タミー・フェイの瞳の町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『タミー・フェイの瞳』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『タミー・フェイの瞳』解説レビューの概要
①『タミー・フェイの瞳』はキリスト教徒向けのテレビ番組で大人気だった夫婦の話
②1週間で約○○円の寄付を集めていた
③夫婦はとんでもない大富豪になっていく
④クリスチャンテレビは宗教団体なので無税
⑤寄付でフロリダのディズニーワールドに次ぐ巨大さの遊園地、ヘリテージUSAを作ったほど
⑥骨格を変える程の特殊メイク
⑦アカデミー賞の今回の特殊メイクアップ賞にもノミネート
⑧美人女優がダウングレードした容姿にしてアカデミー賞を取りに行く事について
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
前半、『愛すべき夫妻の秘密』の解説レビューはこちら。
『タミー・フェイの瞳』はキリスト教徒向けのテレビ番組で大人気だった夫婦の話
(町山智浩)で、今の話と非常によく似た話がもう1本の方なんですけれども。それがあの、『タミー・フェイの瞳』というタイトルの映画なんですね。これは、さっき言ったのは1950年代のテレビ番組なんですけど、この『タミー・フェイの瞳』の方は1970年代から80年代にかけて実在した、テレビのクリスチャンテレビと言うキリスト教徒向けのテレビ番組で大人気だった夫婦の話なんですよ。
(赤江珠緒)ふんふんふん。
(町山智浩)タミー・フェイっていう奥さんと旦那のジム・ベイカーっていうですね、2人がキリスト教徒向けにですね、子供向けの人形劇をしたり、まぁ特にこのタミー・フェイさんが歌がうまかったんで神を讃える歌を歌ったりしてですね、すごい人気者になって。どのくらい人気だったかと言うと、そういうキリスト教テレビって言うのはキリスト教チャンネルと言うので放送されるんですね。クリスチャンチャンネル。それはコマーシャルが入ってないんですよ。どうやって収益を上げるかと言うと、視聴者から寄付をもらう。
(赤江珠緒)うん、直接。
(町山智浩)で、電話かけるんですよ。電話をかけてクレジットカードの番号を言って、30ドル寄付したいとか言うのを受けて寄付を受け取ったり、あとは小切手を受け取ったりして寄付を集めるんですね。それで番組自体を運営しているんですけれども、この夫婦、タミー・フェイとジム・ベイカーはその頃1970年代頃にですよ、1週間に2人だけで、1億円ぐらいの、つまり100万ドルぐらいの寄付を集めていたんですよ。
(赤江珠緒)ええっ?1週間で!?当時!?
1週間で約1億円の寄付を集めていた
(町山智浩)当時。だからもっとすごい額なんですよ。今だともっとはるかに大きい額なんですよ。10億円とかなんですよ。
(赤江珠緒)そうですね!
(町山智浩)1週間なんで。それを年間50週やってたんで。まぁ大金持ちのとんでもない大富豪になっていくんですよ。
(赤江珠緒)そうですね・・!
(町山智浩)で、これが大問題なのは、クリスチャンテレビっていうのはですね、テレビ局じゃないんです。法律上は宗教団体なんですよ。
(山里亮太)はい。
(町山智浩)無税なんです。
(山里亮太)ああ〜〜〜!
クリスチャンテレビは宗教団体なので無税
(町山智浩)税金かかんないんです。で、莫大なお金が入ってくるんで、まぁ段々ちょっと感覚がおかしくなってくんですね、この夫婦が。もう豪邸を建てても建てて追いつかないので、その寄付を集めて遊園地を作りました。
(山里亮太)ええっ!?
(町山智浩)はい。ヘリテージUSAっていう名前の遊園地で、しかもそれはフロリダのディズニーワールドに次ぐ巨大さでした。
(山里亮太)ええ!!!個人で!?
(町山智浩)個人ではないんです!宗教団体として。個人だと税金はかかるんです。
(山里亮太)そっかそっか!うーわ!
(町山智浩)宗教団体にしておけば無税なんですよ。
(山里亮太)なるほど!
(町山智浩)もちろん、聞いてて、ヤバいんじゃね?それって思う訳すよね。ヤバいんです。大変な事になっていくんです。
(山里亮太)あ、そうなんだ。
(町山智浩)やっぱり。(笑)やっぱりギリギリの事をやってるんでね。で、そのお金の件だけじゃなくて、もう1つそのジム・ベイカー、この映画の中ではねアンドリュー・ガーフィールドさんがまたすごいメイクで演じてるんですけど、奥さんに・・子供2人いるんですが殆どエッチをしてくれないんですよ。タミー・フェイさんに。このタミー・フェイを演じているこの、ジェシカ・チャステイン、これちょっと見てほしいんですけども、このメイクすごいんですよ。
(赤江珠緒)うわ本当だ。元々の面影が全然ない。
(町山智浩)輪郭が違って、骨格が変わっちゃってるんですよ。ジェシカ・チャステインってこうなんて言うか、鋭角的な鋭い顔の人なんですけど、女優さんなんですが。タミー・フェイはタヌキ顔なんですよね。要するに横幅の方がある感じで。
(赤江珠緒)はい。
(町山智浩)ねぇ。だからこれ骨格をめちゃくちゃ変えてるんで、アカデミー賞の今回の特殊メイクアップ賞にもノミネートされていますね。で、ものすごくこういう感じの人なんですけども、段々化粧が濃くなって目がとんでもない感じになってくるんですね。目のメイクアップが。
アカデミー賞の今回の特殊メイクアップ賞にもノミネート
(赤江珠緒)そうですね。タミー・フェイさん本人の写真を見ても、目の周りのアイラインがすごいですね。
(山里亮太)すごいね。
(町山智浩)最初はそうでもなかったんですけど、段々そうなったんですよ。これは旦那さんがエッチしてくんないからなんですね。自分に自信がなくなってきてどんどんメイクするようになってきて。それでもうある日気がついちゃうんですよ。この旦那さんが男のスタッフとなんかイチャイチャしてるんですよ。
(赤江珠緒)えっ。うん。
(町山智浩)で最初はなんか男同士、仲がいいのねーと思って見てるんですけど、どうも仲よすぎるんですよ。まぁゲイなんですね。
(赤江珠緒)うーん!
(町山智浩)ところがこのクリスチャンテレビって言うのはその頃エイズが流行して大問題になってたんで、そのクリスチャンの人達、キリスト教原理主義の人達は、ゲイは絶対に神がお許しにならないと。エイズは天罰だっていう主張をしてたんですよ。ところが本人はゲイだったんですよ。
(赤江珠緒)そうかそうかぁ!
(町山智浩)要するにお金の事もあるし、その事もあるし、もう二重、三重の嘘をついてくんですね。しかも、おしどり夫婦の演技をし続けるんですよ。それで、めちゃくちゃになっていくっていう話がこの『タミー・フェイの瞳』というね、実話の映画化なんですけども。まぁ両方とも非常によく似たね、夫婦・・と言うか仮面夫婦の話ですよね。夫婦自体がビジネスになってるから隠さざるをえないと言うね、話で。非常によく似ていて、アメリカという国がね、まだすごくその宗教とかに縛られてて、おしどり夫婦でなければいけないみたいな事をね、まぁすごく芸能人達に押し付けてた頃の話なんですけども。はい。ただね、この女優さん2人美人女優さんじゃないですか。その2人が、なんて言うかわざとダウングレードさせてアカデミー賞を取りに行くって事は果たしていいのかどうかって事で、色々疑問があるとこなんですよ。
(赤江珠緒)へ〜・・!
美人女優がダウングレードした容姿にしてアカデミー賞を取りに行く事について
(町山智浩)だってそれって美人がさぁ、そうじゃない人の役まで横取りしちゃう話じゃない、独占しちゃう事じゃない。
(赤江珠緒)あぁそうか。
(山里亮太)そっかそっか!
(町山智浩)そう。それは逆に良くないんじゃないかって言う意見もあって、色々揉めてる映画なんですけども。ちなみにこのジェシカ・チャステインっていう人は大金持ちです。
(赤江珠緒)あっ、この方自体が?
ジェシカ・チャステインは大金持ち
(町山智浩)この女優さんはですね、この映画のプロデュースを自分でしてるんですけども、お金がすごくあって。この人、旦那さんがですね、イタリアの貴族です。伯爵です。伯爵夫人ですね彼女は。しかも高級ブランドのコートとかを作っているモンクレールのCEOです。
(赤江珠緒)モンクレールの?へー!
(町山智浩)経営者です。
(山里亮太)へー!この人なんだ!
(町山智浩)そう。だから働かなくてもいいんですけど、やっぱりアカデミー賞が欲しいからこの映画を撮ってるんですね。
(山里亮太)はー!
(町山智浩)わざわざ不細工にして。
(山里亮太)すご!
(赤江珠緒)そうですか!
(町山智浩)というね、色々とんでもない映画『タミー・フェイの瞳』と『愛すべき夫妻の秘密』です。今、流れた歌はジェシカ・チャステイン自身が歌ってるんで歌もすごいんですよね。
(赤江珠緒)まぁでも本当に同じタイミングでね、本当に似た感じのやつが作られましたね。
(町山智浩)はい。是非比べて見ると面白いと思います。『愛すべき夫妻の秘密』はアマゾンプライムで配信中で、『タミー・フェイの瞳』はディズニープラスで配信中です。
(赤江珠緒)はい、わかりました。さぁアカデミー賞どうなるか?町山さん、ありがとうございました。
(山里亮太)ありした!
(町山智浩)どもでした!
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
②1週間で約1億円の寄付を集めていた