小さな失敗をものともしない大傑作
2021年5月30日 10時14分
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総合評価:
5.0
もう言うまでもなくSFホラー・アクションの傑作。
物語を短期間に集約して密度を濃くしたことが全体のキレを良くしている。
「2」以降はアクション要素の方が強くなり、この「1」のように、襲ってくる、
得体のしれないものから逃げる、という恐怖感を味わうことはなくなってしまった。
また当時はそれほど有名でもなかったアーノルド・シュワルツェネッガーの起用が
ハマッたことも良かった。
もちろん監督のジェームズ・キャメロンの演出も良く、緩急のつけ方と随所にみられる
細かな演出によって、見ていて気持ちのいいリズムで物語が進んでいき、
最後の最後まで観客を飽きさせない作りになっている。
この映画、色々と元ネタが取り沙汰されており、実際に訴訟となった案件もあるようだ。
個人的には「ウエスト・ワールド」に似ているな、と思った記憶がある。
機械が人間を襲う、という部分と、人間という獲物を追っていくときのカメラ・アイである。
「ウエスト・ワールド」では赤外線カメラで「体温」を感じ、画面上に浮き上がらせ、
絶対に逃がさない、という表現をしており、またその見せ方が物語上重要なポイントの
一つとなっていた。
この「ターミネーター」でも似たようなショットがある。
人間を追うターミネーターの「機械感」を出すために、所々でコンピューター画面が挿入
されており、獲物をロック・オンし、逃さない、と感じさせる雰囲気作りをしている。
その意味では成功しているものの、そのコンピューター画面は赤白黒の画面なので、
逆に獲物が見づらくなっているのだ。
その部分では「失敗」していると言っていいだろう。
しかしそんな小さな失敗をものともしないほど、この映画は大成功をおさめたのだ。