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ボーはおそれているの町山智浩さんの解説レビュー

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2024年02月24日更新
面倒くさいユダヤ系の人の人生を凝縮して描いている映画ではあるんですが。これはイスラエルによるガザ攻撃の前に作られた映画なんでね。今見るとすごく複雑な気持ちになるのは、今イスラエルでユダヤ系の人達は支配する側に回った訳ですよ2000年ぶりにね。ずっと支配されてきて。で、一旦支配をする側に回ったら、やっぱり独裁的に振る舞って、それこそ子供を何千人も殺してるんですよね。(TBSラジオ「こねくと」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『ボーはおそれている』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『ボーはおそれている』解説レビューの概要

①”ボー”はアメリカでよくある人の名前
②ボーを演じるのは『ジョーカー』でアカデミー賞を獲ったホアキン・フェニックス
③アリ・アスター監督は『ミッドサマー』や『へレディタリー』で大ヒット
④アリ・アスター監督作品はあまりにひどいので逆に笑える所がある、今回は初の○○○○に挑戦
⑤チャップリンの名言「お笑いって言うのは、主人公が酷い目に遭うって事なんだよ」
⑥ユダヤ人がなぜすいませんすいませんと謝るか
⑦旧約聖書のヨブ記に理由がある
⑧ユダヤ人はアイドルを推してはいけない

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

町山さん『ボーはおそれている』評価とは

(町山智浩)はい。今日はですね、今週16日金曜日から日本公開になる、『ボーはおそれている』という映画を紹介します。

(石山蓮華)やった〜。

(町山智浩)これね”ボー”って言うと日本だと、ナニガシの”某”みたいに聞こえるんですけど、ボーって誰って、ボーって名前なんですね、普通にアメリカ人に結構いる。

(石山蓮華)カタカナでボーですね。

(町山智浩)カタカナでボーなんです。でこれボー君を演じるのはホアキン・フェニックスという名優ですね。この人は『ジョーカー』でね、バットマン最強の敵ジョーカーが、実は普通の気のいい優しい青年だというですね、本当かよっていう作品で、その非常に優しい青年ジョーカーのなる前の役をね演じてアカデミー賞取った人ですね。ホアキン・フェニックス。

映画「」のポスター

(石山蓮華)はい。すごかったですもんね。

(町山智浩)で、アリ・アスター監督というこの映画の監督はですね、また凶悪な映画ばっかり撮っている人でですね。

(石山蓮華)大好きです!

(町山智浩)えっ!そうなんですか。変わってますね。大丈夫ですか。(笑)

(石山蓮華)大好きです!家にグッズもいくつか買ってたりします。

(町山智浩)大丈夫ですか、ほんとにこんな人。(笑)

(石山蓮華)『ヘレディタリー』の最後に出てくる小屋を、クッキーで焼ける焼き型とかを持っています。

映画「」のポスター

(町山智浩)そんなのあるんですか。(笑)

(でか美ちゃん)でも日本でアリ・アスター監督人気出てきてる感はすごいしますよ。

(石山蓮華)周りでも評判です。

(町山智浩)はい。大ヒットしましたしね。『ヘレディタリー』とか。『ヘレディタリー』ってでもひどい映画で。高校生のお兄ちゃんが中学生の妹を連れて車に乗ってるとね、妹が窓から首を出して、そこに電柱があってという。

(石山蓮華)そうなんですよ!

(でか美ちゃん)え!そうなんだ。

(石山蓮華)もう最悪のドライブなんですよね。

(でか美ちゃん)最悪だ。

(町山智浩)子供の頃遠足でバス乗ると、先生が、窓から首出すと取れちゃうよとか言いましたけど。(笑)本当にそういう話でしたけど。それがまたヒットしてその次の『ミッドサマー』っていう映画がまたひどい映画で。いきなり一家心中から始まるんですよ。

映画「」のポスター

(でか美ちゃん)『ミッドサマー』は見ました、指の隙間から。うお〜って思いながら見ました。

(石山蓮華)何回も見てます、私も。

(町山智浩)何回も見るって大丈夫ですか!本当に。

(でか美ちゃん)ははは、心配されてる。(笑)

(石山蓮華)家でサントラをこうよく聞いてますね。

(でか美ちゃん)えぇ、大好きじゃん。

(石山蓮華)大好きで。本当にスッキリするんですよね、なんかどこか。

(町山智浩)え!なんで。(笑)

(でか美ちゃん)でもまぁ、ひどいものを見ると何かが晴れる感じするっていうのは、なんとなくね。わかりますけどね。

(町山智浩)それは癒しになるかもしれないね。はい。まぁそういう映画でしたね『ミッドサマー』も。だからその一家心中の生き残りの女の子が、彼氏にくっついてスウェーデンに夏休み旅行に行くとね、そのスウェーデンの村が何と言うかですね。生贄祭をやってるんですよ、ワイワイ。みんなで楽しく。で、生贄にされちゃうっていう映画だったですけど。でこのアリ・アスター監督の映画ってねあまりにもひどいんで、笑えるところがあったんですね逆にね。

(石山蓮華)ありますよね。

(町山智浩)笑っちゃうっていう。

(でか美ちゃん)ギャグみたいにね。

アリ・アスター監督初のコメディ映画

(町山智浩)はいそうなんですよ。で今回は、初のですね。コメディに挑戦したと。

(石山蓮華)えーー!アリ・アスター監督のコメディって怖いですね!

(でか美ちゃん)怖そう!ねぇ。きっかけみたいな感じで。

(町山智浩)そうそうそう。基本的に同じなんですよ今までの映画と。主人公はただひたすらね酷い目に遭い続けるというだけなんですけど。なんて言うか酷い目に遭うっていうのは難しいんですけど、チャップリンがね。お笑いっていうものについてチャップリンて喜劇映画の巨匠ですけど。お笑いって言うのは、主人公が酷い目に遭うって事なんだよって事を言ってるんですよ。

お笑いって言うのは、主人公が酷い目に遭うって事なんだよ

(町山智浩)バナナで滑って転ぶのを遠くから撮れば、それはお笑いになるけれども、バナナで滑った人の顔にカメラが近づいてその人の痛みとかを、恥ずかしさとかをカメラが捉えたらそれは悲劇になるんだと。同じ悲劇を突き放して撮るか、主人公に感情移入して撮るかで悲劇か喜劇か変わってくるんだという事をチャップリンが昔論じてるんですけども。そういうとこで、お笑いとホラーっていうのは、主人公が酷い目に遭うっていうのは裏返しなんですね、表裏なんですけど。で今回のボーくんの話はですね、『ボーはおそれている』っていうのはタイトル通りですよ。ホアキン・フェニックスは、いつも何かビビってるんですね、超ビビリの中年男なんですね。で腹も出ちゃってですね、髪の毛も白髪でハゲ散らかしてるんですけど。で貧乏でですね、ニューヨークの汚〜いアパートに1人暮らししてて、こいつ大丈夫かなと思うとそこに電話がかかってきて、お母さんからなんですね。で、あんたのお父さんの命日だから実家に帰りなさいと言われて。ところが、飛行機に乗り遅れちゃうんですよ。ボー君が。ボケてるから。そうすると電話がかかってきてですね。今度は、あんたのお母さんは事故で死んだって言われるんですよ。

(でか美ちゃん)つらい始まり。。

(石山蓮華)アリ・アスターっぽいですね!はい。

(町山智浩)そうなんですよ。で、ユダヤ人なんですね、主人公のボーくんは。ユダヤ人の・・色んな決まりがあってですね。ミツバーっていうんですが、それだと死んでから24時間以内に葬儀をしなければならないとか、喪主である長男がそこに行かないと葬儀ができないとかですね。葬儀というか埋葬ですね、できないとか。なんか色んな決まりがゴチャゴチャあるらしくて。それを守るために何とか実家に行こうとするんですけど・・あの、コメディなんで。ボー君が次々と色んなものに阻まれていくというですね。で、なかなか実家に帰れない!っていうまぁお笑いというかですね、地獄のような。この映画3時間もあるんですよ!

(石山蓮華)わー!!

(町山智浩)このおっさんがいじめられるだけなんですよ。

ボーがいじめられるだけの3時間

(でか美ちゃん)実家に帰れないっていう軸でアリ・アスター監督が3時間って。それはもう酷い事が起きるんだろうな。(笑)

(町山智浩)もう見てらんないんですよ。

(石山蓮華)ありとあらゆるひどい事が起こるんだろうな〜!

(町山智浩)そうなんですけど。このボー君は、とにかくいい人なんです。優しくて。で気が弱くて。で、なんにも悪い事をしてないのに、もう人にぶたれたりしながらもね、ごめんなさい、僕が悪かったんです、すいませんと謝り続けてるんですよひたすら。

(でか美ちゃん)えー謝らなくていいのに。

(町山智浩)そういう人っていますよね。何も悪くなくても、すいませんすいませんすいませんって言ってる人。で、俺も結構そう、アメリカでね、I’m sorry. I’m sorry.ってやたらと言ってると日本人はやたらと謝るねとか言われるんですけど。これね、アリ・アスター監督にインタビューして。このボー君はもう、I’m sorry言いすぎですねって言ったら、監督がすいません、すいませんと謝るんですよ監督が。

(石山蓮華)監督ご本人がですか?

ユダヤ人がなぜすいませんすいませんと謝るか

(町山智浩)そうなんですよ。なんでそんなに謝るの?って聞いたら、僕はユダヤ系なんだと。ユダヤ系っていうのはなんかね、色んなものに謝りながら、すいませんすいませんって言いながら生きてるんですよって言うんですよ彼は。で、なんでそういう風に生きてるのって話を彼としていったら、根本的にそのユダヤ系の人が信じてる、旧約聖書に理由があると。旧約聖書っていうのは、古い契約っていう意味で、そのユダヤ系の人達が昔々神様とした契約が書いてある本なんですね。キリストとは直接関係ないんですよ旧約聖書って。で、その中にヨブ記という項目があるんですけどご存知ですか?

(石山蓮華)なんか、名前しか知らないです。

(町山智浩)これがね、すごいとんでもない話でね。ヨブという人がいて。ユダヤ系の人なのかわからないんですけど、とにかく神様とした契約通りにきっちり生きてる真面目な人なんですね。で、一生懸命生きてたから、奥さんと子供が何人もいて、それでまぁ農家をやってるんですけど家畜もいっぱいいて豊かに幸せに暮らしてるんですよ。そうすると神様達の方で相談しててですね、彼は幸せにしてもらってるから神様に感謝してるのかもしれないと。じゃぁ不幸になっても神様を信じるだろうかという賭けをしだすんですよ。神様達が。で、このヨブくんにひどい目に遭わせてやろうとして、次々とですね、まぁ家畜は死んでいくし盗まれちゃうし。家が崩壊する事故で子供全部死んじゃうんですよ。

(石山蓮華)ひどい。

旧約聖書のヨブ記に理由がある

(町山智浩)で奥さんも逃げてっちゃうんですよ。で、友達に、私はこんなに真面目に生きてるのに、なんでこんなひどい目に遭うんでしょうかと。言うと、友達は、いや〜世の中というのはやっぱり神様に従って動いてるんだから、君がひどい目に遭うって事は元々君がなんか悪い事でもしたんじゃないのって言われるんですよ。こういう考え方ってある訳ですよ。

(でか美ちゃん)理不尽すぎる。

(町山智浩)なんにもしてないのに不幸な人が、なんか悪い事をしちゃったんじゃないかと。神の罰を受けてるんじゃないかっていう考え方がある訳ですよ。だから、すいませんすいませんの世界なんですよ。

(でか美ちゃん)なるほど。謝らなくていいのに謝っちゃう。

(町山智浩)謝らなくていいのに謝ってるんですよ。

(石山蓮華)悪い事が起こった時に自分に理由を探しちゃう。

(町山智浩)そうなんですよ。そういうね、このヨブ記というのは非常に旧約聖書の中で1番大事だとも言われてるとこで。神を信じるというのはどういう事なのかと。自分に幸福があるから信じるっていうのは違うんじゃないかと。で最後はヨブは神様に対して、なんでこんなひどい目に遭わせるんですかって文句を言うと神様が、世界全体がどうなってるかなんて、君にはわかんないだろと。君の不幸っていうのは、この世界全体の仕組みの大きな歴史の中で何か意味があって私が考えてやってる事なんだから文句言うなって言われるんですよ。

(石山蓮華)え!理不尽すぎますね。

(町山智浩)超理不尽なんですよ。これはユダヤ人にとってものすごく重要だっていう風にアリ・アスター監督は言うんですね。というのは、ユダヤ人っていうのはもう2000年間その国を失って差別されてきた訳ですよ。で国を失ったっていう理由も、ユダヤ教という神と契約してその通りに生きようとした為に・・まぁローマ帝国の中の属国だったんですけど、イスラエル王国というのは、ユダヤ王国というのは。そのローマ帝国に対して反乱を起こして、国自体を解体させられちゃうんですね。で2000年間、国のない民としてすごい差別をされ続けて、ホロコーストでナチに皆殺しにされそうになった訳ですよね。まさにヨブなんですよユダヤ系の人って。なんでこんな真面目に生きてて神様を信じてるのになんでこんなひどい目に遭うの、訳わかんないっすよ!っていう事なんで。だから、この『ボーはおそれている』っていうのは根本的にそのアリ・アスターの非常にユダヤ人性というか、ユダヤ人自身の1人1人のですね、非常に不公平だよ!みたいなね。そういうのと結びついてて。あと、”おそれている”ってのは、ユダヤ系の人はとにかく、自分が何かをすると、それが神様の教えに本当に反してないんだろうかってビクビクしてるんですって。で、例えばこのボーがね、キリスト教の家族に救われて、そこでその娘の部屋にですね寝かせられるシーンがあるんですよ。すると、目が覚めると、家中、K-POPのポスターだらけなんですよ。アイドルの。部屋中がね、そのティーンの娘の部屋に寝かされてるからね。これはユダヤ人にとってはとんでもない事なんです。

ユダヤ人はアイドルを推してはいけない

(石山蓮華)えー!なんか場面写真があるんですけど。かわいらしい部屋にそのボーが寝ていて、アイドルの写真がたくさんね、ポスターが貼ってあって。まぁよくある女の子の部屋みたいな感じがしますよね。

(町山智浩)はい。ユダヤ教では禁じられてるんです。

(石山蓮華)え。どこがですか。

(町山智浩)K-POPがじゃないんですけど、アイドルが禁じられてんですよ。

(石山蓮華)偶像禁止っていう事ですか。

(町山智浩)そう!偶像崇拝は一切禁じられてるんです。

(石山蓮華)ああっ、ピンチ!

(でか美ちゃん)確かに。

(町山智浩)ピンチなんですよ。ボーくんはここで、やばい!神様に禁じられてる偶像崇拝の人のベッドに寝ちゃった!って。(笑)

(でか美ちゃん)人のベッドで寝ちゃうでもダメなんだ、しかも。

(町山智浩)色々細かいんですよ。偶像崇拝についてはね、ユダヤ教には600の教えがあって。

(石山蓮華)600ですか!

(町山智浩)そのうちの20ぐらいが偶像崇拝に関する禁止事項なんです。600ですけどね全部で。

(でか美ちゃん)じゃぁユダヤ人の方って推しメンをあんまり作ったりしないのか。

(石山蓮華)ちょっと文化的に難しいのかもしれないですね。

(町山智浩)いや、やってるんですよ。アイドルいっぱいいるんですよイスラエルにも。ユダヤ系のアイドルもいるんですが。だからユダヤ系の人って色々決まりがありながら、常にそれを破りながら生きてるんですよ。

(でか美ちゃん)で、別にセーフじゃない?みたいな感じでって事ですか。

(町山智浩)だからいつも、いや俺なんかしちゃった?マズった事したな、例えば土曜日にエレベーターのボタンを押しちゃいけないんですよ。ユダヤの人は。

(石山蓮華)どうしてですか?

(でか美ちゃん)こまかい!

(町山智浩)これはある種の労働なんで土曜日は一切の労働を禁じられてるんで、仕事っぽい事を一切しちゃいけないんですよ。でも実際みんなしてるんですよ。だからいつも、神様すいません、やっちゃいましたっていう気持ちで生きてて。それが『ボーはおそれている』っていうタイトルになってるんですけど。そういう面倒くさいユダヤ系の人の人生を凝縮して描いている映画ではあるんですが。ただ、すごく今これを見ると。これはイスラエルによるガザ攻撃の前に作られた映画なんでね。今見るとすごく複雑な気持ちになるのは、今イスラエルでユダヤ系の人達は支配する側に回った訳ですよ2000年ぶりにね。ずっと支配されてきて。で、一旦支配をする側に回ったら、やっぱり独裁的に振る舞って、それこそ子供を何千人も殺してるんですよね。だからなんだろうって。人間ってなんだろうって俺は思っちゃうんですよね。今まではすいませんすいませんって言って生きてたのに。一旦力を持っちゃうとやっぱり人間ってどうしてこうなっちゃうんだろうなとね。

(石山蓮華)どうしてその受けた痛みを相手のために、こうシンパシーを使えないんだろうかというね。

(でか美ちゃん)優しさにできないのかというね。

(町山智浩)できないんだろうって。これはねだからユダヤ人がとか何人がという問題じゃなくて、人間ってなんだろうなって気持ちにもねなっちゃうんでね。みんなからバカにされてもね俺とかもすいませんって言ってるんですけど、もうそれでいいやと思いますよ。本当に。すいませんすいません原稿遅れてって。それは俺が悪いんだね!(笑)すいません。(笑)

(でか美ちゃん)何も理不尽じゃない。(笑)

(町山智浩)自分が悪かったです、はい、すいません。(笑)

(でか美ちゃん)これは結構、日本の人は共感しちゃいそうですねボーの生き方っていうのは。

(石山蓮華)そうですね。

(町山智浩)そう。もう本当にね、申し訳ないと思いながら生きてるのにひどい目に遭い続けるって人はいっぱいいますんで。僕の友達にも。共感せざるを得ない人も多いと思います。という事で『ボーはおそれている』は今週16日、金曜日から公開です。

(石山蓮華)はい。町山さんありがとうございました。

(町山智浩)はい!

■後日談 ※少しネタバレを含みます

(石山蓮華)先週は、アリ・アスター監督の最新作、『ボーはおそれている』をご紹介いただきました。ボーという中年男性が実家に帰る道すがらに起こる本当にもう災難という言葉では収まりきらないような災難の数々、私は映画館で見てきまして。

(町山智浩)あ〜どうでしたか3時間の。

(石山蓮華)いい意味で、本当につらい3時間でした。

(でか美ちゃん)わー!

(石山蓮華)最高でしたね〜!!

(町山智浩)最高なの?(笑)

(石山蓮華)いやもう最悪過ぎて最高っていうか。もう個人的にはホラーかな?と思って行ったんですけど、本当にまぁコメディで、笑える所がたくさんありましたし、町山さんの解説があってすごく見やすくなったというか、自分の中で物語の筋を通しながら見られたので、なんかこうこういう話かと思ったんですけど、なんかこう、まぁ、なんですかね。最後までいってみると冒頭から、あ、このシーンから、この人物の手のひらの中で私達ずーっと踊ってたんだなというか。

(でか美ちゃん)へ〜。

(町山智浩)そうですね。

(石山蓮華)なんか初めてのお使いみたいな・・いうような。

(町山智浩)初めてのお使いなの?あぁまぁそうですね、初めてのお使いってあの、スタッフがカメラをね、バッグに入れて。

(石山蓮華)バッグに入れて。そうなんですよね。そう。

(町山智浩)子供達を追いかけてますからね、なるほどね。

(石山蓮華)というところとか、あとお風呂のシーンがあったじゃないですか。

(町山智浩)はいはいはい。

(石山蓮華)なんか上から雫が垂れてきて、アレ?結露かなと思うととんでもない物がこう、とんでもない事になるっていうシーンがあって、あそこがすごく私は好きです。

(町山智浩)本当に。あの、彼。主人公のボー君ね。ぼーっとしてるボー君が、お母さんが死んだって教えられてすぐにお風呂入っちゃうでしょ。

(石山蓮華)そうですね。

(町山智浩)あれは、やっちゃいけない事なんです。

(でか美ちゃん)あーそれもユダヤ・・。

(石山蓮華)戒律的に・・。

(町山智浩)そうなんです。1週間入っちゃいけないんです、確か。

(石山蓮華)あっそうなんですか。

(町山智浩)肉親が亡くなった後お風呂はいるのは、余裕あるじゃないかこの野郎っていう風に見なされるらしいんですよ。

(石山蓮華)あーなるほど。

(でか美ちゃん)色んなルールがある中でのね、そのあれやっちゃったから、こういう目に合うんじゃないかっていうのは先週ね、解説もして頂きましたけど。まぁまぁ序盤でガッツリやらかしてるんですね。(笑)

(町山智浩)やらかしてるんですよ。あれ、助けてくれる、なんていうかいい夫婦がいるじゃないですか。あの夫婦がご飯食べる時に神様にお祈りしましょうってやるじゃないですか。

(石山蓮華)あぁそうですね。

(町山智浩)あれ、キリスト教のお祈りだから彼はやっちゃいけないんですよ。ユダヤ人は。

(石山蓮華)うわー。

(でか美ちゃん)色んな所にこうね、ポイントポイントで。(笑)

(石山蓮華)もうトラップトラップトラップ。全部回収する・・話だったんですね。

(町山智浩)あとほら道端で人に刺されるじゃないですか。通り魔みたいなのに。

(でか美ちゃん)えーそうなの?

(石山蓮華)本当にね、不条理な刺され方なんですよ。

(町山智浩)でもあれ刺される所、両手のひらと、脇腹なんですよ。

(石山蓮華)そうですね。

(でか美ちゃん)

(町山智浩)あれはキリストが貼り付けになった時に刺された場所ですね。

(石山蓮華)わー。

(でか美ちゃん)なんか色んな事考えながら見るとね。

(町山智浩)でしょ。あのお母さんの為に買う、偶像崇拝しちゃいけないのに、お母さんの為に聖母像を買うじゃないですか。

(石山蓮華)マリア買ってましたね。

(町山智浩)彼はキリストになった訳だからお母さんはマリア様なんですよ。

(石山蓮華)あーーーーーーー!!!!!かわいそうだよう!

(でか美ちゃん)かわいそうだよう!(笑)

(町山智浩)もう最悪のキリストの話なんですよ、ボーは。おそれてるって。お父さんがまたほら、ただの種として出てくるでしょ。

(でか美ちゃん)えっ待ってもらっていいですか。私怖すぎて今週末見るつもりなんですけど、友達と。

(石山蓮華)あ、お友達とね、一緒に見に行くって。

(でか美ちゃん)ちょと1人じゃ見れなくて。怖さがちょっと。

(町山智浩)じゃぁちょっとあんまりネタバレになんないように話すと、ユダヤ系の人達って母系社会なんですよ。

(石山蓮華)あ、母が強いって事ですか?

(町山智浩)ていうかね、要するに父親から系図を作っていくじゃないですか、日本人とか韓国人とかって。ユダヤ人は違って母親で繋いでいくんですよ。

(でか美ちゃん)へ〜!

(町山智浩)お母さんがユダヤ系だと、生まれた子はユダヤ人になるんですよ。で、お父さんがユダヤ人でもお母さんがユダヤ人じゃないとユダヤ人としてのしきたりに従わなければユダヤ系とは見なされないんです。

(石山蓮華)

(でか美ちゃん)へ〜。

(町山智浩)だから母親が1番重要で、父親は種にすぎないっていう考え方があって。だからキリストも元々ユダヤ人ですから、マリア様が大事で。あの、旦那のジョセフはあんまりどうでもいいみたいな話でしょ?

(石山蓮華)そうですね。えぇ。

(でか美ちゃん)

(町山智浩)そこがすごく重要になってて。これ以上言うとあれなんですけど。(笑)

(でか美ちゃん)いやでも、楽しみに。

(石山蓮華)いやでもとんでもない・・。

(町山智浩)ユダヤ系の人のお母さんのね、息子に対する異常な愛情というのは、本当に大きい問題になってて。みんな大変みたいですよ。友達とか見てると。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

④アリ・アスター監督作品はあまりにひどいので逆に笑える所がある、今回は初のコメディに挑戦

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