ジョーカー
孤独で心の優しいアーサー(ホアキン・フェニックス)は、母の「どんなときも笑顔で人々を楽しませなさい」という言葉を心に刻みコメディアンを目指す。ピエロのメイクをして大道芸を披露しながら母を助ける彼は、同じアパートの住人ソフィーにひそかに思いを寄せていた。そして、笑いのある人生は素晴らしいと信じ、底辺からの脱出を試みる。
このレビューにはネタバレが含まれています
クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト・トリロジー」の世界観を継承した、スピンオフ的な位置づけでトッド・フィリップス監督が作成した作品で、急逝したヒース・レジャーが全身全霊で、伝説的ジョーカー役を見事に演じきった素晴らしい怪作です。 ストーリー全体を漂うのは社会派の悲劇的人間像で、どこまでも突き進む救いようのない自由資本主義が招く格差と貧困と心の荒廃に歯止めがきかない米国NYの近未来を象徴するかのようなゴッサム・シティの空虚感が半端ないです。そして、そのことが、ゴッサム・シティで生きるジョーカーの狂気に満ちた不気味をより一層際立たせている感じがしました。 認知症の母親を介護しながら極貧生活を強いられている最下層市民の大道芸人アーサーは、ショウビジネスへの憧れや人生の目標を完全に見失って、自らの存在さえも否定するようになるが、低所得階級の人達を食い物にしている階層社会に幻滅し、いわゆる資本家などの社会的エリート達、政治家達への不信感や、それにともなう怒りがついに頂点に達し、彼は銃を手にすることで暴力や破壊による魅力に取り付かれ、やがて暴走していきます、その過程がとても刹那的であり、また滑稽にされ感じられました。 きっとそれは、ヒース・レジャーの徹底した怪演によるものが大きいと思います。こんなにも人間の心の闇を表情はもとより、全身で表現できる役者はいないのではないかと思いました、本当に稀有な俳優なのに、急逝されたことが悔やまれます。 この作品を見て感じたことは、ジョーカーの常軌を逸した邪悪に満ちた悪が、本人が単純に自分の意思として勝手に一人で作り上げたものではなく、環境が彼をそうさせた、いや、ゴッサム・シティんお様な人の血の気を失い荒廃した社会こそ、ジョーカーのような人間を生み出してしまうのである、そんなメーセージが秘められているのではないかと、とてもかん考えさせられました。 とらえ方は人によって違うとは思いますが、決してエンターテインメント的な位置づけ終わらせてはいけない作品だと思います。
これは見たことを後悔した映画の一つです。 つまらないから、ということではなく、あまりにも観客の心を揺さぶるから。 少し落ち込んでいるときにみたのですが、途中から涙がボロボロ溢れて止まりませんでした。 そのくらいジョーカー(アーサー)の人生は悲しすぎます。 自分が彼の立場に立たされていたらどうしていただろうか、彼の殺人を咎めることはできないのではないだろうか、など、悪を悪と思えない方向へ感情が持っていかれます。 そこまで派手なアクションシーンはなく、基本的にはアーサーの生活になぞらえ、静かに、しかし確実にジョーカーが産まれていく描かれ方をしています。 またこれを演じるホアキンの演技力も絶妙で、表情が読めないのです。 今の日本でも、ジョーカーほどではないものの、ネット上などで崇められてしまう犯人がたまに生まれています。 これって私たちの心の中にもジョーカーが潜んでいるからなのではないでしょうか、そしてそれを目覚めさせないために、私たちがどう生きるのか考えさせられる作品です。
ダーク・ナイトの時にヒース・レジャーが演じていたジョーカーがとても好きだったので、本作で少し年齢が上になったジョーカーに代わってしまうことに少しだけ不安がありましたが、ホアキンのジョーカーはこの作品にぴったりで、彼のジョーカーにもはまりました!ストーリーは全般的に華やかなシーンはほとんどなく、常に心が痛む出来事だらけですが、何よりも精神的な病を抱えつつも、仕事に就き、母親の面倒までみていた一人の男性がなぜ凶悪なジョーカーになってしまったのか、という点について、ちょっとしたボタンの掛け違いの連続がここまでのことを引き起こしてしまったのだと思うと、自分事化せずにはいられませんでした。自分や社会の大多数が正しいと思うこと、それは決してこの社会に存在するすべての人間にとって正しいことではなく、そのことに気づけないまま社会が進んでいると思うと、今もどっかで新しいジョーカーが生み出されているのでは…と思ってしまいます。ジョーカーになっていってしまうまでのホアキンの孤独や表情の細かな変化も見どころの1つです。
バットマンに登場するジョーカーを主人公とした映画です。 まずジョーカーといえば闇を牛耳る悪のカリスマ。 知的でメンタルも強く、超人のバットマンに人として対等に争う 腕力ではない不気味さを持ったキャラクターとして描かれてきましたが。 今回のジョーカーは”どこにでもいる普通の人”です。 身近な家族、友人、恋人。自分さえもジョーカーになる可能性があるんだと 考えさせられる作品になっております。 なので「悪のカリスマの誕生」というよりは、 「人は誰しもジョーカーになる要素を持っている」というほうが正しい気がします。 アメリカ作品で特徴的な自分たちを正義と肯定するような作品とは真逆になっているので 社会的に及ぼす影響を考えると、銃乱射事件のような模倣者を生んでしまうような 危険を伴った映画であります。 故に人には薦め辛い映画のように私は感じました。 さらにこの主人公、とにかく運がないんです。 監督の”普通の人で誰しも成りうるジョーカー”という要素に不運は不可欠なのです。 つまり見ていて辛い、ただ辛い、心が痛いのです。 この映画を薦めることは苦しむことを薦めることになってしまうのです。 ただ私はこの闇に落ちていく、活き活きと闇へ向かっていく物語に 変な爽快感を覚えました。それが社会的影響を危惧する感情です。 現代のアメリカ社会、かなり混乱しています。 バットマンではなくジョーカーを求めてしまうような時代になっていくのでしょうか? 苦しさの先にある1つの結末を見たいかたにはオススメしようと思います。 ~うるうるまるの個人的な見どころ~ 映画の一番初めのシーンです。上記の理由から脚本でアカデミー賞は難しいです。 しかし主演男優賞をこの役者はとりました。 一番初めのシーンにそれは凝縮されています。
終始、精神的にメチャメチャ怖いです。というよりしんどいという感じかもしれません。直線的な恐怖を与えるものではなく、こうだったらどう?と脅されているような怖さ。バットマンの宿敵であるジョーカー誕生の話なのだが、根っからの悪というわけではなく世の中が悪にしたという話。次々に起こる不幸な出来事をこれまでの素行と見た目だけで自分のせいにされていく。そりゃストレスもたまったいくわ。やっとつかみかけた夢や幸せも公開処刑のごとくあざ笑われて失っていく。その切なさがメチャメチャ怖いです。
1981年の映画バットマンでのジャック・ニコルソン扮するジョーカーがあまりにも有名ですが、ジョーカー自体は1940年当初から既にバットマンシリーズに何度も登場している大人気の悪役キャラクターです。 この映画はそのバットマンの宿敵ジョーカー(The Joker)が、コメディアンを目指す下積みの道化師の仕事をしている冴えない男が、ゴッサム・シティの悪の支配者になるまでのストーリーを映画化したものです。ですので、劇中ではバットマンは出てきません。 しかし、そこは名映画監督のトッド・フィリップス、映画ではバットマンは出てきませんが、映画バットマンに続くようなカットがちゃんと入っていたりして、バットマン好きにはたまらない隠し要素があって楽しめる映画です。ちなみにこの監督は、「ハングオーバー」の監督でもあり、ユーモアたっぷりに映画のストーリーを組み立てることでも有名なので、本作のジョーカーでもその才能が遺憾なく発揮されています。
バットマンとジョーカーの対決や派手なアクションを期待される方には向いていない映画です。この「ジョーカー」には、バットマンは出てきません。なぜなら、主人公がカリスマ的悪役ジョーカーになるまでの過程を描いた映画だからです。 この映画は、主役のホアキン・フェニックスの繊細な演技を堪能するどちらかと言うとポップコーン片手に見る娯楽作品ではないと思います。 物語自体は目新しさはなく、最初から精神を病んでいる心優しい主人公の現実か妄想かも分からない話を主人公の目線で展開されます。葛藤する主人公の内面をえぐるようなとても重い内容です。 全編を通して感じたことは、スコセッシ監督の「キング・オブ・コメディ」にとても似ているということです。(デニーロが主演だった)後に調べたところ、本作の監督がスコセッシの「キング~」と「タクシードライバー」を参考にしたとのことでした。 ただ、主役のホアキン・フェニックスの芝居は鬼気迫るものがあり、表情から動作から完璧に役になりきっており、さすが賞レースを片っ端からさらっただけのことはあるなと思いました。
ダークナイトシリーズを見ていないので、前評判ほどには感じませんでしたが、アカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスの怪演にはゾクゾクさせられました。 じっと見ているのが辛いほどの演技力です。 悪役側をフォーカスしたストーリーや、町山さんの解説を読み、色々と考えさせられました。
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