フル・モンティ
イギリスの田舎で不況にあえぐ、6人の男たち。何とかカネを手に入れたい男たちが考え出したのは、男性ストリップ集団のショー。ショーに熱狂する女性たちを見て「これだ!」と考えた男たちは、なんと自分たちも男性ストリップショーで稼ごうとします! 低予算でありながらも、脚本の素晴らしさで話題と賞をかっさらった作品です。息子にまるで自分の親のように諭される父親などは、見ていて情けないやら切ないやら。そんな情けない男性たちが、一気にお金を稼ごうと今まで全くやったことのないストリップショーをするわけですから、問題が起きないはずがありません。 体型に自信がないという巨漢や、差し押さえにあったことが妻に言えない夫、自殺未遂をして踊るしかないとハラを決める男など全員個性的で、問題がある者ばかりが集合し、見様見真似でストリップを行います。 練習風景などは笑えて仕方ないのですが、その帰宅後子や妻に「何してきたの」と問い詰められ答えることが出来ないというシーンも笑えます。 コメディばかりかといえばそうではなく、父親としてしっかりしていないことに落ち込む主人公や、自分の殻に閉じこもってしまい本番直前まで出場をためらってしまう者、男ならこんなことをするべきではないと強情を張ってしまう者など、家庭問題や性格の問題、心のすれ違いなど「わかる!」という問題も描かれています。 ショーが成功するかどうかはぜひ作品を見てほしいところです。 豪華なCGや技術がある映画ではないのに、とても幸せな気分になれます。
さらば、わが愛 覇王別姫
このレビューにはネタバレが含まれています
怪盗グルーのミニオン大脱走
マイ・インターン
ダンサー・イン・ザ・ダーク 4Kデジタルリマスター版
弱視のセルマは同じく目の見えない息子のために工場のパートで、貯金をしている日々。そんな秘密をある男性に打ち明けてしまい、悲劇が始まります。 天才シンガーソングライター・ビョークの透き通る歌声が全編に使用された、豪華なミュージカル映画でもあり、目の見えないセルマの身の上に起きた不幸を体感し、その生きる力を感じる映画でもあります。 目のほとんど見えないセルマに、「中国の万里の長城は見た?」と問いかける男性。それに対するセルマの答えが「どんな壁でも屋根さえ落ちてこなければ立派なのよ」と返す歌のあたりは、目の見えないということを悲しむのではなく、視点を変えるだけで幸せがたくさん落ちていることに気づかされます。 決して、幸せではないセルマですが、その純粋な心と歌声は忘れられるものではありません。恐怖で死への階段を登るときも、ミュージカルにしてしまう彼女は、素晴らしい強さを持っていると言えるでしょう。 「目が見えない」悲劇から、次第に「金銭を奪った泥棒の濡れぎぬを着せられる」という最大の悲劇にまで転落してしまう様子は、直視できないほどのつらさやダメージを見ている側に与えます。ですが、その逆境をセルマは自分の世界に逃げ込むことで、没頭することで乗り切っていくのです。 現実を直視していないという批判もあるかもしれません。ですが、彼女は他に何が出来たでしょう。せめてこうして嵐が過ぎるのを待つしかないのではないでしょうか。そして、それを責めることは誰にも出来ないと感じます。 ラース・フォン・トリアー監督作品の全編にわたる陰鬱さはありますが、それ以上にビョーク演じるセルマが輝く映画です。絶対に見て欲しい作品となっています。
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
ハロウィンを司るジャックが、ひょんなことから「クリスマスの世界」をのぞいてしまい、子どもたちの幸せそうな笑顔やプレゼントのきらめきに心奪われ、「ハロウィンでもクリスマスしたい!」と大暴走するクレイジーなアニメ。 ジャックが手作りで人形を作ったりプレゼントをあげたりしても、どこか本物のクリスマスとは違って子どもは泣き出し、プレゼントを放り投げる始末。そんなジャックを見ているとこちらも心が痛くなります。決して悪気はなくて、むしろ喜んでほしいのに、ひどい仕打ちをされたと傷ついてしまうシーンは、子ども向けアニメではなく大人映画でも十分通じる痛々しさです。 もちろん途端に逆ギレしてしまい「じゃあクリスマスを最高に怖いものにしてやろう!」とイタズラの限りを尽くすジャックなのですが、このキレ方も誰にでも見られる状態なのが面白いですね。このことで、本当のクリスマスの行方がわからなくなってしまうのもハラハラさせる要素となって、楽しめる部分となっています。 ジャックは遊びと友達が大好きですが、そばにいるゾンビの女性はジャックに恋心を抱いています。思わず「わかってやれよ、ジャック!」と言いたくなるのですが、彼女の気持ちもしらず暴走してしまう姿は、まるで子どもです。 とにかくジャックの明後日の方向に向かってしまう努力が、切なくて笑えます。本当のクリスマスのときよりも、12月はいったあたりやハロウィンのころに見ると、楽しめるのではないでしょうか。
スリー・ビルボード
あまりにもかっこいい。かっこよすぎる作品だ。 見ている間ずっとワクワク、いや、ワクワクするような内容ではないかも知れないが、終始ドキドキ。こんなにもどのカットもかっこよくて痺れる作品があるのかと感動した。始まり方もかっこよければ、終わり方までかっこいい。もし劇場でひとりで見ていたらスタンディングオベーションしていたかも知れない。そのくらい最高な作品だった。見終わった後気づくと好きなシーンが10個出来ていた。目も心も満たされて鳥肌が立って、劇場を出た時は素晴らしい映画を見た喜びでスキップしたり駆けたりして帰った。レイトショーで幸いだったと思う。映画館に行って適当に選んだときは人も全然いなくて、有名でもなくて何も期待せずに見始めたのに…雷が落ちたような、映画を見る喜びを改めて全身で感じることになるとは。 この映画の主人公はとにかく、めちゃくちゃに怒っている。行動も破茶滅茶かも知れない。でも一貫していて、この主人公はいい人なんだなというのがわかる。人間性の話だ。主人公だけでなく、周りの人達も混乱しているというか、怒っている人が沢山出てくる。キレていたり、どうしようもなかったり、情けなかったりする。めちゃくちゃ悪いというわけではないけどとにかく治安が悪い感じで、見ていて気分が悪くなる人もいるかもわからない。辛い気持ちになるシーンも沢山ある。 それなのに、見ていた私は泣いたり笑ったり、結構ずっと泣き笑い状態で映画を見ていた。いちいち行動から台詞から、最高過ぎるのだ。ユーモアが効きすぎてるというか…自分自身も怒りを抱えていたからかも知れない。好きな人はとことん好きになる映画だと思う。私もこの映画がピッタリハマったひとりだ。 この映画は一見怖い。でもほとんど優しさで出来ていると言って過言ではない。 もし怖くて集中出来ないとか、みんな怒っててわけがわからないとか思ったとしても、シーンの切り取り方を見て欲しい。彼等が身につけているものや風景まで。絵画的なかっこよさ、絵的な美しさも痺れるくらいにある。
母なる証明
「パラサイト 半地下の家族」で一躍日本でも名が広く知られることになったポンジュノ監督の作品。 始まり方から印象的な美しい画面作りで、すっかり引き込まれた。見ている間はずっしりと重く、不穏な空気がずっと漂っている。人によっては見終わった後もあまりの重さに辛くなってしまうかも知れない。後味は全く良くないかも知れない。それ程までにこの作品は「人間とは」「人生とは」、簡単には答えられないような問いかけ、生きる上での割り切れなさを多く含んだ内容となっている。しかしながらポンジュノ監督のセンスなのか、個人的にはどこか滑稽で美しく、軽やかに仕上がっているように感じた。自分でも奇妙だと思うが、見終わった後に不思議なスッキリとした感覚があり、前向きな気持ちになった。 もちろん見た後の感覚は人それぞれ違うと思う。嫌な気持ちのまま、ゲッソリしてしまう人が多いかも知れない。 映画の中で起きる出来事はどれも起きない方が良いことばかりで、恐ろしい内容である。舞台が韓国だから韓国特有の出来事なのかと言われるとそうではない。映画の中で起こるそれらはただ私達が日常で意図的に見るのを避けているような、見て見ぬ振りをしているような「出来事」の連続であり、残酷なようだが決して他人事ではない内容になっている。他人事ではないというか、我々人間が抱えている問題がそのまま映し出されているので、見ている間何度もナイフを首元に当てられ問い詰められている感じがした。人間の善悪を延々と揺さぶられ続ける作品だ。 パラサイトからポンジュノを知って他のも見たいと思った人には、他の作品ももちろんお勧めだがこちらも是非見て欲しいと思う。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
ある日離れて住んでいる父親に呼び出され、突然巨大なロボットに乗って敵と戦え、と言われる主人公の少年シンジ。普通に考えると男の子としてワクワクする展開のはずだけど、くよくよ悩むシンジ君に共感させられてしまいました。 父親に反発したり、認めてほしくてじたばたしたり、そういう姿は等身大の中学生としてありうる姿だと思います。 敵である「使徒」がよくわからないモノであるけれど、それと戦わないと世界が壊れてしまうらしい、ということも、わけのわからないうちに色々な問題をぶつけられ、こなさなくてはならない青春の姿をトレースしているかのようでした。 その中で、少しずつ周囲の人との距離を測ろうとしている姿に、青春時代の痛みを思い出してしみじみしました。もちろん、ロボットアニメとしてのバトルの面白さも十分堪能できました。 テレビアニメシリーズも見たのですが、この映画を観ることで、いろいろと話の内容を整理できたようなかんじもあり、話がわかりやすくなったような気がします。
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
スター・ウォーズほどコアなファンが多い作品はないと言っていいほどなので、昔からのファンにとっては、どうせもう主要なキャラクターは年をとっちゃったんだし、という印象があると思うのです。私もその点で、本作を見るまではちょっと引いた感じでいました。 でも、新しいキャラクターもそれぞれ魅力的で、特にヒロインのレイは思った以上にスター・ウォーズの世界観にマッチした人物だったなと思いました。ハードなバトルでも臆さずに飛び込んでいく姿や、敵と対峙したときの胆力など、なかなかのものだったのではないでしょうか。 また、敵側のカイロ・レンというキャラクターも一筋縄ではいかない感じが面白かったのですが、わがまま坊ちゃん的なところは、「こういうキャラはもういいかな…」という印象が残りました。でも、レイとの力比べ的な部分は本当に面白かったです。 何より痛快な空中戦やライトセーバーでのバトルシーンは大満足。レイの今後の活躍をもっと見たいなと思いました。
独裁者
有名な映画で古典ともいえる作品なので、一度見ておかなくては、といったいわば「教養」的な感じで観たのですが、想像以上に面白かったです。 チャップリンの動きや演出のすべてが計算された「おかしみ」を醸し出していて、笑いっぱなしになりました。 例えば、「振り向きざまに開けっ放しのドアにぶつかる」とか「滑って転ぶ」「何かに夢中になっていて別のことがおろそかになる」という動きや、エライ人のモノマネといったことは、今でもドタバタコメディの基本といえるでしょう。ここに原点があったんだなあ、などと思いつつも、その動きの滑らかさについつい笑わされてしまう感じがありました。 ヒトラーを思わせる人物へのおちょくり具合は、当時これをヒトラーや取り巻きの人々がどうとらえたんだろうと思うと痛快でした。 その一方で、戦争やナチスドイツに対する批判は鋭く、最後の演説は「床屋にしては弁舌さわやかすぎる」と思いつつも、耳を傾けずにいられませんでした。
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」
天気の子
魔女の宅急便
この映画が公開されてから、もうすでに30年もたつのですが、何度見ても古びない映画だなあと感じます。 架空の西洋風の街が舞台、ということもあるし、魔女の出てくるファンタジーということもその理由とは思います。しかしこの映画がいつまでも新鮮さを感じさせる理由は、この映画のストーリーにあるのではないかと思います。 誰しも初めて自分の育った家庭やふるさとを離れるという場面はあり、また、自分一人で生活したり、仕事を始めるというクエストは多くの人が経験することです。仕事で失敗し叱られたり、周囲に励まされたり、そしてそんな中で異性との出会いがあったり… そのような青春の心の揺れを、みずみずしい映像で描いているところにこの映画の新鮮さがあるのではないかと思います。 子供や若い人が、「こういうことってある!」と共感してみるのもよし、オトナが「こういうこともあったなあ」とほろ苦くみるものよし、かわいいキキの奮闘と美しい映像を楽しみながら心癒される、そんな作品でした。
君の名は。
アナと雪の女王
従来の子供向けの物語では、プリンセスが王子様に助けられ、結婚によって幸せになる、というものが多かったのですが、最近のディズニー映画ではこのようなステレオタイプの物語を避ける傾向がみられます。 特に本作では、「王子様」との出会いを夢見ることをきっぱりと否定しているようにも見えました。物事はそう簡単には進まず、幸福も型通りにはいかないのだということを、教えたいのかもしれないと思いました。 また、自分らしさを大事にしてほしいというメッセージもあります。 そういう教育的な見地からこの物語を見ることもできますが、なにより子供たちや子供と一緒にこの映画を観る大人を魅了するのが音楽です。 ミュージカルナンバーとして完成度の高い楽曲、歌手を取り揃えて作られていることは素晴らしく、これから映画やミュージカルの舞台を見る機会をもつだろう子供たちに、本物を提示してくれたと感じました。 ストーリーも大人が楽しめる内容ではありましたが、子供によってはやや複雑と感じるかもしれません。でも、映像が美しく、楽しい部分も多いので、何度も見返していくうちに、この映画のメッセージを受け取ってもらえたらいいなと思います。
キャッツ
この映画では人間が猫に扮して歌い踊る、ということで、猫耳としっぽの生えたレオタード姿の俳優が登場します。そのことについて、気持ちが悪い、と感じた評価も多かったように思います。 でも、舞台版の「キャッツ」をすでに見たことのある人にとっては、このシチュエーションは全く当たり前のことで、なぜそんなに違和感があるのか理解できませんでした。 実際に映画を観てみても、舞台版と同様に素晴らしい音楽とダンスを堪能することができて、これはこれでよいのではないかと感じました。 参加している俳優さんたちも、素晴らしい歌を披露してくれています。 ただ、舞台版のファンとしては、CGでの処理に違和感がありました。例えば、舞台版では猫のしっぽや耳は作り物なので自分で動いたりはしませんが、それを演技でカバーするところに面白さがあったのです。 舞台装置も、本物らしさにこだわらず、もっとファンタジックなものにしたほうがこの作品の持ち味を生かせたのではないかと感じました。
ジョーカー
ズートピア
ブラックパンサー
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