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引用:IMDb.com

マッドマックス 怒りのデス・ロードの町山智浩さんの解説レビュー

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2020年06月15日更新
馬鹿げたアイデアがね、ぎっしりつまったとんでもないバカ映画でね。僕も見ている間、どんどん知能指数が落ちていく感じでね。アドレナリンがガンガン上がって、知能指数がガンガン落ちていくっていうね。見終わった後、クラクラして、もうフラフラでしたよ。本当にどうかしてる監督なんでね。最高に面白いですね。はい。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/) で、
ジョージ・ミラー監督の作品「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のネタバレなし解説レビューを紹介されていましたので書き起こしします。 
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さんマッドマックス 怒りのデス・ロード解説レビューの概要

①30年ぶりの新作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
②『〇〇』は『マッドマックス』から生まれた!
③2時間アクセル全開
④シナリオがない映画!?
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。 TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。 

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』町山さんの評価とは?

(町山智浩)
今日はですね、おじさんたちお待ちかね。『マッドマックス』。
あの『マッドマックス』、30年ぶりの新作映画、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』についてお話しします!
一回だけ聞きます、『マッドマックス』シリーズってどのくらいご存知ですか?

(山里亮太)
あの、正直知らないです。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
えっ?お二人とも観てない?

(赤江珠緒)
見てないんですよ。

(町山智浩)
えっ・・・!?大変なカルチャーギャップですね。

(山里亮太)
そんな驚きですか?

(赤江珠緒)
いや、割と30年ぐらい前に生まれたぐらいですもんね。我々。

引用:IMDb.com

1960年代生まれに刺さる、マッドマックス

(町山智浩)
ああ、そうですよね。僕の世代の、1960年前後に生まれた人で、今、このラジオで、自動車、トラックとかを運転したり、
タクシーとかを運転しながらこのラジオを聞いている方、多いと思うんですが。
『マッドマックス』って聞いただけで、思わずアクセル踏んで大変な事態になっていると思いますよ。日本中で。

(赤江珠緒)
ああー!

(山里亮太)
スピードがグイッと上がっている。みんな。

(町山智浩)
東京中で。もう、『マッドマックス』って聞いただけで、アクセル、バーン!って全開になりますから。普通。

(赤江珠緒)
危ない、危ない。

(山里亮太)
どんな映画なんですか!?

(町山智浩)
1960年ぐらいの生まれの人はね。これがどれぐらいすごいかと言うと・・・

(赤江珠緒)
たしかに、金曜日の玉さんも大興奮でしたもんね。『マッドマックス』って聞くだけで。

(町山智浩)
ああ、そう。世代的にね。はいはい。あのね、これ、1回テレビで放送されたことがあるんですよ。昔。初めて。
『マッドマックス』シリーズの1作目っていうのが1979年の映画なんですけども。それを○○ロードショーってやつで、9時から始まるやつで見た後ですね。
僕、その頃バイクに乗っていたんですけども。ヤマハのRZ250っていうバイクに乗ってましてですね。

(山里亮太)
はいはい。

『マッドマックス』シリーズの1作目は1979年

(町山智浩)
それは2サイクルでアクセルをちょっと開くだけでウィリーして飛び出すようなバイクだったんですよ。
真っ黒なやつで。それで、その最初のモデルに乗っていたんですけども。
で、このマッドマックス第一作目がテレビで水野晴郎さんの解説で放送された時にですね、見終わった後、興奮して居ても立ってもいられなくて、バイクに乗って飛び出したんですよ。

(赤江珠緒)
うん!

(町山智浩)
夜の町に。で、いまお台場、フジテレビがあるところ、昔、13号埋立地っていう夢の島に行く途中に清掃車がズラーッと並ぶすごい直線があったんですね。
そこは信号が全くない直線で、しかも夜に行くと誰もいないんですよ。だから、思いっきりアクセルを全開にできるところだったんですね。東京で。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
そこまで飛んで行ったらもう、バイクだらけでした!

(赤江珠緒)
そうか。もう影響を受けた人たちが、そんなに。

(町山智浩)
そう。いまマッドマックス見て興奮した人たちが、居ても立ってもいられなくってそこに行って、ブンブン飛ばしてましたよ!

(赤江珠緒)
ええーっ!?そんなに?

(町山智浩)
そのぐらいの社会現象に近いものだったですよ。

(山里亮太)
へー!そんな影響力のある映画なんだ。

マッドマックスと北斗の拳

(町山智浩)
そうなんですよ。ええと、山ちゃんだとわかると思うんですけど、北斗の拳って見てました?アニメとか。

(山里亮太)
はい、見てました。もちろん、ドンピシャです。

(赤江珠緒)
北斗の拳はわかります。はい。

(町山智浩)
あれはマッドマックスから生まれたものなんですよ。

(赤江・山里)
えっ?

(山里亮太)
あの、ケンシロウとかがですか?

(町山智浩)
あのケンシロウの服は完全にマッドマックスっていう主人公が着ている服そのまんまです。

(赤江珠緒)
本当だ。

(山里亮太)
これ、いま、こちらに映画秘宝がありますけども。モロ、ケンシロウの服ですね。ケンシロウの服っていうか、これをモデルにしたんだ。

(町山智浩)
そう。マッドマックスが元なんですよ。

(赤江珠緒)
だってこの悪党たちがすごく一緒ですね。モヒカンのパンクロッカーたち。

(山里亮太)
本当だ。

(町山智浩)
そうそうそう。北斗の拳に出てくる悪党たちって、みんなモヒカンで、「ヒャッハー!」とか言いながら、
「てめーら!」とか言って、「ひでぶ!」って言いながら死ぬんですけど。

(赤江珠緒)
そうですね。

(町山智浩)
「ひでぶ!」以外は基本的にマッドマックスから来たものなんですよ。

(山里亮太)
まんまですよ。この変なマスクの付け具合。

引用:IMDb.com

北斗の拳のジャギはマッドマックス2のヒューマンガス

(町山智浩)
まんまです。あと、ジャギっていう鉄仮面をつけた悪役、出てきますね。
あれは『マッドマックス2』に出てくる敵のヒューマンガスっていう男がモデルなんですよ。

(赤江珠緒)
へー!

(山里亮太)
「俺の名を言ってみろ。」ジャギ。うわー!

(町山智浩)
そうそうそう。あれはヒューマンガスっていう敵がいて。そっくりなんですよ。

(山里亮太)
あ、そっくりだ!

(町山智浩)
だから、北斗の拳はマッドマックスから生まれたものなんですけど、まあ僕は順番に観てたんでわかるんですけど。
まあ、そうですよね。あの、30代の人とかはわからないですよね。

(赤江珠緒)
先に北斗の拳から入っちゃってますね。

(山里亮太)
北斗の拳の世界観にそっくりだと思いながら、今見てました。

(町山智浩)
逆ですから。順番ね。マッドマックス先ですから。
でね、マッドマックスシリーズっていうのは最初に、79年に日本で公開された時に、いろいろびっくりさせられたんですけど。
まず、いちばんびっくりしたのはこの映画の撮影中に人が死んでるってみんな信じたんですよ。

(赤江珠緒)
えっ?

マッドマックス撮影中に人が死んでいる?

(町山智浩)
これね、暴走族と暴走族に自分の奥さんと子どもを殺された警察官との戦いの話なんですけど。
その中で、バイクがクラッシュして滑っていくシーンがあるんですね。
で、それに乗っていたヘルメットをかぶっている暴走族の人がスローモーションで滑っていくんですけども。
その後ろからもう一台のバイクが突っ込んできて、首に当たってグキッ!って折れるっていうシーンがあるんですよ。

(赤江珠緒)
ええ、ええ。

(町山智浩)
それ、どう見ても死んでいる!って言われて。
当時、大変な話題になったんですよ。『おい、あれ、人が死んでいる瞬間じゃねーの?』みたいな感じで。

(赤江珠緒)
ええっ?だって当時だからCGなんかもないし・・・

(町山智浩)
ないですよ。この時代。っていうかこのマッドマックスっていう映画はオーストラリアで本当に低予算で作られた映画で。
お金がないから、基本的に全部本当にやってるんですよ。アクションを。

(赤江珠緒)
あ、今でも。へー。

(町山智浩)
いや、これは79年ですからね。その頃、オーストラリアっていうのはですね、映画を輸出産業にしようっていうことと、
それまですごく禁じていた暴力とかセックスの描写も全部OKってことにしたんで、とんでもない映画が大量に量産されて、無法地帯になってくるんですよ。

(赤江珠緒)
うん。

当時の映画は無法地帯

(町山智浩)
で、その中から生まれてきたのがマッドマックスっていう映画で。本当に時速100キロ以上飛ばして、大クラッシュとか、もう危険な撮影をして。
要するにハリウッドだったらできないことをやったんですね。

(赤江珠緒)
ええっ?

(町山智浩)
それで、日本とか世界中の観客がびっくりしたわけですよ。とんでもない映画が出た!と。

(赤江珠緒)
その、首がグキッとなった人は大丈夫なんですか?

(町山智浩)
それで、ずーっと死んだって言われていて。
とうとう、そのスタントシーンで首をグキッてやられている人本人が出てきて。
「私があのシーンでスタントやってるんですけど、大丈夫です。生きてます。死んでません」ってコメントしたのに、
あれは死を隠ぺいするための工作だっていう陰謀説まで流れて、大変な事態になったんですよ。

(赤江珠緒)
そんなに思われるぐらい。

(町山智浩)
そう。でもそれぐらいすごいシーンなんですよ。で、まあとにかく無法地帯ですから、やりたい放題やっていて。
実際にその、オーストラリアの映画っていうのは当時、『マッドマックス』以外の映画では結構人が死んでます。本当に。

(山里亮太)
へー!

引用:IMDb.com

マッドマックス以外のオーストラリア映画で人が死んでいる

(町山智浩)
で、そのドキュメンタリー映画も、松嶋さんとやっていたドキュメンタリー映画を紹介する番組、ありましたけど。前に。
その中で、マッドマックス以外のオーストラリア映画で人がバタバタ死んでるっていうドキュメンタリーを紹介したぐらいなんですよ。

(赤江珠緒)
へー!

(町山智浩)
で、まあそういうことで世界中をびっくりさせたのが『マッドマックス』の1作目なんですね。
で、2作目がもっと世界中をびっくりさせたんですよ。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
2作目はですね、そっからさらに後の、地球の物質文明が石油の枯渇によって完全に崩壊した世界の物語になっていたんですよ。
で、石油を巡って殺し合いの弱肉強食の世界になっているっていう、まさに北斗の拳の世界を初めてスクリーンに出したのが『マッドマックス2』、81年の映画なんですね。

(赤江珠緒)
はー。ちょっと近未来みたいな感じですね。

(町山智浩)
そうなんですよ。まあ、1作目も近未来なんですけど、2作目は文明崩壊後の世界なんですね。
そこで、その西部劇の馬の代わりにバイクで殺し合いが行われているという世界がそこで作られたんですよ。

(赤江珠緒)
うん、うん。

(町山智浩)
で、これがまたとんでもないアクション映画で。後半の最後の方でですね、大チェイスが始まるんですけども。
それはもう映画史を変えたって言われているチェイスなんですよ。もうこれは見てもらわないとわからないですよ。徹底的にすごいんで。

(赤江珠緒)
ふーん!

(山里亮太)
『マッドマックス2』。

映画史を変えたカーチェイス

(町山智浩)
で、まあその後、『マッドマックス3』があって。それが1985年で。その後、作られなくなったんですね。
それで30年たっているんですけども。これ、30年間ですね、全然なにもしなかったんじゃなくて、ずーっとマッドマックスの4作目を作ろうとしてたんですよ。

(赤江珠緒)
うん。だってそれだけね、人気で話題になったわけですからね。

(町山智浩)
そうなんですよ。で、いくつかね、次々と立ち上がっては潰れていったんですね。
で、今回、マッドマックスのタイトルは、今度公開される映画は、『怒りのデス・ロード』っていう日本語タイトルですけど。これ、『Fury Road(怒りの道路)』っていうのが原題なんですが。
このタイトルはもう10年以上前から、ファンは聞いていたんですよ。

(赤江珠緒)
ええっ?そんな前から?

(町山智浩)
そんな前からあって。でも、次々と企画が潰れていったんですね。で、まず最初がね、アニメにするっていう話もあったんですよ。

(赤江珠緒)
お、おおー。アニメでしたら、もう北斗の拳に・・・

(町山智浩)
これね、日本のエヴァンゲリオンの監督の前田真宏監督がこの『マッドマックス』シリーズを始めたジョージ・ミラーっていう監督と組んでアニメにするっていう企画まであったんですよ。

(赤江珠緒)
へー!

(山里亮太)
もう結構、具体的に進んでいたんですね。

『怒りのデス・ロード』というタイトルは10年前から決まっていた

(町山智浩)
具体的に進んでいたんですよ。でも、やっぱりこれ、アニメじゃなくて、CGとかじゃなくて、本当に生身の、命がけのアクションじゃないとダメなんだっていう風に監督が言ってですね。
それで今度はメル・ギブソンっていう最初の・・メル・ギブソンっていう人はいま、極道俳優として非常に評判が悪いですが。
『エクスペンダブルズ3』とかに出てきてますけども。この人は最初、美青年としてマッドマックスでデビューしたんですよ。世界的にね。
で、『マッドマックス2』で世界的なスターになって。その後、悪いこといっぱいしてですね、嫌われ者になってますけども。まあ、『リーサル・ウェポン』とかありましたが。

(山里亮太)
はい。

(町山智浩)
で、『マッドマックス』のその4作目を作ろうとしたらですね、今度はメル・ギブソンがとんでもないことを次々とするんで、なかなか映画に出せなくなっちゃったんですね。

(赤江珠緒)
あー!ええ、ええ。

(町山智浩)
それと、9.11テロがあったりですね。で、次々とトラブルがあって、もう10年以上ですね、作ろうとしては潰れ、作ろうとしては潰れっていうのが連続してたんですよ。
で、これは永遠にできないんじゃないか?ってみんな思っていたんですね。っていうのは、まずメル・ギブソン自身も齢になっちゃったっていうのと、監督自身がもう70才なんですよ。今年で。

(赤江珠緒)
ほー、ええ。

(町山智浩)
で、70才でもう、スーパーカーアクション映画なんて、体力的に無理何じゃないか?ってみんな思ったんですね。

(赤江珠緒)
たしかに。はい。

(町山智浩)
で、これはできないんじゃないか?って言ってたら、撮影が始まった!って今度は情報が入ったんですね。したら、また中止って言われたんですよ。

(赤江珠緒)
うん。

引用:IMDb.com

マッドマックスは何度も制作が止まっていた

(町山智浩)
それで、どうしてか?っていうと、オーストラリアの広大な砂漠。要するに日本の何倍もある砂漠でもって車が暴走するっていうシーンを撮らなきゃならないんですけども。
オーストラリアっていうのはぜんぜん雨が降らないところなんですよ。それが、奇跡的に雨が降っちゃったんですね。撮影直前に。
で、風によっていろんな花の種が砂漠には眠っているわけですけども。何十年も眠っている、砂漠にまかれていた種が全部一斉に芽を出しちゃったんですよ。

(赤江珠緒)
ええーっ!?じゃあ、荒涼とした世界観じゃなくなった?

(町山智浩)
そう。だから地獄の荒野として撮影するはずだったのが、美しいお花畑になっちゃったそうです。

(山里亮太)
ええーっ!?持ってないなぁ。

(町山智浩)
で、これは地獄には相応しくない!って。で、アフリカでロケしてですね、とうとうやっと、10何年ぶりに実現したのが今回の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』なんですよ。

(赤江珠緒)
紆余曲折あったんですね。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』完成までに30年・・

(町山智浩)
あったんですよ。もう、信じられないですよ。30年かかってるんですよ。実際まで。ねえ。
で、具体的には10年以上かかっているっていうとんでもない映画なんですけども。まあ、でも見てびっくりしましたよ!

(赤江珠緒)
どうですか?その前とかのイメージが・・

(町山智浩)
めちゃくちゃなんですよ、この映画。めちゃくちゃなんです。

(赤江珠緒)
めちゃくちゃ?

(町山智浩)
映画としてデタラメなんです、これ。映画史に残るデタラメさですよ。

(赤江珠緒)
ほー!

映画としてはデタラメ

(町山智浩)
で、どういう風にデタラメか?っていうと、映画っていうのはまず主人公が出てきて、何かがあって、トラブルがあって。
世界観が説明されて。で、ヒロインが出てきたり、なんかいろんなのがあって。で、最後にその敵と戦うっていう、そのクライマックスがあるっていうのが基本的な映画の流れじゃないですか。

(山里亮太)
はい。

(町山智浩)
恋愛映画でもなんでもそうですけども。
で、その『マッドマックス2』っっていうのは最後のカーチェイスっていうのでまあ、10分くらいのカーチェイスがあって、それが見せ場になっていたんですね。

(赤江珠緒)
うん。

(町山智浩)
で、たいていの映画っていうのはクライマックスっていうのは10分ぐらいですよ。実質的には。

(赤江珠緒)
はい。

(町山智浩)
この映画は、2時間全部クライマックスなんですよ。

(赤江珠緒)
えっ!?

引用:IMDb.com

マッドマックスは2時間全部がクライマックス

(町山智浩)
ストーリーがないんです。基本的に。

(山里亮太)
えっ!?

(赤江珠緒)
2時間も!?

(町山智浩)
2時間の上映時間で、いちばん映画の頭でいきなりカーチェイスが始まって、最後までずっと突っ走ってるんです。

(山里亮太)
それ・・でも、面白くなるんですか?

(町山智浩)
びっくりしましたよ!だから始まった時に、なにが起こっているのか、ぜんぜんわかんないんですよ。
説明もなにもないし。これ、誰?いったいなにが起こっているの?っていうね。
で、いきなりアクションなんですよ。バーッ!っと。で、最初から最後までずっと追っかけ。

(赤江珠緒)
ええっ!?

(町山智浩)
とんでもない映画になっていましたよ。

ファンの期待に応えたとんでもない映画

(赤江珠緒)
えっ、でもその、町山さんみたいに往年のファンも、これ30年も待たされても、よし!っていう作品なんですか?

(町山智浩)
いや、だからみんな観たかったものを、
「じゃあお前ら、もう話とかどうでもいいだろ?お前らが見たいのは、カーチェイスだろ?じゃあそれだけ、2時間見せてやるよ!」っていう映画なんですよ。

(赤江珠緒)
ああー、なるほど!そっちに振り切って。

(町山智浩)
もう余計なことはどうでもいいよ!っていう感じなんですよ。

(赤江珠緒)
へー!

(町山智浩)
それがまたものすごくて。ぜんぜんCGを使わないで、本当に生身でずーっともう、車のぶつけ合いを延々と見せるんですよ。
すっごいですよ、これ。最近、『Fast & Furious(ワイルド・スピード)』っていうシリーズとかありますよね。カーチェイスものって。でも、やっぱりCG使っているんですよ。結構。

(赤江珠緒)
あー。

(町山智浩)
これ、ぜんぜん使ってないですよ。ほとんど。

(赤江珠緒)
使ってないんだ!

(町山智浩)
使ってないんですよ。

(山里亮太)
でもすごい車の数々ですよ。

CGを使わず生身での車のぶつけ合い

(赤江珠緒)
ちょっと予告とか見ましたけど、すごいですよ。たしかに。

(町山智浩)
もう、どうかしてるとしか言いようがない内容なんですよ。

(山里亮太)
じゃあ、作っているんだ。このために。こんなド派手な車とか。

(町山智浩)
すごいですよ、これ。これね、石油が枯渇している世界だっていうのに、ものすごく燃費の悪い巨大な車を使ってね。
ぶつけ合いを延々とやってるんで。バカじゃねーか!?って思うんですけど。はい。
でね、このマッドマックスをやっている人は、メル・ギブソンはもう引退しましたんで。
新しく、トム・ハーディーっていう俳優さんが演じてるんですね。
この人はね、日本では残念なことにこの人の最高傑作って言われている『ウォーリアー』っていう映画がまだ公開されてないんですよ。
で、『ウォーリアー』っていう映画は僕、このたまむすびでたしか紹介したと思うんですけど。UFCの映画なんですね。総合格闘技の。

(赤江珠緒)
ああー。

(町山智浩)
弟と兄貴が、関節技が特異な兄貴と、打撃系の弟が戦うっていう、ものすごい泣ける格闘技映画で弟の方の役をやった人が今回のマックスになるトム・ハーディーなんですね。

(赤江珠緒)
うん、うん。

引用:IMDb.com

マッドマックスの世界観

(町山智浩)
で、すごい映画なんで、マッドマックスっていうのは、マックスっていうのは誰なのか?とか、妻子を殺されて・・・とか、過去とか、ぜんぜんわからないんですよ。この映画。
『もうそんなこと、おめーら、知ってんだろ?ゴチャゴチャやんねーよ!』みたいな話になっちゃってるんですよ。

(赤江珠緒)
へー!

(町山智浩)
すごいな!と思いましたよ。

(山里亮太)
ストーリーで泣かせるとか、そんなものはない?全く。

(町山智浩)
あ、泣かせます。それが、泣かせるんですよ。ちゃんと。

(山里亮太)
へー!どうやってなんだろう?

(町山智浩)
今回ね、世界観っていうものは、まず世界が滅亡していて。ほとんど、文明が。
で、水を支配している男が出てくるんですね。それはイモータン・ジョーっていう男で。
『不死のジョー、死なない男ジョー』って言われている人がカリスマみたいにして、砂漠の中で水を独占してるんですよ。

(赤江珠緒)
はい。

なぜか自動車が神に

(町山智浩)
王様として君臨してるんですけども。彼の王国はですね、自動車が神になっている王国なんですよ。なぜか。
で、自動車に乗る人たちが、戦闘員がですね、ウォーボーイズと呼ばれる戦闘員で。
彼らは、キリスト教だと十字架がありますけど、十字架の代わりにハンドルを掲げて、自動車で突っ走って戦いの中で死ぬことが最高の名誉だと思っている、とんでもないカルト集団なんですよ。

(赤江珠緒)
はー!ええ。

(町山智浩)
で、そこに君臨してる王様のイモータン・ジョーっていうのが奥さんをたくさん抱えていて。
で、自分の子孫をたくさん作っているんですけども。
その奥さんたちを連れて・・すごい名前が難しいんですが、フュリオサっていう女の子がですね、その妻たちを連れて逃げ出すと。
それをイモータン・ジョーの王国の軍団たちが追いかけると。そこにマックスが巻き込まれるっていうのが今回の話なんですね。

(赤江珠緒)
ああ、はい。

(町山智浩)
で、その奥さんたちを連れて逃げるフュリオサっていうヒロインを演じるのが、シャーリーズ・セロンっていう人なんですけど。
このシャーリーズ・セロンっていう人の写真、そっちに行ってます?

(赤江珠緒)
はいはい。来てますね。

(町山智浩)
この人、モデルですけど、とんでもない格好になってますよ。今回。
坊主頭でね、頭を真っ黒に塗ってるんですよ。それで、片腕なんですよ。しかも。

(赤江珠緒)
へー!ふんふん。

シャーリーズ・セロンは坊主頭にし、頭を真っ黒に塗り、片腕に

(町山智浩)
これ、やらないですよ。この人。スーパーモデルみたいな仕事している人ですけど。普段はね。
で、アカデミー賞女優でもあるんですけども。こんなとんでもない格好、しないですよ。普通、そういう女優さん。

(山里亮太)
それぐらいしても出たい作品なんですか?役者さんには。『マッドマックス』。

(町山智浩)
いやー、もう『マッドマックス』に出るっていうことはひとつのね、夢みたいなものなのでしょうけどね。
これ、日本の女優さんでやる人、います?丸坊主にして、顔を真っ黒に塗って片腕役をやるっていう人、いないですよ。普通。

(赤江珠緒)
本当だ。丸坊主。

(山里亮太)
パンフレットきましたけど、すごいですね、これ。

(町山智浩)
とんでもないですよ。で、この人が妻たちを連れて逃げるんですけども。まあ、すっごいですよ。もう。
セリフ、ほとんどないんですよ。この映画。

(山里亮太)
えっ?あ、そうなんだ。

(町山智浩)
だってずっとカーチェイスしてるから、セリフなんかほとんどしゃべんないですよ。この映画。

(赤江珠緒)
そっかー。

引用:IMDb.com

セリフもほとんどない

(町山智浩)
とんでもないですよ。これ。
これ、なんか吹き替えを誰かがやったとかって宣伝されてますけども、字幕でも吹き替えでも同じです。セリフ、ないですから。ほとんど。

(赤江珠緒)
そ、そうなんですね。

(町山智浩)
聞こえるのは爆音だけです。ブロロロローッ!って音だけですよ。ずっと。あと、クラッシュする音とかね。

(赤江珠緒)
ド派手なクラッシュですもんね。

(町山智浩)
そう。でね、この追っかけているインモータン・ジョーの軍団っていうのはとんでもない車がいっぱいあるんですけど。
中でもいちばんとんでもないのは、ドゥーフ・ウォーリアーっていう車が出てくるんですね。で、これ、写真があると思うんですけど、スピーカーがいっぱいついているやつですよ。

(山里亮太)
あ、はいはいはい。ありました。

めちゃくちゃな車の数々

(町山智浩)
これがね、巨大なスピーカーとアンプがついたトラックで。
これでヘビーメタルを延々と演奏しながら、カーチェイスするんですよ。この映画。
それで、「なんなんですか?これは」って。僕、監督に聞いたんですよ。直接。ジョージ・ミラー監督に。
したら、「とにかく僕はロックが大好きなんだ。映画というよりは、ロックコンサートみたいな映画にしたかったんだ。
戦いを鼓舞するために、音楽の伴奏が付いているっていう軍隊はいっぱいあるから、ヘビーメタルトラックが横に付いていることにしたんだ」と。

(赤江珠緒)
ほう。

(町山智浩)
で、ドゥーフっていうのはオーストラリアでね、砂漠のど真ん中でレイヴする時に巨大なスピーカーシステムを持っていって、ガンガンにエレクトロ系の音楽をかけて踊りまくるっていう文化があるらしいんですね。オーストラリアには。
で、そのスピーカーシステムをトラックで移動させるっていうアイデアらしいんですよ。

(赤江珠緒)
うわー、もう、だってそれぞれの・・・

(町山智浩)
ずっとギター弾いてるんですよ。この男が。ギター弾きながら、カーチェイスするんですよ。
しかもそのダブルネック・ギターから火炎放射をしまくるんですよ。

(山里亮太)
うわっ、もうむちゃくちゃだ。

(町山智浩)
むちゃくちゃですよ、これ!笑わせようっていうのかと思いましたけどね。本当に。

(赤江珠緒)
改造車だらけですよね。

(町山智浩)
そう。馬鹿げたアイデアがね、ぎっしりつまったとんでもないバカ映画でね。
これ、すごいですよ。僕も見ている間、どんどん知能指数が落ちていく感じでね。
アドレナリンがガンガン上がって、知能指数がガンガン落ちていくっていうね。見終わった後、クラクラして、もうフラフラでしたよ。

(赤江珠緒)
へー!

(山里亮太)
興奮して、楽しかったー!っていう。

(町山智浩)
そう。でも、スピードがものすごい早いんで、もうついていけないところもあるんですよね。動体視力が落ちてくし、齢だから。

(赤江珠緒)
ああー、そっかー!

(町山智浩)
で、監督に言ったんですよ。「早すぎますよ、この映画!」っつったんですよ。したら、「君には早すぎたかね?僕は70だけどね」って言われましたよ。

(赤江珠緒)
うわー!かっこいい!

(町山智浩)
もうこれはもう、がんばんなきゃ!と思いますよ。本当に。

(赤江珠緒)
30年前のですもんね。それが新作化。

(町山智浩)
しかもこれを三部作にするって言ってるんですよ。ジョージ・ミラー監督は。

(山里亮太)
こっから?

(町山智浩)
あんた、いくつになっちゃうんだよ!?っていうね。

(赤江珠緒)
へー!

(山里亮太)
でも70にしてこのぶっ飛んだ世界観をこんだけ、ねえ。熱く作れるってすごい。

マッドマックスにシナリオはなく、漫画で描いた

(町山智浩)
すっごいですよ、これ。この人はね。しかも、シナリオもなくてね。
全部、シナリオの代わりにマンガを書いたっていう、とんでもない映画ですからね。

(赤江珠緒)
へー!

(町山智浩)
だからセリフもないというね。はい。

(山里亮太)
すごい。激しいロックのライブを見るような感じの。

(町山智浩)
はい。まあ、観に行く前にぜひ、『マッドマックス』とね、
あと、この人が別に監督した映画はね、『ベイブ』と『ハッピーフィート』っていうね、子ども向けのかわいいペンギン映画とかも監督してて。

(赤江珠緒)
違いすぎ!

(町山智浩)
本当にどうかしてる。

(赤江珠緒)
ちょっと・・・。

(町山智浩)
本当にどうかしてる監督なんでね。最高に面白いですね。はい。
あ、それでですね、『マッドマックス』を知らない人のための、マッドマックスの全てという特集をした、僕が創刊した雑誌『映画秘宝』を今日、プレゼントします。

(赤江珠緒)
はい。ありがとうございます。

(町山智浩)
これで『マッドマックス』、全部わかります!

<書き起こしおわり>


〇〇に入る言葉のこたえ

②『北斗の拳』は『マッドマックス』から生まれた!でした!
 

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