バビロン
いちおうそれなりに予習してから鑑賞したけど、3時間は集中力続かず… 冒頭の豪華絢爛酒池肉林の宴シーンはすごいし、当時の映画製作のシーンも興味深かったけど、浮世離れし過ぎて登場人物たちにあまり感情移入できず、その後のストーリーに面白みを感じなかった。 個人的にもう少し話をコンパクトに、2時間くらいでまとめてくれれば見やすかったのに…と思った。
エスター ファースト・キル
大人になったイザベル・ファーマンがエスターを再演。 やはり前作より顔つきはけっこう大人だが、CG技術を使わずに体格含め子供に見えるよう、メイクや遠近法などいろいろなアナログ的工夫をしていて、そこはスゴイと感心した。 ただ肝心の話はツッコミどころ満載で、そこがいちいち気になってしまう。 もっと話の細部を詰めて、ストーリーに納得感を出してほしかった。 後半のビックリ展開は好き嫌いが分かれると思う。 個人的には「そっちに行っちゃうかー」と、望まない展開だった。 やっぱりエスターには1作目のように1番恐ろしい狂人でいてほしいのに、なんか横槍が入ってエスターの狂人ぶりが霞んで見えてしまった…。 やはりエスターは最恐で最狂で最凶であってほしい! そんな3作目なら見たい!!
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
正直、ぜんぜん乗れなかった… 並行宇宙(マルチバース)…⁉ エヴリンが想像すればするだけ、その並行宇宙が生まれて、その世界に行き来できてしまうので、もうずーっとなんでもありの世界だから、エヴリンがどれだけ窮地に陥っても、見ててぜんぜん危機感を感じないし、ハラハラドキドキもしなかった。 それでその並行世界の行ったり来たりの繰り返しを、永遠と同じテンポで見せられる。 結果感想として、長い… テンポ早くて話追うの疲れる… 同じようなシーン、パターンを何度も見せられて飽きてくる… と、自分には全く響かなかった… でも、ハマる人にはハマる映画だとは思う。 笑えるところもあったし(ここもハマる人はハマりそう)。 個人的には、キー・ホイ・クァンが久しぶりに見れて嬉しかった。
インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
インディの最後の冒険だからなのか、陸・海・空でアクション満載だった。 アクションシーンはまぁそれなりに楽しめるんだけど、ひとつひとつが冗長で、そのせいで上映時間が長い…。 そして、なんかいろいろ詰め込みすぎて、ストーリーもアクションもとっ散らかってて、世界観に統一感もないし、終始ガチャガチャしてる印象で、いまいち入りこめなかった…。 過去作へのオマージュシーンなどもちょこちょこ見受けられるが、取ってつけたような感じで、もう少しうまい演出で見たかった。 たくさんあるアクションシーンも、オマージュシーンも、ストーリー上の必然性を感じれば面白く思えるけど、そこまでの必要性を感じる前に勝手にアクションが始まって、それを長々とずーっと見せられる感じ。 アクションを見たいなら「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング」を観に行けば良いわけだし、個人的にはやっぱりもっとインディの秘境での冒険が観たかったな。 まぁ過去作との違いを出すのは大変だとは思うけど、もう少しコンパクトにまとめて、世界観も何かひとつに統一した方が見やすかったと思う。 登場人物もなんか中途半端…。 今回のヒロイン・ヘレナも行動や目的がよくわからないので、ぜんぜん魅力的に感じないし、ショート・ラウンド的な少年テディもそこまで熱い友情シーンとかもないから、最後まで中途半端な関係でしかない。 新たな登場人物との気分がぶち上がるシーンがほしい。 唯一、マッツ・ミケルセンはやっぱり存在感があった。(最終的な目的がなんだったのか、よくわからなかったけど。) 終盤のトンデモ展開はまぁアリだとは思うけど、今までインディがアルキメデスの時代を追っかけてるイメージがあまりないので、なんだかなぁ…と。 まぁいろいろと文句はあるけど、それでも劇場でインディ・ジョーンズを観る喜び(テーマ曲含め)はあった。
犯罪都市 NO WAY OUT
マ・ドンソクが圧倒的なパワーで悪人どもをバッタバッタぶっ倒すという、みんなが見たいものは見せてくれる。 娯楽作品として、それだけで合格点は出せているが、それ以上の期待値は超えてこなかった。 個人的にこの手の作品は、ストーリーより悪役が重要だと思う。 悪役がより極悪で残虐で、観客にこいつはヤバイ奴だと思わせたら勝ちで、クライマックスの対マ・ドンソク戦がメインカードとして相応しいかどうかにかかっている。 同系色の作品で、「孤狼の血 Level 2」がシリーズ2作目でも成功しているのは、鈴木亮平演じるヴィランの魅力が圧倒的であるのが大きい。 今回の「犯罪都市」3作目は、日本のヤクザが登場するということで楽しみだったが、日本側のヴィランであるリキ(最近売れてる青木崇高)は、ヴィジュアルもセリフもなんだかチンピラ感が強く、個人的に悪役として魅力が弱いと感じた。 これ系の韓国人の悪役俳優にある泥臭さや顔面力、ヤバイ奴感が薄い…。 とくに彼が発するセリフが、韓国の人が書いた台本なのか、チンピラやザコキャラが言うような、ありきたりなダサいセリフしかない。 ここは日本のスタッフがなんとかすべきだと思う。 また、外国人の役者が演じる日本人役のセリフがカタコトなのも、やはりノイズに感じてしまう。(日本人俳優で揃えられそうなものだが…) あと、國村隼のフェードアウト感もなんだかなぁ…だった。 一方、韓国側のヴィランである汚職刑事は、これまでと違いスマートなイケメンで、憎たらしい感じは良かったが、過去作に比べるとインパクトに欠ける。 とくに最後の方は状況的に既にけっこう追いつめられていたし、もう少し強大な敵でいてほしかった。 そんな感じで今作の「ヴィラン」には苦言はあるけど、マ・ドンソクを見てるだけで、なんだかんだ楽しめてしまう作品でもある。 ただ、4作目もあるようだけど、劇場で観るかは迷うなぁ…。
オッペンハイマー
「インセプション」「テネット」などのノーラン監督作品で、さらに上映3時間もあるということで、かなり身構えて観に行った。 「テネット」のようにチンプンカンプンだったらどうしよう⁉と心配もあったが、事前情報も少し頭に入れてから視聴したので、自分が思っていたよりは難解には感じなかった。 ただし、登場人物も多くて名前は覚えられないし、誰が何者かという説明もなく、会話から察するしかないので、そこは初見で全てを理解するのは不可能だと思う。 また、時間軸も説明なしにコロコロ変わる。 モノクロ映像だったり、服装や見た目で判断はできるが、ここもかなりややこしい…。 あとは、オッペンハイマーがスパイ容疑をかけられた件(聴聞会など)が意外と映画の大部分を占めていて、ここももちろん説明なく始まるので、最初は何をやってるんだろう?となった。 基本、会話のシーンがほとんどで、話を理解するために3時間ずっと頭を働かせないといけないので、上映後はまぁまぁの疲労感だった。 で、観たあと最初に思ったのは、なんでクリストファー・ノーランはこれを撮ったんだろう? オッペンハイマーを題材にした映画、ノーランが撮らなくてもよくない?? と感じてしまった。 確かにオッペンハイマーという人物の人間性だったり、パーソナリティーという部分はとてもよくわかる作品ではあった。 が、その他の部分が説明不足すぎて、一回観ただけでは自分含めた一般の人には伝わりにくい。 このわかりにくさはノーラン監督の作家性だから仕方ないが、原爆を開発したオッペンハイマーという人物の物語を描くのであれば、もう少し一般の人にわかりやすくするべきだと被爆国の人間としては思う。 そして、よく言われている原爆描写が不十分という指摘。 自分も正直、それを少し感じてしまった。 あくまでオッペンハイマー視点、当時もちろんオッペンハイマーが実際の原爆投下を目撃したわけではないので、そこは描かないという理由もわかる。 ただ映画では、オッペンハイマーは頭の中で原爆の凄惨さを体感してしまう。 そこの描写は、「はだしのゲン」などを見て育った自分からするとやっぱり弱いなぁと…。 まぁ「はだしのゲン」のような原爆投下直後の被爆者を実写で描くのはいろいろ難しいだろう…。 なので、そこはもう直接的に当時の写真などを使って見せても良かったんじゃないかと思う。 その方が原爆や被爆の残虐性が海外の詳しくない人たちにもより伝わるし、後のオッペンハイマーの苦悩も観客がより共感できたと思う。 総じて、悪い作品とも思わなかったし、正直アカデミー作品賞を取るほど良かったとも思わなかった。 個人的にはノーランの「オッペンハイマー」より、スピルバーグの撮った「オッペンハイマー」を観てみたかった…。
フェイブルマンズ
スピルバーグが映画の道に進む決意をするまでの物語。 前半の幼少期のエピソードまではあまり面白みを感じなくて、正直退屈だった。 でも後半、高校生になり転校して学校でひどいいじめを受けるあたりから、サミー(スピルバーグ)に感情移入して見入ってしまった。 母親の不倫、ユダヤ人差別、学校でのいじめ(サミーは身体がとても小さい)、そして恋愛などで悩み、葛藤しながら成長していく。 サミーの成長を小さいころから見せられているので、やっぱり自然とサミーに気持ちが入って応援してしまう。 学校でのイケメンのいじめっ子との一連のエピソードは、とても印象的で良かった。 最終的に映画としてとても満足したのだが、それはこれが「スピルバーグの自伝」と知って見ているから興味深く見れたのであって、もしこの映画がただの創作した物語だとしたら、ちゃんと面白く思えたかは疑問ではある。 スピルバーグの生い立ちには全く興味ない人が見たら、どう感じるのだろう…。
マッドゴッド
ほとんど同じ世界観でほぼ同時期の「ジャンク・ヘッド」と比べると、映像のすごさやカオス度、グロ度は勝ってると思うが、ストーリーは圧倒的にジャンクヘッドの方が楽しかったな。 ジャンクヘッドがポップでわかりやすいのに対して、マッドゴッドはダークで少しわかりにくい感じ。
M3GAN/ミーガン
このレビューにはネタバレが含まれています
LAMB/ラム
羊から生まれてきたアダのビジュアルが絶妙でキモカワ。 家族で食卓を囲むシーンがシュールで笑ってしまった。 結末の意味は、人それぞれいろいろと想像を巡らすことができる。 自業自得、因果応報みたいな、そんな単純な教訓だけではないと個人的には思った。 アイスランドの雄大なロケーションが本当に美しい。 白夜のこととか、国技がハンドボールとか、いろいろ調べてしまった。 景色の美しさに対して、映画は終始不気味だし陰鬱な雰囲気で面白い。 こういうジャンルにしては、わりとテンポはゆっくりでじれったく感じる部分もあったけど、それなりに最後まで楽しめた。
土を喰らう十二ヵ月
とくに大きなストーリー展開があるわけではないので、見る人によっては退屈かも。 沢田研二ファンとしては、年老いた四季折々のジュリーを見てるだけで萌える。 ただ「キネマの神様」でも感じたが、ジュリーは現役歌手だからか役のわりに声が若すぎる… 料理好きの人は、土井善晴指導の精進料理の数々も楽しめるのかも。 個人的に野菜嫌いなので、興味ゼロだったが… あと恋人の松たか子の存在は中途半端に感じたけど、まあそこはメインじゃないのかな… メガネ松たか子は萌えました。 結果、四季折々ジュリー、精進料理、メガネ松たか子を見る大人向け映画。
ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
イコライザー THE FINAL
PIGGY ピギー
この手のジャンル映画としては、十分楽しめた! まず主人公サラ(ピギー)のビジュアルだけで合格点だし、映画の宣伝ポスターの画力(えぢから)たるや!! 絶対観に行きたいと思わされた。 こんなに太った女の子が主人公の映画ってあったっけ!? 「ピンク・フラミンゴ」とかのディヴァインしか思いつかない…。 (ディヴァインはドラァグクイーンだけど。) それにしても主人公サラを演じたラウラ・ガランさんは素晴らしかった。 あの身体で、ビキニ姿で走り回り、血まみれの格闘シーンもあり、今年観た映画の中では「パール」のミア・ゴスに匹敵するインパクトキャラだった。 ストーリーも、単なるいじめられっ子リベンジ系ホラーかと思いきや、予想しない展開に転がっていき、最後まで飽きさせない。 そして結末も、サラの下した決断が実際どうだったのか、観客に考えさせられる。 まぁもちろんツッコミどころはあるけど(とくにあの男の素性や動機など…)、こういったジャンル映画でそこを深く考えるのは野暮かなと。 あと、アメリカ映画とは違うスペインのロケーション、街並みやプールなどがとても新鮮で、独特の雰囲気を醸し出していた。 兎にも角にも、見どころ満載の作品だった☆
悪は存在しない
首
賛否両論ある映画だが、個人的にはとても楽しめた。 たけしの大河ドラマなどに対するアンチテーゼにも感じた。 歴史なんて、そんな小綺麗なもんじゃねーだろ!って感じで、「アウトレイジ」にも通ずるクセの強い登場人物たちの泥臭い人間関係が展開されていく。 合戦シーンも迫力はあるが、そこがメインではなく、武将たちの人間性(非情で暴力的だったり、狡猾なふるまいだったり、臆病だったり)がコミカルに描かれた群像劇だった。 そんなたけし流アレンジに乗れるか乗れないかで、本作の評価は分かれると思う。 個人的には、このいかにもたけしらしい演出、登場人物たちのやりとりが最後まで楽しかった。 また、男色文化がしっかり描かれているのも面白い。 あくまでたけし流解釈の本能寺の変なので、史実は…とか、時代考証が…とかの批判はお門違いだと思う。 あと、たけし(秀吉)の演技がダメとか、秀吉が老けすぎとかの意見もあるけど、そこはたけしワールドの時代劇なので、自分は気にならなかったかな。 真面目な時代劇ならノイズになるかもだけど…。 あとひとつ感じたのは、本能寺の変、信長、秀吉、家康くらいは日本人なら知ってると思うけど、その他の歴史的登場人物(架空の人物は除く)やその関係性、登場する合戦やその後の歴史的流れに詳しい人だとさらに楽しめると思った。 自分は、荒木村重や高松城の水攻めなど、けっこう知らないことが多かった…。
MaXXXine マキシーン
2作目『パール』が傑作すぎて少しハードル上がりすぎたのもあるけど、今回は物足りなさを感じてしまった。 とはいえ、好きなタイプの映画だし、80年代のルックスは観ていて楽しいし、ミア・ゴス含むなかなか豪華な役者陣もすごい良かったし、見どころはたくさんあった。 なんだけど、やっぱり『パール』の後の作品ということで、もっとインパクトの強い作風を求めてしまっていた。(『サブスタンス』も観た後だし…) 1作目は『悪魔のいけにえ』などの70年代ホラー風、2作目は『オズの魔法使い』などのハリウッド黄金期テクニカラー風。 どちらもすごい良かったけど、今回は80年代スラッシャーホラーだったり、ジャーロ映画だったり、なんかいろいろごちゃ混ぜというか… おそらくすごい数の映画のオマージュがあって、とっ散らかってる印象を受けた。 (過去作と違い、統一感がないというか…) まぁ今回は過去作とは違い、田舎ではなく都会(ハリウッド)が舞台だからなのかもだけど…。 あと、80年代のナイトストーカー(自分は知らなかった)やサタニック・パニックといった事象を絡めたラスボス的存在にもそんなにヤバさを感じれず、ドキドキしなかった。 なんなら、1作目『X』の老夫婦の方がヤバさも不快さも強かった。 1作目も2作目も作風は全く違えど、ちゃんとホラー映画になっていたけど、今作はホラー要素はあってもホラー映画に思えなかった。 個人的には、「ジャンル」としてホラー映画にこだわってほしかったな。 キャラクターとしてのマキシーンも、パールより薄く感じてしまった。 パールの物語にはめちゃくちゃ感情移入できて、ある種のカタルシスも感じたけど、マキシーンのアンチヒーローぶりにはそこまで爽快感を感じなかった。 マキシーンをもっと応援したくなるような動機づけがほしかった。 というか、スターになる夢が成功するにしても失敗するにしても、もっとマキシーンの爆発や狂気を見せてくれー!と思いながらそのまま映画が終わってしまった感じだった…。 とまぁ…ウダウダいろいろ抜かしたけど、3部作めっちゃ楽しんだ!
シビル・ウォー アメリカ最後の日
ソウルの春
ある程度、粛軍クーデターについてや、韓国の時代の流れみたいなものを軽く予習してから観たほうが、この映画を理解しやすいと感じた。 とくに前半なんかは登場人物(ほぼ軍人)の多さや、その軍人たちの役職や所属している部署の多さに、たぶんほとんどの人が混乱すると思う。 首都警備司令部側と保安司令部のハナ会側の人物の顔もまだ覚えていない状態で、次々と話が進み、そこにさらに第2、第8とかの空挺旅団やら、特殊部隊、憲兵まで出てきて、その人物たちの電話のやりとりを速いカット割りの連続で見せられて、え?誰??のカオス状態に…。 後半、やっとなんとかそれぞれの人物を把握できてきて、そこからはちゃんと面白かった。 自分はとくに予習せず、韓国の歴史も知らずに観たので、単純に結末にビックリ! え〜⁉そうなるの⁉という、ちょっとどんよりした気持ちで映画が終了…。 骨太な映画で初見でも十分楽しめたけど、たぶん鑑賞2回目のほうがいろいろ理解できて面白い気がする。 あと、ファン・ジョンミンはこういう口八丁な悪人を演じさせたら、もう右に出る者はいないね!ほんと最高‼ チョン・ウソンも「アシュラ」みたいなインパクトある役ではなかったけど、ド真面目な軍人役がハマってたと思う。 それにしても韓国は、こういう政治的事件や黒歴史をちゃんと映画にできて、エンタメとして昇華して、さらにこういった作品がヒットするって羨ましいなぁ…。
ANORA アノーラ
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