住んでいた家を差し押さえられちゃうんですよ。

で、路頭に迷うんですけど、モーテルに暮らさなきゃならなくなるんですけども、そうするとその、彼を追い出した業者がいるんですね。それが、「もし君が金を儲けて家を取り返したいと思うんだったら、俺の所で働かないか?」って言うんですよ。

(赤江珠緒)
んー!うん。

虐げられた者が、さらに他の人を虐げていく

(町山智浩)
そう。それで、雇われて彼は”自分がやられた追い出し屋”をやる事になるんですよ。はい。で自分のように借金を抱えちゃった人達の所に行って、強制的にそれを叩き出すという仕事をやって・・というね。この監督ね、ラミン・バーラニという人はその格差社会の中で虐げられた者が、さらに他の人を虐げていくというものを描いていくんですよね。

(赤江珠緒)
うーん。すごい闇が深い、うん。

(町山智浩)
『ザ・ホワイトタイガー』はインドが舞台なんですけど、もうこれ・・アメリカを舞台に同じ映画を撮っていた人なんですよ、だから。インドだっていう事は関係なく、世界中どこでも起こる話として描いているんですね。

例えばですね、この貧しい主人公が、運転士として金持ちの家に入り込むという話は『パラサイト』がそうでしたよね?

映画「」のポスター

→パラサイト解説レビュー

(山里亮太)
あー・・はいはい!確かに!

(町山智浩)
あれもアカデミー賞を取っているんですよね。

(赤江珠緒)
韓国映画でね、うん。

(町山智浩)
で、あとね、村上春樹さんの小説が原作の韓国映画で『バーニング』っていう映画があったんですよ。あれが、すごい金持ちのボンボンと、すごく貧乏な青年との間に不思議な友情が芽生えていく話だったんですよ。

映画「」のポスター

→バーニング映画情報・解説・レビュー

で、友情の中でまた嫉妬もあってというですね、すごい複雑な怖い映画だったんですが『バーニング』っていうのは。それとも近くて、このアショクというお金持ちの坊ちゃんは最後まで本当にいい人なんですよ。

でも、まぁその美しい奥さんをもらって、この野郎という気持ちもあるんですね、そのバルラムの中には。これね、たぶんなんですけど、アラン・ドロンが出た『太陽がいっぱい』がヒントになっていると思うんですよね。

(赤江珠緒)
えっ!

引用:IMDb.com

「太陽がいっぱい」をヒントにしている?

(町山智浩)
太陽がいっぱい』見ました?

(赤江珠緒)
見ました!

映画「」のポスター

(町山智浩)
あれ、アラン・ドロンがものすごく美しいんだけど。頭もいいんだけど。ものすごく貧乏な若者でね。ところがその金持ちのボンボンとすごく仲良くなるんですよね。で金持ちのボンボンに気に入られて、俺の服着ていいよとか言われて、着せてもらったりするんですよね。そのへんもね、そっくりの描写があるんですよ、この映画。

(赤江珠緒)
はぁ〜・・。あれは衝撃的なまた、終わり方ですけどね。

(町山智浩)
そうなんですけど、彼はどんどんその、アショクが好きになって、それで2人でゲームをやったり、完全に・・。

そうそうそう、この『ザ・ホワイトタイガー』の、このバルラムっていうのは、ずっと金儲けしか考えてこなかったから友達が誰もいないんですよ。で生まれて初めての友達がこのアショクなんですね、金持ちのボンボンの。だから、すごい切ない話ですよ、これ。

(赤江珠緒)
本当ですね。

インドのシリコンバレー

(町山智浩)
ねぇ、で、そこまで話しても、どうしてこのバルラムが大金持ちになったのか全然わからない訳ですけども。

ヒントはね、何故インドのシリコンバレーと言われる所があるかっていうと、そこも実はアメリカとの関係で、アメリカの奴隷みたいな所なんですよね。

うちのカミさんとか働いてますけど、IT系で。こっちの。彼女達がずっと働いて、夜、みんな終わるじゃないですか、5時ぐらいに。終わると、その後その仕事を全部インドが引き継ぐんですよ。

(赤江珠緒)
あっ。じゃぁちょっと下請け的な感じって事ですか?

(町山智浩)
そうなんですよ。シスコシステムズとか、みんなそうなんですよ。シリコンバレーの会社って、他の業種と違って、24時間フル回転してるんですよ。

昼間はアメリカで働いてんだけど、それで全部仕事を整理して、インドとかに出すんですね、下請けを。するとインドの人達がものすごい低賃金でガーッと働いて翌朝までにそれを仕上げてくるっていう感じなんですよ。

だからすごく早くて生産性も多いんですけども、それはインドの低賃金に支えられてるんですよね、シリコンバレーっていうのは。搾取の構造がアメリカとインドの中にもある訳ですよ、それが。

(赤江珠緒)
わー・・そういう事か。

搾取の構造がアメリカとインドの中にもある

(町山智浩)
そう。で、この映画の中で非常に大きくなってくるのが、コールセンターなんですよ。コールセンターって、アメリカのIT系が、要するにまぁ、何て言うんですか、日本で言うと・・問い合わせサービスですよね、苦情とか。そのITとかハイテク関係の苦情は全部インドで受けてるんですよ。

(赤江珠緒)
インドで1回、受けるんですね。うーん!

(町山智浩)
インドに全部電話が流れて、インドで全部苦情を受けるんですよ。で、24時間サービスだから24時間動いてるんです。そのインドのシリコンバレーでは。絶えず働いてるんですよ、誰かが。で、そこで大きいのは、苦情があった場合にその苦情をそこで押さえて、シャットアウトして上にあげなければ点数が上がるっていうシステムなんですよ。

(山里亮太)
あーなるほど。

引用:IMDb.com

アメリカでのトラブルを全部インド人達に尻拭いさせている

(町山智浩)
そう。で、要するにもうアメリカでのトラブルを全部インド人達に尻拭いさせてるんですよね、コールセンターシステムって。で、IT関係だけじゃないんですけども。だから本当に朝から晩まで働いているんですけども、インドの人達が。それが実は、このバルラムがお金持ちになった事と関係してくるんですよ。

(赤江珠緒)
へー!それ聞いても難しいな、その・・”上がり”のそこまですごろくが、上がりまで行かないな、みたいな。

(町山智浩)
そうそうそうそう。これ、ものすごいアクロバットな話なんで。まぁご覧になるといいんですけど。まぁすごいヘビーな話ですけどもね。前半全然ヘビーじゃないかな?と思ったら、ヘビーになってくんですけども。

(赤江珠緒)
そうですね。でもなんか聞いてると確かにその、感情も複雑ですね。簡単には割り切れないというね。

(町山智浩)
そう。簡単には割り切れないんですよ。そう。これはすごいですよ。この監督はまだ、そんなに注目されてないですけど、まぁすごい良い映画を撮るので、またやっぱりね、イラン系の人という事でね、そういうそのアメリカのマイノリティーの名監督が生まれるだろうなって思いましたね。

で、全然聞いた人は、一体どうなるの?って思ってると思いますが。(笑)。

それはNetflixで見れますんで。

(赤江珠緒)
ラミン・バーラニ監督のね、『ザ・ホワイトタイガー』でございます。うん。

(町山智浩)
さすが脚色賞と思いました。はい。

(山里亮太)
へぇ〜見たいこれ。

(赤江珠緒)
そうですか。ラミン・バーラニ監督のアメリカのは『ドリーム ホーム 99%を操る男達』。

そして今回が、『ザ・ホワイトタイガー』という作品です。わかりました。じゃぁ楽しみに、見させて頂こう。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)
どうもでした!

=======

後日、赤江さんと山里さんが鑑賞したと言う話題に

(赤江珠緒)
あの『ザ・ホワイトタイガー』を見ましたよ先週!ご紹介いただいた。

(山里亮太)
見ましたよ!

(町山智浩)
あぁそうですか!どうでした?

(赤江珠緒)
いやぁもうすごい、あのねぇ。全編よくよく考えたらすごい悲劇なのに。なんかポップな感じで流れていくのが、もう「おおー・・!」って。

(山里亮太)
そうそうそう。どえらい事をやっているのにって。

(町山智浩)
テンポが早くてコメディみたいなのに、いきなりすごい悲劇が起こったりね。なんだろう?って思うんですけどね。

(赤江珠緒)
混沌とした状態で、ヌケヌケとしたたくましさみたいなのがすごいですね。

(山里亮太)
あれがインドの状況な訳ですもんね?あぁいう事が・・。

(町山智浩)
そうそうそう。そうですよ。で主人公は全然いい人じゃないのにね。(笑)

(山里亮太)
そう!そこなんですよ!

(町山智浩)
なんだこいつ?ってやつなんですけど。(笑)

(赤江珠緒)
はい。いやでも面白かったです。

(町山智浩)
僕は結構切なかったですね、あのお金持ちのその、彼の雇い主との間の友情があるのに、ねぇ。こうなってしまって言う所がね。だからやっぱりインド映画の、涙あり笑いあり何でもありっていうのはちょっと入ってるなと思いましたね。

(赤江珠緒)
入ってましたね。すべての感情がもうね、色々こう、ない混ぜになっていましたね。Netflixで見る事できますもんね。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑥しかし、この映画は歌や踊りがない上、今までのインド映画が映さなかった部分を映している

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