自宅では認知症気味の祖母の身の回りを世話に追われつつ、勤め先「まつや商事」ではお節介な上司から結婚をせっつかれて。あと数年で30代に突入するのに生まれ育った街から抜け出せないヒロイン・安曇春子を、蒼井優が仏頂面で演じていてユーモラスです。
真夜中に母親からトイレットペーパーの買い出しを頼まれるという何とも色気のないお使いが、思わぬ人とのロマンスに繋がっていて驚かされました。ドラッグストアのレジで偶然にも再会した幼馴染・曽我雄二にすっかり夢中になりながらも、あっさりと恋破れてしまうのがほろ苦いですね。
アラサーの切実なお悩みが描かれているために、女性の皆さんは共感できるでしょう。田舎町ならではの男性優位のシステムや、昔ながらの価値観の押し付けにはウンザリしてしまうかもしれません。その一方では春子の職場の先輩・吉澤ひろ子や成人式で久しぶりに帰省してくる木南愛菜など、男どもにガツンとひと泡吹かせる女性たちの潔さとしたたかさでスカッとしてください。