赤い闇 スターリンの冷たい大地での町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』解説レビューの概要
①○○とつく人はウクライナ系の名前
②なぜウクライナがロシアに降伏しないで徹底的に戦い続けるのがわかる映画2選
③ウクライナに入れなかった時代にイギリス人のジャーナリストが潜入した話
④なぜソ連がウクライナの実態を隠していたかっていう事が暴かれる
⑤1930年代のスターリンによってなされた飢餓、”ホロドモール”
⑥”ホロドモール”は”人為的に作り出された飢餓”という意味
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』町山さんの評価とは
(町山智浩)突然なんですけど、今日まず1曲聞いて欲しいんですが、元ネタって事で。
(山里亮太)おっ!
(町山智浩)マギー・ミネンコさんの歌、『燃えるブンブン』です。
(町山智浩)はい。懐かしい歌なんですけど、今でも歌えるんですけども。これ、マギー・ミネンコさんってご存知ですか?
(山里亮太)いや・・ちょっと知らなかったです。
(赤江珠緒)いやちょっと存じ上げないんですよ。
(町山智浩)年齢的なアレだと思うんですけど、この人は1973年ぐらいに日本テレビで放送していたバラエティ番組の『金曜10時!うわさのチャンネル!!』という番組のレギュラーだったタレントさんなんですよ。
(山里亮太)へ〜!
(町山智浩)で、『うわさのチャンネル!!』っていうの和田アキ子さんがメインで、せんだみつおさん、山城新伍さん、あのねのね、あとプロレスラーのデストロイヤーがレギュラーで。
(山里亮太)あーー!はいはいはい!
(町山智浩)わかります?
(山里亮太)はい。なんか懐かし映像で、何度もそのアッコさんとデストロイヤーの絡みは。あと、徳光さんとか?
(町山智浩)そうそう。アナウンサーの徳光さんにデストロイヤーが4の字固めをかけたりしてたり。
(山里亮太)ですよね!それね!はいはい!
(町山智浩)そうなんですが、それでマギー・ミネンコさんっていう人は女性タレントでそれに出てて、持ちギャグがね、「乳揉めー!」って言うんですよ。
(赤江珠緒)ははは!ええっ?
(町山智浩)おっぱいをこう持って「乳揉めー!」って言うんですけども、そういう下品な番組がありまして。で、マギー・ミネンコさんっていう人はねその当時ね、お父さんがロシア系アメリカ人っていう風に紹介されてたんですね。でも今考えると、「ミネンコ」という名字はですね、ウクライナ系なんですよ。
(山里亮太)ほうほうほう!
ミネンコという名字はウクライナ系
(町山智浩)まぁウクライナはずっとロシア帝国に占領されて、その後ソビエトに占領されてて、ソ連にね。ロシアと一緒くたにされる事が多くて、ウクライナの人も”ロシア系”って言われる事が結構あったんで、ミネンコさんもロシア系って言われたんですけど、恐らくはウクライナ系なんです。名字が。例えばハリウッド女優でロシア系って言われてる人で『007 慰めの報酬』に出ていたオルガ・キュリレンコさんっていう人もいるんですが、この”キュリレンコ”っていう名前はウクライナの名字なんですよ。
(赤江珠緒)はぁ〜〜そうなんですね。
(町山智浩)”なんとかンコ”ってつく人はウクライナなんですね。例えばあと『ウエスト・サイド物語』。昔の方の、1961年の方の『ウエスト・サイド物語』のヒロインだったナタリー・ウッドという女優さんは、本名がナタリー・ザカレンコなんですよ。だからこの人もロシア系って言われてたけどウクライナなんですね実際は。ロシアと一緒くたにされてたからなんですけど。で、ウクライナの人って結構実はハリウッドとかアメリカとか、それこそマギー・ミネンコさんみたいに日本にもいるんですけど、みんな気が付かないでロシア系だと思ってた人が多いんですよ。
(赤江珠緒)ふ〜〜ん!
(町山智浩)で、今日はねちょっとね、ウクライナの話をしようと思ってるんですけども。今ウクライナがね、ロシア軍に攻め込まれて。であっという間に占領されるだろうと言われてたんですけれども、予想に反してね。今も持ちこたえて戦い続けている訳ですけども。なぜそのウクライナがロシアにやすやすと降伏しないで、本当に徹底的に戦い続けるのかと。いう事がわかる映画を今日は2本紹介します。
(山里亮太)はい!
なぜウクライナがロシアに降伏しないで徹底的に戦い続けるのがわかる映画2選
(町山智浩)で、どっちもね、ネットで配信されてて、すぐに見れますんで、300円とかそのぐらいでね。是非見て頂きたいんですが。
1本目はですね、『赤い闇』という映画です。副題が『スターリンの冷たい大地で』と言うんですが。
2019年にウクライナとポーランドの合作で作られた映画なんですけども、これアマゾンとかYouTubeで見れます。これね、まずウクライナという国は1919年にソ連に占領されるんですね。一旦ロシア帝国が崩壊した時に独立しようとしたんですけども、すぐにロシア帝国の後にできたソ連に占領されて、またロシアの1部にされちゃうんですけども。その頃ね、西側諸国、欧米諸国、イギリスとかアメリカとかはウクライナに入れなかったらしいんですよ。で、1933年にウクライナに、イギリス人のジャーナリストのガレス・ジョーンズという人が潜入しまして、こっそり。そのルポを元にした映画がこの『赤い闇』なんですね。で、なんでソ連がウクライナの実態を隠していたかっていう事が暴かれるんですけど、そのウクライナというのは非常に土地が肥沃でですね、農業が盛んなとこなんですね。で、ウクライナの国旗は今皆さん目にしてると思うんですけど、上が青で下が黄色なんですが、あれは上は青空を意味してて、下の黄色はですね、黄金に輝く麦畑を意味してるんですよ。
(赤江珠緒)ふ〜ん!うん。
(町山智浩)で、ものすごく穀物が取れる所なんですね。まぁロシアっていうのは非常に自然が厳しい所なんであんまり取れないんですけど、穀物がね。でウクライナの方が取れる訳ですよ。で、どうなったかっていう事なんですけど。そのウクライナは外国人が入らないようにしていた所でガレス・ジョーンズが入り込むとですね、もう人がみんな骨と皮なんですよ。
(赤江珠緒)うわぁ・・。
隠されていたウクライナの実態
(町山智浩)それでジョーンズが持ってきたミカンかなんかの皮をぽろっと落とすと、その皮にバーッと子供たちが群がってですね、むさぼり食うんですね。で、じゃぁ麦が取れないのかなって思うと、麦取れてるんですよ、いっぱい。取れてるんですが、それをどんどんそのソ連が持ってっちゃうんですよ。奪ってっちゃうんですよ、ロシアに持っていく為に。で、ウクライナには食べ物が残らないんですね。で、隠してると、もうそこに入って来て奪い取っていく訳ですよ。隠すんじゃねえ!って事で。まぁ昔の江戸時代のなんか年貢を納めるみたいな世界ですけど。
(赤江珠緒)そうですね・・。
(町山智浩)で、ジョーンズもそこに入ったのはいいものの、食べ物がないから餓死寸前になっていく訳です。で木の皮を剥いて食べたりするんですけども、その頃ウクライナの人達は虫食べたり大変な事になっていたみたいですね。で、とうとうやっぱり飢えで倒れるんですジョーンズが。そうすると、地元の農家の子供が彼を救ってくれるんですよ。で、何かの肉をくれるんですね。で、この肉どうしたの?ってその子に聞くと、その子はお兄ちゃんって答えるんですね。すると、お兄ちゃんがこの肉を取って来てくれたの?って聞くと、子供は黙っちゃうんですよ。それはですね、餓死したお兄ちゃんの人肉なんですよ。
(赤江珠緒)うわそういう事か・・。
1930年代のスターリンによってなされた飢餓、”ホロドモール”
(町山智浩)で、このウクライナの1930年代のスターリンによってなされた飢餓はですね、”ホロドモール”と呼ぶらしいんですね。それは”人為的に作り出された飢餓”という意味だそうです。これで100万人を超えるウクライナ人が餓死したと言われています。
(赤江珠緒)とんでもないですね!それも。
(町山智浩)とんでもないんですよ。で、今回ロシアのプーチン大統領がウクライナを占領する事を正当化する為に演説でね、「歴史的に我々ロシアとウクライナは元々ひとつなんだ。」って演説したんですけど、実際はウクライナから食べ物を奪って殺していた訳で、ひとつでもなんでもない訳ですけどね。
(赤江珠緒)うーん・・そっか・・。
(町山智浩)そういう歴史的なまぁひどい事をロシアがウクライナに対してしていた事がわかる映画がその『赤い闇』っていう映画なんですけども。
でもう1本はね、今の『赤い闇』の方は劇映画なんですけども、もう1本の方はですね、『ウィンター・オン・ファイヤー』というタイトルのドキュメンタリーです。で、副題が『ウクライナ、自由への闘い』というタイトルなんですが、これはねNetflixで見れます!日本語字幕がついているやつはNetflixにあるんですが今回ウクライナへのロシアの侵攻に対してNetflixは抗議をして、YouTubeでタダでこの映画を公開してるんですが、ただ日本語字幕が付いてないんで。日本語字幕を読む為にはNetflixで見なきゃならないんですけども。
(赤江珠緒)あぁ、そうか。
(町山智浩)これね、字幕入りのやつをね、日本のNetflixもタダで流すべきだと思うんですが。
(赤江珠緒)うん!
(山里亮太)確かに。
※書き起こし終わり
→続きはウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘いの町山智浩さんの解説レビュー
○○に入る言葉のこたえ
①”なんとかンコ”とつく人はウクライナ系の名前