スタンフォード大学のフィリップジンバルド教授による実在した心理実験「スタンフォード監獄実験」がモデルの映画です。ハリウッドリメイクもされており、そちらのエクスペリメントも悪くはないのですが心理実験の不気味さでいえばエスに軍配が上がります。
無作為抽出の一般人から刑務官役と囚人役に分かれ、それぞれの役割を演じて結果をみるという実験です。もちろん、最初は面白おかしく、いわゆるコスプレ感覚で話が進むのですが、時間の経過とともに刑務官は刑務官らしく、囚人は囚人らしい振る舞いをするようになります。これは実際の心理にも当てはまることで肩書に応じた性格になる
傾向が人間にはあります。
裏話をすると、こうした実験はナチスドイツのジェノサイドの責任がそれぞれの人(役付きの幹部など)にも実際にあるのか懐疑的な視点がありました。肩書を与えられ、任務としてなら人は非人道的なことも平気でできるのではないか。この映画はエンターテイメントとしてもそうですが、知的好奇心を刺激する意味でも優れています。
関連作品としてエクスペリメントもそうですが、ジンバルド教授の幼馴染によるミルグラム実験を題材にしたアイヒマンの後継者も合わせて鑑賞をおすすめです。