HOW TO BLOW UPの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『こねくと』(https://www.tbsradio.jp/cnt/)で、『HOW TO BLOW UP』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『HOW TO BLOW UP』解説レビューの概要
①”BLOW UP”っていうのは”○○する”という意味
②現代は『How to Blow Up a Pipeline』で、パイプラインは石油パイプラインの事
③原作のタイトルは『パイプライン爆破法』
④石油化学工業のせいで地球温暖化が進むのを、どう止めるか
⑤原作はどうしてパイプラインを爆破しなければいけないのかという理論書になっている
⑥具体的に石油パイプラインを爆破するグループを追っていくドキュメンタリータッチのサスペンス映画
⑦『○○○○○○○○○』のような方式をとった
⑧日本の北海道から沖縄ぐらいまでよりも遥かに長い距離のパイプライン
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
やばい映画、『HOW TO BLOW UP』町山さんの評価とは
(町山智浩)はい。今日は結構やばい映画なんですが。
(でか美ちゃん)おぉ。
(町山智浩)『HOW TO BLOW UP』というタイトルの映画です。
〜音楽〜
(町山智浩)はい。もう音楽からしていきなりこう、サスペンスフルなのが流れてますけども。
(でか美ちゃん)ね、不穏な空気になってきました。
(石山蓮華)そうですね、ドキドキですね。
(町山智浩)ねぇ。『HOW TO BLOW UP』、”BLOW UP”っていうのは”爆破する”ですね。なのでこれ、”爆破の仕方”っていうタイトルなんですよ。これね原題はもっと長くて、『How to Blow Up a Pipeline』っていうタイトルなんですね。パイプラインというのは石油パイプラインの事なんですよ。これね原作はもう日本で既に翻訳が出てるんですが、タイトルすごいタイトルで、『パイプライン爆破法』っていうタイトルで本が出てます。
(石山蓮華)へ〜!
石油パイプライン爆破法
(町山智浩)これね副題が、”燃える地球でいかに闘うか”っていうんですが、これどういう話かっていうと、そのまぁCO2のね。二酸化炭素で地球が温暖化して、どんどんどんどん毎年地球の気温が上がってるでしょう。で、これは、石油化学工業のせいで、地球温暖化ガスがどんどん増えてくから、もうそのうち止めなきゃなんない、もう大至急止めなきゃならないんだけど、全然政府ももちろん大企業も全然規制が進んでないと。で、どうしたらいいか。もう石油パイプラインを爆破してしまえっていう本なんですよ。
(でか美ちゃん)へぇ〜。かなりこうね、過激な結論に達しちゃったというか。
(町山智浩)そうなんです。これ書いてる人大学教授なんですよ。
(でか美ちゃん)へぇ〜!
石油化学工業のせいで地球温暖化が進むのを、どう止めるか
(町山智浩)スウェーデンのルンド大学教授のアンドレアス・マルムさんっていう人が書いていて、どうしてパイプラインを爆破しなければいけないのかという理論書なんですね、この本は。で、どうしてかっていうと、まずいくら待っても政府はやらないと。なぜならば、そのお金もらってるから。政治家達がみんなもらってるし、石油企業とかからもらってるし、経済全体でかなり石油企業っていうのは非常に大きいですから。止めようする人がいないんだと。それを止めるためにはどうしたらいいかって事で、それに反対する政治家に投票するっていう事をやってきたんだけれども、それも進まないと。あまり。だったらパイプラインを爆破したら、怪我人が出ないような形で爆発するんだったら、もうそれしか方法はないよって言うんですよ。
(石山蓮華)えぇ。。
(町山智浩)これすごいのは、まぁエコテロリズムというのは実は世界中ですごく今進んでいまして。よく日本で報道されるのは美術館に行って。
(石山蓮華)あ〜はい。
(町山智浩)有名な絵を汚したりして、まぁ自分達の主張をするっていう。あれは僕はトンチキだと思ってるんですけど。そんな事よりももっと直接パイプライン爆破しろって言ってるんですよ。これどうしてかっていうと、パイプラインを爆破したらやっぱりそれは犯罪な訳ですよ。逮捕されるだろうと。それでもそれを繰り返す事によって、そのコストがあまりにもでかくなって、石油を産業として使うよりも、そうじゃない方に行った方がいいんじゃないかっていう方向に少しずつ移っていくんじゃないかっていう本なんですよ。これはすごい過激な、大問題になりました、これが出た時にも。日本でも、もう本当にこれは大論争を呼ぶ本として発売されたんですけども。それを映画化するっていうのは一体どういう事なのか。それは、具体的に石油パイプラインを爆破するグループを追っていくドキュメンタリータッチのサスペンス映画になってるんですね。
(石山蓮華)ほう。
(町山智浩)で、監督はどうしてそういう映画を撮ろうとしたかというと、銀行強盗物とかってあるじゃないですか。
(石山蓮華)はいはい。
(町山智浩)たとえば、『オーシャンズ11』シリーズっていうのがあって。
それは11人の色んなプロフェッショナルね、金庫破りのプロとかコンピューターのプロとか、そういう人達がいっぱい集まってそれぞれの技能を生かしてカジノの金庫を襲うとか、色んな金庫を襲う映画がある訳ですよ。そのジャンルって、やる事自体は犯罪なんだけれども、その犯罪自体の道徳性について論議はしないですよ。
(石山蓮華)そうですね。
(町山智浩)ね。それは果たしてそういう事は可能なのかっていう知的ゲームとして描いてるんですよ。だからその見てる人は泥棒は悪いと思うけれども、果たしてそんな事ができるの?一体どうやってやるの?っていう興味で見てるじゃないですか。その方式を取ったそうです。
(でか美ちゃん)なるほど。
(町山智浩)全くど素人の人達が、石油パイプラインをいかにして誰にもどこにも怪我人を出さないで爆発する事ができるかっていうのを緻密に描いていくという映画になってるんですよ。で、登場人物が8人いて8人のグループが、石油パイプラインを爆破しようとするんですが。リーダーは女性なんですね。で、ロサンゼルスの南にあるロングビーチ出身の女性で、これね。石油コンビナートがあるんですよ、そこには実際に。『ブレードランナー』っていう映画ご覧になってます?
(石山蓮華)見ました。昔見ました。
(町山智浩)あれ冒頭で空を飛んでいくんですけど、ロサンゼルスに近づいてくとこで炎が吹き上がるんですよ。ぼあーっと。あれ石油コンビナートであれ実在して今も動いて稼動してるんですよ。で、そこで生まれ育ったソチトルっていう女性が主人公なんですけども、彼女の両親は、がんで早く亡くなってるんですね。で彼女の親友も白血病になってるんですよ。これはね、そこからね、石油コンビナートから排出されるベンゼン。それが発がん性物質なんで、次々と発病してるんですね。これも事実なんですよ。ずっと訴訟してます、その地域の人達は。規制してほしいっていう事とあと賠償を求めて。で、このメンバーが集まっていくんですがネットで集める訳ですね、爆破したいんだっていう事を。少しずつその同志を集めてくんですけども、そのうちの1人はアメリカのノースダコタ州というところ出身の、先住民の人なんですよ。で、この人が実際に農薬のアンモニアから爆薬を精製してくんですけども、この先住民の人が住んでいるところっていうのは2006年にですね実は石油が出まして。ノースダコタってね、急激に石油ブームになるんですよ。で、結構アメリカ中から労働者が集まってきて、突然人口が爆発的に増えて。ところがその先住民の人達はずっとその土地に住んでるにも関わらず、一銭もお金が入んなかったんです。
(石山蓮華)あれ〜。
(町山智浩)これはね、そのダコタに住んでる先住民の人達は自分の土地にしてないんですね。
(石山蓮華)先住民の考え方としてって事ですか?
石油ブームになったノースダコタで起きている問題
(町山智浩)っていうかね、居留地というところに住んでて、そこ連邦政府のものなんですよ。そこに住んでいるんで、そこから石油が出ても彼らは一銭ももらえないんですよ。石油が出てお金がもらえる人は、その土地を持ってる、ナバホ族の人達はナバホ国という独立自治国をアメリカの中に持ってるんで、そこから石油が出てる利益は得てます、彼らは。あと映画で『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』っていう映画がありましたけど、あれに出てくるオセージ族は自分の住んでるところの土地を買ったんですね。だから石油の権利があって。彼らはお金はちゃんと得てるんですけど、それ以外の先住民の人達はほとんど、連邦の土地に住んでいて、石油が出ても一銭ももらえないんですよ。
(でか美ちゃん)でも出たからってね、急にその住環境をめっちゃ変えられるってすごい大変な事じゃないですか。
(石山蓮華)ねぇ。引っ越しが来たりとか、急に人が増えたらどうするんでしょうね。
(町山智浩)あのね、何万人もの労働者がねノースダコタに入ってって、先住民の女性達が次々と行方不明になってるんです。
(でか美ちゃん)うわぁ。
(町山智浩)アメリカの西部って本当に広いんで、人が死んでも発見されないんですよ殆ど。で、流れ者達が来てそこで女の人達をさらっても全然見つからないっていう大問題になっています。それだけじゃなくて、そのノースダコタでできた石油を、工業地帯がないんで、実際にその石油を使うところまでパイプラインで引いてるんですよ。でそのパイプラインは先住民の人達の住んでるところを通ってるんですね。でね、パイプラインってね、ただ通るだけじゃなくて、絶対に漏出するんです。漏れちゃうんですよ。
(石山蓮華)そうなんですね。
(町山智浩)だって、ものすごい距離で、日本の北海道から沖縄ぐらいまでよりも遥かに長い距離のパイプラインですからアメリカの場合は。
(でか美ちゃん)そっかそっか。
日本の北海道から沖縄ぐらいまでよりも遥かに長い距離のパイプライン
(町山智浩)そうすると絶対に少しずつ漏れるんですよ。で、漏れるとそれが染み込んで水質を汚染しちゃうんですよ。で、石油が混じった水を飲むと、がんになるんですよ。だから彼らはずっとその石油パイプラインの建築に反対してずーっとやってるんですけど、トランプ大統領になった時にまず最初に彼がサインしたのはその石油パイプラインの建造の着工だったんですね。で、バイデンさんになって止めるかと思ったんですけどまだ止まらない状態で、大問題になってるんですけど。だから彼はパイプライン爆破に参加するんですよ。そうすると、最初の人は直接、両親をがんで殺された訳ですけども、で、先住民の彼も自分の土地を石油売買に侵されてるんですね。で、もう1人参加する人がいて、その人はカウボーイなんですよ。本当のカウボーイ。『東京カウボーイ』ってさっきしましたけど。(笑)カウボーイのね、おじさんが出てくるんですね。で、いつも星条旗の服を着ていてね、完全にいわゆる白人の右翼ですよ。で全くパイプライン爆破に参加しそうにない、それこそトランプを支援してそうな感じのね、人なんですけど。彼は、自分がその放牧をしていた牧場の土地をパイプラインを引くんで、立ち退かされちゃってるんですよ。でね、これねアメリカにある法律で、日本にもあるのかな?と思うんですけども、あるのか。あると思うんですが。要するにまぁ、政府はそういった形で国家的事業としてパイプラインを行う訳で、でその場合には私有地から立ち退かせる事ができるんですよ。土地所有法という法律がありまして、それを適用されて彼は土地を奪われちゃったんですね。今、日本でも、ものすごい勢いで北海道とか九州にメガソーラーが建造されてるんですけど、要するにCO2を減らすために太陽光発電のソーラー施設を作ってるのに、森を切り開いて作ってるんですよ。
(でか美ちゃん)ねー、そこを切り崩しちゃったら追々大丈夫なのかとかも色々ね、土砂崩れとかもすごい言われてますよね。
(町山智浩)そうなんです。本末転倒で環境のためにメガソーラーを作るのに環境破壊してるんですけど。どういう利権なんだと思うんですけど。まぁそういう事がアメリカでも起こってる訳ですね。だからすごくね、そのカウボーイさんは、左翼的なグループだと思ってるんだけどその爆破チームが。ちょっと嫌なんですけども、でも自分の土地を取られたから、その爆破活動に参加するんですよ。だから右も左もない感じなんですねメンバーは。で、とにかく彼らは最初から、これで逮捕されても仕方がないと思いながら、やるしかないんだという事で、この一種の復讐ですよね。に参加していくという話でね。アメリカ映画っていうのはこれ作っちゃうっていうのがすごいなと思いましたね。
(石山蓮華)そうですね。
アメリカあるあるな登場人物
(町山智浩)しかも、その1人1人が今のアメリカを代表するような、その右も左もね。両方。でもう1人シカゴ大学の学生が出てくるんですけども。黒人なんですが、彼は大学が石油化学産業に投資したり、そういった会社から寄付をもらってる事に反対していた運動家なんですよ。これも今ねアメリカですごく問題になっているアメリカ中の一流大学の学生達が、パレスチナのガザに対する、イスラエルの攻撃に反対するっていう運動をずっとしてるじゃないですか。あれ、具体的にどういう運動をしてるかっていうと、自分達の通っている大学がイスラエルを支援しているファンドってあるんですね。だから株式ファンドみたいなもの。そういったものから寄付をもらったり、そこに投資したりするのを止めようとしてるんですよ。で、アメリカはやっぱり株式関係、金融関係っていうのはユダヤ系の人が多くて、そういうファンドがいっぱいあるんですね。イスラエルに対して圧倒的な支援をしていて、例えばハーバード大学なんていうのは本当にパレスチナの戦争に対する反対運動をしていたら、そのファンドの人達がですね、ハーバード大学に寄付しないって言って。学生達を取り締まらないんだったら、私達はハーバード大学への寄付をやめるという風に圧力をかける事によって、そのガザ攻撃に対する反対運動をした学生を取り締まらなかった学長をクビにすると。要するに出資者達がね、イスラエル側なんで。という事態が起こってて、それと戦う学生もこれに参加するんですよ。だからみんなバラバラなんですけども、すごくアメリカの、いるいる、こういう人いるいるっていうね、色んな人のパターンが出てくるんすよ。ともう1人ね、完全にヒッピーで、全く電気とか水を使わないで生きてる人、夫婦がいて、それも参加するんですね。で、この人達っていうのも1つのムーブメントとしてあって。ゴミをあさって暮らしてる人達なんですよ。それは貧しいからホームレスをやってるんじゃなくて。電気とかガスになるべく頼らないで生きたいと。思想としてやってる夫婦が出てきますね。あのね、アメリカに来るとね、ホームレスの人がいるんですけども。貧しいからやってるとは限らないんですよ。思想的な立場としてやってる人もいるので。その辺はね、ちょっと違うんですけど。で、この人達がまずその爆弾を作っていくのがね、ものすごいハラハラするんですよ。ド素人だから。
(石山蓮華)うわっ。見ててちょっともう。そわそわしますね。
(でか美ちゃん)なんか作っている最中にね、自分達も結構危ないですよね、素人がやるのはね。
(町山智浩)ものすごく怖いんですよ。だからね、この手のものはいっぱいある訳ですけど。それこそ『オーシャンズ11』みたいなものもね。大抵はねプロフェッショナルが集まってやるんですよ。素人じゃないので。
(でか美ちゃん)そうですよね。
(石山蓮華)華麗な手さばきで、どんどん仕上がっていくっていう感じですよね。
(町山智浩)そうそうそうそう。全く逆なんで、別のハラハラがね、起きるという。そこの面白さですね、この映画は。で、やっぱりね・・今週ね公開される全然関係ない映画があるんですけども。黒沢清監督の、昔撮った『蛇の道』という映画のリメイクをフランスでやってね。柴咲コウさんがあの主人公になって、元の映画の方は哀川翔さんだったんですけども、これはね。幼児誘拐事件があって、その誘拐事件に対する復讐をする話なんですよ。それで娘を殺された人と一緒に、その柴咲コウさんが犯人達を追いかけていくっていう話なんですけども。これも、実は後ろに大企業がいる事がわかってくるんですね。で結局どっちの映画もそうなんですけど、復讐っていうのを個人がやらなければならない状態というのは、それは司法が機能していないからですよね。ちゃんと犯人を捕まえてくれないから、悪い事してる人達を止めてくれないから。やらざるを得ないと。いう事があって、特に今アメリカで起こってる事はその今言ったパイプラインの問題も本当にあるし、今言ったいくつかの問題っていうのは現実に起こってる問題なんで、それを放置してるともう本当に、確かにこういうのはテロですけれども、でもそれしか手段がなくなる人がいるんだよと。だからこんな事になる前に実際に政府や司法がちゃんと動いて、環境庁が動いて。っていう事なんですよね。それがなされてないから。
(石山蓮華)どんどんどんどん市民が包囲を囲まれちゃって、もうにっちもさっちもいかないから、アナキズム的なところにこう走るしかなくなっちゃう。
(町山智浩)なくなっちゃうって事なんです。ただアメリカの場合にはね、すごく、市民の不服従という言葉があって。元々憲法でも認められていて。アメリカ政府がおかしかったら国民は戦っていいって事を憲法で認めてる国なんで、これが日本だとこの映画はとんでもない!って事になるんですけど、アメリカでは決して、とんでもない!って事にならないんですよね。それは市民の権利なんだと。それは何故かといえば、アメリカという国が政府に対する反乱で建国された国だから。市民達が反乱を起こしたんですねイギリス政府に対して。で建国してるから、市民の反乱とかを否定するとアメリカっていう国自体を否定しなきゃなんなくなっちゃうんですよ。だから決して完全には否定できないんですよアメリカって。
(でか美ちゃん)もう成り立ちから、国民性がこうね、あるというか。
(町山智浩)はい。元々だってアメリカはイギリスの税金が高すぎるって事で反乱を起こしたんで。税金が高いと国ひっくり返すぞ!っていう国なんですよ。日本は税金が高いの、頑張って働こうっていう国だから、全然違う!
(でか美ちゃん)私達もね、この後見ると思うんですけど。なんか日本人が見たら、どういう受け入れ方をする作品なのかなっていうのは気になりますね。
(町山智浩)だから国民性の違いが非常によくわかる映画でしたね。という事で『HOW TO BLOW UP』。今週公開ですね。
(石山蓮華)はい。町山さんありがとうございました。
■後日談
(でか美ちゃん)でか美ちゃんも蓮華ちゃんも見てきましたけど、めちゃめちゃなんだろうな、こう言っていいのかなって感じするけど、あの、面白かったですね。
(町山智浩)そうなんですよ。
(でか美ちゃん)やっぱ手に汗握っちゃうし、実際にこういう事がもしあったら本当に、こうなんだろな、色んな人のこう仕事とか生活に影響出てしまうし、伝えたいメッセージは一度置いておいて、とんでもない作戦と実行だとは思うんですけど、何故か映画として見ていると、正直やっぱ途中から、なんか応援しちゃいましたもん。
(石山蓮華)そう。
(町山智浩)そう。頑張れ!って気持ちになっちゃうんですね。
(でか美ちゃん)頑張れ!って思っちゃうんすよね。不思議なところ、映画の。
(町山智浩)はい。環境テロリスト達がエコロジーのために石油パイプラインを爆破するという作戦を描いてるんですけども、いや、これをエンターテイメントにしてるところがすごいなと思いましたね。
(石山蓮華)なんかこう、変な映画だなと思いながら。
(でか美ちゃん)そうそう。
(石山蓮華)なんだろうこれは、私何見てるんだろうと思いながら、でも最終的に、いや、頑張れ!パイプを爆破しろ!みたいな気持ちになってて。なんか不思議な気持ちになりましたね。
(でか美ちゃん)不思議。色んなね苦難がやっぱり作戦通りにいかない事とかもあるから、大丈夫か?っていうその・・なんで私は今大丈夫かって思ってるんだみたいな。
(町山智浩)そうそうそうそう。でも彼らすごくその石油パイプラインを爆破するんだけど誰も人は傷つけたくないっていうね。
(でか美ちゃん)そうですね。
(町山智浩)目的は環境問題なんで。そのへんでは心優しいテロリスト達なんですよ。その辺もね、葛藤が描かれてたりしてね、どんどん見てる人がだんだん彼らに感情移入していくと。で、まぁいわゆる左翼の人ばっかりなのかと思うとそうじゃなくてド右翼の、ものすごい愛国者の右翼オヤジも仲間に入ってて。左右を超えた、アメリカを本当に守りたいと思う人がやってるっていうところも非常に複雑でね。まぁそれを追いかけるのがいわゆるFBIですから。本来正義の味方なんだけども、この映画ではすごくむかつくやつらとして描かれてるんですけど。
(石山蓮華)そう、不思議な。
(でか美ちゃん)だし、作品の中で描かれていたような行動っていうのは、やっぱり私は個人的にはすごく極端だなと思いますけど、そのこうまでしないと、もうメッセージが届かないっていう風に追い込まれていく人は、まぁ現実にめっちゃいると思うんで。
(町山智浩)そうなんですよ。声が届かないから、みんなに意見を聞いてほしいから、テロでも行わなければならないっていう話なんですよね。
(でか美ちゃん)話をこう聞く体制というか姿勢というか。政治に興味を持ち続けていかないと、全国民が。そのね、社会の事を考えてる方達がこうなっちゃう事もあるかもっていうのも。
(町山智浩)こういう事にならないように、そういう問題を、ちゃんと政治的に解決してほしいんですよね、本当はね。そうしないとテロが起こっちゃうよっていう事です。
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
①”BLOW UP”っていうのは”爆破する”
⑦『オーシャンズ11』のような方式をとった