ジョーカーを産んだのは誰か。
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月30日 16時47分
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総合評価:
5.0
バットマンの最強の敵であるジョーカーの誕生譚を描いた作品です。驚いたのは、様々なバットマンの作品でこれほどまでに狂気に満ちたジョーカーが、元々は何てことない心優しい青年だったことです。
彼が唯一不幸だったのは、生まれながらにして笑うという感情を抑えられない病を持ってしまったことです。それでも彼は優しい心を持って生きて行くのですが、社会は思った以上に弱者に厳しいものでした。プライベートでも仕事でも上手くいかず、裕福な人間からは馬鹿にされる始末。溜まりに溜まった鬱憤がある日を境に爆発してしまい、それ以降はもう彼の心の奥底に眠っていた悪の感情が溢れかえってきます。
なぜ彼はジョーカーになってしまったのか、彼をジョーカーにさせないためにはどうすれば良かったのか、映画を見ているお前たちのような人間がジョーカーを生み出しているのではないか、と語り掛けられているような気になります。障害者や社会的弱者、貧困などの社会問題に鋭く切り込んだ作品です。