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引用:IMDb.com

犬王の町山智浩さんの解説レビュー

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2022年05月27日更新
根元には「権力が滅びるよ」っていう庶民からの叫びですよね、それはね。で、それを歌ってた最も被差別の人達が、どんどん権力に取り込まれそうになっていくっていう物語なんですよ、この『犬王』っていうのは。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『犬王』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『犬王』解説レビューの概要

①『平家物語 犬王の巻』が原作
②犬王というのは実在の室町時代の能楽者
③犬王と琵琶法師の主人公の友魚がバンドを組んで、○○○○○○になっていく
④なぜ音楽をするのか
⑤表現の根源は、足りない物を埋めるため?

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『犬王』町山さんの評価とは

(町山智浩)これは今週末からですね、公開の『犬王』っていうアニメーションです。5月28日から公開なんですが。監督は『夜は短し歩けよ乙女』や『映像研には手を出すな!』の、湯浅政明監督で、原作はですね、古川日出男さんという小説家で、この人『平家物語』というのが最近アニメ化されましたけど彼の原作の。それの外伝の『平家物語 犬王の巻』というのが原作で、犬王というのは実在の室町時代の能楽者ですね。能を演じた人です。

映画「」のポスター

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)その人が主人公なんですけども、これ、ロックミュージカルになっています。

(山里亮太)へえ!

(町山智浩)音楽は『あまちゃん』の大友良英さんですね!で、キャラクターは漫画家の松本大洋さんなんですけど、脚本がですね。『逃げ恥』の野木亜紀子さんなんですよ。

(山里亮太)はぁ〜!

(町山智浩)だから野木さんのシナリオはいつも「働く」という事がすごくテーマの中心になってきて、この『犬王』もそういう話になってるんですけど。さっき話してきた話とも繋がるんですけども。

→『私のはなし 部落のはなし』町山さんの解説

この当時、その芸をする人達、芸能ですね。歌や踊りをする人達というのは、いわゆる”河原者”と呼ばれていて、河原でね、テント張ってやるんですけども、まぁ被差別者だったんですよ。特にこの話では『平家物語』という物語が成立していく過程と絡んでいて、その琵琶法師の人達が語っていくんですね。平家の盛者盛衰をね。で、彼らは目が見えないんですよ。でまぁ差別されてる人達なんですね。それと、この犬王は踊りを踊る人なんですけれども、能楽師の父親から生まれるんですけれども、全身に何十ヶ所も欠損がある、障害を持った人として生まれてくるんです、この犬王は。

(赤江珠緒)へぇ・・うん。

(町山智浩)で、それは滅ぼされた平家の亡霊によって呪われてるからと、いう事なんですね。

(赤江珠緒)うんうん。

引用:IMDb.com

障害を持った人として産まれた能楽師、犬王

(町山智浩)ところが、このなんて言うか踊りを踊っていく能楽師の、その頃「能楽」っていう言葉はないんで「猿楽」って呼んでるんですけどね。の、犬王と琵琶法師の主人公の友魚がバンドを組んで、ロックスターになってくって話なんですよ。

(山里亮太)おえっ?(笑)

犬王と琵琶法師の主人公の友魚がバンドを組んで、ロックスターになっていく

(町山智浩)で、それがですね。クイーンのようなね、クイーンの『We Will Rock You』のような煽りをしてですね。でもう本当に、エリック・クラプトンのようなブルースギターで、ジミヘンのようなギターで、マイケル・ジャクソンのように犬王が。ギターって言っても琵琶なんですけどね。何故かものすごいディストーションのかかった音が出るんですね。で、犬王がですね、マイケル・ジャクソンのようにムーンウォークして踊るというですね、展開になっていくんですけども。踊って歌って平家の物語を語ってくんですね。自分に亡霊として憑いている。で、1つ語るたんびに、身体の欠損を取り返していくんですよ。犬王は。

(赤江珠緒)ほう。うんうん。

(町山智浩)だから最初は足に不自由があったんですけど、1つ平家の物語を語ると、足がスッと伸びて。っていうのを繰り返していくんですよ。

(赤江珠緒)へぇ〜〜。

(町山智浩)これ、『どろろ』なんですよ。

(山里亮太)あっ。あ〜!あった。

引用:IMDb.com

手塚治虫のマンガ『どろろ』

(町山智浩)『どろろ』って物語があって。手塚治虫さんが描いた漫画で。戦国時代に、天下を取ろうとした武将がね。魔物達と契約をするんですよ。悪魔に自分の息子を売るんですよ。で、「この息子の体の好きな所を持って行け。その代わり俺に権力をくれ!」って言うんですね。醍醐景光という侍がね。で生まれてきた百鬼丸という男の子は、体中の肉体が欠損した状態で生まれてくるんですよ。ところがその魔物を1匹倒す毎にそれを取り戻していくっていう物語が『どろろ』なんですね。それの能楽版なんですよこれ。

(山里亮太)へぇ〜!

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)だからもうお客さんがだんだん乗ってきて「イエーッ!」ってやると、バーッて、腕がものすごく長かったのが普通の長さに戻ったりとかですね。という物語なんですけども。これね、すごく深い話だなと見てて思ったんですね。まず、彼らは本当にどん底の、要するに被差別のどん底から出てくるんですよ。要するに河原者でね。で、しかも身体に障害があると。2人ともね。それを、武器にして、どんどん人気を得て、全国ツアーとかやるんですけど。

(赤江珠緒)おお。

なぜ音楽をやったりするのか

(町山智浩)どんどん無視できない存在になって、その頃の足利義光も、なんとかしなきゃって事になってくるんですよ。彼らの影響力がすごいから。で、なんとか取り込もうとするんですね。で、その権力とその芸能、芸事との関係性っていう物もちゃんと描いてるんですけども。なぜ彼らがその音楽をやったりしなければならないのか。表現しなければならないのかって事なんですよ。これ1つは悲しく死んでいった人達の魂を歌う為でもあるし、もう1つは自分に欠損があるからこそ歌うんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)表現者ってみんなそうなんですよ。お笑いをする人達でね。じゃぁ、山ちゃんがいるから言いにくいんですが。

(山里亮太)いえいえいえ!

(町山智浩)超イケメンで、勉強もできて、スポーツも万能で、お笑いをやってる奴って、何?とか思いません?

(山里亮太)思いますよそりゃ!

(町山智浩)いますけど実際に。

(山里亮太)確かに、パーフェクトなね!

(町山智浩)パーフェクトなね、人達がいますけどね。でも、その人達も何か、何か抱えてるんですよ、足りない物を。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)やっぱり絵を描いたり、歌を歌ったりするのって、何か足りない物を埋めようとする為・・だったりしますよね。

(赤江珠緒)表現の根源はそこに?

引用:IMDb.com

表現の根源は、足りない物を埋めるため?

(町山智浩)表現の根源はそこにあるんですよ。で、その事はやっぱり野木さんのシナリオだから、表現するとは何か。なぜ私達は物事を語ったり、歌ったりしなきゃなんないのか、お笑いをしなきゃなんないのかって事はね、そのさっき言った差別っていう問題とも絡んでくるんですよ。そこから生まれてくるんだと。いう事がわかるんですよね。ただ逆に言うと、欠損をどんどん取り戻していって、満たされていった時に、表現とか芸術ってどうなるんだろうっていう事ですね。

(赤江珠緒)そういう事か、うん。

(町山智浩)だって最初、この平家物語って言うのは、ここで歌われている内容って言うのは、要するに”権力を持った者もいつかは滅びるよ”って事なんですよ。だからそれは権力者にとって非常にまずいネタなんですよ。つまり平家じゃなくて、その頃は足利家だけれども、でも結局は同じ事を言ってるわけですよね。権力を持っても、いつかは滅びるよって。

(赤江珠緒)そうですね。栄枯盛衰をね。

(町山智浩)そう。困る訳ですよ。それを権力側はコントロールしようとしてるんですよ。だんだんとね。で、やっぱりそれは庶民が何故その武士とか貴族の事を歌うかっていうと、自分達と関係ない人の話だけども、でも根元には「権力が滅びるよ」っていう庶民からの叫びですよね、それはね。で、それを歌ってた最も被差別の人達が、どんどん権力に取り込まれそうになっていくっていう物語なんですよ、この『犬王』っていうのは。

(赤江珠緒)うわーっ!深いですね。

(町山智浩)深い!すごい深いんですよ。だからもう本当にね、ロックミュージシャンにしてますけど、映画の中ではね。色んな物に通じる事で、まぁね、ラストが本当にね、切ないんですよ。

(山里亮太)わ、切ないんだ。

ラストが切ない

(町山智浩)切ないんですよ。ちょっと「ええっ?」って終わり方をしますね。でもそこにね、さっき言ったようなテーマの本質があるんで、是非ご覧いただきたいと思いますね。

(赤江珠緒)おお〜、見たいですね。

(山里亮太)うん、見たい。

(町山智浩)はい。『犬王』です。そういう事で、まぁ根底のとこで今の2つの話は繋がっている所だと思います。

(赤江珠緒)そうなんですね。虐げられているがゆえにって言うねぇ。なるほどな〜。町山さん、今『鎌倉殿』もご覧になってるんですか?

(町山智浩)ああ、見てますよ。見てますよ、本当にひどいひどい話ですね!

(赤江珠緒)はははは!

(町山智浩)こんなにひどいのか!って言うね。平家を滅ぼした後、源氏もだって内部抗争でみんな死んじゃうんですよ?

(赤江珠緒)そうですね。その政治絡みみたいな話とかね。描かれ方がね、本当ですね。切なくなる。

(町山智浩)本当にね、大泉洋さんが紅白歌合戦でね、本当にみんなに嫌われたのはこのネタ振りだったのか!っていう。

(赤江珠緒)いやいやいや、違います違います。(笑)もうね、堪能してしまっておりますけどね。なかなか。

(山里亮太)ねぇ、すごいね、そうさせるって。

(町山智浩)本当にひどいなと。

(赤江珠緒)ねぇ、そうですね。『私のはなし 部落のはなし』は5月21日からユーロスペース等で公開中でございます。そして『犬王』は5月28日から全国ロードショーとなっております。どうしよう、これ本当に興味深いね、映画でございます。

(町山智浩)是非ご覧下さい!

(赤江珠緒)はい。町山さん、ありがとうございました!

(山里亮太)ありした!

(町山智浩)どもでした!

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

③犬王と琵琶法師の主人公の友魚がバンドを組んで、ロックスターになっていく

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