浅草キッドの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『浅草キッド』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『浅草キッド』解説レビューの概要
①『浅草キッド』は町山さんの2021年ベスト映画に入る
②同時期に公開された『浅草キッド』と『スパイダーマン』の共通点とは?
③立ってるだけでも柳楽優弥さんがたけしさんに見える
④柳楽優弥さんのたけしさんの演技をしたのは○○○○
⑤町山さんが感動したのはたけしさんの師匠の○○○○○さん
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
『浅草キッド』町山さんの評価とは
(町山智浩)という事で『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』 がもうベスト!なんですが、もう1本ベストがありましてですね。それがへ、劇団ひとりさんが監督した『浅草キッド』なんです。これNetflixでねもう既に配信済みなんですけど、ご覧になりました?
(山里亮太)見ました〜!
(赤江珠緒)見ました。
(町山智浩)すごかったですね!これね!
(山里亮太)いや〜〜すごい!かっっこい!
(町山智浩)すごかった!これね、これまぁ原作は1988年にビートたけしさんが書いた自伝小説で、大学を中退してフラフラしてたたけしさんが、浅草にあったフランス座というストリップ劇場でバイトをしていた時に、そこでコントをやっていた、これ実在の人物ですが深見千三郎さんという芸人さんに弟子入りして、まぁ修行をして、そこから漫才師としてデビューしてっていう話なんですね。それが『浅草キッド』という小説なんですけども。これもね、『スパイダーマン』とよく似てる所があって。
(赤江珠緒)えっ?
『浅草キッド』と『スパイダーマン』の共通点とは?
(町山智浩)今まで3回、映像化されていて。たけしさん役は3人いるんですよ。
(山里亮太)あぁそうか、なるほど。
(町山智浩)たけし1、たけし2、たけし3なんですよ。で、一作目はね天宮良さんで。まぁタップダンスをするシーンがあるんで彼タップダンサーなんで出てきているんですけども。2代目はなんとね、浅草キッドの水道橋博士なんですよ。彼が師匠であるたけしさん役を演じてるんですよ。だからアメージング・たけしという感じなんですよ。アメたけなんですが。で今回は、劇団ひとりさん監督版では、柳楽優弥さんがたけしさんを演じてるんです。
(山里亮太)いや〜すごいですよね!
(町山智浩)これがすごい!これがすごい驚いた。
(赤江珠緒)一瞬、あれ?ご本人の映像を使ってる?と思っちゃうぐらい。
(町山智浩)そう。現在のたけしさんの部分は特殊メイクなんですけども。その若い頃の修行中のたけしさんを演じる所がすごくて。ご覧なりました?
(山里亮太)見ました!
(町山智浩)赤江さんまだですよね?
(赤江珠緒)あ、見ました見ました!
(町山智浩)あ、見てるんですね。これすごいのは、何もしないで立ってるだけでも、たけしさんに見えるんですよね、柳楽さんが。
(赤江珠緒)そう。
立ってるだけでも柳楽優弥さんがたけしさんに見える
(山里亮太)そう。角度だとか・・首の角度とか全部研究され尽くしているというか。
(町山智浩)その通り。立ってて、シルエットが見えるだけでたけしさんなんですよ。
(山里亮太)そう!
(町山智浩)で、楽屋のその座敷みたいな所に座ってるだけでもたけしさんに見えるんですよ。
(山里亮太)顔はね、全然もう柳楽さんだから似てはいないんだけども。
(町山智浩)顔自体は似てはいないんですけども。骨格というか体型の作り方で完全にたけしさんなんですよ。これすごいの。あとね、しゃべり方がすごいんですが、あのたけしさんのなんと言うかあの、ちょっと詰まる感じ?あの、なんて言うか詰まり方まで完全にたけしさんなんです、しゃべり方が。あれ、すごいですよね。
(山里亮太)しゃべり方本当に!若い頃のたけしさんって言う。
(赤江珠緒)すごいコピーされてますよね。
(町山智浩)これね、たけしさん演技指導でね、松村邦洋さんが入ってるんですよ。
(山里亮太)ね!最後それがわかって、あぁなるほど!って。
たけしさんの演技指導で松村邦洋さんが入っている
(町山智浩)松村さんがずっと現場にいて、その全てのシーンでたけし演技指導をしてるという。すごい職業ですけどね。
(山里亮太)でもなんか柳楽さんがやっているのは別にモノマネじゃないんですよね、なんか。
(町山智浩)モノマネじゃないの。内面的な部分なんですよね。
(山里亮太)そうですよね、だからそれがすごいなと思って。
(町山智浩)そう。すごいんですよ。たけしさんがすごく、たけしさんって、ギャグ言う時、自分で笑っちゃう癖があるんですよ。そこまでコピーしてんの。
(山里亮太)いや〜まぁ完璧だったもんな。
(町山智浩)すごいですよ。『その男、凶暴につき』とかでギャグを言う時に自分で笑っちゃってるんですけど。あの感じとかまで掴んでて、すごいんですけど。これね、アカデミー賞をもう取るべき演技でしたね。
(山里亮太)えーー!!
(町山智浩)ただアカデミー賞候補の条件に入ってないんですけどね。
(山里亮太)どっか1回劇場で公開しちゃえば・・!
町山さんが感動したのはたけしさんの師匠の深見千三郎さん
(町山智浩)アメリカの劇場でやってないからね、はい。でもね、それでもね僕がね実はすごく感動したのは、たけしさんの師匠の深見千三郎さんなんですよ。大泉洋さんが演じてるんですけど、彼はその頃ですねストリップ劇場っていわゆるボードビルという事をやっていて。そのストリップの裸の踊りがあると、その間にコントがあったり、芝居があったり、歌があったりするようなそのバラエティショーだったんですね、元々。昔のその寄席と言われるような物って言うのはね。で、寄席っていうのは元々、寄せるっていう意味で色んな芸が寄せられているものだったんですよ、曲芸があったりね。で、それの伝統を守り続けているのが深見千三郎さんなんですよ。で、ところが、それが、このたけしさんが弟子入りした頃にはもう滅びつつあるんですね。テレビに押されてしまって。でも、彼はテレビに出ないんで、その寄席芸を守り続けようとしてる人なんですよ、深見千三郎さんは。で、その大泉さんの演技といいですね、プライド。素晴らしかったですね。あの「俺たちは笑われてるんじゃねえんだよ。笑わせてんだよ!」っていうあの、もう本当に芸人としてのプライド。が本当に素晴らしくてですね。ただ、僕自身は、すごくこの映画を見た時に、本来だったらたけしさんの方に観客は感情移入して見る人が多いと思うんですけども、もう僕は深見さんの方にしか感情移入できない歳になっちゃった。それは、この深見千三郎さんが亡くなったの59歳なんですよ。あ、今『浅草キッド』が流れてますけど。僕は同い年なんですよ。
(山里亮太)なるほど。
寄席とは
(町山智浩)で、この頃の寄席というのは、要するにお笑いあり、涙あり、あとね時事コントもよくあったんですね時事漫才。その時々のニュースをですね、牧伸二さんとかが批評するっていうのが結構あって。つまり、テレビって言うのはその寄席でやってた事をバラバラの時間にしたのがテレビですよね。バラバラの番組にしたのが。寄席はそれを2時間か3時間ぐらいにしてるんですよ、テレビの全番組を。
でも、それは僕にとっては雑誌がそうだったんですよ。雑誌ってほら、笑える記事があって、エッチな記事があって、考えさせる記事があって、物語があってって。寄席じゃないですか。
(赤江珠緒)うん。
(町山智浩)僕はそれが作りたくて雑誌界に入ったんですけど、雑誌の編集者をやってたんですけど、雑誌も今滅びつつある訳ですよ。だってキヨスクなくなっちゃったし。コンビニに雑誌置いてないし。
(赤江珠緒)そうですね、確かに。
(山里亮太)そうだ。
(町山智浩)だから僕はね、深見さんが寄席と共に滅びていくのはね、自分の雑誌というジャンルが滅んでいくという、このものすごいつらい感じとね、ダブって。もうつらくて見てられなかったんですよ。
(赤江珠緒)そういう思いでね。なるほど。町山さんは。
(町山智浩)しかも59歳でね。もう終わりかな!と思いましたね。
(赤江珠緒)いやいやいや!(笑)早い!結論が早い!町山さん!それは。
(山里亮太)そうですよ。(笑)
(町山智浩)という事でね、見る人によって全然違うと思うんですけども、とにかく『浅草キッド』すごかったですよ。もう是非ご覧になって頂きたいと思います。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
④柳楽優弥さんのたけしさんの演技をしたのは松村邦洋
⑤町山さんが感動したのはたけしさんの師匠の深見千三郎さん