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TAR/ターの町山智浩さんの解説レビュー

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2023年05月24日更新
エンドロールがないんですよ。で、最後のオチがですね、いや〜これ一体何が起こってるの?って言うね。僕は本当にわからなくて、で、誰もわからなくて、その時映画館にいた人はおじさんおばさんですよ。僕みたいな白髪交じりのね。ただ、これはね、こう言う事ですよって説明してたのは高校生ぐらいの、オタクの男の子でしたね。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『TAR ター』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『TAR ター』解説レビューの概要

①アカデミー賞に作品賞・監督賞・主演女優賞などでノミネート
②主人公の名前がリディア・ター
③ターはクラシック指揮者
④この映画がなぜビックリするかというと、映画が始まるといきなり○○○○○○○○
⑤その理由は、なんだこれ?と思った所でいきなり幕が上がって場内が明るくなるようにする為
⑥オチは町山さんでも最初わからなかった
⑦ケイト・ブランシェット以外の誰も演じられない役

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。

TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『TAR ター』町山さんの評価は

(町山智浩)アカデミー賞のシーズンが近づいてるんで、あの僕WOWOWのアカデミー授賞式でずっとですね解説をやらせてもらってるんでアカデミー賞の話をします。

(赤江珠緒)はい!そうですね。

(山里亮太)嬉しいです。

(赤江珠緒)3月ですか、今年は。(2023年)

(町山智浩)3月ですね。で、今回アカデミー賞に作品賞・監督賞・主演女優賞とかでノミネートされてる作品を紹介します。これがター・・すごく言いにくいんですが、『TAR ター』って言う映画なんですよ。

(赤江珠緒)珍しい。『TAR ター』なんですね。

(町山智浩)『TAR ター』って言うね、これもう、これから『TAR/ター』見に行くよって。何言ってんのって言う。(笑)すごい、『TAR ター』って良かったよとかね。ものすごく説明が難しい。困ったタイトルの映画なんですけども。これ、人の名前なんですよ。主人公がリディア・ターって言う名前の人なんですね。

(赤江珠緒)はぁ〜。

主人公の名前がリディア・ター

(町山智浩)で、これを演じるのはケイト・ブランシェットさんで、彼女はアカデミー主演女優賞をですね、もう1本の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と言う、『たまむすび』で紹介させていただいた、時空を超えてお母さんが娘を取り戻すために全宇宙でカンフーバトルをすると言うなんだかわからない映画。

映画「」のポスター

→エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス町山さんの解説

(町山智浩)それに出ていたミシェル・ヨーさんと、このケイト・ブランシェットさんがまぁ一騎打ちをすると。状況になっていますね。主演女優賞を巡って。で、この『TAR/ター』って言う映画は、このリディア・ターって言うヒロインはですね、クラシックの指揮者なんですよ。で、クラシック音楽映画でもあるんですけど、なんか面倒くさくねえ?とか思う人もいると思うんですが、これめちゃくちゃ面白い映画でした。

(赤江珠緒)へ〜。指揮者の方の人生を描いて?

(町山智浩)主人公が女性のクラシックのシンフォニーの指揮者なんです。リディア・ターさんが。で、この映画で何ビックリするかというとですね、映画が始まるといきなり、エンドクレジットで始まるんですよ。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)エンドクレジットって今すごく長いじゃないですか。10分ぐらい色んな人の名前が出てきて。

(赤江珠緒)関わったスタッフの名前が。

エンドクレジットから始まる映画

(町山智浩)お弁当屋さんの名前まで全部出さないといけないですからね。あれね昔は出さなくてよかったんですけど、『スター・ウォーズ』ぐらいから関わる人が多くなったんで、全ての関わった人の名前を出さなきゃならくなっちゃったんですよ。

(山里亮太)へぇ〜!

(町山智浩)で、かつら屋さんから色んな服とか手伝ってくれたタイアップした企業から全部入るじゃないですか。あれ、自動車の運転した人まで入ってるんですよ、名前。

(赤江珠緒)ふ〜ん!

(町山智浩)入れなきゃいけないんで。組合の要請なんですよあれ。それがね、映画の最初に出てくるんですよ。

(赤江珠緒)え、先に?

(町山智浩)で、延々と続くんです映画の最初に。全スタッフ、キャストリストが。なんでだろう?って思ったんですけど、最後まで見てわかりました。この映画ね、最後にビックリするようなオチがついてるんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、なんだこれ?と思った所でいきなり幕が上がって場内が明るくなるようにする為に、先にエンドクレジットを出しちゃってるんですよ。

(赤江珠緒)は〜!そうなんだ!

(山里亮太)おもしろい!

最後にビックリするシーンがあり、いきなり幕が上がる

(町山智浩)で、この映画は最後にね、終わった後みんな、ザワザワザワッとしてるんですよ、映画館が。今のは一体何?どう言う意味なの?わかんない。あれなぁに?とかみんなでこう、話って、お客さん達が。わからん、何アレ?とか言って。わかる人がちょっといて、あれはねとか言って説明したりしてると言うね。非常に奇妙な映画です。

(山里亮太)ちゃんと意味あるんだ。。

(赤江珠緒)へ〜!ちょっと面白いな。

(町山智浩)で僕はわかりませんねした、はっきり言って。

(赤江珠緒)ええ!町山さんが!?

(山里亮太)じゃぁ絶対わかんない!

オチは町山さんでもわからなかった

(町山智浩)僕はわからなかった。ただ、そのザワザワしてる中で、あれは実はねって言う人がいたんですよ。で、みんな、劇場中の人がその人の周りにバーッと集まって、あれは一体なんなのって言うと、それはねって言って説明して、みんな、あぁなるほど〜!って言ってるって言うね、ものすごい奇妙な映画でした。

(赤江珠緒)へ〜〜!

(町山智浩)ちなみに説明していた人は、すごい若い人でした。

(赤江珠緒)あぁそうなんですね。

(町山智浩)僕のようなお年寄りは、わからなかったです、オチが。

(赤江珠緒)あら!どういう事なんだろう?

(山里亮太)どういう事・・!

(町山智浩)と言う映画が『TAR/ター』なんです。ちょっと見たくなるでしょう?

(赤江珠緒)なる!

(町山智浩)でね、ストーリーを説明しますと、主人公のリディア・ターと言う人は、世界一のクラシック指揮者なんですよ。で、もうとにかく世界中で引っ張りだこでですね、ケイト・ブランシェットさんは。本も出してるんですけど、でニューヨークフィルでもやってて、主任指揮者をやって、現在はベルリンフィルの首席指揮者なんですね。で、彼女はですね、”EGOT”(イゴット)の1人なんですよ。

(赤江珠緒)なんですか、そのEGOTというのは。

EGOTとは

(町山智浩)EGOTって言うのは、頭文字なんですけど。テレビの最高の作品に与えられるエミー賞が”E”ですね。で、最高の音楽家に与えられる賞がグラミー賞ですね。最高の映画に与えられる賞がアカデミー賞で、これはオスカーですね、O。それから最高の演劇とか舞台劇に与えられるのはトニー賞で”T”なんですよ。で、EGOTって言うのは、これの全てを制覇した人を言うんです。

(赤江珠緒)えー!これ全部!?すごいですね!1個取るだけでもすごい事なのにね。

(町山智浩)1個取るだけでもすごいんですけど、全部取った人って歴史上15人しかいないそうです。で、レナード・バーンスタインとかも入ってるのかな? まぁそう言う本当に人類史上に残るような人しか取ってないんですよ、EGOTって言うのは。

(赤江珠緒)はいはい!

(町山智浩)だから彼女は、どこに行ってもターさんとは呼ばれなくて、マエストロって呼ばれるんですね。あの、”巨匠”って呼ばれるんですよ。で、それを演じるのがケイト・ブランシェットなんですけども、これね、ケイト・ブランシェット以外の誰も演じられない役ですよ。

(赤江珠緒)どうしてですか?うん。

ケイト・ブランシェット以外の誰も演じられない役

(町山智浩)だって他に誰が、そんな人類史上に残るような指揮者の役をやってリアリティーがある俳優っています?想像しても誰も思いつかないんですよ。これね、最初は男性の話として、監督のトッド・フィールドと言う人がシナリオを書いたんですけども。男性でも思いつかなかった訳です、これを今演れる人って言うのを。で、しかも指揮するシーンもあるんですよ、本当に。で、世界一の指揮者、作曲家を今演じて、なるほどと思わせる人って、いないですよ。

(赤江珠緒)そうですね。これは難しい事を求められましたね、それはね。へぇ〜!

(町山智浩)トム・ハンクスだと庶民的すぎるでしょう?ちょっといないですよね、これね。だからケイト・ブランシェットぐらいしかいないから、主人公を女性にする事になったそうです。

(山里亮太)あぁなるほど。

(町山智浩)で、ケイト・ブランシェットって言う人がどのくらいすごいかって言うと、まず映画女優になって4年目で『エリザベス』と言う映画で、アカデミー主演女優賞を取っちゃうんですね。

映画「」のポスター

(町山智浩)で『エリザベス』と言うのは、イギリスを世界一の大英帝国にした、エリザベス一世を演じるんですけど。つまり世界一の女王ですよ、歴史上。誰が他に演じられる?ちょっといないんですよ他に。で、世界中の映画賞取って、そのあとは『ロード・オブ・ザ・リング』と言うファンタジー映画で、中つ国って言う架空の世界の、その中でも女王を演じてるんですよ。これも、なかなかできないですよね、架空の世界の女王ですからね。他の人できないですよこれ。やっぱり。

(赤江珠緒)じゃぁちょっとスケール感の大きい俳優さんって言う事でね。

(町山智浩)そうなんです。それだけではなくて、いわゆるジェンダー、男女も超えてる人なんですね。この人は『アイム・ノット・ゼア』って言う映画ではボブ・ディランを演じています。

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(赤江珠緒)えっボブ・ディランを?

(町山智浩)男ですよね。フォーク・ロック歌手ですけど、普通にボブ・ディランを演じてます。でも全然違和感はない。

(山里亮太)へぇ〜!

(町山智浩)そんな人いないんですよ。普通。で、『キャロル』って言う映画ではレズビアンだった作家のパトリシア・ハイスミスの、理想の女性キャロルを演じたりしてて。非常に性別を超える人気女優なんですね。で、この人の場合、男女完全に超えてて、あともう善悪も超えてる所があって。

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(山里亮太)はい。

(町山智浩)『マイティ・ソー』って言うシリーズがありますけど、マーベルコミックスの。『マイティ・ソー バトルロイヤル』って映画では、神々が集まるアスガルドって言う国があるんですね。神々の世界ですよ。神しかいない世界ですよ。それを1人で滅ぼしちゃう人をやってましたね、ケイト・ブランシェットは。

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(赤江珠緒)神々の国を?へぇ!

(町山智浩)神々の国を滅ぼすってそれ以上に強い物は存在しない訳ですよ。彼女以上に。

(山里亮太)最強。

(町山智浩)超最強の女神を演じてて。だから俳優史上と言うか人類史上最強の女性なんですよ彼女は。それがケイト・ブランシェットって言う人なんですよ。

だから彼女にしか出来ないんですよ、この役は。要するにクラシックの作曲家でもあって、リディア・ターさんは。その最高の、人類史に残る音楽家の役なんですよ。これね、脚本を書いたトッド・フィールドも、これを誰が演じると思って書いたのかって思いましたけど。(笑)ただね、この人はもう本当に神のような人なんで、ものすごく傲慢なんですよ。

(山里亮太)へぇ〜!

罵倒シーンがすごい

(町山智浩)で、すごいシーンがあって。アメリカの名門音楽学校のジュリアード音楽院で、彼女は先生をやってるんです、教授やってるんですが。で、1人の生徒が、僕はあんまりバッハとか好きじゃないんですよねって言ったら、ブワーーーーーッ!とですね、その学生を論破するって言うシーンがあるんですよ。で、ありとあらゆるクラシックとか、色んな政治からですね、芸術の歴史のですね、例えばフルトヴェングラーって言う指揮者は、ナチスに協力しながらユダヤ人を匿ったとかですね、ありとあらゆる知識をぶつけて、ワンカットで1回もカットが切れないで5分間の大罵倒と、大論破をしてですね。その学生をやめさせるって言うシーンが出てくるんですよ。

(赤江珠緒)そこまで追い詰めちゃうの。(笑)

(町山智浩)そこまで追い詰めるって言う、これいいのって思うんですけど。(笑)この彼女のものすごいですね、ありとあらゆる知識を使っての大論破はちょっとびっくりするようなシーンなんですよ。まぁすごいんですけど、で、元々この彼女の役は男として最初書かれたものだったんで、奥さんがいるんですね。同性婚をしてる奥さんがいてですね、その奥さんとの間に娘さんがいるんですけど、その娘が学校でいじめられる訳ですよ。10歳ぐらいの娘でね。お前のお母さんレズビアンとか言っていじめられたらしいんですけど、その後、いじめっ子を捕まえてこのリディア・ターさんがですね、私は女だけど、この娘の父親だとね。今度うちの娘をいじめたら、あんたの人生を潰す!って言うんですよ。

(赤江珠緒)ほっほっほっほ!(笑)

(町山智浩)10歳の子に対して。それも見事なドイツ語で言うんですよ、ケイト・ブランシェットが。この人オーストラリアの人ですけど、見事なドイツ語でですね、あんたを潰す!誰かに言いつけても無駄だ。私のような有名人とあんたなら、人はみんな、私を信じるからな!って言うんですよ。

(赤江珠緒)わっすごい。(笑)

(山里亮太)気持ちいいぐらい。(笑)

(町山智浩)これ、あまりにもひどいんで爆笑してましたけどね映画館で。こんな事あるのって言うね。

(赤江珠緒)そうなんですね。学生とか子供にも容赦なく。

(町山智浩)子供に対してもすさまじいパワハラなんですよ。

(赤江珠緒)へぇ〜!

すさまじいパワハラ

(町山智浩)で、あまりにもすごいんでね、爆笑しちゃうんですよ。で、このケイト・ブランシェットさんが指揮者のね、燕尾服を着てる姿がまた凛々しくてかっこいいんですけどね。で、まぁやりたい放題でですね、非常にかわいいチェロを弾く女の子がいると、その子を贔屓してですね、彼女にソロをやらせたりとかですね、その辺はちょっとね、いいのこの人?って言う所ですよね。

(赤江珠緒)ん〜!

(町山智浩)で、これはね、結構実際にあった事件を元にしてるんですよ。最近ね世界中のオーケストラで、こういった形の指揮者の職権乱用事件が結構問題化してるんですよね。1番最近には2021年。だから一昨年かなんかにあった事件で、これは世界的に報道されたんですけど、ニューヨークで1番のオペラでですね、ニューヨークメトロポリタンオペラの首席指揮者って言う、まぁトップ中のトップのね、名誉指揮者で。ジェームズ・レヴァインさんて言う人がいたんですよ。この人超巨匠で日本でもすごく有名なんですけど。40年間もトップに君臨していた人なんですけども、2017年に、1人の男性がこのレヴァインさんから性的にされたと言うふうに訴え出て。まぁ両方とも男なんですけどね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、その後、すごくしっかりした調査が入って、実はそれが複数あった事が発覚して。で、このレヴァインは名誉指揮者を解任されて、そのまま亡くなったんですよ。

(赤江珠緒)へぇ〜・・。

(町山智浩)すごい事件だったんですよね。だからこの辺からね、この監督のトッド・フィールドは指揮者の物語を書こうとしたみたいなんですけども。まぁね、とにかくこのねケイト・ブランシェットさんがすごすぎてね、とにかくね、耳がすごくいいから、ノイズとか、なんて言うんですかね。ちょっとした雑音が聞こえちゃうんですよ。で、ものすごい遠くの音も聞こえるんですね。でも指揮者ってさ、全員がものすごい音量で、要するに何十人もの人が一斉に弾いてるのに、あ、あの人音が狂ってるとか聞き分けるんですよ。

(赤江珠緒)そうですよね、うん。

(山里亮太)そっか。

(町山智浩)すごくない?できないよね普通。

(赤江珠緒)いやできないできない。そりゃそうですよ。

(町山智浩)ねぇ。俺なんかどんなに目覚ましかけても起きないような人だから。

(山里亮太)はははは!(笑)

(町山智浩)まぁそれはまた別ですけど。(笑)ねぇ。ものすごい神経な人な訳ですよ、その音に対して。それで細やかな訳ですよ。

(赤江珠緒)そうですよね。

少しの雑音にも神経質

(町山智浩)で、神経質で。ちょっとした雑音でものすごく怒るんですけど、で、その時にね、ある話をするんですよ。哲学者でショーペンハウアーって言う哲学者がドイツにいたんですよね、昔。ご存知かと思いますが、人生、生きててもしょうがないと言う哲学を言っていた人で、別にそれ大した事じゃねぇと思いますけど。(笑)

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)で、そのショーペンハウアーって人はすごくなんかね、なんて言うかね、嫌な人でね。雑音が嫌いだったんですよ。要するに、ちょっとでも音があると気になってたんですけど、アパートに住んでて、そのアパートの廊下で掃除してた人かな?掃除してたおばさんが話し込んでた音がアパートの部屋の中に聞こえて、それがうるさくて仕事ができないって言って、そっとそのおばさんの後ろに近付いて、後ろから階段へ突き落としたんですよ。ショーペンハウアー。

(赤江珠緒)ええ〜〜〜!

(町山智浩)それでそのおばさんは大怪我をして。一生残る障害を負いました。で、ショーペンハウアーは裁判で賠償を命じられて、そのおばさんが亡くなるまでずーっと賠償金を払い続けたんですよ。ひどい話でしょ?

(赤江珠緒)いや本当。

(町山智浩)でもこれねたぶんね、調べてもあんま出てこないんですよ。

(赤江珠緒)なんでですか?

(町山智浩)ショーペンハウアー学校で教えたりしてるから、ショーペンハウアーが悪い人だって言えないから、隠滅されてる歴史ですよね。

(山里亮太)ええ〜〜!!

(町山智浩)だから学校でショーペンハウアーを教える先生もそんな事は言わないと思いますよ。まぁ、でもその話をするんですけど、このリディア・ターって言う人はちょっとショーペンハウアーに感情移入するような人なんですよ。自分が1番だと思ってるから。で、さっき言ったみたいにひどい事をして、自分のオーケストラのアシスタントをクビにしたりとかですね、えこひいきしたりね、チェロの人を。とか、めちゃくちゃやってく訳ですけども、そのうちにちょっと、どんどん怖い事になっていくんですよ。この映画途中からホラー映画みたいになってくんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

途中からホラー映画のようになっていく

(町山智浩)そう。でね、これ1回見ただけじゃ気が付かないんですけども。まぁ1回見て気付く人もいるかもしれないですけど、2回見るとですね、心霊写真みたいな事になってますよ、この映画は。

(赤江珠緒)あら?え?

(町山智浩)あんまり言いませんが。ちょっとね、すごい、一体この映画、何なの!?って言う映画なんですよ、この『TAR ター』っていう映画は。全く予想が付かないし、展開が。それこそ自家用ジェット乗って世界中を飛び回ってる、世界1の、もう誰でも知らない人がいないって言うね。本屋に行くと、本屋にこの人の写真を表紙にした雑誌とか本がズラッと並んでるような人なんですけど。この人がどんどん大変な事になってくって言う話なんですよ。

(赤江珠緒)才能あって大成功してて。地位もあって。

(町山智浩)地位もあって。しかしそれでたくさんの人を傷付けてきたので。だんだんだんだん、ホラー映画になってくんですよ。そっちに行くの!?って思いましたけども見てて。

(赤江珠緒)えっ、そう言う映画なんですね。

(町山智浩)ええっ!って言うね。これは面白いですよ。ジェットコースターですね、一種の。

(赤江珠緒)見たいですね!

(山里亮太)見たい!

(町山智浩)これは面白いです本当に。ビックリするんですよ。で、仕掛けが一杯、画面の中にあるんで、画面の隅々まで見てないとなんないんですよ。これはね、まぁよくできた映画なんでアカデミー作品賞、監督賞の候補にもなってますけども。まぁ主人公は全然共感を呼ばない人なんですけど。(笑)

(赤江珠緒)そう言う事ですよね。なんか全く人格的には問題ありな人なんですね。

(町山智浩)問題ありなんですけど、ただほら、あまりにも豪快だから。あまりにも強いから。まぁ、ある種のカリスマがあるんですよね。でもカリスマがあるからこそ、なんでもめちゃくちゃをやっていいのかって言う事の問題でもあって。人はカリスマがある人を許しちゃう所があるんですよね。あの人はいいんだと。天才だからって。でもそれがまた非常に危険な事なんだって言う映画でもあります。まぁ、すごく色んな事を考えさせるんですけども。

(赤江珠緒)で、エンドロールがない訳ですもんね。バンッ!って終わるんですもんね。

最後のオチ

(町山智浩)エンドロールがないんですよ。で、最後のオチがですね、いや〜これ一体何が起こってるの?って言うね。僕は本当にわからなくて、で、誰もわからなくて、その時映画館にいた人はおじさんおばさんですよ。僕みたいな白髪交じりのね。ただ、これはね、こう言う事ですよって説明してたのは高校生ぐらいの、オタクの男の子でしたね。

(赤江珠緒)へ〜!じゃぁちょっとそれがヒントになってるのかな?

(町山智浩)彼しかわからなかった、その意味は。

(赤江珠緒)で、町山さんもそれを聞くと、納得?

(町山智浩)それを聞いて初めてわかったんですよ。あぁ、そう言う事なんだ!って言う。で、今うしろでかかってる音楽は、この映画のエンディングでかかる音楽なんですけど。と言うね、まぁこれ以上は言えないんですよ。ビックリさせる映画になってるんで。

(赤江珠緒)そうですよね、そこが大事な所ですもんね。

(町山智浩)映画が終わった後、他の人に聞くまで込みで映画なんですよ、この映画は。だから日本でも、映画が終わった後、えっこれってなんなの?って言う。そこまで込みで映画なんですね。

(赤江珠緒)え〜〜。じゃぁまさしく映画館で観るべき?

(町山智浩)観るべき映画なんですよ。1人だとなんだかわからないままで終わっちゃうと思います。

(赤江珠緒)そうですか。(笑)この『TAR/ター』は、日本では5月12日公開と言う事でございます。

(町山智浩)と言う事で、だいぶ先なんですが。あんまりそんなに先にしちゃうと、こう言うオチでビックリさせる映画ってオチが少しずつ流出していくんでね。よくないと思いますけどね。映画会社の人、頑張ってなるべく早く公開してほしいですけどもね。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)と言う事で、『TAR/ター』でした。

(赤江珠緒)『TAR/ター』で御座いました。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

④この映画がなぜビックリするかというと、映画が始まるといきなりエンドクレジット

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