リップスティック
現代音楽なのか、環境音楽なのか、単なる効果音楽なのか、判然としない音楽をコンピューターとシンセサイザーで作る作曲家(楽譜を作らない作曲方法の作曲家)、が、変態男で、ガールフレンドの顔に💄口紅を塗りたくる趣味があり、それで、上流階級の美女(一流のモデル)に報復されて、人生が終わってしまう、までを、描く、天才的映画作品。 この映画は、フィルムの発色が、高級な油絵的で、すぐれています。 次に、その判然としない音楽(頭がおかしくなるようなシンセサイザー音楽)、を、全編に使っているのは、体制批判的です。 これは、1970年代の社会情勢を反映した、映画作品、として、お薦めです。
トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
1980年代の香港を舞台に、九龍城砦という巨大なスラム街で生きる男たちの壮絶な戦いを描いたアクション作品。 この映画の最大の見どころは何と言っても九龍城砦の圧倒的な存在感。バラックが積み重なった迷宮のような構造や、壁面を這う無数の電線など、その独特な雰囲気が映像全体を覆っています。 九龍城砦、観光してみたかったな〜欲を満たす素晴らしいセット、迷路のようなカオス感がしっかり伝わってきてワクワクしました。 九龍城砦を舞台にした戦闘シーン、複雑な地形を生かした迫力満点の映像で圧倒されました。 アクションシーンに興味がない自分でも、これはすごいやつだ!と思いながら集中して鑑賞できた。 現在のサモ・ハン・キンポーもかっこよいおじさまになっていてとてもよかった。
最初から最後まで、もうここでは書ききれないくらいの量の印象に残る男同士のたまらないシーンの連発だった。(女性との色恋が一切ないのも好感。) アクションシーン含め、観終わって本当にお腹いっぱいになった。 親分との絆や、仲間との友情のエピソードを描くのが本当にうまい。 ベタな展開だとしても、描き方がさり気ないので必然的に思える。 それぞれのキャラクター造形(ルックスや性格など)も素晴らしい。 良い意味でマンガ的で楽しい。 そして、言わずもがな九龍城砦の圧倒的なビジュアルとディテール! 九龍城内の生活臭がたまらん。 観た人みんながここへ行ってみたいって思ったはず。 個人的にはあそこに1週間ほど滞在して、チャーシュー丼食って、住民といっしょにテレビ見て、覆面医師くんの部屋のビデオを物色して、顔見知りになって、ロン親分にヒゲを剃ってもらいたい。(あ、カラオケもしたい。) やっぱり映画ってディテールが大事だなぁと改めて思った。 九龍城の素晴らしいディテールと、そこにいる住民の実在感、そして登場キャラの魅力、世界観さえしっかり構築できていれば、ちょいベタ展開でも、ファンタジー過ぎるアクションの連発でも、全く違和感なく受け入れることができて、こんなにも気分が上がるんだなと。 もちろん、九龍城を縦横無尽に使ったアクションシーンはバラエティに富んでてスゴイの一言。 あと、世代的にサモ・ハンの元気な姿を見れたのは嬉しかったけど、やっぱりラスボスのあいつ、たまんねーな。 見た目も、ヒャッハーな性格も、反則的な気功使うの含め最高! そして、ロン親分かっけー! あれは惚れてまう。 ロン親分の右腕のイケメンくん、覆面格闘医師くん、タイガーの舎弟くん、そして泥臭くてひたむきな主人公・坊主くん、全員良かった。 とにかくもう、みんなたまらん!!
ロボット・ドリームズ
ストーリーはわかりやすいので、老若男女誰でも感情移入できて楽しめると思う。 セリフは一切ないのに、表情や仕草で主人公の犬とロボットの感情がすごく伝わってくる。 自分からは男同士の友情を超えた恋愛に見えたけど、犬とロボットの関係は見る人によって男女の恋愛だったり、ペットとの友情と受け取る人もいると思う。 登場人物の見た目が全員動物で、セリフがないぶん、いろいろな受け取り方ができて、そこも素晴らしい。 犬とロボットのルックスもすごくシンプルだけど、物語が進むうち、どんどん愛くるしく見えてくる。 また、ニューヨークの町並みや人々(動物たち)の絵のタッチもなんだか可愛らしくて見ていて楽しい。 画面に映る情報量もすごく多くて、見返すたびに新たな発見がありそう。 もちろん、劇中かかる曲やタイミングも良くて、音楽を存分に楽しむ映画でもあった。 そして、なによりあのラストシーンの素晴らしさ! あんなにも心を動かされる「セプテンバー」は聴いたことがない。 やさしくて、せつなくて、それでいて高揚感溢れるあの一連のシークエンスは見事すぎる。 ラストで一気に心を持ってかれました。
あんのこと
2022年に公開された入江悠監督の作品で実際に起きた事件をモチーフにした作品。 壮絶な人生を歩んだ女性、あんの姿を描いた作品です。 とにかく胸糞。特に赤羽の現在は取り壊されたと思われる築年数の古いアパートのシーン。 あんの実家の中はゴミ屋敷で、おばあちゃんと母親が暮らしている。 母親の本当に胸糞具合が凄まじく、母親が登場するたびにものすごく嫌な気持ちになりました。 観る人によっては精神的な負担を感じるかもしれません。 嫌な気持ちになりつつも、目を背けてはいけない現実を描いていて社会の暗部や弱者に対する支援のあり方について考えさせられました。 杏を演じた河合優実さんの演技も素晴らしかった。 1つひっかかったのは、佐藤二朗が演じた刑事の犯した罪について。史実より映画のストーリーの方がよりひどい設定にしていて、本当に救いがない。。現実はもっと救いがあっていて欲しいと思いました。
黄色い戦場
古今東西戦争映画は無数にあるも… 本作戦場シーンはマジにトラウマなるよ。 因みに音楽はモリコーネ。 ストーリーは薄っぺらいスパイ物だけど戦場シーンだけで記憶に刻まれる作品
イマン
ステファニー・アタラが良い
非常宣言
ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、イム・シワンだけでも豪華キャストなのに キル・ボクスンの主演チョン・ドヨンや、お医者さん役の白髪のおばあさん役のムン・スクは、マスクガールで見たぞ・・。 豪華過ぎるキャスト、コロナが始まったばかりの時の大型客船ダイヤモンド・プリンセス号を彷彿とさせるあらすじ、期待して見ましたが、中盤以降の展開が長い長い。。学びも自分には何も感じられなかった。 燃料が足りないんじゃなかったの? 乗客を外に出さない条件で韓国に引き返し着陸だけでもすればいいんじゃないの? など、現実的ではなさすぎる展開が頻発し徐々に見る気を失っていきました。 韓国映画としての期待に答える展開が皆無で、どんでん返しもなく、なるほどこういう事かみたいな展開もなく、ただただつまらない展開を監督の「これオシャレだろ!?」という声が聞こえてきそうな演出で見せられるだけの映画でした。
霧の波止場
マルセル・カルネ監督の作品。その的確なカソリック宗教的の演出は、ギャング団のリーダーを演じる俳優の演技、etc. 、に感じられます。 次に、外せないのが、最高の撮影技術。 三番目に、主人公のポリシー・スタンス、を表現する映画音楽。 画家になるのを拒否して、港町(ル・アーブル)に残る主人公に、小さなピストルの銃弾が5発、当たり、路上に倒れます、仲のいい女(ガールフレンド)が、歩みより、抱き抱える、と、もう直ぐ出港する船舶(大型貨物船)等、数隻が、一斉に汽笛を鳴らす、ラストシーンは、映画芸術。 これは、文句無く、世界一の映画、に、違いありません。
ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
このレビューにはネタバレが含まれています
ジョーカーを見たかったか、アーサーを見たかったかで評価が大きく分かれる作品。 RottenTomato33点。。全米で大不評!というのを知って見たせいか、自分はすごく楽しめました。 ジャンプスケアではないので怖かったりびっくりするシーンもなくほっとしましたが、そのあたりが物足りない人もいたのかも。 前作のジョーカーも劇場で鑑賞しましたが、結構忘れていたのでフォリ・ア・ドゥ鑑賞前に前作ジョーカー を流し見していきました。これが正解だった、サブキャラ的な登場人物を忘れていたので、私と同じく忘れている人は流し見でもいいので前作を頭に入れてから見た方が楽しめると思います。 ミュージカルにする必要があったのか?とも思いますが、このどんよりムードにはレディガガの美声が必須だったのだと思います。ホアキン・フェニックスもレディガガも最高でした。
禁断の惑星
2200年の未来の地球、を描くSF映画。科学者たちは、開発した円盤で、未知の惑星に行き、調査することになります。 しかし、その惑星には。電気の塊のような宇宙動物がいて、その調査を妨害します。 宇宙飛行士たちは大丈夫なのか。 これは、テクニカラー映画ならではの発色の特撮シーン、が見事な、MGM映画。 他に、原題のフォービドゥンの意味は禁断よりも、隠蔽する、という意味、のようです。
シビル・ウォー アメリカ最後の日
シビル・ウォー アメリカ最後の日というタイトル。予告の雰囲気と全米2週間連続No.1大ヒットとの事で、アメリカの内戦を描いた映画かと思い鑑賞。 実際は戦争カメラマンのロードムービーで、「あれ?思ってたのと違う」という印象で映画に入り込めなかった。 鑑賞後にレビューを見漁ると同じように感じていた人が多く、そういった人の評価は低かったのがうなずけた。映画として面白いのに、予告を盛った作りにしたせいでがっかりした人は多いと思う。 「もし今、アメリカが2つに分断され、内戦が起きたら」というあらすじですが、内戦を直接的にではなく、戦争カメラマンが内戦状態の中で長距離ドライブの旅に出るという間接的な形で物語が進みます。 どの立番の人も入り込めるようにという意図で、故意に内戦が起きた具体的なストーリーを描いていないようですが何も知らずに鑑賞すると、なんでこうなったの?という疑問が頭に残りノイズになりました。 パソコンやインターネット環境の話題は登場するもののスマホを見かけなかったので、どの時代を描いてるんだろう?と思ってしまったのもノイズに。水を求めて大勢が押し寄せるシーンなど、現代の想定なら誰かしらスマホをかかげている姿が自然なのでは。 アレックス・ガーランド監督の「MEN 同じ顔の男たち」も自分には苦手な映画だったので、自分とは相性が合わなかっただけなのかも、MENのよりはシビル・ウォーの方が断然見れますが。 ジャンプスケアというのでしょうか、銃の音などで結構びっくりさせられるので苦手な人は注意です。
侍タイムスリッパー
大阪物語
米問屋の社長にまで出世する男の方法論を、天才的な演出で表現する、映画芸術。3人でやっと運べるその問屋の金庫、が、盗まれた後に、予想外に、店に返還されて、これで給料が支払える、というラストシーンは、不条理的空間のシーン。これは、傑作です。
コンクリート・ユートピア
世界規模の大災害??で廃墟化したソウル。 ていうか、なんなのこの災害!?大地震!? こんな天変地異ある??と最初は疑問に思ったが、物語が進むうちにこれはあえてこんなふうに何だかよくわからない災害にしていることに気づく。 つまり、戦争や紛争、大地震などの自然災害、なんにでも当てはめれるように作られている。 そんな荒廃した世界のサバイバル映画として見れば娯楽作品だし、無政府状態の人間模様に焦点を当てれば社会派映画になる。 崩壊を逃れたマンションに外部の人間を受け入れるかどうかは、完全に難民問題だしね。 自分だったらどうするか…これは本当に難しい…。 また、独裁者が誕生する過程がとても見事だったと思う。 手柄をあげた普通の人間が周りから突然持ち上げられて、本人もその気になってだんだん変わっていく感じは、本当にああやって独裁者って生まれるんだろうなと怖くなった。 他の人のレビューで、登場人物たちにイライラするとか、救いがないからイヤだとか、そんな感想もあったけど、人間ってあの状況下なら絶対にあんな人間模様になってしまうと思う。 秩序を保とうとするあまり、どんどん残酷になっていく。 現在の世界情勢にも完全に当てはまる。 つくづく自分も含め、人間って愚かな生きものだな…。 あの状況下で、自分だったらどうするのか!? そんなふうに観る映画だと思った。
エイリアン:ロムルス
新鮮味がないとか、話のスケールが小さいとか、批判的なレビューもちらほらあったが、けっこうやり尽くされた「エイリアン」というフォーマットの中で、今の技術も駆使ししながら、創意工夫を凝らして作られた作品になっていて、ちゃんと面白かった。 シリーズオマージュも多い(全部は把握できない)が、エイリアン初心者でもちゃんと楽しめるようになったいた。(エイリアンのライフサイクルも、なんとなくわかるように復習してくれるし。) 以下、良かった点。 ・黒人アンドロイド「アンディ」のキャラ 今までありそうでなかったポンコツアンドロイドという設定。 彼(ロボット)と主人公(人間)の絆は、最後に姉弟関係や恋愛関係をも超越した結びつきに見えた。 また、可愛さと不憫さ、そして冷酷さも見せる絶妙な演技をしたこの俳優さんも素晴らしい! ・重力装置を使ったアクション 物理的にどういう原理かは全くわからないが…これは新しい斬新な映像だった! まだまだこんなアイデアがあるのか!と感嘆。 ・音の静と動の使い方 宇宙空間の「静」から、一気に「動」への切り替えなど、さすが「ドント・ブリーズ」の監督。 ・キモエイリアン 賛否両論ありそうだが、ビジュアル、なんとなくの性格も含め、オレは好き! というか、「なんだこれ…」的な批判が出そうなのも承知で、作り手が挑戦している感じが良い。 そんな感じで、ちゃんと新しいフレッシュさも盛り込まれてるし、物語もしっかり「エイリアン」してて、シリーズ作品として十分すぎる出来だと思う。 いや、これ以上望むのは酷でしょ。 なにより、一作目から45年も経ったこの2024年に真っ当な「エイリアン」の新作を見せてくれて感謝!! 過去作も見返したくなったぞ!!
X線の眼を持つ男
オットーという男
心あたたまるストーリー。時折ジョークも混ざっていてとてもいい映画なのですが。 自分の環境だと複雑に感じてしまった映画でした。 たまたま自分の親が一時的に不安症で弱っていた時に、この映画がCMでやっていて親が見ようかなと気にしていました。が、弱った親には見せなくてよかったと思った映画でした。 以下ネタバレを含みます。見る人によってはつらいシーンがあると思うので要注意です。 ・自死しようとするシーンが何度も出てくる ・バスの事故のシーンがある ・隣人老夫婦の息子は日本にいて、親の事に無関心、何年も帰ってこない上に老夫婦の家を勝手に売り老夫婦を施設に入れようとしている ・主人公は心肥大を患っている。きっと持病があるストーリーにしたい事と、心が狭そうな性格なのに心臓が大きい病気だという事で笑いをとりたいのでしょうが、心肥大と診断を受けた事のある人は焦ってしまう描き方だと思いました。心肥大だから余命が少なかったり、治療が必須だという訳ではありません。オットーは肥大型心筋症という病気で、心肥大と同じく心臓の筋肉が厚くなる病気ではありますが心肥大とは別の病態です。心臓が大きいからイコールオットーと同じ結末を迎えるという訳ではない点に注意が必要だと思いました。
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