ミッドサマー
奇祭映画!こういうの大好物です! 見ながら、これカルト映画「ウィッカーマン(1973)」だなぁ…と。 でもウィッカーマンよりパンチはかなり重め。 こういうへんぴな村のカルトコミュニティで、最終的に全く話が通じない不条理な展開に巻き込まれちゃうの最高‼ 猟奇的・変態的な奇祭イベントの数々に賛否両論なのはわかるけど、個人的にすべての宗教にはカルト性が含まれてると思うし、こんなのあっても不思議じゃない気はする。 いやまぁ、あったら国際的大問題だけど… でもゴア&変態描写を見せたいだけの陳腐な映画なんかではないことを断言したい! いや…私はゴアも変態性も大好物で、そういうの見たくて見たくてたまらないタイプですが…。
怪物
このレビューにはネタバレが含まれています
市子
ベネデッタ
哀れなるものたち
イニシェリン島の精霊
「おまえとは金輪際絶交だ」みたいな小中学生のようなケンカから、最終的に取り返しのつかないとんでもない展開になり、物語に最後まで引き込まれた。 このケンカがアイルランド内戦のメタファーなのはわかったが、それを抜きにしてもパードリックとコルムのどちらの言い分も理解でき、どっちにも感情移入できて面白かった。 また、小さなコミュニティの中の閉じた陰湿な村社会的な話は個人的に好みだった。 終始八の字眉毛で退屈な良い人を演じたコリン・ファレル(パードリック)、狂気とたまに見せる優しさが絶妙なブレンダン・グリーソン(コルム)、強さと知性を持ち合わせるも時代によってその才能を抑制するしかなかった女性ケリー・コンドン(妹)、変わり者で村のみんなから蔑まれるクセの強い役なら間違いないバリー・コーガン(ドミニク)、俳優陣が素晴らしくて見てて飽きない。 イニシェリン島のロケーションも美しく、映画館で観るべき映画だと思う。
マッドマックス:フュリオサ
エイリアン:ロムルス
新鮮味がないとか、話のスケールが小さいとか、批判的なレビューもちらほらあったが、けっこうやり尽くされた「エイリアン」というフォーマットの中で、今の技術も駆使ししながら、創意工夫を凝らして作られた作品になっていて、ちゃんと面白かった。 シリーズオマージュも多い(全部は把握できない)が、エイリアン初心者でもちゃんと楽しめるようになったいた。(エイリアンのライフサイクルも、なんとなくわかるように復習してくれるし。) 以下、良かった点。 ・黒人アンドロイド「アンディ」のキャラ 今までありそうでなかったポンコツアンドロイドという設定。 彼(ロボット)と主人公(人間)の絆は、最後に姉弟関係や恋愛関係をも超越した結びつきに見えた。 また、可愛さと不憫さ、そして冷酷さも見せる絶妙な演技をしたこの俳優さんも素晴らしい! ・重力装置を使ったアクション 物理的にどういう原理かは全くわからないが…これは新しい斬新な映像だった! まだまだこんなアイデアがあるのか!と感嘆。 ・音の静と動の使い方 宇宙空間の「静」から、一気に「動」への切り替えなど、さすが「ドント・ブリーズ」の監督。 ・キモエイリアン 賛否両論ありそうだが、ビジュアル、なんとなくの性格も含め、オレは好き! というか、「なんだこれ…」的な批判が出そうなのも承知で、作り手が挑戦している感じが良い。 そんな感じで、ちゃんと新しいフレッシュさも盛り込まれてるし、物語もしっかり「エイリアン」してて、シリーズ作品として十分すぎる出来だと思う。 いや、これ以上望むのは酷でしょ。 なにより、一作目から45年も経ったこの2024年に真っ当な「エイリアン」の新作を見せてくれて感謝!! 過去作も見返したくなったぞ!!
チャイルド・プレイ
個人的にはリブート大成功だと思った。 ただ、「チャイルド・プレイ」1作目の雰囲気を求める人には合わないと思う。 ていうかリブート作品なので、オリジナル感を求めるのはお門違い。 物語が現代なのでオリジナルと違い、AIの暴走がテーマになっている。 チャッキーがあらゆるAI機器を乗っ取って、それを駆使して全方向から襲ってくる感じが恐ろしい。 チャッキーの顔も全く違うデザインなので、「こんなのチャッキーじゃない!」っていうレビューをたくさん見たけど、いやいや、この顔(めちゃくちゃ不快なデザイン)だから良いんじゃんって思った。 とにかく映画の最初から最後まで、チャッキーの顔芸炸裂しまくりで笑わせてくれる。 なのでこの絶妙な顔の気持ち悪さが、今回のリブート作のキモだと思う。 この不気味な顔の人形(バディ)がなぜか大ヒットで、人々がこぞって買い求めるのも含め笑ってしまう。 その他、スプラッター要素もちゃんと楽しめるし、子供たちの友情協力プレイでチャッキーと対決するのも気分上がるし、大満足だった。
落下の解剖学
密輸 1970
コメディ、アクション、サスペンス、犯罪、シスターフッド、さらには「海女」「ジョーズ」「韓国70年代カルチャー」など、多種多様なジャンルが詰め込まれた、これぞ娯楽映画‼というような作品だった。 序盤、ややオーバーアクションでコメディタッチな作風に戸惑い、その後の海女チーム、地元ヤクザ、密輸王、税関の四つ巴展開に少し頭が混乱してしまう場面もあったが、後半からの怒涛の見せ場の連続はさすがの面白さで、やはり韓国映画のパワー恐るべし‼ とにかくエンターテイメント性が高く、前知識や解説もとくに必要ないし、万人が楽しめる映画だと思った。 ただ、自分は前評判が良すぎたので、かなりハードルを上げて観てしまった部分もあったかなと…。 やっぱり個人的に韓国映画は、韓国ノワールや泥臭くて容赦ないバイオレンス作品の方が好みだなぁ…。
アメリカン・フィクション
アカデミー賞ノミネート作品がアマプラで配信されているということで軽い気持ちで視聴したが、皮肉が効いた良質なブラック・コメディ映画で十分楽しめた。 差別、貧困、ドラッグ、ギャング…という黒人に対するステレオタイプなイメージ、そして無意識にエンタメとして黒人に求めているもの。 そんなものだけが勝手に黒人のリアルだと人々は勘違いしてしまっている。 実は主人公の家族のようにインテリで富裕層の黒人も多くいるし、割合で言えば中流家庭の黒人がほとんどで、そこは日本とあまり変わりないのかもしれない。 映画、本、音楽などのエンタメの影響もあり、自分も「黒人」で連想するイメージは先に述べたような「差別」「ギャング」といったステレオタイプなものだった。 この映画で言う、「読者は馬鹿だから」に完全に当てはまる人間だった…。 そんな勝手なイメージや勝手なリアルを思いっきり皮肉った身につまされるコメディで、派手さはないけどジワジワと沁みてくるような笑いで、大人の雰囲気の作品に感じた。
PIGGY ピギー
この手のジャンル映画としては、十分楽しめた! まず主人公サラ(ピギー)のビジュアルだけで合格点だし、映画の宣伝ポスターの画力(えぢから)たるや!! 絶対観に行きたいと思わされた。 こんなに太った女の子が主人公の映画ってあったっけ!? 「ピンク・フラミンゴ」とかのディヴァインしか思いつかない…。 (ディヴァインはドラァグクイーンだけど。) それにしても主人公サラを演じたラウラ・ガランさんは素晴らしかった。 あの身体で、ビキニ姿で走り回り、血まみれの格闘シーンもあり、今年観た映画の中では「パール」のミア・ゴスに匹敵するインパクトキャラだった。 ストーリーも、単なるいじめられっ子リベンジ系ホラーかと思いきや、予想しない展開に転がっていき、最後まで飽きさせない。 そして結末も、サラの下した決断が実際どうだったのか、観客に考えさせられる。 まぁもちろんツッコミどころはあるけど(とくにあの男の素性や動機など…)、こういったジャンル映画でそこを深く考えるのは野暮かなと。 あと、アメリカ映画とは違うスペインのロケーション、街並みやプールなどがとても新鮮で、独特の雰囲気を醸し出していた。 兎にも角にも、見どころ満載の作品だった☆
イコライザー THE FINAL
アイアンクロー
自分は90年代のプロレスファンなので「鉄の爪」フリッツ・フォン・エリックは、馬場さんとの試合を過去の映像として見たことがあるくらいで、80年代の息子たちエリック兄弟の活躍や悲劇は正直ぜんぜん知らなかった。 それでもアイアンクローという技は、小中学生のころ男子の間では広く知られていて、友達同士よくやり合った世代である。 そんな世代のプロレスファンでも、リック・フレアー、ブルーザー・ブロディ、テリー・ゴディなど、知っているレスラーがちょろっと登場したりしていて、そこは見ていて楽しい。 映画としてはいわゆる毒親モノで、絶対的な父フリッツのスパルタ、抑圧、プレッシャーにより息子兄弟が不幸になっていく悲劇を描いている。 自分の夢を強制的に息子に託すという、典型的なダメになるパターン。(もちろん、うまくいく場合もあるが…) ただ、ストーリーはそれ以上でもそれ以下でもなく、事前情報として聞いていた通りの感じだったので、前知識を何も入れずに観たほうが驚きが得られると思った。 観た直後の感想としては、確かに父フリッツはひどい暴君ぶりで息子たちを苦しめるが、それにしたってエリック兄弟は不幸すぎるだろ…と。 本当に呪われてるような、そんな悲劇だった。 それでも最後は少し救いがあり、観客を安堵させてくれる。 また、父からのプレッシャーに苦しめられるが、兄弟たちは仲が良く、強い絆が感じられた。 だからこそ悲しいのだが…。 エリック一家(父や息子兄弟)を演じた俳優陣はみんな良かった。 それぞれ実際の人物の雰囲気をうまく出せていたと思う。 ただ、「プロレスの良さ・凄み」みたいなものは、この映画にはあまり感じなかった…。 プロレスのシーンでもう少し迫力や躍動感といったものを見せてくれれば、レスラーが苦労(トレーニングだけでなく、薬物使用など)してまでリングに上がる理由が伝わるように思う。 まぁ父親との確執の部分が弱くなってしまうのかもだけど…。 で…鑑賞後、エリック一家についてさらに調べたところ、映画よりももっともっとひどい悲劇であったことが判明し、絶句…。 なんだよ、事実が映画を超えてるじゃねーか‼
首
賛否両論ある映画だが、個人的にはとても楽しめた。 たけしの大河ドラマなどに対するアンチテーゼにも感じた。 歴史なんて、そんな小綺麗なもんじゃねーだろ!って感じで、「アウトレイジ」にも通ずるクセの強い登場人物たちの泥臭い人間関係が展開されていく。 合戦シーンも迫力はあるが、そこがメインではなく、武将たちの人間性(非情で暴力的だったり、狡猾なふるまいだったり、臆病だったり)がコミカルに描かれた群像劇だった。 そんなたけし流アレンジに乗れるか乗れないかで、本作の評価は分かれると思う。 個人的には、このいかにもたけしらしい演出、登場人物たちのやりとりが最後まで楽しかった。 また、男色文化がしっかり描かれているのも面白い。 あくまでたけし流解釈の本能寺の変なので、史実は…とか、時代考証が…とかの批判はお門違いだと思う。 あと、たけし(秀吉)の演技がダメとか、秀吉が老けすぎとかの意見もあるけど、そこはたけしワールドの時代劇なので、自分は気にならなかったかな。 真面目な時代劇ならノイズになるかもだけど…。 あとひとつ感じたのは、本能寺の変、信長、秀吉、家康くらいは日本人なら知ってると思うけど、その他の歴史的登場人物(架空の人物は除く)やその関係性、登場する合戦やその後の歴史的流れに詳しい人だとさらに楽しめると思った。 自分は、荒木村重や高松城の水攻めなど、けっこう知らないことが多かった…。
ソウルの春
ある程度、粛軍クーデターについてや、韓国の時代の流れみたいなものを軽く予習してから観たほうが、この映画を理解しやすいと感じた。 とくに前半なんかは登場人物(ほぼ軍人)の多さや、その軍人たちの役職や所属している部署の多さに、たぶんほとんどの人が混乱すると思う。 首都警備司令部側と保安司令部のハナ会側の人物の顔もまだ覚えていない状態で、次々と話が進み、そこにさらに第2、第8とかの空挺旅団やら、特殊部隊、憲兵まで出てきて、その人物たちの電話のやりとりを速いカット割りの連続で見せられて、え?誰??のカオス状態に…。 後半、やっとなんとかそれぞれの人物を把握できてきて、そこからはちゃんと面白かった。 自分はとくに予習せず、韓国の歴史も知らずに観たので、単純に結末にビックリ! え〜⁉そうなるの⁉という、ちょっとどんよりした気持ちで映画が終了…。 骨太な映画で初見でも十分楽しめたけど、たぶん鑑賞2回目のほうがいろいろ理解できて面白い気がする。 あと、ファン・ジョンミンはこういう口八丁な悪人を演じさせたら、もう右に出る者はいないね!ほんと最高‼ チョン・ウソンも「アシュラ」みたいなインパクトある役ではなかったけど、ド真面目な軍人役がハマってたと思う。 それにしても韓国は、こういう政治的事件や黒歴史をちゃんと映画にできて、エンタメとして昇華して、さらにこういった作品がヒットするって羨ましいなぁ…。
悪は存在しない
コンクリート・ユートピア
世界規模の大災害??で廃墟化したソウル。 ていうか、なんなのこの災害!?大地震!? こんな天変地異ある??と最初は疑問に思ったが、物語が進むうちにこれはあえてこんなふうに何だかよくわからない災害にしていることに気づく。 つまり、戦争や紛争、大地震などの自然災害、なんにでも当てはめれるように作られている。 そんな荒廃した世界のサバイバル映画として見れば娯楽作品だし、無政府状態の人間模様に焦点を当てれば社会派映画になる。 崩壊を逃れたマンションに外部の人間を受け入れるかどうかは、完全に難民問題だしね。 自分だったらどうするか…これは本当に難しい…。 また、独裁者が誕生する過程がとても見事だったと思う。 手柄をあげた普通の人間が周りから突然持ち上げられて、本人もその気になってだんだん変わっていく感じは、本当にああやって独裁者って生まれるんだろうなと怖くなった。 他の人のレビューで、登場人物たちにイライラするとか、救いがないからイヤだとか、そんな感想もあったけど、人間ってあの状況下なら絶対にあんな人間模様になってしまうと思う。 秩序を保とうとするあまり、どんどん残酷になっていく。 現在の世界情勢にも完全に当てはまる。 つくづく自分も含め、人間って愚かな生きものだな…。 あの状況下で、自分だったらどうするのか!? そんなふうに観る映画だと思った。
バーバリアン
予想外の展開で最後まで楽しめた。 ツッコミどころはあるけど、ジャンル映画としては充分な出来なんじゃないかと。 ちゃんとドキドキさせてくれるし。 紳士的男と女性軽視男だったり、金持ちとホームレスとか、うまく対比されててわりと社会派なのかも… とりあえず「イット・フォローズ」「ドント・ブリーズ」「バーバリアン」で、デトロイト廃墟ホラー三部作に認定!
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