オアシスの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『オアシス』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『オアシス』解説レビューの概要
①普通のラブストーリーではない強烈な映画
②主人公は交通事故で人を死なせてしまった男
③刑務所に入って出てきた時に、殺してしまった人の家族に○○○○○
④遺族は重度の脳性麻痺の女性だった
⑤その女性と恋に落ちていくラブストーリー
⑥体が不自由なだけで、精神は全く普通
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
町山さん『オアシス』評価とは
(でか美ちゃん)ちょっと今日は感想を多めにという事で話してきましたが。町山さん、森達也監督にインタビューされたんですよね?
(町山智浩)はい。インタビューしたんですよ。そしたらやっぱり、あまりにもヘビーだったんで。もうこういう路線はちょっと一旦休みたいと、いう事で、森達也監督ね。次は何を撮りたいんですかって聞いたら、イ・チャンドン監督の『オアシス』みたいなラブストーリーを撮りたいって言ったんですよ。
(でか美ちゃん)おぉ!ラブストーリーなんですね次。
(町山智浩)はい。そしたらね、ちょうどその『オアシス』っていう映画が、これは2002年の映画でもう20年前の映画なんですけども、8月25日から、そのイ・チャンドン監督の懐古上映としてですね、4Kリマスターしたんで、今ちょうどね、東京で上映してるんですよ。『オアシス』。
(でか美ちゃん)あ、本当だ。ヒューマントラストシネマ有楽町で東京は上映してまして、全国順次っていう事みたいですね。
(町山智浩)はい。で、まぁね森達也監督がやりたいラブストーリーだから。この『オアシス』っていうのは普通のラブストーリーじゃないんですよ。これがまたね、強烈な映画で。主人公は交通事故で人を死なせてしまって刑務所に入って出てきた男なんですね。
(でか美ちゃん)うん。
(町山智浩)で、彼はまぁ実はなんにも仕事ができなくて、刑務所を出たり入ったりしてるんで、家族からも嫌われて、厄介者にされて、居場所がない主人公なんですね。でも、彼はね、交通事故で死なせた人に本当に申し訳ないと思って謝りに行くんですよ。
(でか美ちゃん)なんか、ちょっとどうなんとも思いますけども。(笑)
(町山智浩)そう、それいいの?とは思いますけど、彼はちょっと素朴な純朴な人なんで。
(でか美ちゃん)まっすぐそう思っちゃってるんですね。
遺族に謝罪に行く
(町山智浩)そう思ってね、遺族の部屋を訪ねてくと、そこにねある女性がいるんですが。その女性がこう体を歪めてね、苦しんでるように見えるんですよ。それはね、重度の脳性麻痺の女性なんですね。
(でか美ちゃん)じゃぁ障害を持たれてる方を残して、交通事故で自分が。。
(町山智浩)そう。それでお父さんが亡くなってるんですよ。で、その女性となんとその青年が恋に落ちていくっていうラブストーリーなんです。
(でか美ちゃん)えー!うわっ!ちょっと、つらいお話だな。
(町山智浩)これがね、まぁすごい強烈で。脳性麻痺というものは、お腹の中に赤ちゃんがいる時とか、生まれた直後とかに、例えばまぁよく言われてるのは逆子とかで、酸欠になっちゃうんですね。で、脳に行く酸素が少なくなるとまぁ脳の一部に障害が出たりするんですけれども。でまぁ体が自由に動かせないという感じなんですね。ただでも、その心の部分。精神の部分は、全く普通なんですよ。
(でか美ちゃん)そうか。体が不自由なだけで。
(町山智浩)そうそう体が不自由なだけ。言葉がしゃべれないとか、表情が作れないと。だからそう、自分のコントロールできない、入れ物の中に閉じ込められた状態になってるんですよ。普通の人がですよね。それをその女性の心の内側から描こうとするんですよこれ。
(でか美ちゃん)あ〜なるほど。
体が不自由なだけで、精神は全く普通
(町山智浩)ちょっと見てみるとね、どういう映像表現か、あっと驚く奇跡のような瞬間がありますんで。まぁ是非よかったらと思います。
(でか美ちゃん)わぁちょっと。見てみたいですね。ちょうどね順次公開されてるから。行きましょう。しかも森達也さんが影響されてるのならより。
(町山智浩)影響というか、ああいうの撮りたいなって。このね『オアシス』で1番すごいのはね、韓国だから、ドラマ撮ってるシーンが出てくるんですよ、ドラマを撮影をしてるシーン。
(でか美ちゃん)はい。あ、そっか映画の中に更にあるっていう事ですか?
(町山智浩)映画の中にちょうどね、ロケーションしてる所に出くわすんですね、主人公達がね。で、それが超イケメンと、韓国ですからね。美女とでね、2人で高級車に乗って、もうすごいおしゃれで、ピカピカのラブストーリーやってる訳ですよ。
(でか美ちゃん)超憧れの恋愛をしてる訳ですよね。
(町山智浩)そうそう。韓国ドラマでね、1番人気の。それをちゃんと中に出して、これが世界中で人気の韓国ドラマの世界ですよと。でも、そうじゃないものもあるんですよって。ドラマや映画が見せない、K-POPが見せない物があるんです、それをお見せしますっていう映画なんですよ。
(眉村ちあき)すご、その演出。。
(でか美ちゃん)だって人それぞれに、人それぞれの関係値とか恋愛がまぁ当たり前にある訳ですもんね。それを、なんかそのキラキラの恋愛で見せてくるのすごいですね。
(町山智浩)すごいんですよ。これちょうどね、今イ・チャンドン レトロスペクティヴ4Kで上映中なんで。きれいな映像で、是非ご覧ください。
(でか美ちゃん)改めまして東京はヒューマントラストシネマ有楽町にて公開中でございます。
後日談
■2023年9月12日放送のTBSラジオ『こねくと』にて
(でか美ちゃん)町山さんには先週、韓国のイ・チャンドン監督の『オアシス』と、スペインのホラー映画『PIGGY ピギー』。ピギーは来週22日公開ですね。ご紹介いただきまして、私『オアシス』見ました!U-NEXTで。
(町山智浩)あぁわざわざありがとうございます。本当に。
(でか美ちゃん)いえいえ、もう面白くてというか、やっぱりこう刑務所から出所したね、男性と脳性麻痺で体が不自由な女性のラブストーリーなんで。なんかこう色んな事を考えたり思ったりしながら。あとまぁ、シンプルに主人公が結構最低最悪だなみたいな部分も思いながら見ましたけど。なんかやっぱ韓国の作品って、そのカメラのカット割とか撮り方が面白いですね。
(町山智浩)はい。もうすごいですねこの『オアシス』は特に。その1つのカメラの動きの中でカットをしないでですね、その脳性麻痺の女性が、心の中で全く体が自由に動く自分になるんですよ。ワンカットで。
(でか美ちゃん)妄想というかね、フイになる瞬間があるというか。
(町山智浩)あれはすごいですよ。ワンカットでやんないですよ普通。
(でか美ちゃん)ねぇ。で、私、そのお芝居のそのシーンの時まで、あ、そっか、脳性麻痺を演じてるのは女優さんだって思いました。そのお芝居がちょっとすごすぎて。体が不自由なお芝居がすごい。
(町山智浩)ムン・ソリさんという女優さんなんですけど、他の映画だと政治家とかやってる人ですよあの人。それが脳性麻痺の人と1年ぐらい本当にずっと暮らして、自分でもう演技をもう本当にですね、内面からやってるんですけど。
(でか美ちゃん)それだけ役作りをしっかりされて撮影されてたんですね。
(町山智浩)すごいですよねあれね。もう本当に奇跡的な瞬間ですよね。彼女の心の中の自分になるのがね。
(でか美ちゃん)そうなんですよ。なんかすごいグッと締め付けられるし、この『オアシス』がですね、ヒューマントラストシネマ有楽町などで、『イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K』として上映もされてるので、映画館でも見れるんで、見てほしいんでね。なかなかこう、シーン、各物語の詳しい事はネタバレなっちゃうんで言えないんですけど。私、最後の展開は結構ポロポロポロポロ涙が出ちゃいましたね。
(町山智浩)泣けますよねあれはね。
(でか美ちゃん)なんか、色んな愛情表現が、世の中には人それぞれあるんだなっていう。
(町山智浩)ねぇ。本当にあれは泣きましたよね。いや、今日ね紹介する映画もちょっと似てるんですけど。あの『オアシス』は脳性麻痺の人というのを見ると、普通の人はその、なんていうか脳性麻痺の事を知らない人は、知能とか精神に問題があると思い込んじゃうんですよね。
(でか美ちゃん)そうですね。ただ体が不自由なだけなのに、ちょっとこう見た感じの印象で決めつけちゃうというか。
(町山智浩)決めつけちゃうんですよ。でも、実は体が単に不自由なだけなんですよ。だからそういう事があって、非常に偏見で見られるんですけども。今回の話もね、そういう話なんですけど。『ロスト・キング』というイギリス映画です。これ『500年越しの運命』というタイトルがついてて日本では。9月22日からTOHOシネマズなどで公開なんですが。これはですねリチャード三世というイギリスの王様についてのお話なんですよ。
※書き起こし終わり