イギリスの大道芸人がいた古い時代の雰囲気と、衣装や小道具などが凝っていて素晴らしく、不思議で深遠なファンタジーの世界を堪能出来ました。
2匹の馬に引かれたステージ付きの住居が、特に私は気に入っています。
パルナサス博士のところにやって来る悪魔がちょっとペテン師っぽい雰囲気で、どう見ても「悪魔」っぽくなくて、また博士に賭けを言い寄る内容も一貫性がない所は少し残念に思っています。
またパルナサスが過去に語り部として寺院にいたシーンは、仏教感があり最初のイギリスの風景とはミスマッチな感じがして、もっとヨーロッパ感で統一して欲しかったです。
でも、鏡の世界は自由でファンタジックであり、その中で自身の欲望が表されていくのも面白い表現の数々でした。
話の中心は、娘を手放したくないパルナサス博士と、真実を知って独り立ちしていく娘の、悲しい別れなのが印象的でした。
最後には家族を持ち幸せそうに笑う娘のヴァレンティナが観られて良かったです。