ドント・ルック・アップの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『ドント・ルック・アップ(Don't Look Up)』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『ドント・ルック・アップ』解説レビューの概要
①レオナルド・ディカプリオがただの○○○○を演じる
②レオ様は田舎の方の大学の先生で、うだつが上がらない天文学者
③レオ様の助手の大学院生、ジェニファー・ローレンスが地球に接近してくる彗星を発見する
④それを世間に知らせ、人類を救おうとする話
⑤メリル・ストリープやアリアナ・グランデ、ティモシー・シャラメなど、俳優がオールスターキャスト!
⑥なんとメリル・ストリープは○○○○○○!
⑦アカデミー賞スター、ハリウッドの超トップスター全員が集まって作った超大作バカ映画
⑧彗星接近を誰も深刻にとらえない
⑨お笑いでもありSFでもあるけど、実際に今アメリカと世界中で起こっている現実を描いている
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
アカデミー映画博物館にディカプリオの腹
(町山智浩)この間アカデミー映画博物館という所に行ったんですよ。
(赤江珠緒)はい。
(町山智浩)それは9月30日にオープンした新しいハリウッドの博物館なんですけど。
(赤江珠緒)ハリウッドに・・ロスにあるんですか?うん。
(町山智浩)ロスにあるんです、はい。でまぁ、ハリウッド映画の色んな歴史の、例えばブルース・リーが『燃えよドラゴン』の時に使ったヌンチャクの本物とかですね。
(赤江珠緒)へぇ〜!
(町山智浩)すごい物がいっぱい飾ってあって。すごかったんですけども。ちょっとね、ディカプリオのお腹が飾ってあったんですよ。
(山里亮太)えっ?
(赤江珠緒)どういう事?
(町山智浩)あのレオナルド・ディカプリオがですね、アカデミー主演男優賞を受賞した『レヴェナント 蘇えりし者』という映画で彼、熊に食われるんですね。
(山里亮太)はい。
(赤江珠緒)おぉ!
(町山智浩)で、クマにお腹をバリバリ食われるんで、お腹の所が偽物になってるんですねあの映画の中で。で、彼の本物のお腹の所に偽のお腹を貼り付けて撮影してるんで、本人の型を取ってるんですよ、お腹から。で、そのお腹が映画の撮影が終わったんで、そこに飾ってあるんですけど。
(山里亮太)ははははは。
(町山智浩)はい。(笑)ポテッとお腹が出てるんですよこう。
(赤江珠緒)レオ様、そうか。
(町山智浩)レオ様、ねえ。あのリアルお腹なんでね、毛とかもちゃんと生えていてすごいリアルで。頬ずりしたくなるようなね。
(山里亮太)ははははは。
(町山智浩)レオ様のお腹のコピーがそこにあったんですけども。で、今回紹介する映画はそのレオナルド・ディカプリオが本当にただのおっさんにしか見えない映画なんですよ。(笑)
(山里亮太)おっ。
レオナルド・ディカプリオがただのオッサンを演じる
(町山智浩)この写真を見ると、このおっさん化の、本当にリアルな近所のおっさん的な風貌がすごいんですけども。
(山里亮太)たしかに。
(町山智浩)今日、紹介する映画はですね『ドント・ルック・アップ』という映画で、既に日本では劇場公開中で今週24日からか。24日からNetflixで配信もされる映画です。で、レオナルド・ディカプリオが演じるのは、田舎の方の大学の先生で、あんまりこううだつが上がらない天文学者なんですね。で、それと彼の助手の大学院生のジェニファー・ローレンスちゃんが、地球に接近してくる彗星を発見するというSFスペクタクルです。
(赤江珠緒)ふーんふん!
(町山智浩)で、そのままのコースだと半年後に地球に激突して、地球人類が滅びてしまうと。いう事を田舎の大学の学生と、大学教授が発見して、それを世間に知らせて人類を救おうととするという話なんですよ。スケールでかいですよね。
(山里亮太)でかいす!
オールスターキャスト!俳優がすごい!
(町山智浩)で、これね、俳優がすごいんですよ。オールスターキャストです。アメリカ大統領を演じるのはメリル・ストリープです。
(赤江珠緒)すっご!
(町山智浩)で、この事件を報道していくテレビの司会者、アナウンサーは、ケイト・ブランシェット。彼女も大女優ですね。でメリル・ストリープの周りに、ジョナ・ヒルとかですね、ジョナ・ヒルはね、レオナルド・ディカプリオの私生活でも相棒みたいな人でいっつも一緒に映画に出てますね。あとティモシー・シャラメ君。あの超イケメンの。『DUNE/デューン 砂の惑星』に出てた彼も出てるし、大ポップスターのアリアナ・グランデも出てますね。
(山里亮太)おぉすっご!
(町山智浩)とにかくね、アカデミー賞を受賞した人ばっかりなんですよ出てくる人は。例えば『ブリッジ・オブ・スパイ』という映画で、助演男優賞を受賞したマーク・ライアンスというおじさんはですね、この映画ではアップルのスティーブ・ジョブズのような、アマゾンのCEOのジェフ・ベゾスのような、テスラのCEOのイーロン・マスクのような、つまりそのIT系の超億万長者を全部足して割ったみたいな、超億万長者の役でマーク・ライアンスさんは出ていますけども。
(赤江珠緒)へぇ〜〜!
(町山智浩)あとね、メリル・ストリープさんはオールヌードです。
(赤江珠緒)えっなんで?大統領役なのに?
メリル・ストリープはオールヌード!
(町山智浩)大統領なんですけど、ヌードシーンがあるんですよ。はい。ものすごく・・それで見に行く人もいると思いますけど。で、この超オールスターキャストね、ジェニファー・ローレンスもアカデミー賞取ってるしもちろん。レオナルド・ディカプリオさんも取ってる訳ですよね。アカデミー賞スター、ハリウッドの超トップスター全員が集まって作った超大作バカ映画なんですよ。
(赤江珠緒)えっ!?バカ映画?
(山里亮太)バカ映画!?これだけ人揃えて!?
アカデミー賞スター、ハリウッドの超トップスター全員が集まって作った超大作バカ映画
(町山智浩)超下らないバカ映画なんですよ。これ、どうしようもない感じなんですけども。で、レオナルド・ディカプリオはとにかく、地球が滅んでしまうから何とかしてください!と大統領に会いに行くんですね、ホワイトハウスに。そうするとメリル・ストリープは、「え〜、まぁそんな感じ?ちょっと大変ねぇ。」とか言って全然真面目にね、相手にしてくれないんですよ。「地球に彗星とかがぶつかると、それを使って次の選挙でもしかしたら勝てるかもね?」とか言ってんですよ。
(山里亮太)わぁ〜!
(町山智浩)で全然真剣に地球人類を救おうとしないんですね。で、これはしょうがないと思って、じゃぁマスコミにこれをリークしようと思って行くと、誰も信じてくれないんですね。ニューヨーク・タイムズとか行くんですけども信じてくれない。で、色んなテレビ局にオファーするんですけど、やっと1つだけテレビに出て話していいって言ってくれた所が、朝のモーニングショーなんですよ。
(赤江珠緒)ほぉ!
(町山智浩)で、まぁこれで世界に地球の危機を訴えようとするんですけども、そのモーニングショーはいわゆるモーニングショーなんですよ。あの、「皆さんお元気えすか〜」みたいな感じで、「今日は、芸能スキャンダルからでーす!」っていう感じなんですよ。
(赤江珠緒)あ〜。。
(山里亮太)ちょっと軽い感じの。。
彗星接近を誰もマトモに扱わない
(町山智浩)そう。軽いんですよ。で、そのアリアナ・グランデ扮するアイドルが恋人と別れたとか、そういうのがトップニュースに来ちゃって。地球が滅びるっていうのは、まぁ大したニュースじゃないんですね、ワイドショーにとっては。で、やっと時間が回ってくるんですけども、いわゆるワイドショーのノリで、「あー天文学者ってどんな仕事なんですかー?」とか、そういう軽いノリで聞いてくるんですよ。
(赤江珠緒)あらー!
(町山智浩)でまたね、その司会者がケイト・ブランシェットなんですけれども、ケイト・ブランシェットに全然見えないぐらいのものすごいメイクとですね、あとどういう訳かね、超巨乳になってるんですよね彼女は。で、パンツ見えそうなエロエロな服でですね、なぜかディカプリオに迫ってくるんですよ。
(赤江珠緒)えぇっ?
(町山智浩)こう出演中に・・そのテーブルの下でお股のあたりを触ってくるんですねこの人が。なんなんだコレって言うね。地球が滅びるのにっていうね。状況なんですけど。で、またディカプリオは田舎から出てきた普通の学校の先生なんで、いきなりテレビで生放送なんで上がっちゃって。おたおたして、地球が滅びるっていう事がなかなか言えなくて、なんか、ドギマギしてるだけなんですね。
(赤江珠緒)あららら。
(町山智浩)そうするとまたその司会者のケイト・ブランシェットが「あなたかわいい〜♡」とかやるんですよ。で、その隣にいた助手のね、ジェニファー・ローレンスちゃんがとうとうブチ切れてね、マイクを掴んでね、「みんな聞いてよ!」ってやるんですよ。「もうみんな真面目に聞いてくれないけど彗星が落ちてくるのよ!それで地球人類、死んじゃうのよ。みんな死ぬのよ!」って叫ぶんですよ。そうすると、それを聞いた司会者のケイト・ブランシェットは「まぁギャーギャー叫んでみっともないわね〜。」ってやるんですよ。
(赤江珠緒)あらー全然深刻さが伝わらないの?
(町山智浩)そう。で、ネットでも、バカ女がギャーギャー叫んでしょうがねえなって事で、その彼女が叫んでる所が色んなネットのミームとかね、なってイジられまくるんですよ、YouTubeとかで。そうしてる間に地球滅亡がどんどん近づいていくっていう話ですね。
(山里亮太)わっ!面白そう!
アダム・マッケイ監督について
(町山智浩)でね、監督はね、これアダム・マッケイという人で、この人は元々、アメリカのお笑い番組の『サタデー・ナイト・ライブ』のコメディ作家なんですよギャグ作家なんです。で映画監督になってからも、政治的な実際に起こってる事をお笑いにしてきたんですね。で、『マネー・ショート』という映画では、サブプライムローン危機がありましたけど、あの不動産のね、住宅ローンをとても払えない人達に片っ端から売っちゃったんで、2008年に金融が崩壊したんですけどアメリカでは。日本ではリーマンショックって言われてますけどね。それが実際にどうして起こったのかっていうのを完全なお笑いで描いたのが『マネー・ショート』っていう映画だったんですね。
(山里亮太)は〜。
(町山智浩)で、アダム・マッケイはその後、『バイス』っていう映画では、ブッシュ政権の時の、つまり2003年のアメリカ大統領の副大統領のディック・チェイニーがアメリカをイラク戦争に引きずり込んだ時の状況を完全にお笑いにしてコメディとして映画にしたんですよ。
(赤江珠緒)あ〜・・ねぇ。紹介してもらいましたね。町山さんにね。
(町山智浩)はい。非常に厳しい政治状況を、お笑いにしていくという作家性の人がこのアダム・マッケイなんですよ。だから、この話も・・『ドント・ルック・アップ』というのも、まぁお笑いではあるし、SFではあるんですけども、彗星が落ちてくるとかね。でもこれは実際に今、アメリカとか世界中で起こっている現実を描いているんですよ。
(赤江珠緒)はぁ〜。
お笑いでもありSFでもあるけど、実際に今アメリカと世界中で起こっている現実を描いている
(町山智浩)というのは、まぁ「地球が滅んじゃうのよ!」って叫ぶと、「バカじゃね?」とか「うぜえ」とか言われるっていうのは本当に起こってる事ですよね?特にあの、スウェーデンの女子高生のグレタ・トゥーンベリさんが、国連で、地球が滅びかけてるというのにね、地球温暖化によってね。よくあなたたちは経済的発展とかについて議論できますね!って叫んだ時の、まぁちょっと怒ったすごい顔がですね、ネットでいじられまくって。ねぇ。しょうがねえなこの小娘はみたいな事をめちゃくちゃ書かれたんですよね、アメリカでも日本でも。
(赤江珠緒)確かにそうでしたね、うん。
(町山智浩)ねぇ。でも、それって地球温暖化自体は実際に起こってる事で、もう今現在もアメリカではこの間ですね。
(赤江珠緒)あの竜巻ね。
(町山智浩)すごい竜巻が起きて。今までかつてないほどの竜巻が起こってものすごく死んで、人が。去年はものすごい山火事が起こってですね、うちの近所ですけども熱波のせいでね。で、そうかと思うと、その後に大寒波が来て、テキサスで凍死者が続出するというね。暖かいはずのテキサスで。
(赤江珠緒)異常気象の被害が出てますもんね。
異常気象が起きても誰も真剣にならない
(町山智浩)完全な異常気象で、日本でもものすごい豪雨とかで人がいっぱい亡くなってると。という現状があるにも・・スウェーデンでも、ものすごい異常気象でね山火事が起こったりしてるんですけども、でも、誰も本当に真剣にならないじゃないですか。
(山里亮太)確かに。
(町山智浩)実際に起こってるのにもう。で、どんどん悪くなるのにね。誰も真剣にならない。ワイドショーでは相変わらず、誰と誰が別れたとかそういう話をやる訳ですよ。同じ状況なんですよ。だからこれ全然笑ってるけど、今起こってる事なんですよ。
(山里亮太)ふーんなるほど。
金持ちは彗星で金儲けを企てる
(町山智浩)で、彗星がどんどん近付いてくるんですけど、そうするとその彗星を何とかしようっていう大金持ちが出てるんですね、さっき言ったイーロン・マスクとかジェフ・ベゾスみたいなね。で彼らはロケット作ってるじゃないですか今。でロケット乗って宇宙に行ったりしてるじゃないですかベゾスとかね、金持ち。日本の前澤さんとかもそうですけど、みんなね、大金持ちが宇宙に行くっていうのは流行ってますけど。で、宇宙に行ってその彗星を何とかしようみたいな事をその大金持ちは言うんですけども、なんかどうもあの彗星にはレアアースがあるらしい、それはどうも30兆ドルぐらいになるらしいっていう事で、彗星を爆破したりするよりも、それで金儲けをしようって考えるんですよ。
(赤江珠緒)えーー!
(町山智浩)で、アメリカ政府も中国にレアアースとか取られていて悔しいからね、ここでアメリカは逆転できるとか言って、それに乗っちゃって、全然、彗星を撃破しようとしないんですよ。だからそれも今、言ったみたいにイーロン・マスクとかもう本当に宇宙ロケットを飛ばそうとしてたりするんで、半分本当ですよね。で、どんどんどんどん彗星が近付いてくるんですけど、それがとうとう目に入る距離に近付いてきちゃうんですね。
(赤江珠緒)そんなに!うん。
(町山智浩)空を見上げると。それでもね、全然状況は変わらなくて、それでせっかく世間に対して危機を訴えようとしたディカプリオがですね、なぜかですね、ワイドショーに出てオドオドしていたせいでかわいい!って事で、キャラとして人気者になっちゃうんですよ。
(山里亮太)なるほどな〜!
(町山智浩)で、彼自身も本当に危険だっていう事を言えなくなっちゃうんですよ。
(赤江珠緒)あららら。
警鐘を鳴らす人物がキャラクター化してしまう事実
(町山智浩)これ、よくある事で。日本でもよくあるんですけども、テレビに滅多に出ない専門家の人が、例えばコロナがあったりね、何かがあったりしてテレビに出る時があるじゃないですか。そうするとその人達ってテレビ慣れしてないから、タレントじゃないですから。周りのタレントがいじるしネットがいじるでしょう。でキャラ化していくんですよ。
(赤江珠緒)あ〜ありますね、そういう事ね。本当だ。
(町山智浩)よくある事なんですよ。だからこれはちょっと前に・・だいぶ前ですけど、、戦場カメラマンで渡部陽一さんという方がいらっしゃいましたね。
(山里亮太)あぁ、はい。
(町山智浩)独特のベストを着て帽子かぶっるね。あの人は戦場カメラマンとして世界の戦場の悲惨さを訴えていたんですよ最初。所が、テレビを見ている人たちは彼が訴える戦場の悲惨さは関係なくて、彼のしゃべり方が面白いって事でキャラ化してっちゃったんですよ。
(山里亮太)そうですね。
(赤江珠緒)そうだ・・。
(町山智浩)で、みんな彼が撮った写真とか、彼がルポしている戦争の事なんか完全に忘れたんですね。
(赤江珠緒)うん!
(山里亮太)確かに。
(町山智浩)あれと同じ事がディカプリオに起こっちゃうんですよ。ディカプリオが起こっちゃうというと何か違う感じがしますが。(笑)で、ディカプリオがコマーシャルに出たりするんですよ。
(赤江珠緒)えっそっち?そんな風にまで?
グレタ・トゥーンベリさん
(町山智浩)そっちに行っちゃうんですよ。ちょっとイケてない天文学者がかわいいみたいな感じで、人気者になっちゃうんですけど。で、逆にそのグレタ・トゥーンベリさんみたいに、危機をちょっとヒステリックに訴えちゃったジェニファー・ローレンスは世間から嫌われて、もう何を言っても誰も彼女の事を聞いてくれなくなっちゃう。これはね、なんか僕もね、ワイドショーに出た事が何回かあるんですよ。芸人さんがいっぱい集まってるね。そこで、ハリウッドにおけるポリティカリー・コレクトの問題か何かを論じてくれって言われて出たんですけど、完全なアウェイですよね、そこに行くとね。で、周り芸人ですよみんな。芸人さん。で、イジる事しか考えてないんですよ僕を。で、何か真剣にこういう状況で、こうですっていうような事を言おうとしても、すぐにそこに突っ込みを入れて面白くしようとしたり、その僕の表情であるとか、服装とかしゃべり方とかでなんか、こう笑いを取ろうとするんですよ。で、結局何を言おうとするかとか、言えなくなっちゃうんですよ。
(山里亮太)へぇ〜。
(町山智浩)それはね、本当に日本でもアメリカでも同じなんですよね。
(山里亮太)なるほどな・・。
(赤江珠緒)ね〜。
(町山智浩)で、地球にどんどん彗星が近付いていく訳ですけれども。で、これタイトルがね、『ドント・ルック・アップ』っていうタイトルですよね。
(赤江珠緒)そうですよね。
空を見上げるな
(町山智浩)これ「空を見上げるな」っていうタイトルなんですけども、彗星が近付いてきて、空を見上げると見えるようになるんですね。こっちに突っ込んでくるのが。そしたら、それ見上げてもしょうがないから、見上げるなっていう運動が起こってくるんですよ。
(赤江珠緒)えーー!
(山里亮太)わぁ、現実から目を背けよう?(笑)
(町山智浩)そうそうそう。(笑)現実から目を背けようって。だからまさに今本当にそうじゃないですか。もうどれだけ地球のね、環境がおかしくなっても、みんな何もしないんですよね。で今度はそれに対して、ジェニファー・ローレンスとかが、いやちゃんと見上げようよっていう、「ルックアップ(見上げよう)」っていう運動を起こそうとするですね。そうすると、今度は意識の高い若者達はそれに乗ってくんですよ。あとアーティストとかミュージシャンとかがね。「我々の所に彗星が向かっている!これは危険だ!ちゃんと見上げよう、現実を見よう!」っていう人達が、意識の高い人達がそれをイベント化していって、大コンサートをやって。アリアナ・グランデさんが『Look Up』っていう歌を歌って、みんな盛り上がって感動して、それで終わっちゃうんですよ。
(赤江珠緒)あれそれもなんかおかしな方向に行っちゃってる。ええっ?
(町山智浩)それもよくある事じゃないですか。アフリカで飢えている子供達を救えって事でチャリティーコンサートをやったりね、色んな事をするじゃないですか、みんなね、地球環境問題を考えようみたいな事をね。でやって、ワーってイベントやって、コンサートやって、終わり。っていう。よくあるパターンなんですよ。
(赤江珠緒)そうですね〜。いや本当だな。
(町山智浩)これね、本当にバカバカしいんだけども、実際に起こってる事なんですよ。
(赤江珠緒)そうですね。バカバカしいけど、ある意味ものすごいリアリティーがあるというかね。
(山里亮太)そうそうそう、こんなバカバカしい事が今起きているんだ実際にっていう。
(町山智浩)そう。だからこれ見た人はね、こんなバカじゃねえの?と思うけど、いや今それ、起こってる事だから。っていうね、映画なんですよ。で、この中でまたね、ディカプリオがもう本当にね絶妙で。昔、『タイタニック』の大スターですよ?
(赤江珠緒)そうですよ。
(町山智浩)それが、本当にイケてない田舎のおっさんなんですよ。(笑)
(赤江珠緒)野暮ったい感じに?
(町山智浩)野暮った〜い感じで、超リアルでね、これはすごいなと思って。そう。でやっぱり浮かれちゃうんですよ。本人もスターになって。で、エッチな人が寄ってきたもんだから、ちょっと奥さんも子供もいるんですけど、ちょっと誘惑に負けちゃってね。てな事もあったりするんですけども。(笑)誰一人、彗星の事を考えていないうちにどんどん近付づいてくるっていうね。
(赤江珠緒)これじゃあ・・どういう結末になるのかね?今の話聞くと。
『ドント・ルック・アップ』どんな結末に?
(山里亮太)『アルマゲドン』みたいな感じじゃないだろうねたぶん。
(町山智浩)『アルマゲドン』パロディなんすけど、これはね、ぜひね・・言っていいのかな?『日本沈没』と比べて頂きたいなと思いますね。
(赤江珠緒)そうですね、『日本沈没』もね、あ〜〜先週終わりましたけども最終回でね。状況としてはそうね、そういう事か。
(町山智浩)そうなんですよ。まぁあれもね、コメディにすればよかったと思いますよ僕は。いっこうに日本が沈没しない!とかね、そこで突っ込みを入れるやつがいたりとか、結局沈没しねぇじゃねえか、田所お前、間違ってるじゃねえかとかね、いろんな突っ込みを入れるべきだと思いますよ。あれコメディだとしたらね、傑作になったんじゃないかと思うんですけどね。インチキくさい外人のモーリー・ロバートソンとかね。
(山里亮太)ははははははは!
(町山智浩)それであの、「田所教授っていうのはどうも信用できないですね」「どうして信用できないんですか?」「あいつ、貸した金を返さないんですよ」「そのレベルかよ!」みたいなね。
(山里亮太)そうそう、ありましたね。(笑)
(町山智浩)そのレベルなのかっていうね。あれ全部コメディにしたら大傑作になったなと思わせてくれるのがね。
(赤江珠緒)逆に町山さんみたいにコメディに見えるぐらいの方がリアリティーがあるっていう事ですよね。現実世界はそういう事なんですよねやっぱり。コメディじゃないと、だんだんリアリティーがアレ?みたいに。こんなにうまく行くかな。こんなあっさり、落ち着いていられるかなみたいなのとかね。
(山里亮太)そうか、うまくいかない事がリアルなんだね本当は。
(町山智浩)ねぇ日本が沈没し始めたけど途中で止まりましたとかね、笑うだろうと思いますけどね。(笑)
(山里亮太)壮大なフリになるからね全部。
(町山智浩)そう。というね、色々ととんでもない事があるので、まぁ笑うしかないんじゃない?っていう気がしますよ、色んなね、給付金の件もそうですけどね。もうこの世はコメディなんで。笑っちゃおう!っていうのが『ドント・ルックアップ』なんで是非ご覧ください。
(赤江珠緒)はい。現在公開中で12月24日からはもう早くもNetflixで配信されるという事でございます。町山さん、ありがとうございました。
(山里亮太)ありしたーっ!
(町山智浩)どもでした!
※書き起こし終わり
○○に入る言葉のこたえ
①レオナルド・ディカプリオがただのオッサンを演じる
⑥なんとメリル・ストリープはオールヌード!