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映画ポップコーン評論家の解説一覧パラサイト 半地下の家族の映画ポップコーン編集部の解説レビュー
引用：IMDb.com

パラサイト 半地下の家族の映画ポップコーン編集部の解説レビュー

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2021年05月27日更新
『パラサイト 半地下の家族』映画を考察！評価や配信情報、日本での口コミなど。 twitterで話題になった貧富の境界線の演出や、山水景石とは、インディアンの意味するもの、VFXが使われた場所や時計回りなど・・解説します！

『パラサイト 半地下の家族』を解説します

原題：기생충（寄生虫）英題: Parasite。
2019年の韓国のブラック・コメディスリラー映画で、監督はポン・ジュノ。主演はソン・ガンホ。共演はイ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム等。

第92回アカデミー賞作品賞を受賞し超話題に

映画「パラサイト 半地下の家族」の画像引用：IMDB.com

外国語映画が作品賞を受賞するのは史上初！という快挙でした。他にも素晴らしい賞を受賞しています。

『パラサイト 半地下の家族』受賞一覧

■第92回 アカデミー賞 (2020年)
　受賞: 作品賞 / 監督賞 / 脚本賞 / 国際長編映画賞

■第77回 ゴールデングローブ賞 (2020年)
　受賞: 最優秀外国語映画賞

■第72回 カンヌ国際映画祭 (2019年)
　受賞: パルムドール

『パラサイト 半地下の家族』のあらすじ

全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが…。 この相反する２つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく――。

『パラサイト 半地下の家族』見た人の感想・評価まとめ

twitterで、『パラサイト 半地下の家族』を視聴した人の感想や評価を徹底調査してみました！

『パラサイト 半地下の家族』良い評価・感想

・『パラサイト　半地下の家族』面白かった！
・社会の格差をこんなにもビビッドに、映画的に描けるものかと衝撃でした。
・マスコミ試写であれほど笑いが起きたのも、あれほどの一体感で展開を見守ったのも初めての経験

などなど、twitterでの感想を検索すると、8割〜9割以上が「面白かった」「良かった」という意見のように見えました。

『パラサイト 半地下の家族』悪い評価・感想

一方、悪い意見を探すと、少ないですが

・クソ面白くない映画！
・パラサイト見てたら気持ち悪くなった

という意見があり、グロテスクなシーンは少ないと感じますが、リアルなどんよりとした世界観に気を悪くする人もいたようです。
韓国映画特有の、嫌韓な意見も見られました。

『パラサイト 半地下の家族』映画ポップコーンによる徹底解説

パラサイト(parasite)の意味は、「寄生生物」。

半地下の家族、という意味ですが、韓国には実際に半地下に住居があるようです。
マンションの1階ではなく、半地下。家賃が安く、ソウルの最底辺の人が住んでる家なのだそうです。

『パラサイト 半地下の家族』は一言で言うと、半地下に住む貧乏なキム一家が、高台の大豪邸に暮らすお金持ちのパク一家に寄生していく、格差社会を描いたストーリーです。

キム一家の長男、キム・ギウが大学卒と偽り、パク一家の長女、パク・ダヘの家庭教師としてパク一家に寄生します。
次にキム一家の長女、キム・キジョンがパク一家の末っ子、長男パク・ダソンの家庭教師としてパク一家に寄生していきます。

前半は、貧乏家族キム一家が金持ちのパク一家に近づいていくサマがテンポよく描かれ、コメディー映画を見ているような気分、ワクワクした気持ちで映画を鑑賞できます。
内部から寄生しお金持ちの家を乗っ取っていくのですが、後半からは一気にホラー展開になっていきます。
ここからの展開は、ポン・ジュノ監督が”ネタバレ禁止”と強く仰っていた展開ですので、後半のネタバレパート以降で解説していきます。

ネタバレなし！『パラサイト 半地下の家族』の鑑賞ポイント

貧富の差、格差社会がテーマであるパラサイトですが、そのテーマの演出方法がとにかくすごい。

計算し尽くされた、貧富の境界線

『パラサイト 半地下の家族』で映し出される映像は、非常にこまかな演出がされています。

・貧乏な人と金持ちの人の間に境界線が意識して描かれる
・貧乏一家を写す際のカメラワークは基本的に上から下に向かって行われていて、逆に金持ち一家を写す時は下から上に映し出すよう演出されている

映画「パラサイト 半地下の家族」の画像引用：IMDB.com

また、上記画像のように、

・貧乏一家側の景色は暗く、金持ち一家側は明るく描かれている

さらに、

・物理的に上の方に金持ち一家がいて、貧乏一家は下にいる

リビングのソファーの上と下や、ベッドの上と下など、パク一家は上にいて、キム一家は下にいる構図が頻出します。
また、大洪水が起きた際の「水」でも見事に演出されています。

VFXを駆使して撮影されている

『パラサイト 半地下の家族』では、意外な事にたくさんのVFXが使われています。
お金持ちのパク一家の豪邸や町並みはVFXとセットを組み合わせ作成されているようです。

建物だけでなく、俳優同士の会話部分も何度か同じシーンを撮影し、それぞれの1番良かった映像を組み合わせて使用しているとの事。

テーマは「格差社会」

演出からもわかるよう、『パラサイト 半地下の家族』のテーマは格差社会。
ポン・ジュノ監督の映画作品の作り方として、その時代の社会情勢を映画に盛り込みメッセージとして伝えています。

事実、韓国は貧富の差が問題になっていて、数字からも明らかです。

2018年のデータで、韓国の所得の上位20％の世帯の平均月収91万円に対し、
下位20％の世帯の平均月収は13万円。

韓国の非正規雇用の労働者は36.4％、(日本は38.3％でもっと悪い)で、パラサイトの貧乏一家、キム一家もスキルが高いのに皆無職なのです。

なぜ半地下に住むのか

韓国、ソウルのマンションの平均価格は7800万円。東京より高い不動産価格です。

ソウルは北朝鮮から核攻撃を受ける可能性があった為、ビルの下に防空壕を作っていました。しかし、ソウルの不動産価格がどんどん上がっていってしまった為、防空壕として当初作られた半地下を住居に改造し、賃貸物件として売り出したそうです。

しかし、元々住居を想定していなかった為、下水管よりも床が1ｍ半ほど低い状態。
パラサイトでトイレが天井近くに位置していたのは、下水管の位置の影響です。家の中で1番高い場所にあるので、「王様トイレ」と呼ばれる事もあるようです。

映画「パラサイト 半地下の家族」の画像引用：IMDB.com

この半地下、風通しが悪く日が当たらない。カビ臭い。服にもその匂いがうつり、全てがカビ臭くなってしまう模様。

なぜこのような半地下の家に住むのかというと、家賃が安いから。東京よりも地価が高いソウルで家賃4万円ほどで住めるそうです。

ネタバレあり！『パラサイト 半地下の家族』の鑑賞ポイント

ここからは、”ネタバレあり”でパラサイトの解説をしていきます。
まだパラサイトを未鑑賞の方や、ネタバレを知りたくない方はご注意ください。

山水景石とは？

キム家の長男、ギウの友人でありエリートな友人、パク・ソジュンさんが演じるミニョク。
ミニョクが持ってきた山水景石をギウは手放しません。
劇中でもこの山水景石が何度も登場し、洪水で大変な時もこの石を大切そうに持っています。

しかしこの石、偽物という考察が出来ます。

[引用]ポン・ジュノ『パラサイト』の家水没シーンで山水景石が浮くのは、中身が空っぽの偽物だから。ギウが頭を殴られても死ななかったのはそのため。山水景石は社会流動性（ソーシャル・モビリティ）の象徴であり、つまりは階級上昇の夢が空約束であることをほのめかしていると。[引用終わり]

確かに、洪水の時に不自然に石が浮いていました。
偽物の石を避難所にも抱いて持っていくほど大事にしていたのに、偽物かと思うといたたまれない気持ちになりますね。。

インディアンの意味

映画「パラサイト 半地下の家族」の画像引用：IMDB.com

パク家の末っ子ダソンはインディアンごっこが大好き。クライマックスのダソンの誕生日パーティーでも、ダソンの為に、パク家、キム家の父親がインディアンに扮装する等、要所要所でインディアンが登場します。

インディアンはアメリカ先住民族。後から来た白人にインディアンが住んでいた土地を奪われ、追い出されてしまいました。
キム一家が来た事で追い出されてしまった家政婦や運転手を表すメタファーなのでしょう。

ダソンの誕生日会でインディアンの格好をしたパク家の父親は殺されてしまい、キム一家の父ギテクは逃亡する事になり表舞台から去り、追い出された形になりました。インディアンは追い出す象徴して使われています。

なぜキム一家の娘、ギジョンが死んでしまったのか

映画「パラサイト 半地下の家族」の画像引用：IMDB.com

高台のお金持ちパク一家、半地下のキム一家、地下室の夫婦。
金持ちVS貧乏の構図かと思いきや、後半でさらに「地下」という下の存在が明らかになりますが、悲しい事に争うのはお金持ちではなく、半地下と地下の人達なんですね。

貧乏な人達は、その殆どが”パラサイト”。何かに寄生する形で描かれていましたが、ギジョンだけは違いました。
キム家の人々は既に職に就いていた人を追い出し、その職を奪いましたが、ギジョンだけは自らの能力で、誰からも奪う事なく家庭教師の地位を手に入れました。
また、後半で地下室にいる夫婦に、唯一食べ物を与えようともしていました。

また、彼女は現実的な思考を持っている真っ当な人間性があるシーンも劇中にありました。
パク一家がキャンプで外出中に、豪邸で酒盛りをしているキム一家のシーン。

兄ギウ「ここに住むとしたら、どの部屋にする？」
妹ギジョン「本当にそうなった時に考える。」

ギジョンは現実が見えていて、現実に起きる事と夢の区別がしっかりついているのでした。

そんな優秀な彼女が殺されてしまう皮肉。

韓国では頭が良くても、大学を出ていないと就職が難しかったり、お金持ちでないと昇進出来ないなどの格差社会が問題になっています。
優秀なギジョンなのに、貧乏な家庭に生まれた事で貧乏から抜け出す事ができないという韓国の格差社会を象徴しているのだと考えられます。

パラサイトのポスター解説

パラサイトポスター解説

パラサイトの映画ポスター。よく見ると、驚くポイントがたくさんありました。

①主要登場人物が全て含まれている
映画鑑賞後にゾッとしたのですが、このポスターには本作の主要登場人物が全員登場しているのです。
ネタバレ部分である地下室に暮らす夫婦。左下の脚はその夫婦の妻で、左後ろの壁に描かれている絵はその夫です。
ダソンが描いたこの絵は、劇場で「自画像ですか？」「猿です。」というやり取りがあり、しっかり触れられていたのですが、実際はダソンがたまたま見てしまった地下の男の絵でした。

②パク一家は正装、キム一家は部屋着で裸足
わかりやすく貧富の差を感じられます。

③横並びに見えるが、よく見るとパク一家の方が手前にいる
両家の娘の位置を見るとわかりやすいのですが、手前で座っている４人が前列にいると思いきや、パク家の娘ダヘの腕の方が、キム家の娘ギジョンよりも前に出ています。

ギウは豪邸を買う事ができたのか？

夢なのか現実なのか、明確にされていませんでしたが、パラサイトのラストでは、ギウが豪邸を買い、お父さんを地下から開放するシーンが描かれていました。
しかし、ポン・ジュノ監督はこのような発言をされているようです。

[引用]希望と夢のある終わり方したけど、ポン・ジュノ監督が「ギウの平均年収だと、あの家を購入するのに547年かかるんです。彼自身、家を買うのは不可能であることを知っている」と言ってたの夢も希望もない貧富格差で辛い#パラサイト[引用おわり]

その他『パラサイト 半地下の家族』に関連したツイート(twitter)

 

キャンプから帰ってきたパク一家の母親が、インスタントラーメン２種類を混ぜて高級ステーキをトッピングし食べていたアレ。
小道具でも庶民的な食べ物と高級食材を合わせる事で、貧富のテーマを思わせる内容でした。

チャパゲティとノグリを混ぜて作る、少し辛いラーメンですが、１人で食べる時でも２人前のラーメンを使わないといけないので少し作りづらいんですよね。
最近は既に２つが合わさった「チャパグリ」というカップ焼きそばも発売されているので、気になる方はお試しください。
私は美味しすぎて３回食べました！！ピリ辛な海鮮ソース焼きそばのようなお味で大変美味です！

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この記事の著作者

あみ

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