THE MOLE(ザ・モール) & ザ・レッド・チャペルの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『THE MOLE(ザ・モール)』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『THE MOLE(ザ・モール)』解説レビューの概要
①北朝鮮潜入ドキュメンタリー『THE MOLE(ザ・モール)』
②”MOLE”は○○○という意味
③北朝鮮の武器密輸と覚醒剤密輸に潜入捜査したのは、○○○○○○○
④マッツ・ブリュガー監督の過去作品、『ザ・レッド・チャペル』は監督本人が北朝鮮に潜入した話
⑤『THE MOLE(ザ・モール)』では、”北朝鮮を支援するヨーロッパ人の会”に、ただのシェフであるウルリクが潜入する
⑥ウルリクに挑戦親善協会の会長から与えられた仕事が○○○○を売る仕事
⑦兵器工場を隠しカメラで撮影
⑧非常に怖い状況なのに、非常にマヌケ
⑨暴かれる事のスケールのデカさと、その暴いてる側の非常にズサンな感じ
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
北朝鮮潜入ドキュメンタリー『THE MOLE(ザ・モール)』
(町山智浩)
えっと、先週はですね、9月15日にものすごいたくさんの映画が公開されるんで・・。
(赤江珠緒)
あっ、10月15日?
(町山智浩)
10月15日!すいません。(笑)10月15日!って言うんで一気に4本紹介したんですが、まだ足りてなくてですね、15日に既に公開された映画なんですけれども余っちゃって溢れちゃってですね、今日紹介しなきゃならなくなっちゃったんですけど。『THE MOLE(ザ・モール)』という映画をちょっと紹介します!
(山里亮太)
THE MOLE!はい!
”MOLE”は”モグラ”という意味
(町山智浩)
”MOLE”って言うのはですね”モグラ”っていう意味ですね。あの、動物のモグラね。ただこれは英語ではスラングでですね、”スパイ”とか”潜入捜査員”っていう意味があるんですよ。
(赤江珠緒)
ほぉ〜。
(町山智浩)
で、これは北朝鮮の武器密輸と覚醒剤密輸に潜入捜査した、タダのおっさんの話です。
(山里亮太)
警察官じゃなくて!?
(赤江珠緒)
いやそれがね、信じられないんですけどー!ええー?
(町山智浩)
ただのおっさんです。これ赤江さんご覧になりました?
(赤江珠緒)
まだ拝見してないんですけど、今内容、あらすじを簡単に聞いて、えっ。北朝鮮に?自主的に潜入しちゃうの?みたいな。
(町山智浩)
そう。なんか殆ど趣味のように潜入しちゃうと言うね。
北朝鮮の武器密輸と覚醒剤密輸に潜入捜査した、タダのおっさんの話
(山里亮太)
えぇっ?命の危険あるでしょ・・?
(町山智浩)
そう。プロのスパイでもなんでもなくて、なんだっけ、シェフだったみたいですけど。
(赤江珠緒)
シェフ?
(山里亮太)
えー!
(町山智浩)
それがですね、まずね、この映画の監督はマッツ・ブリュガーという人で、これデンマークの人でデンマーク映画なんですね。で、彼のところに、いきなりですね、ウルリクという名前のですね、頭ツルツルの海坊主みたいなおじさんが来ましてですね、おじさんと言うか30代かな。の人が来てですね
「北朝鮮に潜入して、隠しカメラとか隠しマイクでどんどん色んな情報を取ってくるから、手伝ってくれ。」と。「それを映画にしてくれ」って言うんですよ。
(赤江珠緒)
ほお!
同監督作『ザ・レッド・チャペル』
(町山智浩)
で、なんで?とか思ったら、その、あなたが作った・・マッツ・ブリュガーさんが過去に作った『ザ・レッド・チャペル』という映画がすごかったんで、それは北朝鮮に彼が潜入する話なんですね、マッツ・ブリュガー自身が。で、あなたにお願いしたいんだと。でマッツ・ブリュガー自身は、潜入した事で、あとでですね、北朝鮮からマークされて、2度と北朝鮮の取材ができなくなっちゃうんですよ。
(赤江珠緒)
ねー!そうでしょうね、うん。
(町山智浩)
はい。で、まず『ザ・レッド・チャペル』っていう映画も、この『THE MOLE(ザ・モール)』の後に公開されるんで、その話をしますと、北朝鮮が文化交流としてですね、外国のアーティストとかを招待するという事をしている事を知るんですね、このマッツ・ブリュガーが。で、マッツ・ブリュガーっていう人、この人はデンマークのテレビジャーナリストみたいな人でテレビ番組とかをやってる人なんですけども。で、じゃぁこれは文化交流っていう事だったら、北朝鮮に滅多に入れないのが入れる!と。そしたら北朝鮮でいっぱい映像を撮ってきて、まぁなんて言うか、潜入撮影ができると。彼は思って。じゃあ文化って一体何をやろうか?と。
文化交流として北朝鮮に潜入
(町山智浩)
ところが、そこにデンマークにですね、韓国から養子に取られてデンマーク人に育てられた2人の青年がいたので、この2人にパフォーマンスアーティストとしてですね、演技をしてもらって、それで公演をやるっていう事で北朝鮮に招待してもらえないかって事を考えるんですね。で、その2人は韓国語もできないし、幼い頃にデンマークに連れて来られたんでね。基本的にはまぁギターは弾けるんだけど、まぁ素人で。で、1人の方は脳性麻痺で、先天性の。ちゃんと一生懸命しゃべっても殆ど聞き取れないっていう状態なんですが、この2人にコントをやらせて、そのコントを北朝鮮で公演させるという事を考えて申し込んだら北朝鮮が来ていいですよって言うから、このマッツ・ブリュガーと3人と、あともう1人か、カメラマンと4人で北朝鮮に入るんですよ。
(赤江珠緒)
へぇ〜!そのコントは、その・・何語で?デンマーク語で?
(町山智浩)
デンマーク語か英語がしゃべれるんですね、この2人は。ところがですね、どういった芸なのかを全く確認しないで北朝鮮が彼らを招待するんですよ。
(赤江珠緒)
そういう事ですよね。そんな行き当たりばったりの・・。
完全にド素人の素人コント
(町山智浩)
そう。しかもそれを国立劇場でやるって言うんですよ。国歌的イベントとしてやるって言うんで。まず、どんな物なのか出し物を見せてくださいって。見せるんですが、完全にド素人の素人コントなんですよ。で、それを見た北朝鮮側が本当にもうビックリしちゃって、これは国立劇場で見せられるレベルの物ではない!ってなって。どうしようって。でも、そういう人達を呼んじゃった事で彼らも処罰されるかもしれない訳ですよ。で、しょうがないから北朝鮮側とみんなで一生懸命、人に見せられるレベルの出し物に・・作って行くという。。
(赤江珠緒)
はっはっはっは!(笑)えーー!なんか成長させてくれるみたいな、北朝鮮が。
(町山智浩)
そうそうそうそう。とんでもない内容のですね、もう本当に北朝鮮を完全にバカにしたコメディドキュメンタリーになってるんですよ。
(赤江珠緒)
えーー!
(町山智浩)
はい。ただね、やっぱりその潜入したその2人の韓国系デンマーク人の青年は、これ・・この人達は、確かに北朝鮮って言うのは悪い国だけど、この人達自身はそこに従って生きてるだけのただの庶民なんだから、この人達を騙すのまずいんじゃね?みたいな事を言うんですけど、マッツ・ブリュガーは、そんなの、知らねぇ!北朝鮮でどれだけのね北朝鮮国民が虐殺されてるか考えてみろ!って言うんですけど、なんかそれはそれ、これはこれのような気もする訳ですよ。(笑)
(赤江珠緒)
確かに。(笑)
『ザ・レッド・チャペル』撮影後、北朝鮮の逆鱗に触れマッツ・ブリュガー監督は北朝鮮に接触できなくなる
(町山智浩)
で、そういうね、なんていうか半分お笑いで半分非常に厳しいドキュメンタリーで両立するんですけど、それが不思議な事にね。それが『ザ・レッド・チャペル』という映画だったんですね。”ザ・レッド・チャペル”っていうのはこのマッツ・ブリュガーが組んだコントコンビの名前なんですよ。それで結局まぁとんでもないお笑いドキュメンタリーにして全世界で公開した為に、北朝鮮側が怒って大変な事になってですね。騙された!と。言う事になって、彼らはまぁ北朝鮮に接触できなくなったんですけれども。
ただこれね、通訳とかやってた人たちは処罰されてるんじゃないかと思って非常に怖いんですが。
(赤江珠緒)
あー・・そうかぁ、うん。
(町山智浩)
騙されやがって!みたいな感じで、恥かかせやがって!みたいな事になってるんじゃないかなと思うんですけど。で今回の映画『THE MOLE(ザ・モール)』って言うのは、それを見たウルリクという元シェフが、僕は北朝鮮に潜入しようと思うんですと。で、どうやって潜入するんだって言ったら、”北朝鮮を支援するヨーロッパ人の会”という団体があるんですよ。
(赤江珠緒)
ほぉほぉ。
”北朝鮮を支援するヨーロッパ人の会”
(町山智浩)
これね、結構謎の団体なんですけども、そこにKFAと言う、朝鮮親善協会と言う物があって、ヨーロッパ各地に色んな会員がいて、みんなでその北朝鮮を応援してる団体なんですね。そこに彼が潜入するんですけど、そこにいる人達はなんていうか、変な人ばっかりなんで、このウルリクは最もマトモなんで、その会長から・・KFAと言う、朝鮮親善協会の会長から目を付けられるんですよ。
彼はなんか仕事が出来るじゃないか、という事で。で、この会長は、アレハンドロという名前のスペイン人なんですね。で、彼から、俺の仕事を手伝えっていう風にウルリクが言われるんですよ。
(山里亮太)
仕事・・?はい。
ウルリクに挑戦親善協会の会長から与えられた仕事が・・
(町山智浩)
その仕事というのは何かと言うと、北朝鮮はご存知のようにミサイルを作ってる訳ですね。それで日本も攻撃できるし、それこそアメリカのグアムまで届くミサイルを作ったりしてる訳ですが、それを売りたいんだけどって言う話なんですよ。
(赤江珠緒)
ほうほう。えぇっ?うん。
(町山智浩)
でも北朝鮮って言うのは、国際的に国連からですね制裁を受けていて。ビジネスが他の国とは出来ないようになってるんですよ。
(赤江珠緒)
そうですよねぇ。
(町山智浩)
ましてや武器を輸出するっていう事も出来ないですよ、もちろんね。どうやってそれやるのって事が、このウルリクの潜入捜査で明らかになっていく。っていう話が、この『THE MOLE(ザ・モール)』なんですよ。
(赤江珠緒)
ふーん!うん。
ただのシェフがミサイルを売る為に
(町山智浩)
で、これ北朝鮮に・・まずですね、どういうビジネスをするかと。言う事になった時に、まずアレハンドロが・・そのKFAの会長のアレハンドロが、北朝鮮の武器を買うと言う人を連れて来て欲しいと。見つけろと言うんですね。でもそんなのウルリク知る訳ないんですよ、ただのシェフだから。
(赤江珠緒)
そうですよね。そんなの・・うん。どうやって探すの。。
(町山智浩)
で、前科者のジェームスと言う男を雇って、彼を謎の大富豪に仕立てるんですね。このジェームスと言うのは、刑務所にちょっと何年も、8年ぐらい入ってた人なんですけど、元々フランス人の傭兵。つまりそのなんて言うんですか、金で雇われる兵隊で、アフリカで色んな所でですね、クーデターを起こしたり、ゲリラを指導したりしてた、まぁハッキリ言って兵隊ヤクザなんですよ。こういう人はアフリカに一杯いるんですよ。だからアフリカって色んな国家がすぐ転覆されたり政府関係者が暗殺されたりするのはこういう戦争屋さん達が一杯いて、まぁビジネスをしてるんですよね。で、彼は捕まっちゃったんで、出て来た所で雇われるんですよ、マッツ・ブリュガーによって。大金持ちの大富豪のジェームスとして。
で、彼がそのビジネスにお金を出したいって言ってると、アレハンドロに紹介するんですね。そしたらじゃあ2人で北朝鮮行ってこいって、北朝鮮に行くんですよ。で北朝鮮に行くと何故かすごく誰もいないような、ただビルだけが立ってる所に連れてかれて、なんだこれ、殺されんじゃないかと思うんですけど、その地下になぜか接待場があってパーティールームみたいのがあるんですよ。何かって言うと、それは兵器工場なんですね。兵器工場の下に、海外から兵器を買いに来た人達を接待する接待ルームがあるんですよ。で、そこに隠しカメラ持って入って撮りまくっちゃうんですよそれを。
(赤江珠緒)
わ〜〜ほんと、めちゃくちゃ危ない!
(山里亮太)
危険だねー!
兵器工場を隠しカメラで撮影
(町山智浩)
めちゃくちゃ危ない。もう、これ見つかったら・・。だって北朝鮮って、この番組でも紹介しましたけど、誰が金正男を殺したかって言う(『わたしは金正男を殺してない』)っていうドキュメンタリーを前紹介しましたけども、外国に行ってね、暗殺して、それでまぁ逃げちゃうんだもん。
(赤江珠緒)
ねぇ。北朝鮮に入ったとしても撮っていい場所とかってすごい監視されたり管理されるでしょう?
(町山智浩)
すごい管理されて監視されてるのに、彼ら隠しカメラでこんなとこ行って、秘密の武器工場の内部撮影してる訳で。(笑)これバレたら絶対殺される、殺されても何も出てこないですよね。
(山里亮太)
でも映画にするって事はバレちゃいますね?
(町山智浩)
ねぇ。というかこの2人は北朝鮮に入っている事自体が、ほぼ誰も知らないんですよ。これ奥さんにも黙ってるんですよ、ウルリクは。反対されるから。
(赤江珠緒)
それは反対しますよね。うん。
非常に怖い状況なのに、非常にマヌケ
(町山智浩)
そう。北朝鮮で殺されても何も出てこない、消えるだけなんですよ。そんな所に行ってるって、すごい、こえ〜〜!と思うんですけど。でも何か非常にマヌケでですね、その北朝鮮の武器密輸業者達はですね、カラオケで楽しそうに歌ったりですね、してて、なんか妙なマヌケ感が全編に漂っているのが、この『THE MOLE(ザ・モール)』って言うか、マッツ・ブリュガー監督作品すべてに通じる所なんですよね。本当だったらこれ、『007』ですよこれ。
(赤江珠緒)
本当ですね!それ級の国家レベルのね・・うん、スパイですよ。
(山里亮太)
そうよ・・!
国家レベルのスパイ
(町山智浩)
でしょう?だって今すごく北朝鮮の武器密輸問題って、大問題になってるのは、要するに世界中のテロリストがいるじゃないですか。ISとかね。そういう人達に武器を売っている可能性があると言われてて。あとシリアが反政府の人達に対して毒ガスを使用した時も北朝鮮が関与してると言われてたりした訳ですよ。で北朝鮮は核も持ってる訳だし。それでまたすごい、大陸間弾道弾みたいな物まで開発してる訳で。これ『007』の敵ですよね。
(赤江珠緒)
完全にそうですね。
(町山智浩)
ね。スケール的にはその敵のスケールは『007』の敵と同じなんですよ、この映画では。ただ、潜入捜査してる側はただのおっさんなんですよ。(笑)
(赤江珠緒)
いちシェフが。(笑)
(町山智浩)
そう。ジェームズ・ボンドじゃなくて、ただのおっさんがボランティアでやってんですよ。
(赤江珠緒)
えぇ〜〜何これ・・。
(山里亮太)
すごいな。(笑)
暴かれる事のスケールのデカさと、ねぇ。その暴いてる側の非常にズサンな感じ
(町山智浩)
ギャップ?暴かれる事のスケールのデカさと、ねぇ。その暴いてる側の非常にズサンな感じ。ものすごくズサンなのね。で、びっくりしたのはね、この大富豪って事になってジェームスが行く訳じゃないですか。で、ビジネスしましょうって言うんですけど、ところで、あなたの会社の名前はって聞かれるんですが、ジェームスね、考えてないんですよ。
(赤江珠緒)
やだー!えぇー?それぐらいは詰めていかないと、ちょっと〜。
(町山智浩)
それぐらいは考えておけよ!と思いましたよ見てて。
(山里亮太)
普通のおっちゃんならではの。(笑)
(町山智浩)
そう。突っ込み所ありまくりなんですよ、このスパイの側が。モールの側が。
(赤江珠緒)
で、プロじゃないからね、何のノウハウもないしね。
(町山智浩)
でもいくらなんでもさ、そんな偽会社ぐらい考えて、普通だったらそのウェブサイトとかを作ったりするじゃないですか。調べられたらさ、だってそんな会社はないってバレちゃうんだからさぁ。
(赤江珠緒)
命がけなのに・・。
(町山智浩)
名刺作ったするじゃない、普通ね。日本の普通の詐欺師だってやるじゃないですか。そういうの全然用意してなくて。(笑)
(赤江珠緒)
なんでそんな無防備で入っていけるんです。。
(町山智浩)
そう。北朝鮮の武器密輸から、「で、お宅の企業は何という会社なんですか?」って言われて、「しまった!考えてなかった!」(笑)アホかお前ら!って言うね、すごい映画ですよこれ。
(山里亮太)
というコメディじゃなくて、ドキュメンタリー?ねぇ。
(町山智浩)
コメディなんだけど、状況的にはコメディなんだけど、これヘタしたら殺されてるってものすごいサスペンスでもあるんですよ。
(山里亮太)
すごいな。。
(町山智浩)
とんでもないですよ。笑いながらぞっとするというね、奇妙な奇妙な映画ですね。これね。
笑いながらぞっとするというね、奇妙な奇妙な映画
(赤江珠緒)
へぇ〜〜・・。でも全然その、バレる事なく、それで内部にどんどん入っていけるんですか?
(町山智浩)
そう。だから北朝鮮側も大ボケなんですね。
(赤江珠緒)
そうですねぇ。
(町山智浩)
それこそ何万人も殺せるような武器を取引してるのに、スパイする方もスパイされる方もみんな大ボケと言うですね、もうボケしかいなくてツッコミがいないスパイ戦と言うね。ボケしかいない『007』になっいますけど。(笑)
で、これすごくてね、その後じゃあその工場とかからね、武器を作って海外に持ち出したら、そんなもの密輸不可能じゃないかと。ねぇ。要するに北朝鮮って世界中から監視されてるんだから、CIAとか国連から。ただこれには抜け道があるって言うんですよ。機材だけ、機材や資材だ密かに北朝鮮から出して。で、技術者も出して。海外に秘密工場を作って、そこで作った武器を売ればいいんだって言うんですよ。
(赤江珠緒)
はー。。ふんふん。
(町山智浩)
ね。で、これまたすごいのはね、武器と一緒に覚醒剤も作りましょうって言うんですよ。覚醒剤も売ってるんですよ、北朝鮮作って。
(赤江珠緒)
うっわ。。どんどん闇の部分に入っていってる。えぇ。。
覚せい剤も売っている北朝鮮
(町山智浩)
じゃあ、その工場を作る所探さなきゃって言う話で、今度このジェームスとウルリクのインチキコンビが、今度はアフリカに行って。まぁジェームスはアフリカにコネがあったりするんでね。で、ウガンダに行って、ウガンダの島を買って、ね。その島にリゾートホテルを作って、そのリゾートホテルの地下に、ミサイルや麻薬の工場を作ろうって話になるんですよ。
(赤江珠緒)
大掛かりな!うえ〜すご!
(町山智浩)
ものすごい大掛かりですよ。それこそ何億円、何十億円っていう金を、ジェームスが動かすって事で、そのウガンダの人も巻き込んでくんですけど。。。こいつら一銭も持ってないんですよ。
(山里亮太)
えっ。
(赤江珠緒)
えーーーーー。えーーーー。
(町山智浩)
一銭も持ってないんですよ、ハッタリだけ。
(赤江珠緒)
絶対にバレるでしょうよそれ。。
(町山智浩)
ハッタリだけで国と戦う・・!
ハッタリだけで国と戦う
(町山智浩)
これはバレるだろうそりゃっと思うんですよ。でこれ、ウガンダ政府の要人も出てきて、政府としてこの工場誘致、非常に歓迎しますとか言って。それとまぁ偉そうに取引してるんですけど、こいつら一銭も持ってねえぞって言う、もう画面見てるとものすごく突っ込みを入れたくなる変な映画なんですよ。
(赤江珠緒)
でもやっぱりその、ウルリクさんですか?とかが、全くビクビクしてない?のかな?だからかな?
(町山智浩)
ビクビクしてないのこの2人。堂々としてると言うかね、ただのボケなのかも分からないですけど、全然堂々としてて。1回ね、このアレハンドロから疑われてですね、お前隠しカメラとか隠しマイクとか持ってんじゃねぇかっつって、電波探知機で探される時もね、淡々としてんですよ。すげえヤベえのに!(笑)って思うんですけども。
(赤江珠緒)
なんていう肝の据り方なの・・。
(町山智浩)
なんて肝が据わってる奴だろうって思うんですけどね。で、また今度は武器をね、武器とか資材を海外に出して、お金をどうやって渡すか。北朝鮮にお金を送るっていう事自体がまたものすごく監視されてるんですよ。ね。取引ができないんですね。どうするかって言う話で、もう1人の大金持ちが出てくるんですよ、ヨルダンの謎の大金持ちが。で、彼が北朝鮮に密かに石油を売りたがってるんですよ。
(山里亮太)
石油ね!うん。
密輸ロンダリング
(町山智浩)
で北朝鮮には石油を売っちゃいけないんですよ、今。制裁してるから、世界が。北朝鮮に対してね。だからどうするかって言うと、人道的支援物資に見せかけて、石油を送り込むと。で、その石油は事前にジェームスが買って、そのヨルダンの石油王から。北朝鮮に武器やその覚醒剤の工場の代金としてその石油を払うんだって。で、そこに石油を運んでいった船が、帰りにミサイルや覚醒剤の資材や材料を積んで、ウガンダに行くんだって言う計画を立てるんですよ。
(赤江珠緒)
うんうんうんうん。
(町山智浩)
だからロンダリングみたいなもんですね。密輸のね。すごい話ですよこれ。
(赤江珠緒)
すごい話ですよ。何も持っていない2人が?
(町山智浩)
そう。これ、CIAとかが、それこそものすごい人数で、ものすごいハイテク技術で、探らなければいけないような事を、ねぇ。ただのおっさん2人でやっちゃってるんですよ。
(山里亮太)
ははははは。(笑)
(町山智浩)
とんでもない話ですよ、これ。これね、マッツ・ブリュガー監督が言ってるのは、こんな事が可能なのは北朝鮮が全然ちゃんと調べないからだって言ってるんですよ。
(赤江珠緒)
まぁ、そういう事ですね。うん。
(町山智浩)
まぁ何でもいいんだろう、と。とにかく金が入ればと。あまりにもズサンだって言ってるんですけども。でも、お前なぁ、もし北朝鮮がちゃんと調べたらこの2人死んでるよと思うんですけど。まぁとんでもない、信じられない、どこまでが本当なのかって疑いたくもなってくるんですよ見てると。ただ北朝鮮側の武器密輸人とか本人が本当に出て映ってますし、なにしろ北朝鮮内部で撮影してるシーンがあるんで、やっぱり本当なんですよね。と言うね、まぁ本当に信じられないような映画がこの『THE MOLE(ザ・モール)』で。
(山里亮太)
見たいなこれ。。
(赤江珠緒)
THE MOLE。しかも今、これ後ろを見ると、かなり長い時間かけて?
(町山智浩)
そう、10年ぐらい潜入してるんですよ。
(赤江珠緒)
えぇ〜?
(町山智浩)
まぁここまでスケールがデカくて、大変な内容なのにもかかわらず、マヌケ感がずっと消えない映画っていうのも珍しいと思いますよ。思わず笑うシーンが何ヶ所かありますけど。
(赤江珠緒)
ちょっとにわかには信じがたい内容ですねぇ!
(町山智浩)
という事で『THE MOLE(ザ・モール)』は、もう既に公開中ですね。
(赤江珠緒)
はい。『THE MOLE(ザ・モール)』10月15日から公開、そしてその前のね、『ザ・レッド・チャペル』も11月27日から公開となっております。
(町山智浩)
はい。日本のマスコミも、こんな怖い事じゃなくていいですから、まぁ賄賂をね、政治家に持って行くフリをして隠し撮りするとか、そういう事はしてもいいと思いますよ。
(赤江珠緒)
何を勧めとるんですか。(笑)いや本当にね、これはもう決死のでございますね。
(町山智浩)
とても面白いです。はい。
(赤江珠緒)
町山さん、ありがとうございました。
(町山智浩)
どもでした。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
②”MOLE”は”モグラ”という意味
③北朝鮮の武器密輸と覚醒剤密輸に潜入捜査したのは、タダのおっさん
⑥ウルリクに挑戦親善協会の会長から与えられた仕事がミサイルを売る仕事