モーツァルトの天才性とサリエリの狂気
2021年2月8日 12時23分
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総合評価:
5.0
物語は年老いたサリエリの狂気から始まります。
このシーンに用いられているのは、モーツァルトの「交響曲25番ト短調」。
モーツァルトは他の作曲家と比べて短調の曲が非常に少ない作曲家です。
そんな彼の数少ない短調の曲から始まるオープニングが非常に素晴らしいです。
時折長調に転調するところでもサリエリの狂気が強く描かれています。
そこから物語はモーツァルトが存命であった頃に戻ります。
このモーツァルト像がとてもユニーク。
ちょっとヒステリックなほどの笑い声をあげたり、派手な色のかつらを好んだり。
実際のところ、モーツァルトはかなりユニークな人物だったようです。
「プラーター公園へ行こう」で検索すると、そのユニークさが分かるかと思います。
書簡集などでも、その人物像が伺えます。
物語はサリエリのモーツァルトへの嫉妬をメインに描かれています。
モーツァルトが書き散らした楽譜をみて、その旋律の美しさに息をのむシーンは見どころ。
サリエリ自身も作曲家であり、全くの無能ではなかったはずなのに、嫉妬を抱く。
それはモーツァルトの天才性がまぶしすぎたからでしょうか。
自身では描けない音楽を易々と書きあげ、散らばしておいているのがたまらなく悔しくもあったのでしょう。
モーツァルトの美しい楽曲が多く登場し、物語もサスペンス形式で気軽に観ることができるので、クラシック入門としてもいい作品かと思います。