片方はお茶くみやコピー取りを仏頂面でこなす華のない社員・城野美姫、もう片方はそこにいるだけで注目を集める職場の女王様・三木典子。同じ化粧品メーカーで働きながら対照的な扱いを受けるふたりの女性に、井上真央と菜々緒がキャスティングされているのが豪華ですね。彼女たちの直接的なやり取りや言葉はことごとく排除して、職場の同僚の噂話や地元の同級生たちの証言からその人物像に迫ろうという展開がいかにも現代的です。
ワイドショーのディレクターや制作会社のテレビマンなど、人の不幸に面白おかしく食いついてくるマスコミ関係者には憤りを感じてしまいました。SNS上に飛び交う根拠のないデマや誹謗中傷など、タイムリーな話題にも考えさせられるでしょう。
殺人犯の汚名を着せられて逃走を続けていく美姫のことを、ただひとり信じてくれる幼馴染・谷村夕子の言葉には救いがあります。劇中のテーマ曲を担当していて謎解きにも微妙に絡んでくる、インストゥルメンタル・ユニット「TSUKEMEN」が奏でるピアノとバイオリンの音色にも耳を傾けてください。