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フェイブルマンズの町山智浩さんの解説レビュー

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2023年01月17日更新
彼は映画を使って人の感情をコントロールして、どうでもいいものを素晴らしく見せたりする事ができるんですよ。それは恐ろしい才能なんだっていう事に途中で気が付いていくっていう所もね含めてね、本当にすごい映画がこの『フェイブルマンズ』ですね。(TBSラジオ「たまむすび」より)

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)で、『フェイブルマンズ』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。

町山さん『フェイブルマンズ』解説レビューの概要

①フェイブルマンという一家の話
②スティーブン・スピルバーグ監督の子供の頃の話で、6歳から17歳までの約11年間を描く
③1番最初にCGを使った、スピルバーグ前と後では映画史は全然違う
④”スピルバーグ家”というタイトルにしない理由は、それで傷つける人が出てくるから
⑤フェイブル=○○○○という意味
⑥スピルバーグの父は電気会社の技術者、母はミュージシャン
⑦スピルバーグは子供の頃とても怖がりだった
⑧怖い映画を作る理由は、自分でそれを映画にする事で怖さを克服しようとしている
⑨弾で撃たれて血が出るシーンはスピルバーグが13歳で初めて撮った

※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。

『フェイブルマンズ』町山さんの評価とは

(町山智浩)アカデミー賞はまた近づいてるんでまぁ今回もその話をします。で今日アメリカの方ではですね、ゴールデングローブ賞というアメリカの映画批評家達がですね投票した、賞のノミネートがありまして。で、今日紹介する映画は、それの作品賞にノミネートされています。で、たぶんアカデミー賞の作品賞にもノミネートされると思います。『フェイブルマンズ』というタイトルの映画です。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)これはですね、フェイブルマンという一家の話ですね。で、”ズ”って付いているんで、”サザエさんち”みたいな、”磯野家”みたいな話ですね。

(赤江珠緒)あぁ、なるほど。

(町山智浩)”フェイブルマン家”っていうタイトルなんですけども。これはですね、スティーブン・スピルバーグ監督の子供の頃の話なんです。6歳から17歳までの約11年間を描いています。

(赤江珠緒)ふ〜ん!

引用:IMDb.com

スティーブン・スピルバーグ監督の子供の頃の話で、6歳から17歳までの約11年間を描く

(町山智浩)今音楽が後ろにかかってるかな?

(山里亮太)かかってますかかってます。『インディ・ジョーンズ』のテーマ。

(町山智浩)あぁ、『インディ・ジョーンズ』ですね。スピルバーグというのはたぶんね、映画史上最大の監督ですね。

(赤江珠緒)いやそうですよね。なんかね。作品に通ってないっていう人が本当にいないような感じですもんね。

(山里亮太)絶対通って来てますから。

(町山智浩)そうですね。『インディ・ジョーンズ』とか『ジュラシック・パーク』とか、そういう娯楽作品で大ヒットしてですね、しかもその一方で『シンドラーのリスト』とか『ミュンヘン』とかの社会派の非常に厳しいテーマを描いていてですね、そちらでもアカデミー賞を取ったりしてまして。それだけじゃなくて新しい映画技術を開発してきた人ですね。

(赤江珠緒)は〜!

(町山智浩)だから今、みんなCGで要するにコンピュータグラフィックスの怪物とか建物とか普通に見てますけど、最初にそれをやったのはスピルバーグなんですよ。

(山里亮太)へぇ〜!

(赤江珠緒)そうか。

CGの怪物や建物を最初にやったのがスピルバーグ

(町山智浩)1番最初にね、『ヤング・シャーロック』っていう映画で初めてコンピュータグラフィックスによるキャラクターを動かしたんですよ映画の中で。それがピクサーの始まりです。で、その後『ジュラシック・パーク』でコンピュータグラフィックスによる恐竜を、人間達と絡めるという事をやって、それで今みんな当たり前に見てますけども、それはスピルバーグが始めた事ですね。

(赤江珠緒)じゃぁスピルバーグ前と後では全然映画が変わってきてるんですね。

(町山智浩)全く違うんですよ。

(山里亮太)へぇ〜!

(町山智浩)で、今まで色んな映画監督は世界中にいましたけども、D・W・グリフィスっていう人が映画の基礎を作った訳ですけれども。スピルバーグほど成功して、たくさん作品を作って、それでもう本当にもう世界中のちっちゃい子供からおじいさんまでみんな見てて、しかも芸術的にも非常に評価が高くて、という人は殆どいないですよね。

(赤江珠緒)そうですね、うん、そっか。

引用:IMDb.com

”スピルバーグ家”というタイトルにしない理由

(町山智浩)で、なんでこんな偉大な人が生まれたのかという事を本人がですね、スピルバーグ本人が子供の頃の話をですね、描いてるのがこの『フェイブルマンズ』なんですね。で、”スピルバーグ家”っていう風にすればいいのにそうしなかったのは1つ理由があってですね、そのまんま実名にはしたくなかった理由があるんですよ。それは、ちょっとそれで傷つける人が出てくるからという事ですね。

(赤江珠緒)あぁ、そうなんですね。うん。

(町山智浩)で、この映画ですね、スピルバーグが6歳の頃。1952年から始まるんですが映画が。それでですね、最初に映画を映画館で、大人の映画を見るんですよ。スピルバーグは。で、それまでも映画は見てるんですけどディズニーとかだったんですね。で、『バンビ』とかを見たんですけど、怖かったんですよ。

映画「ジュラシック・パーク」のポスター

(山里亮太)えっ、バンビで?

(町山智浩)バンビはホラー映画史上最凶の作品です。

(山里亮太)えっ!?ホラー映画?『バンビ』ってなんか、かわいらしい・・。

(赤江珠緒)ディズニーのね。

(町山智浩)バンビはお母さんを殺されるんですよ。

(赤江珠緒)えっ、そんな話でしたっけ、そっか。

バンビはホラー映画史上最凶の作品

(町山智浩)そう。あれはだから子供に見せる時に非常にトラウマになるんで、ちっちゃい子には見せないようにと言われてる作品ですよ、バンビは。

(赤江珠緒)そうか。ちょっと確かにうちの子も、ちょっと見出して泣き出したみたいな所あって、ちっちゃい時、うん。

(山里亮太)あ、そうだった!?

(町山智浩)ビックリしちゃうんですよ、お母さん死んじゃうんで。

(赤江珠緒)うん。なんか雷のシーンとかあって。

(町山智浩)あぁ山火事になるとこですね。

(赤江珠緒)そうそうそう。

(町山智浩)やっぱり母親が死ぬっていうのはすごいトラウマになるんで。でスピルバーグもそれですごく懲りて、映画とか行かないって言うんですよ。

(赤江珠緒)え〜!

(町山智浩)僕は怖いから、行かないって言うんですよ。ところがそのお父さんとお母さんが、『地上最大のショウ』というですね、サーカス映画を見に行きたいんで、6歳のスピルバーグ少年を説得するシーンから始まるんですよ。で、お父さんは、映画っていうのは怖くないんだよって。これは科学技術で作られたものであって、光がスクリーンに投影されてるだけだからみたいに言うんですね。

(赤江珠緒)はははは、うん。

映画「ジュラシック・パーク」のポスター

(町山智浩)で、それはね、このスピルバーグのお父さんはコンピューター技術者だったんですよ。ゼネラル・エレクトリックという世界最大の電気会社の技術者で、その後はIBMに移って今のいわゆるパーソナルコンピューターの基礎的な技術を開発した人なんですよ。

(赤江珠緒)だからそんなちょっと、ある意味身も蓋もないような言い方になるんですね。光を投影した物だって。(笑)

(町山智浩)そう。科学だからみたいなね、事を言うんですね。映写されてるだけだからとか言うんですけど。ところがお母さんは、このスピルバーグに、これは、映画っていうのは夢なのよって言うんですよ。芸術なのよって言うんですよ。

(赤江珠緒)お〜なるほど。

(町山智浩)お母さんはミュージシャンだったんですよ。

(山里亮太)へぇ〜なるほど!

(町山智浩)スピルバーグのお母さんは実際にコンサートをやったりするようなピアニストだったんですけれども、子供ができちゃったんで諦めて、専業主婦になってたんですね。だから、この2人はね、夫婦なんだけど、父親はゴリゴリの科学者で、お母さんはミュージシャンでアーティストなんですよ。というかエンターテイナーなんですね。で、全然逆の夫婦なんですよ。

(赤江珠緒)そうですね、ちょっとアプローチの仕方が違いそうですねこれはね。

引用:IMDb.com

技術者の父とミュージシャンの母

(町山智浩)そうなんです。ただこの2人に育てられたっていうのはすごく大きいんです、スピルバーグは。つまり世界で最新のSFX技術で映画の技術を革新していくという科学者としての面があるんでスピルバーグには。

(山里亮太)そっか・・!

(町山智浩)で、一方ではアーティスト、エンターテイナーとしての才能があって、この2人の間で彼が生まれたというのはものすごく象徴的なんですね。で、『地上最大のショウ』を見たらですね、途中で列車の転覆、衝突のすごいシーンがあるんですよ。で、スピルバーグはその頃ものすごく怖がりで。夜電気を消す事もできない子だったんですね。

(山里亮太)へぇ〜!

(町山智浩)で、虫が来ると怖くて、みたいな、とにかく何もかも怖いんで、その列車事故のシーンを見て怖くて眠れなくなっちゃうんですよ。これ僕スピルバーグに一度だけ会った事があって、インタビューで。で、その時に聞いた事は、スピルバーグさんの映画は『ジョーズ』とか『プライベート・ライアン』とか、とにかく人体がバラバラになって血が飛び散って脳みそが炸裂するような映画ばっかりで。『シンドラーのリスト』にしても、ものすごく怖いと。

(赤江珠緒)怖いですね確かに。

スピルバーグは子供の頃とても怖がりだった

(町山智浩)そう。ものすごく恐怖な、要するに『ジュラシック・パーク』とか本当怖いですからね。

(赤江珠緒)本能的に怖い物ですもんね。

映画「ジュラシック・パーク」の画像引用:IMDB.com

(町山智浩)そう。人間をね、食いちぎったりするのをじっくり見せたりしますね、内臓が飛び散っちゃったりするのをね。で、あなたの映画は本当に怖いんですけど、どうしてこんなに怖い映画ばっかり作るんですか?って聞いたら、スピルバーグはこう答えたんですよ。僕は誰よりも怖がりなんだよと。子供の頃から弱虫でどうしようもなかったんだと。何もかも怖かったと。だから自分でそれを映画にする事で、怖さを克服しようとしてるんだって言ったんですね。

(赤江珠緒)え〜〜。

引用:IMDb.com

怖さを克服する為に映画に

(町山智浩)で、それは実はスピルバーグの言葉じゃなかったんですね。お母さんが言うんですよこの映画の中で。その列車事故が怖かったって、要するに眠れないってなっている6歳のスピルバーグに、お母さんは、あれは映画だから。あれは作ってるのよって言って、お父さんのために買った8ミリの・・8ミリフィルムカメラってのが昔あったんですよ。知らない人も多いと思いますけどね。8ミリって細いフィルムで映画を撮影するカメラがあったんですが、それをスピルバーグに渡して。これで映画を撮りなさいと。そしたら怖くなくなるわよって言うんですね。で、スピルバーグはおもちゃの列車で列車事故のシーンをそれで撮って、それを撮る事によって、あぁこれは映画なんだと。作り物なんだっていう事で、怖さを克服したっていうシーンから始まるんですよこの映画は。

(山里亮太)なるほど〜!

(赤江珠緒)なんか映画監督ならではのエピソードですねそれ!へぇ〜!

(町山智浩)そうなんですよ。僕に言ってくれた事は本当にあったんだなと。いう事ですね。あと、スピルバーグに聞いたもう1つは、あなたはすごく怖いシーンとか血みどろのシーンをコントのように演出して笑わせようとするんだけど、あれはあまりにも悪趣味じゃないかみたいな話をしたら、人間は怖い時は笑うんだよと。あぁ怖かったって、あははははって笑うでしょって。笑いっていうのは恐怖と戦うための武器なんだって言ったんですね彼は。

(赤江珠緒)ふーん!!

(町山智浩)で、その後、怖い物にどんどんスピルバーグが取り憑かれていって、怖い映画を妹達、その3人妹がいるんですけど、主演でですね、映画を撮りまくるんですよ。

(赤江珠緒)はははっ!へ〜!うん。

(町山智浩)ミイラ映画とかね。あと、この『フェイブルマンズ』の中には出てこないんですけど、妹さん達がインタビューで、自分達の持ってたリカちゃん人形とかをバラバラにして血まみれにして遊んでたっていう風に証言してるんで、そういう事をやり始めるんですけど。

(赤江珠緒)へ〜!

(町山智浩)で、そういう事をやってるうちに、8ミリでですね、13歳の時に戦争映画を作るんですよ。

(赤江珠緒)え〜!

(山里亮太)13で?

(町山智浩)13歳で。ボーイスカウトの友達を集めてですね、『ESCAPE TO NOWHERE』という、”逃げ場なし”というタイトルの第二次大戦を舞台にした戦争映画を撮るんですね。1961年なんですけど。これはね、YouTubeで今でも見れます。誰かが上げてるんですよ。

(赤江珠緒)えっ!13歳の時の物を?

(町山智浩)13歳の時の作品をね。それがね、すごいのは、弾で撃たれた人の胸から血が出るシーンがあるんですよ。それって今みんな普通に見るでしょう?バーンってこう中に仕掛けてあった火薬が破裂して、服が破けて血が流れるって。これスピルバーグが13歳の時、1961年に撮ってるんですね。

(赤江珠緒)どうやって?なんか血のりみたいなのを袋で?

(町山智浩)そうそうそう。世界で初めて映画の中で血飛沫が飛び散ったのは、1962年の黒澤明の『椿三十郎』なんですよ。

(赤江珠緒)はぁ〜〜あの椿三十郎の、はい!

(町山智浩)それより1年前なんですよこれ。

(山里亮太)て事は。。初?

(町山智浩)世界最初ですね、多分。13歳で。

(赤江珠緒)へ〜!中学生で?

弾で撃たれて血が出るシーンはスピルバーグが13歳で初めて撮った

(町山智浩)中学生で。これすごいですよ。中学生で。で、その後ね、『プライベート・ライアン』という全編血みどろの戦争映画を撮るんですけど。13歳でやってるんですよ、既に。なんというかね、ずっとやってるんですよ子供の頃から。

(赤江珠緒)すごいですね!いや今となったら納得のエピソードなんですけど、これ途中、親だったら止めそうですもんね。人形を血まみれにとか言われたら。

(町山智浩)でもお父さんは結構ねお金を出してあげたりして一生懸命支援するんですね。ただ、所詮趣味だと思ってて、ちょっとお父さんはバカにしてて、自分は科学者だから。科学の方に行ってもらいたいと思ってたみたいですけども。スピルバーグがどんどんどんどん映画の方にのめり込んでいくんですね。で、それには1つ理由があって。これ映画の中でははっきりと描かれてないんですけど、これスピルバーグ自身も言っている事なんて事実なんですが、全く勉強できなかったんですよ彼は。

(山里亮太)へぇ〜!!

(町山智浩)あのね、文章が読めない病気だったんですね。難読症と言われる物です。でこれは発達障害の一種で、結構あって、なんていうか思春期を超えると乗り越えられたりするような物なんですけど。で、彼は小学校中学校で勉強できなくて学校に居場所がなかったんですよ。

(赤江珠緒)あぁそっかそうね、文章が読めないとね、なかなか勉強ってね、追いついていかないですよね。

引用:IMDb.com

学校に居場所がなかった

(町山智浩)そう。映画はやたらと見るんだけど、文章が読めないんですね彼は。で、学校で勉強できない。あとね、クラスで1番体がちっちゃくて、痩せっぽっちで運動神経が鈍かったんです。

(赤江珠緒)あら。

(町山智浩)これもね、あんまり強く言ってないんですけど、本当にひどかったみたいです。運動神経が悪くて。スピルバーグさん僕より背が低いですからね。だからアメリカでは相当かなりヤバかったと思いますlそれでいじめにあって。あと、お父さんが技術者の関係上ですね、アリゾナとかカリフォルニアに引っ越すんですけれども、そこは昔1950年代、60年代はユダヤ人が殆どいなかったんですね。でスピルバーグ一家って、ユダヤ系なんですよ。そうするとユダヤ系がたった1人だと、白人の他の生徒達がいじめるんですよ。

(山里亮太)あぁなるほど。。

(町山智浩)すっごいいじめをやったみたいです。民族差別を。で、なんというかですね、お金を、小銭を投げたりするんですよスピルバーグに。

(赤江珠緒)お金を?うん。

(町山智浩)ユダヤ人は金が好きなんだろうって言って投げるんです。

(赤江珠緒)うわぁ。。

(町山智浩)それとか、あとはねキリストを殺したのはお前らだとか言ったりするんですよ、この映画の中でも。で、そういう状況だからもう本当に学校にも居場所がなくて登校拒否みたいになって。で、学校ではね、本当に殴られて大怪我もしてます彼。で大問題になったりしてるんですよね。で、勉強はできない、いじめはある、民族差別もあるというね、こういう状況でさらにひどかったのは夫婦で、お父さんとお母さんがずっと喧嘩してるんですよ。家で。

(赤江珠緒)え?

家にも居場所がなかった

(町山智浩)仲悪くて。これね、さっき言ったみたいにお父さんは真面目な科学者で、家でもネクタイしてるんですよこのお父さん。ところがね、このお母さんの方はダンサーでミュージシャンで。で、すごく自由な人で、ヒッピーの走りみたいな人なんですね。

(赤江珠緒)うわっタイプが全然違う!

(町山智浩)全然違うんですよ。その頃はあんまりいないんですけど髪の毛をものすごく短く切っちゃって男の子みたいにして。私はピーター・パンよとか言って、森を駆け巡ったり、木に登ったりしてるようなお母さんだったんですよ。

(山里亮太)へへへ。(笑)

(町山智浩)全然違うんですよ。なんで結婚したんだっていうぐらい違うんですよ。もうお母さんはお酒を飲んで楽しいと歌って踊ってっていう人で。だから夫婦で噛み合わないんで、ものすごく仲悪くなっちゃって、それで段々お母さんの方もですね、他の男の人が好きになっちゃうんですよ。で、その他の男の人っていうのは、お父さんの親友なんですよ。

(赤江珠緒)あら!

(町山智浩)だからね、実名でやりたくなかったっていうのは、その辺があるみたいですスピルバーグは。彼もこの映画を作る時に、お父さんとお母さんがね、お父さん103歳でこの間亡くなったんですけど、お父さんとお母さんが亡くなるまで待ってたんですって。

(山里亮太)あっ、へぇ〜。。

引用:IMDb.com

母親の不倫を描くので偽名のタイトルにした

(町山智浩)だからお母さんの不倫を描く映画なので。お父さんも傷ついたので。だから2人が亡くなるまで待ってたというので、ここまで時間がかかったみたいですね。

(赤江珠緒)あぁ、そうなんですね。

(町山智浩)で、夫婦仲が悪いでしょう?で学校にも居場所がないでしょう?スピルバーグは映画しか行き場がないんですよ。

(赤江珠緒)本当だ。

(町山智浩)”逃げ場なし”って映画を撮ってたんですけど、映画しか逃げ場がないので、どうしようもないんですね他にね。

(赤江珠緒)いや映画があってよかったね、本当にこの子にとってはね。

(町山智浩)そう。なかったら大変な事になっていたと思いますよ。勉強全くできなかったのでね。ただやっぱりお父さんがね、真面目な人なんで、映画なんて趣味なんだから、ちゃんと就職しろみたいな事を最初言ってるんですけど、ここにね、お母さんのおばあさんの弟っていう、お母さんにとってのおじさんが来るんですね。ボリスさんっていう人で。で、来る前に絶対に会っちゃダメよ。話しちゃダメよとか言われるんですよ。周りから。あの人は、もうとんでもない風来坊だからって言われるんですね。寅さんみたいな人なんですよ、そのボイスというおじさんは。

(赤江珠緒)そうね。親戚の中でもちょっと、こう、つまはじき的な。

(町山智浩)意外といるでしょう、親戚に不良のおじさんって。(笑)子供からは人気あるんだけど、周りからはなんだろうねあれって言われている。で、いい歳こいて1人者だしね。お金もないみたいなんですよ。で、ボロボロのそのおじさんが泊めてくれとか言って来ちゃうんですよスピルバーグの家に。で、スピルバーグも、なんだこの人、インチキくさいなとか思うんですけど。彼はサーカスの芸人だったんです。

(赤江珠緒)へぇ〜。

サーカスの芸人の叔父がいた

(町山智浩)で、サーカスに憧れて、サーカスって要するに旅芸人ですよね。流れ者ですよ。その世界に入ってって、それで映画にも関わったらしいんですけど。というのは昔サイレント時代は、映画はね、サーカスの人達をいっぱい出してたんですよね。それで映画にもハリウッドにも関わったような人で、そのおじさんが来てですね、こういう事を言うんですよ。芸術と家庭は両立しないとね。(笑)

(赤江珠緒)ははは。(笑)

(町山智浩)個人的な家族生活の幸せと、芸術は両立しないんだ。芸術や芸能っていうのは、それはもう全てを捨てて、そこに捧げる物なんだみたいな事を言うんですよ。で、それにかなり感化されてね、大変な事になってくんですけど。というね、この世界最大の映画監督スピルバーグが出来るまで。というのがこの『フェイブルマンズ』なんですね。で、”フェイブルマン”っていうタイトルはね、”フェイブル”っていうのはおとぎ話の事なんですね。だから”フェイブルマン”っていうのはね、”おとぎ話をする人”とかね、”作り話をする人”っていう意味があるんですよ。それを自分の映画の、自分の偽の架空の苗字にしてるのは、彼自身が自分はそういう人なんだっていう意識があるんですね。で、スピルバーグって怖がらせるのもうまいけど、人を感動させたり面白がせたり、さっき言ったように笑わせたりね。そういう人の感情をコントロールする天才なんですよね。

(赤江珠緒)確かに、ちょっとワクワクさせたりね。

引用:IMDb.com

非常に危険な才能

(町山智浩)でも、それは実は非常に危険な物なんだっていう事まで出てくるんです、この映画には。彼は映画を使って人の感情をコントロールして、どうでもいいものを素晴らしく見せたりする事ができるんですよ。

(赤江珠緒)そうか・・。

(町山智浩)それは恐ろしい才能なんだっていう事に途中で気が付いていくっていう所もね含めてね、本当にすごい映画がこの『フェイブルマンズ』ですね。はい。だからこんな天才どこから出てきたか?っていうと、他に行き場がなかったっていうのがね、結構真実なんで。

(山里亮太)なるほどなぁ。。

(町山智浩)やっぱりね、そこまで追い詰められないとできないっていう、そのおじさんもそう言うんですけど。その辺の覚悟をね、16、7でやっちゃうんですよ彼は。で17で学校とかやめて、映画会社に偽の身分証明書を作って潜り込むんですよ。スピルバーグって。

(赤江珠緒)そうなんですね。

(町山智浩)とんでもない人なんですよ、この人は。

(山里亮太)いや、すごい・・!

(赤江珠緒)すごい人生ですね、やっぱりね。

(町山智浩)そうなんですよ。映画しかなかったんですね。はい。という映画がね『フェイブルマンズ』で、まぁすごい映画なんで。3月3日に公開なんで、ご覧ください。

※書き起こし終わり

○○に入る言葉のこたえ

⑤フェイブル=おとぎ話という意味

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