あらすじを見ると「ソード・アクション」と書いていますが、アクション風味は(わたしは)あまり感じませんでした。
どちらかというと、ロードオブザリングのようなファンタジー映画であるように思いました。
ロードオブザリングが指輪を捨てに行く物語なら、レジェンダリーは石を捨てに行く(若干の語弊あり)物語だと言えます。
物語が進んでいくうちに、修道士ダーマッドが中心となって旅が進んでいきます。ダーマッドはどうみても10代前半くらいの幼さで、彼を個人的に守るのがミュートという大男です。ミュートは名前で想像がつくように、一言も言葉を発しません。
上で石を捨てると書きましたが、本当は石(マティアの石)をローマに運ぶのが、彼ら修道士の使命です。
寒村に暮らす、選ばれた数名の修道士たちが、石を狙う者たちに追われながらローマへと旅する物語です。
ダーマッドという少年が、何故このような集落に居るのか、明確な説明はありません。見た感じ男ばかりの集団で暮らしているようなので、おそらく本拠地は別の村にあるのだと思います。
ミュートという(この名前もダーマッドくらいしか呼ぶものはいない)男が何故喋らないのか、その説明もほとんどありません。
ただひとつ、大怪我をして倒れていた男は少年に助けられ、そのままその村に居ついて少年を守るようになった、ということだけは映像で語られます。
日本の古典で例えるなら、義経と弁慶が近いようにも(遠いかも)思われます。
ダーマッドにはどうやら不思議な力が備わっているようで、ミュートはひたすらダーマッドに付き従っています。ダーマッドが非力な少年なので、ミュートの怪力は少年を守るすべになります。
映像は暗く、彼ら修道士たちの行動は謎めいていて、神秘的です。彼らを追う側の人間は、ひたすら傲慢で、残虐で、グロテスクです。景色は霧が立ち込めていることが多く、おそらく心象風景を担っているのだと思います。
物語は最後まで解き明かされずに、唐突に終わります。
ダーマッドは何を選択したのだろう。あの場面で彼はどれを優先するんだろうか。
どうするのが正解だったんだろう。見終わって、しばらく悩みました。
それはさておき、トム・ホランドが薄幸でエモいので、彼のファンなら必見です。ミュート役のジョン・バーンサルも喋らないことが余計に不穏さを醸し出していて(なのにひ弱なダーマッドに隷属してる)絵になります。
なかなかいいです。