ジョーカー & パラサイト 半地下の家族 & 天気の子の町山智浩さんの解説レビュー
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ジョーカー2019年10月4日 上映 / アメリカ / 122分
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パラサイト 半地下の家族2020年1月10日 上映 / 韓国 / 132分
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天気の子2019年7月19日 上映 / 日本 / 114分
映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、町山さん著の本、『それでも映画は「格差」を描く』の解説を紹介されていましたので書き起こしします。
町山さん『それでも映画は「格差」を描く』解説レビューの概要
①ジョーカーはなぜチャップリンを観るのか
②ジョーカーもチャップリンも殆ど同じ映画
③『パラサイト 半地下の家族』も
④ここ何年かずーっとカンヌ映画祭のグランプリはこういう映画ばっかり
⑤なぜ国が違うのに、同じような格差を扱う映画が公開され続けるのか
⑥4ヵ国の政府が行っている経済政策の結果こうなった
⑦天気の子では、貧しさと地球温暖化が描かれる
⑧格差社会も環境破壊も子供にしわ寄せが来る
⑨今だけ最初が無料で読めます!
『それでも映画は「格差」を描く』について、町山さんご自身がご紹介!
(町山智浩)
今度発売のですね本が・・『それでも映画は「格差」を描く』という本を今週はプレゼントします!集英社インターナショナルから出るんですけども、10月7日発売ですね。なんですが、それを5名様かな?にプレゼントします!間違えてたらあとで修正して下さい!
(赤江珠緒)
天気の子はなぜ雨を止めないのか、ジョーカーはなぜチャップリンを観るのか、うん。
ジョーカーはなぜチャップリンを観るのか
(町山智浩)
そう!『ジョーカー』って映画ありましたけど。
あれジョーカーはチャップリンを観るじゃないですか、チャップリンの映画を。あれどうしてかって言うと、チャップリンの映画って言うのは、仕事がない人が一生懸命仕事を求めて色んな事やるけれど、うまくいかないっていう映画ばっかりなんですよ。
(赤江珠緒)
うんうん。
(町山智浩)
『モダン・タイムス』とか、『街の灯』とかですね、『キッド』とか、みんなそういう話なんですよ、チャップリンの映画って。
(赤江珠緒)
あ、そっか。うん。だから、ジョーカーがそれを見てるのにはちゃんと意味があるんだ。
(町山智浩)
ジョーカーも仕事がうまくいかなくて、貧乏のどん底にいるじゃないですか。ね。でもチャップリンの映画はみんな笑いながら観るけどジョーカーの映画はものすごい悲惨で強烈な映画として観るじゃないですか。
でもチャップリンの映画が作られたのは1920年代くらいなんですよ。それからまぁ100年近く経ってるんですけど、実はこの2つは殆ど同じ映画なんですよ。チャップリンの映画とジョーカーの映画って言うのは。だって今状況同じなんだもん。
(赤江珠緒)
ふんふんふん。
『パラサイト 半地下の家族』も。
(町山智浩)
そういう事を本にしたのが、『それでも映画は「格差」を描く』と言うタイトルの僕の今度の本なんですが。あの、『パラサイト 半地下の家族』 もそういう映画でしたよね。
(山里亮太)
はいはいはい。
(町山智浩)
貧しい家族がどうしても暮らしが大変なんで、金持ちの家族に寄生する話で。で、是枝監督の『万引き家族』 も貧乏な家族が、まぁちょこちょこと万引きしながらなんとか暮らしていこうとする話で。で、これみんなね、カンヌ映画祭でグランプリ取ってるんですよ、どの映画も。
(山里亮太)
はーなるほど!
(町山智浩)
で、『わたしは、ダニエル・ブレイク』 っていう映画は、イギリスの貧しい貧しい人達が、どうしても色んな形の福祉を受けられなくて、福祉制度はあるんだけども、申請しても申請しても蹴られて、で、そのうちに死んでいくまでの話なんですけど、その中でその貧しい人達が家族を作ってなんとか生き延びようとする話なんですね。それが『わたしは、ダニエル・ブレイク』って言うイギリスの映画なんですが、これもカンヌ映画祭でグランプリを取っているんですよ。
(赤江珠緒)
ほう。
(町山智浩)
で、ここ何年かずーっとカンヌ映画祭のグランプリはこういう映画ばっかりなんですよ。
(山里亮太)
えー・・格差。。
(町山智浩)
でね、これは一体どういう事なのかと。ね。これは韓国の映画であり、日本の映画でありイギリスの映画でありね、国違うんですけど、テーマが殆ど同じで内容もソックリなんですよ。
(赤江珠緒)
世界的にね、うん、ほんと。
なぜ国が違うのに、同じような格差を扱う映画が公開され続けるのか
(町山智浩)
これどういう事かって言うと、アメリカの映画もそうで『アス』 っていう映画も前紹介したんですが、アメリカの黒人の家族が、自分達とそっくりな貧乏な家族達に家を乗っ取られようとする話で、ポン・ジュノ監督に言ったら「なんか、めちゃくちゃパラサイトと似ててビックリした。」って言ってたんですね。
これはアメリカ映画なんですけど、これどういう事かって言うと、非常に広がった格差という物が、自然現象ではないんですよ。日本、韓国、イギリス、アメリカで、1980年代からずっと、この4ヵ国の政府が行っている経済政策の結果こうなったんですよ。
(赤江珠緒)
うん。
4ヵ国の政府が行っている経済政策の結果こうなった
(町山智浩)
具体的には、その福祉を削って、金持ちとか大企業への税金を削って、消費税を上げて、非正規の労働者を増やしていくっていう事をやったからこうなっただけで、この4ヵ国でソックリな映画が出てきたって事は偶然でもなんでもなくて、この4ヵ国がそういう経済政策を取ってきたからなんですよ。
(赤江珠緒)
そうか、完全にそういう同じ現象が起きてしまってる訳で・・。
(町山智浩)
同じ現象が起きてるから、同じような映画が出てきてるんですよ。で、それをこう分析していきながら、その根底にあるチャップリンとかそういう物を見出していくっていう事をやった本なんですね。
天気の子では、貧しさと地球温暖化が描かれる
で、『天気の子』 においては、その貧しさって言う物と、地球温暖化が重ねられて描かれてるんですよ。新海監督の。
(赤江珠緒)
うんうんうん。
(町山智浩)
これは、実は、地球温暖化って言うのも、自然現象じゃないんですよ!自然現象じゃなくて、人間が作り出した物ですよね。
(赤江珠緒)
そうですね、うん。
格差社会も環境破壊も子供にしわ寄せが来る
(町山智浩)
格差と同じなんですよ。だから結びついてるんですよ『天気の子』では。一体なぜ、天気の”子”なのかと言うと、この格差社会で環境破壊っていうものは親達がやっちゃった事ですよね。それによって子供達がものすごい責任を負わされちゃってるんですよ、これからの世の中。だって親達は死んでいくんだもん。
(山里亮太)
確かに。
(赤江珠緒)
そうね〜・・。
(町山智浩)
実は全部同じ話なんですよ。チャップリンの頃からずっと続いてる。で、それを、撮影の仕方であるとか、技法であるとか、そういった事のルーツを探っていく事で、全てを結びつけていこうとする本なんですよ、僕が今回考えたのは。だから、こないだ前紹介した、『東京自転車節』 っていう映画ありましたよね?
(赤江珠緒)
はい。ウーバーイーツのね?あの、監督をなさりながら・・。
(町山智浩)
そう。あの、ウーバーイーツじゃなくて、イギリスの宅配の個人事業主がね、個人事業主が雇われる事によって、最低賃金以下の仕事をさせられてるっていう話が『家族を想うとき』 って言うイギリスの映画で。それも全部同じなんですよ、テーマは。
(赤江珠緒)
似てますもんね、うん。
(町山智浩)
その、日米英韓国でやってきた、労働者の搾取と非正規雇用の拡大と金持ちへの減税、消費税の増税とか、そういった事が全てが実はこの映画とこの政治と、この歴史が全部絡み合ってるんだって事をまとめた本が、『それでも映画は「格差」を描く』って本なんですね。
(赤江珠緒)
うん。
今だけ最初が無料で読めます!
(町山智浩)
で、もうほんと、前書きをね、今集英社インターナショナルの公式サイトでオープンにしてますんで僕。で、最初の2章の・・ジョーカーのあたりの原稿は、全部、今読めるような状態になってますから無料で。
(赤江珠緒)
あーそうですか!
(町山智浩)
はい。是非読んで頂いて、これはと思ったら是非お買い上げ頂きたいんですが・・。
(赤江珠緒)
はい。今日それを、5名様に・・。
(町山智浩)
いつも、たまむすびを聞いてる・・5人の方に!プレゼントします。(笑)なんでたった5人なんだって気も。(笑)
(山里亮太)
ありがとうございます!
(赤江珠緒)
いやいや、集英社インターナショナルから990円で10月7日に発売という事でですね、『それでも映画は「格差」を描く』5名様にプレゼントで御座います。
※プレゼントの応募締切は2021年10月5日で終了しています。