TENET テネットの町山智浩さんの解説レビュー
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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』(https://www.tbsradio.jp/tama954/)
で、クリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』のネタバレなし解説を紹介されていましたので書き起こしします。
映画視聴前の前情報として、また、映画を見た後の解説や考察レビューとして是非ご参考ください。
町山さん『TENET テネット』解説レビューの概要
①『TENET テネット』はワーナー映画が200億円かけた超超超大作。
②クリストファー・ノーラン監督はCGが大嫌い!
③時間を逆行してる人VS逆光していない人のバトルを見る事ができる。
④10分ごとに記憶を失う主人公を描いた「メメント」について
⑤クリストファー・ノーラン監督は本を読む時に○○から読む
⑥TENETでは、ジャンボジェット機を本当に買ってクラッシュさせています
※○○の中に入る文章は、この記事の1番最後で公開しています。
TBSラジオたまむすびでラジオ音源を聞いて頂くか、書き起こし全文をご覧頂くか、この記事の1番最後を見て頂く事で判明します。
町山さん『TENET テネット』評価とは
(町山智浩)
やっと今週、少しずつ開くという事で始まったのが最初の超大作で。『TENET テネット』っていう映画で今日紹介するんですけども。これはワーナー映画がですね、200億円かけた超超超大作なんですよ。
(山里亮太)
はーー!!
(赤江珠緒)
そんなに!?
(町山智浩)
はい。でもね、なかなか公開できなかったのは200億円もかかってるとね、これは全世界で600億円稼がないと採算が取れないんですよ。
(赤江珠緒)
制作費のその3倍ぐらい稼がなきゃダメなんですか?
(町山智浩)
あ、3倍です。だいたい3倍なんですよ。
だからアメリカで劇場が開かない状態ではできないっていう事で、ずっと粘ってたんですけども、とうとうやっとアメリカの劇場が開き始めて。ただね、ニューヨークとカリフォルニアはまだ開いてないんですよ。
(赤江珠緒)
うわぁーーー。ニューヨーク開いていないのは厳しいですね。
映画館を諦めたディズニー
(町山智浩)
ニューヨークとカリフォルニアってその人口がものすごいから、ものすごいビジネスなんですけど、その映画館は。でも、そこなしで!もうとにかくやるしかないよって事で始めましたね。
で、逆にね、もう映画館は諦めたっていう映画会社もあって。それはね、ディズニーなんですよ。
(山里亮太)
えー!
(町山智浩)
はい。ディズニーはね、アメリカでの劇場公開を諦めました。『ムーラン』という映画ですけど。はい。アニメの・・中国を舞台にしたアニメの実写化なんですけども、それも200億円かかってるですよ。
(山里亮太)
わー・・同じく・・『TENET テネット』と同じく。
ディズニーは『ムーラン』を動画配信開始
(町山智浩)
そう。でもね、もうこれ以上は引っ張れない。ディズニーはね、ものすごく経済的にまずくなってて。というのは、ディズニーってあのやっぱり、収益の多くがテーマパークなんですよ。テーマパークを開けられなくて、あまりにも苦しいからフロリダで感染してる最中にテーマパーク、ディズニーワールドを開けたりしてるんですけども。
それでも、まぁどこも開いてないから苦しくて、これ以上収入がない状態を続けられないんで、ディズニーが持ってるディズニープラスというですね、配信があるんですけども。オンラインで見れるやつがね?ストリーミングの。そこで『ムーラン』を3ヶ月間見放題で30ドルで配信開始しました。
(赤江珠緒)
はぁそうですか・・。
(町山智浩)
やっぱりね、ご家族連れで来る映画なんで、感染する可能性があるとやっぱり映画館に足を運ばないだろうっていう判断なんですよね。そう。
で、あともうひとつはですね、中国で。中国で作られた映画で、中国政府の全面協力で撮っているんで『ムーラン』は。で、まぁ中国で公開すれば、(9月)11日から公開なんですけど、今月の。7万館で。7万スクリーンで公開するっていう事なので。(笑)それでなんとか採算を取ろうという事みたいですね。
(山里亮太)
うわー!
(赤江珠緒)
そうですか、うん。
『TENET テネット』は絶対に劇場でしかやらない!
(町山智浩)
はい。『TENET テネット』の方はですね、それができなかったんですよ、逆に。というのは、映画監督、これ作った人がクリストファー・ノーランという監督なんですが、この人は「絶対に配信するな!」って言ったんですよ。
この人の映画はですね、この『TENET テネット』もそうなんですけども、IMAXというすごい特殊なですね、巨大スクリーンで上映する為のデッカいフィルムで撮影する映画を撮る人なんですよ、この人は。
もう何十メートルもある巨大スクリーンで見るために作ってるんで、それをちっちゃいパソコンとか家のテレビで見られたら困るっていう事で、「絶対に劇場でしかやらない!」って言ってたんで、なかなか公開できなかったんですよ。
(赤江珠緒)
えーー!!
はい。でまぁ、とうとう、要するに、そこですごく今回ね、「ハリウッド映画はどうなるだろう?」って言われてて。おそらく、こういう形でスクリーンで見なければならない超大作以外は、殆ど滅びるじゃないかって言われてるんですよ。
(山里亮太)
ええええ!
スクリーンで見なければいけない超大作の映画以外は滅びる?
(町山智浩)
家のテレビが大きくなってるでしょう?みんな。最近、あのーテレビが安いから。それこそ2、3万円でデカいスクリーンのテレビ買えちゃいますからね?
で、それだったら”すごい超大作じゃなければ自宅で見てもいいか”っていう人は増えるだろうと。で、この6ヶ月間の間にものすごく配信で見る人が増えたんですよね、世界中で。家から出られないから。
だから、普通の人間ドラマレベルだったら、ねぇ。まぁ家で見る人の方が多いだろうと。そうすると、いわゆるミニシアターとかは潰れますよ、これ。
(赤江珠緒)
そうですねぇ・・。本当になぁ。。
(山里亮太)
ミニシアターが潰れる事の恐れっていうのは町山さんにね、こちらでご説明いただいていたけども。
本当に名作っていうのはミニシアターからスタートして、すごいこう色んな作品が出てきたりしていて。
(町山智浩)
そうなんです。
(山里亮太)
映画自体がそういういい映画が出にくい状況になっていくという事ですね?
映画という文化自体の大変な岐路
(町山智浩)
そうなんです。だからどうしても大スクリーンで見なければならないっていうもの以外は、やっぱり感染の危険があるから、みんなわざわざ映画館には行かないだろうと。そうすると、まぁ自主制作のインディペンデント映画とか、ちっちゃいレベルのその低予算映画とかが行き場を失ってくだろうと思われるんですよ。だから今、「映画」という文化自体がどうなるかっていう大変な岐路にあるんですよ。
(赤江珠緒)
そうですね、かなり瀬戸際まで来ちゃってますね。
(町山智浩)
はい。すごい時代になってて。で、『TENET テネット』はとにかく大スクリーンで見なければ意味がないっていう映画なのでなんとかなるんですけど、今後そういう超大作以外は本当に映画館から消えてしまうんじゃないかっていう事態ですけどね・・。
で、『TENET テネット』は日本ではですね、9月18日から公開で。これに結構もう映画界の未来がかかってるという状態ですね。
TENETは秘密組織の名前
で、どういう映画かと言いますと、『TENET テネット』っていうのは秘密組織の名前です。はい。世界を救うための秘密組織なんですよ。で、主人公はですね、CIAのスパイなんですけれども、このテネットっていう組織に優秀だからっていう事でスカウトされるんですね?リクルートされます。
で、何するの?って言うと、「君の使命は地球を救う事だ。近い将来、第三次世界大戦よりももっとひどい事で地球が滅びるんだ。それを防ぐのが目的なんだ。」と。言われるんですよ。「なんでそんな事が起こるって知ってるの?」って聞くと、「未来からあるものが届いてるからだ」って言われるんですよ。
(赤江珠緒)
ふんふん。
(町山智浩)
それは、銃弾なんですよ。で、この銃弾は未来から来たものだ、と。
(赤江珠緒)
ん?うん。
未来から過去に向かってきたもの
(町山智浩)
おかしいでしょう? 「これは未来から過去に向かってきたものなんだ」って言われるんですよ。銃弾が。
で、「これ撃ってみろ」って言われるんですよ。でも、銃にグリップ・・弾倉に弾が入ってない状態で、「あそこ狙って撃て」って言われるんですよ。「入ってないじゃないか」「いいから、やれ」って言われると、撃ったつもりになると、的の方から弾が逆に後ろ向きで飛んできて、銃口に刺さって弾倉に収まるんです。
(赤江珠緒)
はー!うんうん。
(町山智浩)
弾丸が銃に吸い込まれていくんです。
(赤江珠緒)
フィルムを逆回転させた時みたいな映像になるわけですね?
(町山智浩)
そうなんですよ。それで「えっ?」とか言って驚いてると、「この弾丸は時間を遡ってるんだ。」と言われるんですよ。で、「この装置を使って、時間を逆転させる装置があるんだ、未来に。それを使って地球を滅ぼそうとしてるやつがいるんだ。」と。で、それを追っかけるっていう話なんですよ。
はい。で、追っかけるんですが、その敵はですね、ロシアのギャングなんですけれども。彼は時間を引っくり返す、反転させる装置を使って、逃げて行ったりするんですよ。
(赤江珠緒)
うん。
時間を逆行し地球を滅ぼそうとする悪党と追っかけっこをする映画、テネット
(町山智浩)
で、その地球を滅ぼす、その物があるんですけども。アルゴリズムというものがあって、それを巡って、その悪党と追っかけっこをするという映画が『TENET テネット』なんですよね。
(町山智浩)
だから、例えばカーチェイスなんかだと、時間を逆行してる人と逆行してない真っ直ぐに進んでいる人同士でカーチェイスになるんで、もう訳がわからないんですよ。
(赤江珠緒)
んん?どうなるんだろう、本当、うん。
(町山智浩)
後ろ向きに走ってくるんですよ自動車が。で、普通はこう、ぶつかってクラッシュするんですけども、クラッシュした状態からくるくるっと元に戻って走っていくんですよ。
よくわからないんですけど。(笑)何もかもが逆なので。はい。そういうね、とんでもない変な映画なんですよね。で、これはね、クリストファー・ノーランっていうこの映画を作った監督が、こういう映画ばっかり作ってる人なんですよ。
(赤江珠緒)
うん。
クリストファー・ノーラン監督の最初の注目作『メメント』
(町山智浩)
はい。この人が一番最初に注目されたのは2000年に撮った『メメント』という映画なんですけども、低予算で撮ったんですが。
それは、奥さんを殺された男が、その殺した犯人を探すという話なんですけれども、時間が全部逆に進むんですよ、それ。というのは、主人公は、10分ぐらいごとに記憶を失っちゃうんで、覚えてないんですね、10分前の事は。
で、今現在の事からその10分前、10分前、10分前、10分前って戻っていくんですよ。で最後にその奥さんが死んだ真相に辿り着くまでの話なんですよ、『メメント』っていうのは。それは完全な逆回転・・・逆回転じゃないんですけど、ちょっと前に進んでは戻り、ちょっと前に進んでは戻りっていう非常に奇妙な映画なんですね。
(赤江珠緒)
ふーん!
クリストファー・ノーラン監督の変わった本の読み方
(町山智浩)
で、どうしてか?っていうと、このクリストファー・ノーランという人は本を読んだり雑誌を読んだりする時に後ろから読むそうなんですよ。
(赤江珠緒)
ははははははっ!へぇ〜!!
(町山智浩)
そう。漫画とかも逆から読むんです。そうすると、結果を先に知って、どうしてそうなったのか?っていう興味で読んでいくと、全てがミステリーになるからっていう。
(山里亮太)(赤江珠緒)
はーーあ!
(町山智浩)
そう。普通のお話でも、ねぇ。誰かが最後に、例えば離婚しましたとか結婚しましたって話で、そこから読み始めると「なんで離婚したんだろう?」っていうミステリーになるじゃないですか。
(山里亮太)
あぁ確かに!見方はそうなる!すごい・・!
映画『インセプション』について
(町山智浩)
ねぇ。だから逆から読むっていう非常に奇妙な人なんですよ、この監督は。(笑)
で、他もね、変な映画ばっかり撮ってて。例えば『インセプション』っていう映画を撮っているんですけども。これは産業スパイの話なんですね、レオナルド・ディカプリオが。産業スパイ役で。ただ産業スパイっていうのは人の物を盗むんですけど、この人は盗むんじゃなくて、記憶を植えつけに行くんですよ。
企業の取引に有利な気持ちみたいなものを植え付けに行くんですよ、人の心の中に。それはね、人が寝てる時に夢の中に入るんですよ。
(赤江珠緒)
うん。
(町山智浩)
それも、人の夢の中に入るんじゃなくて、夢をこっちで作っておいて、そっちに相手の気持ちを引きずり込んで、偽の夢の中で、その彼の心の1番奥底に入っていくっていうすごい変な映画なんですよ。
(赤江珠緒)
はぁ・・。複雑ですけど、なるほど、面白い。変わってきますよ、そうなると物語がね。格段に変わってきますね、うん。
インセプションで描かれた、夢の中での時間の進み方
(町山智浩)
変わってくでしょ?しかも夢の中っていうのは時間がものすごく早く進むんですよ。これ、夢を見てさ、はっと起きると夢の中でものすごい時間が経ってて、朝起きて学校に行ってナントカ・・とか、すごい夢を見るんですけど、はっと起きると1分ぐらいしか経っていないとかよくあるでしょう?
(山里亮太)
あぁはいはい!
(町山智浩)
ねぇ。夢の中は、1分ぐらいの間にものすごく時間が進むんですよね?さらに夢の中で夢を見るともっと早くなるんですよ。
(赤江珠緒)
はははは。
(町山智浩)
ね?その3段階ぐらいの夢の中を行ったり来たりするんですよ、この『インセプション』っていう映画は。ていう、ものすごくややこしい事をやる人なんですよ。
(赤江珠緒)
確かに、やってる事は地味だけど、時間を揺さぶると本当に展開が変わりますね。
普通の話でも、逆にするだけでミステリーになる
(町山智浩)
そうなんです。普通の話でも逆にするだけでミステリーになるっていうのはこの人の考え方なんで。はい。ただね、地味じゃないですこの映画は。そのね、IMAXっていう巨大なカメラで撮影するんですけれども、この人ね、ジャンボジェット機を本当に買って、クラッシュさせています。
(赤江珠緒)
えーーー!
(町山智浩)
この映画の為にわざわざ買って。(笑)
(赤江珠緒)
テネット?へー!今時だったらもうCGでやるとか、そういう事をしますよね?
クリストファー・ノーランという人はCG、コンピューターグラフィックスが大嫌い
(町山智浩)
そう。そうなんです。ただね、このクリストファー・ノーランという人はCG、コンピューターグラフィックスが大嫌いなんですよ。大嫌いで、とにかく全部本当にやるっていう人なんですよ。だから『バットマン』の『ダークナイト』っていう映画をご覧になりました?
(山里亮太)
はいはい!見ました。
(町山智浩)
あの中で、あのジョーカーとバットマンのチェイスで、超巨大トレーラーが縦に1回転するっていうシーンがあるじゃないですか。
(山里亮太)
はいはいはい!
(町山智浩)
ねぇ。あれ、CGじゃないんですよ。
(山里亮太)
すっごいなぁ。。
(町山智浩)
本当の巨大トレーラーに大砲みたいな物を付けて、それで火薬の力で打ち出して回転させてるんですよ。どうかしてますよ、本当に。(笑)
(山里亮太)
なんか違うのかなぁやっぱ。。
『TENET テネット』ではジャンボジェット機を・・
(赤江珠緒)
じゃぁ今回もジャンボジェット機をどうにかしてるんですか?
(町山智浩)
本当に買って、1機買って、突っ込ませていますよ、滑走路の倉庫に。そういうね、インタビューで僕は会ったんですけども、この前に『ダンケルク』っていう映画を撮っているんですね?
それは第二次世界大戦でフランスのダンケルクっていう海岸からイギリス軍がドイツ軍から撤退して、イギリスに戻ろうと、帰ろうとする話なんですけれども。これは本物の当時の戦闘機を使って撮影してるんですよ。
で、ものすごく本物にこだわる人だから、本当は戦闘機がですね、ドイツ側もイギリス側も100機ぐらい出て戦ってたんだけども、本物の当時の戦闘機が3機しか手に入らなかったから、3機しか出てこないんですよ。
(赤江珠緒)
あ、そう!
(山里亮太)
本当だったらね、CGでね、作っちゃって。バーーッて出来ますけど・・!
『ダンケルク』の時は、何万人もいるエキストラを・・
(町山智浩)
そう!CGでやればいいのに。そこで今度は、そこから脱出しようとするそのイギリス兵達っていうのも、何万人もいる訳ですけども、それCGでやれば簡単なんだけれども、CGを使うのが嫌だったから、ね。じゃぁエキストラを雇おうかっていうと、それ大変なお金がかかる訳じゃないですか。・・全部段ボール切ったやつでやってましたね。(笑)
(赤江珠緒)
ええーっ!?(笑)
(町山智浩)
全然気が付かないですよ、見てると。(笑)
(赤江珠緒)
気が付かない!?本当ですか?(笑)
(町山智浩)
全然気が付かないですよ!(笑)ダンボールなんだって。(笑)確かに動かないなとは思うんですけど。ダンボールなんですよ。そう。とにかくね、CGが大嫌いだから、『ダンケルク』の中で飛行機が海に突っ込むシーンも本当に実物大の飛行機のモデルを作って、海に突っ込ませたりしたんですよね。
(赤江珠緒)
はぁ〜・・こだわりますね。
クリストファー・ノーラン監督作品は、映画館で見ないといけない!
(町山智浩)
ものすごいこだわりなんですよ。だからね、この人の映画は映画館で見ないとなんないわけですよ!ちっちゃい画面で・・せっかくジャンボジェット機を本当にクラッシュさせてるのに、ちっちゃいスクリーンで見るともったいないじゃないですか。ねぇ。だから、そういう物として映画館を保存する使命に燃えてる男がクリストファー・ノーランっていう人なんですよね。(笑)
(赤江珠緒)
あぁ、そうですか〜。へぇー!
これね、前番組のジェーン・スーさんがお知り合いがこの映画を見て、でも、時間を遡っていくのが難しい、最初に1回理解するのが難しかったって仰ってましたけど・・?
『TENET テネット』はタイムマシーン物ではない
(町山智浩)
めっちゃくちゃね、難しいんですよ、これ。難しいの。これね、タイムマシーンじゃないんですよ。時間を遡るのは「回転ドア」というものが出てきて、それをくるっと回ると逆にその人が進み始めてるんですよ、Uターンするみたいにして、時間を。ところが別に、タイムトラベルじゃないから、例えば10分前に行こうとすると、10分間かかるんですよ。
(赤江珠緒)
はーーぁ。ほうほうほうほう!うん。
(町山智浩)
10日前に行こうとすると、10日間逆に時間を逆行しなきゃなんないんですよ。すごい変な話なんですよ、これは。(笑)ものすごい変で、予告編を見ると、みんな酸素マスクをつけてるんですね、時間を逆行している人達は。
それは、その空気を吸って、”酸素を吸い込んで二酸化炭素を吐く”という事ができなくなるんですよ、0時間を逆行してるから。だから純粋な酸素のマスクを付けてないと、空気の中で呼吸が出来ないんですよ。
(赤江珠緒)
うわ、リアルな、なんか・・時間の時空の話ですね・・!
ご飯を食べるシーンは・・ない(笑)
(町山智浩)
よくわからないんです、すごい変な話ですよこれ。(笑)例えば火が燃えると、熱を与える訳じゃないですか、周りに熱をね。でもそれが逆になるから、逆に熱を奪ったりするんですよ。だからこれね、ご飯食べるシーンがないんだよね。逆行した人がご飯を食べる所を見せてほしかったですね、はい。
口からモリモリ出てきますから、色んな物が。(笑)ものすごい気持ち悪いと思いますけども、それはさすがにやってなかったですね。(笑)
(赤江珠緒)
そうですね。(笑)へーえ、そっか。じゃぁ結構頭を柔軟にして見た方がいいんですね。
(町山智浩)
あのね、考え出すとね、訳がわかんなくなるんです、この映画は。で主人公もね、「訳わかんねえよこれ!」って言うんですよ。そうするとね、説明してる人がね、「考えすぎないようにね!」って言うんですよ。(笑)
(赤江珠緒)
へー!ははははは!
『TENET テネット』で町山さんが爆笑したシーン
(町山智浩)
「感じた方がいいわよ」っていうね。「考えるな、感じるんだ!」っていうブルース・リーのセリフを言うんですけど。そのへんは爆笑しましたけども僕は。映画館でね。
はい。とういうね、変な映画でね。でもね、アクションはすごいんですよ、本当に。体が、その時間を逆に動いてる人と、真っ直ぐに普通に過去から未来に向かって動いてる人と同士で格闘するんですよ。とっくみあいをするんですよ。(笑)
すると、要するに重力の方向とかも逆に動いてるわけですよ逆の人は。それと正方向に動いている人のとっくみあいっていう見た事のない世界が展開をしてますから。(笑)とんでもない映画ですよこれは。
(赤江珠緒)
そうですね。その設定が違うだけで全部が変わってきますね。
(町山智浩)
そうなんですよ。だからね、成功しましたこれ。映画館ね、お客さんが戻りましたね。
(赤江珠緒)
んー!そうですか。
(町山智浩)
はい。予定の金額に達しそうです。
(赤江珠緒)
えーーすごい!
(町山智浩)
はい。でまぁ『ムーラン』の方はどうなるかわかんないですけどね。中国の方でどのくらい当たるかで、もう完全にアメリカの興行は配信だから計算にできないんですよね、すぐにはね、結果がね。はい。で『ムーラン』の方もね実は本当はスクリーンでやりたかった映画なんですよ。
(赤江珠緒)
こっちもね、200億かけてますもんね。
(町山智浩)
そう。中国の大平原で大戦闘が繰り広げられる訳ですから、ねぇ。でもまぁ・・しょうがなかったっていう所もあるんですけどね。というね、ハリウッドがどうなるか、今後の映画がどうなるかという運命をかけた映画、『TENET テネット』は9月18日から日本公開です。はい。
(赤江珠緒)
はい!町山さん、ありがとうございました!
(町山智浩)
どもでした!
○○に入る言葉のこたえ
⑤クリストファー・ノーラン監督は本を読む時にうしろから読む
でした!