アウトブレイク
このレビューにはネタバレが含まれています
ルパン三世 カリオストロの城
ギャングース
コノ手の映画はアホほど観てきたけど、エンドロールをこんなに清々しい気持ちで迎えた作品も珍しい。 社会の底辺を舐めるようにして生きる若者たちの残酷物語であると同時に、恐ろしく純度の高いエンタメ青春映画なのだ。 主演の三人が三者三様のキャラクターを見事に演じており、特に個人的にはニガテだと思っていた加藤諒の好演は良かった(今まで避けててゴメン)。 あと渡辺大知(黒猫チェルシー)、世界的ギタリストのMIYAVIという音楽畑出身の二人の活躍も光る。 ノンフィクションが基になっているだけに設定にはリアリティがあった。 だからこそ、後半のファンタスティックな展開が痛快に映える。 あのラストバトルはいささか劇画的と捉えるヒトもいると思うが、僕はだからこそ良いのだと感じた。少なくともモヤモヤはしない。 『SRサイタマノラッパー』シリーズが有名な入江悠監督だけど、本作は新境地と言える内容だったんじゃないだろうか?
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
Fukushima 50
セントラル・インテリジェンス
この映画は元いじめられっ子のCIAエージェントと普通のサラリーマンが世界を救うために奮闘するザ・アメリカンコメディなスパイ映画です。 物語は主人公であるカルヴィンのもとに高校の同級生であるボブから久しぶりの連絡が来るところから始まります。 高校時代はみんなのヒーローだったものの今はしがないサラリーマンをやっている主人公カルヴィンと、 逆に高校時代はいじめられっ子だったけれども、今はCIAのスーパーエージェントであるボブが繰り広げるコメディ要素も盛り込んだアクションが最高にかっこいいです!! ただ映画冒頭でのボブがCIAのエージェントであると明かすまでの展開が、話が長いと言うか少し退屈でだれてしまっているような印象を受けました。 それでも映画後半での若干おとぼけな感じのボブと、余裕なく焦りまくるカルヴィンの笑えるやり取りや、怒涛のアクションはその退屈さを打ち消すくらいかっこいいです。 是非このアクションを楽しんで見て頂けたら嬉しいです。
未来のミライ
くんちゃんがとにかく可愛い。 「(自分より)年の大きな妹とじゃれあって遊べる」。これは物凄い矛盾に満ちていると同時に、全国の「妹好き」の面々にはパラダイスですよ。これを映像化(しかも高クオリティのアニメで!)しただけでも本作が世に出た甲斐があったというもの。 くんちゃんがミライちゃんに指ツンツンされて、悶え狂う様は、観ているこちらももう大興奮!(くんちゃんはしかも、おかわりを要求するという羨ましさ!)。 ともあれ、別に変態なだけの映画では決してありません。 不思議な庭木の超時空パワーによって、自らのルーツを実体験する!という『2001年宇宙の旅』もかくやな不思議旅によって、「お兄ちゃん」であるという意識の芽生えが明確に至るまでを、超スペクタクル&臨場感で描き出す感動の物語なのであります。 なかでも、曾爺さん(福山雅治のCVのかっこよさよ!)との爽やかなのに泣けるエピソードの素晴らしさは特筆もの。 雨の中の「お母さん」との出会いも、とても印象的でした。
スパイダーマン
アメコミの代表MARVELの人気キャラクターであるスパイダーマンの映画ですが、数多く制作されているスパイダーマン作品の中でもこの映画は本当に本当の第一作目にあたります。 決して他のスパイダーマン作品を認めないという訳ではありませんが、私の中でスパイダーマンといえば、この第一作目のスパイダーマンが強く印象にあります。 作品により多少ばかり設定の違いはありますが、主人公ピーター・パーカーがひょんなことからクモの力を手に入れてスパイダーマンになるところから物語が始まります。 そしてこのピーター・パーカーの「良い意味でヒーローっぽくない、ザ・平凡な少年感」を出せているのが、この第一作目のスパイダーマンだと思います。 またこの第一作目ではピーターの育ての親であるベンおじさんの「大いなる力には大いなる責任が伴う」というセリフがポイントとなって映画が描かれているのですが、 このセリフが本当にカッコ良いことも、私がこの映画を大好きな理由の一つです。 映像面等では少々古い作品になってはしまいますが、是非オススメしたい作品の一つです!!
マッドマックス 怒りのデス・ロード
トムハーディ主演の世紀末ものです.核戦争後の資源奪い合いがベースとなり,文明が壊れている世界観です.本作は雰囲気作りが素晴らしく,むせそうな砂や質の悪そうな燃料の燃え方など,とてもよくできています. 個人的にツボだったのが銃のチョイスですね. 比較的新しく開発された銃はさまざまな工夫がこらされており,それこそオリンピックで狙撃大会として成立するくらい精密なものです.多くの要求を応えていくと銃はどうなるかというと,基本的にパーツが増えます.また,パーツ同士の連動など設計段階で考えることが多く,より複雑になります.これがなにを意味するかというと,シンプルにメンテナンスが大変になります.より専門的な知識を必要とし,例えばマッドマックスのような誰でも銃をもつような世界ではメンテナンスが簡単で確実に撃てることが重要です. 本作に登場する銃は第二次世界大戦のものによく似たもの(同じもの?)が登場し,シンプルなデザインが多いです.この時代のものは基本的にいろんな要求に応えていくようなデザインではないので,構造もシンプルな傾向にあります.水平二連のショットガンなんて現代ではミスマッチですが,射撃の確実性からすると非常に世界観に合っています. 細かいところでとても興奮できる良作です.
アウェイク
名探偵コナン 紺碧の棺
のっけから高木君と佐藤さんのカーチェイスで幕開けするワクワク感ある始まりです。そこで男がいうジョリーロジャーという謎の言葉。あれ?この展開どこかで…そう七夕・きょう のダイイングメッセージを残した漆黒のチェイサーでも同じ手法が取り入れられてますね。シリーズで見返している人の中には既視感があったかもしれません。 舞台は離島ということでなんか小学生の夏休みを思い出したりして牧歌的でまったり進んでいきます。少年探偵団がスタンプラリーに挑戦したりしてるのを見ていると、子供って素直でいろんなことを楽しめて羨ましいと思うと同時にそんな心を忘れている自分に気づいたりします。 サメの被害事件、ダイビングショップのお姉さんの不審な動き、トレジャーハンターの登場、展示品の盗難事件など矢継ぎ早に事件がおこり気が緩む暇がありません。 これらはいつものことですが小五郎が美人女将のいる飲み屋(笑)で勘定を踏み倒して(故意ではなく)自転車で二人乗りして酔っぱらって事件現場に行って目暮警部に突っ込まれるシーンがいいですね。あと駐在所の人があたふたしているのがいいスパイスです。 ラストはコナンの独断場ですが、いつものようにもっている知識がはんぱじゃないのでギリギリのところで窮地から脱っします。この辺りはさすがコナン君ってかんじです。 哀ちゃんのいつもの「気をつけるのね」っていうクールな励ましや小五郎が蘭を思って嵐の中船を出そうと警部と言い合うところなんか各所にキャラ立ちがあって見どころ満載な作品です。 泣き砂を踏みに夜中に皆で海岸を散歩しにいくシーンがとても印象的でした。
名探偵コナン 紺青の拳
個人的に言ってみたい国のシンガポールが舞台となっていてマリーナベイサンズやあのライオンもでたり、街のチープな食堂のシーンも出てきてよかったですが、ストーリー的にはお粗末です。 まず色黒の?コナンのことを蘭が見破れない訳がない。あそこからもうシラーっとなりました。声もそうだし、どこからどうみてもコナンでしょ!ふーん現地の子なんだ~じゃないよ!それにスーツケースって…それに飛行機のタイヤに捕まってとかって一体高度何フィート上空飛んでいると思ってるんだ。普通に死にますからね。コナンともあろうお方が知識が無い訳はないでしょ!将来これを真似しない子がでてくるといいんですが、海外では実際に子供が貧困のために車輪格納庫で海外に逃げる事案があるだけに制作陣営も少し気を遣って欲しいところです。 それにやたら字幕が出まくるんですが、あれチビッ子はついていけるんでしょうかね?それにお話がなんかシンジゲート的な存在が絡んでくるから余計実感がわかないんじゃないんでしょうか? よくわからないけど悪い人なんだ。くらいの認識かと思いますが。 園子と京極さんの恋愛部分も中途半端な感は否めない。まぁキッドのアクションシーンが唯一の見せ場に感じました。それに薄い内容を最後まで引っ張り過ぎるのでラストに行く頃には中だるみしてしまいました。 園子が初めて髪をおろすんですが、おろした方が全然良いです。
名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)
皆が言っているように一応メインは平次と一葉になっていますが普段中々スポットが当たらない二人を据えた抜擢は斬新とも言えます。最初はノンビリとした展開で始まるので肩肘張らずに見れるのがいいですね。 京都の通りの名前なんかが随所に出てくるので関東在住の私は、へぇーなどと感心しながら見ていました。面白い名称のが京都にはいろいろあるんですねぇ。ケアゲインクライン?なんてどんな漢字なのか想像もできませんでした。 ストーリーは義経記を基に展開していく純日本風ミステリーで普段のコナン色とはちょっと違います。それにやまくらというのも初めて知り、勉強できる部分が結構あります。 途中平次とコナンがバイクで追跡するシーンなんかはCGとの融合が試みられているのかなぁ?という場面があり、アニメーションが少し違う風に感じます。 月明りから新一が出てくる演出や屋根の上で戦闘するシーンも迫力がありますが、個人的には平次が謎のバイク男に奇襲を受けて戦うシーンが好きですね。 だが最後犯人の動機が少し弱いと感じたのでそこだけピリっとしないですが全体としてはよく作られている作品です。
空白
来る
完全に好き嫌いが分かれる異色のJホラー。 ボクは好きでしたけどね。一緒に観ていた家族には不評でした(苦笑) 途中までは正統派ながらかな~り怖い部類に入る心霊ホラー。 正直、中島哲也監督とホラーの相性が良いとは思えなかったので、この化学反応は嬉しい誤算でした。 しかし、後半は一気に中島ワールド前回の天外魔境へ――。 大掛かりな『祓い』の準備が始まった辺りから、ワクワクと不安が交錯しておりました。 物語としては正直消化不良だしダメなんだけど、独特の酩酊感というかトリップしたような感覚がたまりませんでした。 キャストもビックリするくらい豪華でしたが、個人的には小松菜奈演じるメンヘラ霊感少女と、柴田理恵演じる霊能者が、身体を張って想像を絶する活躍を見せてくれたのが印象的。 あんまり映画は繰り返し観るタイプではないのですが、本作はまた見返してもいいかなあと思っています。 人を選ぶ異色作ですが、Jホラーの歴史にしっかりと足跡を残した作品です。
私の少女/扉の少女
ジャズと青春を謳歌する女子高校生の役から、突如として命の宿ったラブドールまで。変幻自在の演技で日本でも人気のペ・ドゥナがヒロインのイ・ヨンナムに扮して、細身のスタイルに似合わず華麗な護身術を披露していました。若くして警視の階級を持つキャリア組の彼女が、なぜ片田舎の警察署に赴任してきたのかも気になりますよね。 そんなヨンナムが救いの手を差し伸べるのが、血の繋がらない父親から暴力を振るわれている女子中学生のソン・ドヒ。無力感が漂う職場にも閉鎖的な慣習が支配するこの地にも馴染めないヨンナムとは、不思議な縁を感じます。孤独なふたりが惹かれ合うかのように、ひと夏限定の共同生活を送る様子が微笑ましかったです。 事実無根のデマや誹謗中傷、性的マイノリティへの偏見によってふたりが引き裂かれていく後半の展開は痛々しくて見てられません。理不尽な虐待に耐え続けていたドヒの驚くべき反撃、過去に縛られていたヨンナムの解放に期待してください。
ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男
雑踏の中に埋もれて靴磨きをしているのは、のちにジェームス・ブラウンとして大成することになるリトル・ジュニア。住んでいるのは森の中の掘っ立て小屋、父親は徴兵されて母親は家出と若干6歳にして過酷すぎます。一方では近所の教会から聞こえてくる微かな歌声に、ドン底を這いず回る少年を救いだす福音のような響きがありました。 ベトナム戦争やキング牧師暗殺といった激動の1960年、薬物依存性から女性問題までとスキャンダル。アメリカ社会と自分自身が抱える闇が背景に浮かび上がっているために、単純なサクセスストーリーでは終わりません。その類いまれな才能だけでなく、人間的な弱さにも感情移入できるでしょう。 JB役は戯曲の執筆やシナリオライターとしても活躍していた、チャドウィック・ボーズマン。生き写しのような表情やヘアスタイルはもちろん、ステージ上で披露する華麗なステップは必見です。この映画が完成した6年後、わずか43歳の若さでこの世を去ってしまったことが惜しまれますね。
セッション
ただひたすらジャズドラムの練習に打ち込んで、華やかさとは無縁なキャンパスライフを送るアンドリュー・ニーマン。せっかく映画館で知り合っていい感じなった女子大生のニコルとも、疎遠になってしまうのが残念ですね。そんなニーマンを「楽しんで演奏しろ」のひと言で自身のバンドにスカウトするのがテレンス・フレッチャーですが、その笑顔に騙されてはいけません。 痛烈な罵声や容赦ない叱責はもちろん、時には人種差別的な発言や手が飛んでくることも。日本であればパワハラ指導者として即追放されそうなフレッチャーが、なぜ名門シェイファー音楽院で指揮を執り続けているのか理解に苦しみます。「ネイビーシールズ」など戦争映画のイメージが強いJ・K・シモンズが演じているので、教師というよりも鬼軍曹のように見えてしまうでしょう。 一度は師弟関係を解消したふたりが、場末のバーでお酒を飲みながら語り合うシーンが心に残りました。そこまで完璧なレッスンにこだわる本当の理由、さらには冷徹なフレッチャーが一瞬だけ素顔をさらけ出してしまうので見逃さないでください。
スピード
冒頭からスピード感と緊張感にあふれたアクション映画で、公開されたのが1994年とは思えないほどの衝撃的な完成度でした。 まず、冒頭からロクな説明もなしにいきなりエレベーターの乗客救出作戦が展開され、否応なしに物語に引き込まれます。 バスの爆弾が発覚してからはまさに息つく暇もない展開で、バスの速度を落とさず車内でのトラブルにも対応するという展開は緊張の連続です。 それを乗客間の協力や外部の警察との連携で乗り切り、更にその上から犯人が罠を張るという頭脳戦の要素もありますし、爆発等の派手なシーンもあるため最後まで飽きずに観られます。 登場人物も良い人物が揃っており、主人公の警官のジャックは正義感と行動力がある好漢ですし、外部からジャックを支援するマック隊長とハリーも頼りがいがあります。 そして、犯人のハワードも非常に良い悪役で、ジャックや警察を常に翻弄する恐ろしいまでの狡猾さや冷酷さを持つ一方、犯行の動機が警察への逆恨みという微妙に小物っぽいのも面白いところです。
空の青さを知る人よ
東京は遠くもないけど近くもない、絶妙な「田舎町」の男女の絶望と希望みたいなファンタジックかつセンチメンタルなお話。 冒頭の川の上に掛かる長い歩道橋で、夕暮れ時、迎えを待つ主人公の高校生「相生 あおい(凄い変な名前!)」が手持ち無沙汰にベースギターでかき鳴らす、とある古い有名曲の旋律のシーンで、もう既にノックアウトされてしまうセンスの素晴らしさ。 この曲はある意味本作の裏の主題歌と言ってもよく(オモテはあいみょん)、何度も劇中に登場しますし、一説によると、この曲がエンディングに使用されたTVドラマが物語のモチーフになっているのではないか?というふしがあり、確かにファンタジックさや、夢の別天地をめざしたり、井の中の蛙大海を知らず(タイトルの元ネタでもある)、といった共通点が見受けられる。 あおいの姉「あかね」と、夢を追って東京に行ってしまった元カレ「金室 慎之介」との切な過ぎる関係は、とうに青春の時期を過ぎてしまった年齢層にとてもぶっ刺さること請け合い。 意外なあのお方の、声優としての才能の発見があったりしますし、かなり大人向けのアニメ映画ですね。
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